IS+1(インフィニット・ストラトス・プラスワン) 作:暇人の鑑
種無印のキラをエミュするのが難しい…。
普通の主人公っぽくすると、熱血になりすぎるし、嫌味っぽく書けばいいかと言うとそう言うわけじゃない…。
そんな訳で、手探りでやっていきます。
IS学園は、土曜日も授業がある。
……まあ、午前中だけなので、午後は完全に自由時間になるわけだが、学年別のトーナメントがあるため、ほとんどの生徒はアリーナでの自主練をやることになる。
そんな、土曜の昼下がりのアリーナにて。
「どうだった?」
「ええとね……一夏がオルコットさんや凰さん、流良に勝てないのは、射撃武器の特性を把握してないからだよ」
と、シャルルの淀みない説明を真剣に聞く一夏をながめていた。
一夏のトレーニングの話をしたら、協力を申し出てきたのだ。
「ぬぅ…私のアドバイスの何が不満だと言うのだ」
「あんなにわかりやすく教えてやったのに…!」
「私の理路整然とした説明の何が不満だと言うのかしら」
不満げな顔をする歴代コーチ陣だが、そのコーチングはこちら。
「こう、ずばーっとやってから、がきんっ!どかんっ!と言った感じだ」by箒
「何となくわかるでしょ?感覚や感覚。……はあ?何でわかんないのよバカ」by鈴
「防御の時は右半身を斜め上前方へ50度傾けて、回避の時は後方へ20度反転ですわ」byセシリア
シャルルの説明を聞いて、今の発言である。
「…何よ?そのバカを見るような目は」
「いや、実際3バカを見てるんだよ」
「なんだと⁉︎」
「お待ちなさい!この2人と一括りにされるのは納得いきませんわ!」
「似たようなもんだよ……っと、よし」
と、詰め寄ってくる3バカを躱しながら、僕は新しい装備を呼び出した。
「すごいわね……全部盛りみたくなってるわ」
背中の重量が一気に増し、モニターのストライクは、「エール」「ソード」「ランチャー」…その三つの装備を一度に全て装着した形になる。
「マルチプルアサルトストライカー」……これを装備した姿は「パーフェクトストライク」と呼ばれるらしい。
「見た目はすごいけど、ストライクの運動性を殺しちゃってるよ、これ……」
この形態のメリットは、3つのストライカーパックの武装を、換装なしで使えることであり、それによる電力の消費量は、外付けのバッテリーを5個積んで対処しているが……そもそも、これだと重量が増えて動かしにくいし、長もの2個は取り回しが悪い。
「この追加バッテリーだけ、エールに欲しいってくらいかな」
「確かに、流良さんの戦闘スタイルには合いませんわね」
「なんだかんだでエールストライクでの動きが一番、あたしは相手にしたくないわよ」
「うーん……じゃあ、今度はこっちだ」
これはそうそう使いたくないと思いながら、僕は次の装備を呼び出す。
今度は……さっきとは別方向でのてんこ盛り。
「IWSP……統合兵装ストライカーパック。武器は…」
「さっきのよりはコンパクトに収まってるな。それに刀とはいいセンスだ」
「いや、そっち?」
見た目としては、エールストライカーをゴツくした感じだが…武器はレールガンと単装砲が2つずつに、ブーメランとガトリングが取り付けられているコンバインドシールド。
更には、二刀流の対艦刀を装備した、マルチプルアサルトとは打って変わって、実体や実弾の武器がメインである。
「あたしの甲龍みたいな感じね」
確かに、それとなくフォルムも武装構成も似通ってる気がする。
「機動力もエール以上だし、運動性の低下もない。
武器の取り回しも片手で使えるやつばかりだから、悪くはないんだろうけど…どっちかっていうと短期決戦向けかな?」
要塞化できる「パーフェクトストライク」か、戦闘機みたいな高機動で攻める「IWSP」か?みたいなことになるんだろう。
「まあ、後でシュミレーション回せばいいか。にしても……」
「ん?あの2人がどうかしましたの?」
武装確認を切り上げた僕は、ISの展開を解除してから、一夏とシャルルが射撃訓練をしてるのを見て。
「他人の武器って使えないんじゃなかった?」
一夏が使ってるのは、リヴァイヴのアサルトライフルだ。
刀しか装備してない白式がアレを使うには、シャルルから借り受けるくらいしかないんだけど…確か、他の機体の武器は普通使えない筈だ。
「なのに、どうして…」
「簡単ですわ。使用許可を貸す側が発行すれば、登録者は誰でも使えるようになりますもの」
「へー…じゃあ、僕がセシリアに許可を貰えば、あのビット兵器も使えるって事?」
技術者の卵として、是非とも使ってみたいが……セシリアは首を横に振った。
「理論上はそうなりますけど、本国から固く禁じられてますので、ダメですわね。データを抜き取られる恐れがあるので」
「あくまで、汎用武器だけに限るわけよ……ん、どうしたの?」
更に、つづいた言葉に昨日の神戸先輩の話を思い出してしまう。
「いや、ちょっとね…気にしなくていいよ」
「余計気になるのだが…何かあるなら話くらいは聞いてやるぞ?」
箒が怪訝そうにしながらも心配してくれているようだが、これを漏らすわけにはいかない。
シャルルが、デュノア社…フランスからのスパイの可能性があるだなんて、口が裂けても言えないのだ。
僕はただ、機械いじりとプログラミングをしていたいだけなのに、どうしてこんな内偵みたいなことをしなければならないんだろう?
