IS+1(インフィニット・ストラトス・プラスワン)   作:暇人の鑑

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第17話です。

今回からしばらく戦闘回となりますので、少しだけ長くなりますがご容赦ください。


第17話 交錯する思惑

 6月も最終週に入り、IS学園は月曜日から学年別トーナメント一色に変わる。

 

 その慌ただしさは予想よりも遥かにすごく、一回戦が始まる直前まで、試合のある人たちも含めた全生徒が雑務や会場整理、来賓の誘導を行なっていたほどだ。

 

 ちなみにその来賓の顔ぶれも、各国政府関係者や研究所員。

企業エージェントと色とりどりであり……当然、モルゲンレーテも来ていて。

 そんな訳で僕と鷹月さん、いつもの先輩方は、モルゲンレーテの職員たちに割り当てられた椅子に、予約席と言わんばかりに堂々と座っていた。

 

「ねえ、私は場違いじゃないかな……」

「今回限りとは言っても、M1のテストパイロットだったんだから……それに、色んなところの人たちに名前を覚えてもらうチャンスだよ」

「荷が重すぎるわよ。輝戸君ほどのネームバリューはない、読書が好きな普通の女の子だよ?私」

 

 お偉いさんに囲まれて、子鹿のように震えながら抗議する鷹月さんを宥めていると、マリアさんとその恋人であるムウさんが。

 

「大丈夫よ。気にしないから楽にしてていいわ」

「そうだぞお嬢ちゃん。マリアはともかく俺だって一国の教官ってだけだからな」

 安心させるように笑いかけ、それでようやくぎこちないながらも落ち着いてくれた。

 

「確か、僕らの1回戦が最後で……一夏たちのペアが一番最初でしたね」

「おそらく、最後まで関心を引きたいんだろうね。世間からの注目度もそれなりにあるから……」

 神戸先輩がデータ端末をみながら話すのを横目に、Aブロックの1回戦、1組目の組み合わせが出るのを待ち兼ねていると。

 

「いないと思ったら、ここにいたのね」

「わたくしたちもご一緒させてもらいますわ」

「え?どうして2人がここに」

 セシリアと鈴が僕らを見つけたのか、心なしか辺りを見渡しながらやってきた。

 2人とも怪我は治ったものの、ISの修理が間に合わず、結局トーナメントを辞退することになったのだ。

「あら?観客席からあぶれたのかしら?」

「いえ、代表候補生とは言えでられません故…」

「正直、本国の人と顔合わせづらいのよね…」

 

 確かに、このアリーナの来賓席は二箇所あり、僕らの方には国賓はいない。

 代わりに企業からの来賓が多く……あのシャルルの父親も、前の席に座っていた。

……ここで文句をぶつけても意味はないとは言え、彼女にした所業に対しては腹を立てるなという方が無理だ。

 

 そんな僕とは裏腹に、初江先輩の言葉を前に、居心地の悪そうな2人を、愛津先輩が受け入れたことで、ここだけ国際色豊かな場所となった。

 

「……落ち着きなさい。下手したら国際問題よ」

「わかってる」

 小声の鈴の忠告に、鷹月さんにバレないように頷くと、トーナメントが発表されたらしく、セシリアが小さく驚きの声をあげ。

「さあ、一夏さんたちの相手は………え?」

「うげっ」

 

 鈴は、苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

 かく言う僕もまた苦いものを思い出してしまう。

「篠ノ之さんとボーデヴィッヒさん…?またよくわからないペアですね」

「おそらくあまりものの抽選ね……にしても、篠ノ之束博士の妹か…」

 鷹月さんが首を傾げ、神戸先輩が答えた。

 

 そう、一回戦の対戦カードは一夏のペアVSラウラのペア。

 

 そして、僕達は。

 

「……!」

 

 先日話したあの人のペアが相手になることに決まった。

 

 

sideアイシャ

 

「…‥ご苦労」

「いえいえ……もしかして、もっと早めの方が?」

「いやいや!私は好物は最後に取っておくタイプだよ」

 マティーナの報告を耳に、私は湧き上がる喜びを押さえつけるのに必死だった。

 トーナメントのシステムに細工でもしたんだろうが…‥私としては結果オーライなので咎めることはしない。

 入学してからずっと、戦いたいと思わされてきたあの少年と。

 ようやく組み上がり、現在こちらに運ばれてきている私のオーダーメイドの専用機で相手できるのだ。

 