そんな、内心の葛藤を隠そうとしていた僕だったが、後ろから聞こえてきたどよめきに視線を向けると。
「ねえ、あれ……」
「うそっ、ドイツの第3世代型じゃあ…」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いたけど…」
そこには、ドイツの代表候補生「ラウラ・ボーデヴィッヒ」が漆黒のISを纏っていた。
「シュバルツェア・レーゲンだったっけ?あの機体…」
「ええ。ドイツの最新鋭機ですわ」
鈴とセシリアが観察するような目を向けていると、ラウラは開放回線を開いた。
「おい」
「………なんだよ」
どうやら一夏に用があるらしく、一夏も叩かれた恨みがあるのか、渋々と言った感じで応じる。
すると、ラウラはふわりと飛翔しながら言葉を続けた。
「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」
「模擬戦かな?」
「いや、それにしては殺気だってるな…単に怨恨だろう」
箒が、鋭い視線をラウラに向けて否定するが、当のラウラは一夏にしか目がいってないようだ。
「イヤだ。理由がない」
「貴様にはなくても私にはある」
「……第二回のモンド・グロッソだっけ?たしか、織斑先生は不戦敗だったらしいけど」
あのビンタの後、一夏が教えてくれた話を思い出す。
決勝戦の時に一夏が謎の組織に誘拐されたらしく、それを助けたために棄権することになり、その際に借りができたドイツ軍において、教官をやっていたんだとか。
おそらくラウラはその時の生徒だったんだろう。
家族を助けることが、汚点だなんて…一体どういう思考回路をしてるんだ。
きっと、織斑先生がその考えを聞いたら激怒するんじゃないだろうか。
ラウラの思考回路に恐ろしいものを感じていると。
「ならば……戦わざるを得ないようにしてやる‼︎」
ラウラは戦いを渋っていた一夏に向けて、右側に装備していた大型のリボルバーカノンを展開して、即座に発射する。
それがISを装備した一夏に着弾する前に、何かが割り込んできて、そのすぐ後に衝撃音が響いた。
「…‥こんな密集空間で戦闘を始めようだなんて、ドイツの人はずいぶん沸点が低いんだね。ビールだけじゃなく頭もホットなのかな?」
「貴様……」
シールドを構え、リヴァイヴを展開したシャルルが、実弾を弾きながら即座にアサルトカノンを向ける。
「フランスの骨董品で私の前に立つとはな」
「未だに量産化の目処が立たない、ドイツのルーキーよりはよく動くよ」
涼しい顔をした睨み合いをするが…一触即発と言って間違いない。
それを見ていた僕は思わずその2人の間に割り込んでいた。
sideシャルル
「やめろ。なんでみんなしてすぐ戦おうとするんだ!」
僕とボーデヴィッヒさんの前に立ち塞がった流良が、悲痛な声で訴えかけてきた。
「試合でもないのにこんな事……何の意味もないよ」
「貴様にとってはなくても、私にはある。
このアンティークに我がドイツの力を思い知らせてやらねばならん…なんなら貴様に思い知らせてやってもいいんだぞ?」
横槍を入れられて苛立ったのか、リボルバーの砲身を向けるが、彼は真っ向から言い返す。
「ISを使えるからって、僕も一夏も、軍人でも何でもないんだ。
逆恨みで殴ったり、煽られたからって発砲しようだなんて……何が代表候補生だ。そこらのチンピラと大差ないじゃないか!」
「貴様ぁ……!」
頭に血が昇ったのか、流良に迫る。
「流良、ISを展開して!」
今、彼はストライクを展開していない。
このまま突っ込まれれば殺されてしまうと、前に割り込み振り下ろされた手刀を受けようとした時。
「そこの生徒、何をやっている⁉︎出席番号と名前を言え‼︎」
スピーカーによる先生の叱責の声が響き、この場は一応の収束を見せたが。
「シャルル……ありがとう、ごめんね」
「……っ」
悲しそうな顔でそう謝る流良を前に、なんとも言えない苦しさと痛々しさを感じてしまった。
「ふう……」
誰もいない更衣室で着替えをする。
「たまには一緒に着替えようぜ」
「い、いや。だってその、はずかしいから…」
「そうつれないこと言うなよ。慣れれば大丈夫さ。
さあ、一緒に着替えようぜ」
「やめなよ。何か、怪しい薬のブローカーみたいになってるし。僕がいくからさ」
「流良とはいつも一緒に着替えてるじゃねえか……」
「まあいいじゃない。ほら行くよ…」
一夏が一緒に着替えようと迫ってきたのを、流良が庇ってくれたのだ。
少し前に、不思議に思わないのか聞いたことがある。
「まあ、不思議には思うけど……理由があるなら、無理強いはしないよ」
そんな気遣いが、とてもありがたかったけど……今の彼のそれは、とても痛々しい。
とどのつまり……
「優しすぎるんだよ、君は…」
傷つけることに、傷つけあうことに心を痛めて、望まない戦いに身を投じて……それでも見て見ぬふりができない、優しい男の子。
一夏にも強引なところもあれど、いいところはあるし、そんな彼を好きなあの3人の気持ちもわかるけど……僕は、流良の方がいい。
微風のような彼の隣は、とても心地いいから。
もし、みんなみたいに普通の女の子として、君と出会えたら……。
その先を想像しようとしたが……虚しくなってやめた。
「…早く戻ってシャワー浴びよう」
僕にそんな資格はないし、出来はしない。
何度目かもわからない諦めと共に、僕は更衣室を後にした。
side流良
「はぁ…」
別室で着替え終えた僕は、モルゲンレーテに稼働データを送り、トボトボと寮への道を歩いているが…気分は晴れない。
理由はさっきのラウラとの一コマだ。
「僕は……」
最近……もっと言うと、あのリディクとの戦闘があってから、戦うことに理由を欲しがっている。
あの、命の保証がなく…誰かの死と隣り合わせの感覚が、恐怖に変わって……元々戦うことは好きじゃないけど、大きな理由もなく戦うことに、どうしようも無く嫌気をかんじてしまう。
試合だから、ただの自主練だから、と……自分を納得させられる理由がどうしても欲しい。早く終わらせたい、って常に頭をよぎるのだ。
セシリアとやり合った時は、そんなことなかったのに…
とは言っても、割り込みは流石に無謀すぎたかもしれない。
「シャルルにも迷惑かけちゃったな。後でジュースでも奢ろう」
と、夜道を歩いていると。
「ほう?律儀なことじゃないか」
聞き覚えのある…いや、忘れようにも忘れられない声がした。
やや下に向いていた視線を慌ててあげると、そこには1人の男が立っている。
長い金髪を靡かせたその男は…病気と疑わしくなるほどに血の気の薄い顔と、銀色のマスクが印象的だった。
奇抜な格好と、その存在感に圧倒される僕をまるでいたぶるように、その声は澱みなく響く。
「こうして生身で会うのは初めてだな…流良君」
「あなたは……なんでここに」
「所詮は公的機関。抜け穴などいくらでも作れるさ…それより、君に渡したいものがあってね」
「渡したいもの……?一体なんだって言うんです!」
その姿に嫌な寒気がした僕は、振り払うように声を上げる。
だが、次に飛び出した言葉と共に差し出されたディスクに、目を離せなくなってしまう。
「君は知りたくないかな?
デュノア社のジャンヌ・ダルク………そして、力を求めて禁忌を犯した、罪深い命の話を」
ジャンヌ・ダルク……?作り出した命…?
よくわからない言い回しだが、その声もあってか頭をそれだけが占める。
そんな金縛りにあったような気分でいた僕が、再び動き出せたのは、少し後のことだった。
「いない……?」
先程までいた男はいない。
だが…僕の手にはしっかりと、あのディスクがあった。
「まだ、時間はあったよな」
本来、こういうものは先生に立ち会ってもらって見たりするものだろうが、なぜかこれに対しては、それじゃダメだと囁かれているような気がした。
そして、僕は対面する。
メッキの平和の奥にあった世界の狂気を……その闇を。
いかがでしたか?
一応細かい設定を。
マルチプル・アサルトストライカー
形式番号 SP-EX00
分類 万能型
武装 エール+ソード+ランチャーの全ての武装
カートリッジ式バッテリー×5
エール、ソード、ランチャーの三つのストライカーパックの特性を全て盛り込んだ「完璧」なストライカーパックであり、これを装着したストライクは「パーフェクトストライク」と呼ばれる。
多数の武装を換装なしで使える上に、全ストライカーパック中、最もバッテリー量が多い為、一種の移動要塞みたいな形になるが、武装の過剰な搭載により重量が増加し、ストライクの特性である運動性や、中核を担うエールストライカーの持つ機動性を殺してしまう上に、武器も片手で扱えるものがほとんどない為、全てあらかじめ積んでおく意味がないと言う欠陥を抱えてしまっている。
バランスを全く考えないこの構成は、まさしく技術者の悪ふざけと言って差し支えないだろう。
IWSP(統合兵装ストライカーパック)
形式番号SP-EX01
分類 強襲型
武装 レールガン×2
単装砲×2
コンバインシールド×1
実体型対艦刀×2
補助バッテリー×1
マルチプルアサルトストライカーをブラッシュアップし、より実践向けの仕様にしたもの。高い機動性による、中近距離において高い攻撃性を兼ね備えているが、バッテリーが一つしか搭載されてないので、短期決戦を想定された装備となっている。
次回はシャルルの女バレを書いていきます。
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