 これでもし、訓練機でのお遊びなんかになったら…不完全燃焼になってしまう。

 

「そういう面では、織斑一夏に感謝ね。

 後で彼にコーヒーの差し入れをしに行こうかしら、マティーナ?」

「そこは、スポーツドリンクにしてあげてくださいよ…」

 

 この副官は優秀だが、いかんせん趣が足りないのが玉に瑕だ。

「いやいや、コーヒーじゃなきゃダメだよ。折角豪華な前菜を振る舞ってもらったんだから」

 こちらも盛大にもてなしてやらなければ失礼というものだ。

 

 ため息をつくマティーナの視線に応じるように、クールダウンも兼ねてカップを渡しつつ、私の視線は、向かいの観客席にいる対戦相手に向いていた。

 

「さて……やはり私と君は敵同士だった。

 

 その定めを前に、君は何を思う?」

 

side箒

 いきなり一夏と当たるとは、巡り合わせとは怖いものだ。

……思えば、ペア参加への変更が決まった時点で、一夏はデュノアと。

 

 一夏以外だと一番頼りになるであろう輝戸は、ルームメイトの鷹月と組むことになって……やがて、抽選でラウラとペアになった。

 

 一夏の隣を獲得するためには、何が何でも優勝しなくてはならないと言うのに……最悪だ。

 

 確かに、ラウラは戦力としては間違いないが、意見が全く合わない上に、向こうはこっちの話を聞く気など、ハナからない。

 

 要は反りが合わないわけだが……それ以上に、近親憎悪のようなものを抱いてしまうのだ。

 

 力こそが全てと思うその姿は、かつての自分そのものであり……まるで、過去の愚かな自分を見せつけられているようで、居た堪れなくなるのだ。

 

 だが…‥そんな思いを抱いてる余裕はない。

 

 目の前にいる一夏とデュノアを相手に……無駄なことを考えていては、戦いにすらならないのだ。

 

 私は、訓練機のIS用ブレードを握りしめ、試合開始のアナウンスを待った。

 

side一夏

 

「まさか、いきなり当たるとはな……待つ手間が省けたぜ」

「奇遇だな。私も待つのは嫌いなんだ」

 

 試合のカウントが進み、戦いの幕が勝って落とされた時。

 

「「叩きのめす」」

 

 俺とラウラの言葉は、奇しくも同じだった。

 

「おおおおっ!」

「ふん……」

 速攻をかけるべく、瞬時加速を行う俺に、ラウラが右手を突き出す……いや、むしろ他に何をやる?って話か。

 

 AICの確実な対処法は、結局思いつかなかったが……手がないわけではない。

 

 それは、意外性で攻めることだが………その程度は戦略にならないと、俺の体は腕をはじめに、胴、足とAICに捕まってしまった。

 

 押しても引いてもどうにも動かず、見えない腕に掴まれたようだ。

 

「開始直後の先制攻撃か?わかりやすいな」

「そりゃどうも。以心伝心で何よりだ」

「ならば……私がこのあと何をするかもわかるだろう」

 

 わかりたくはないが……この状況なら俺だってそうする。

 

 ラウラは肩に装備されたリボルバーカノンを俺に向けた。

 

 今回は前回みたいなカットはないが。

 

 

 だからと言って、ただただやられるわけじゃない。

 

「させないよ」

「……ちっ!」

 俺たちは決して1人じゃないのだから。

 

 シャルルが俺の頭の上を飛び越えて現れる。

 同時にアサルトカノン『ガルム』による爆発弾の射撃を浴びせた。

 

 肩のカノンの射撃をずらされ、俺への攻撃は外れる。

 

 そこに畳み掛けるように弾雨を浴びせかけるシャルルに、ラウラは急後退で間合いを取った。

 

 それを見たシャルルは、即座に銃身を正面に突き出した突撃体勢を取り、左手にアサルトライフルを呼び出す。

 

 光の糸が虚空で寄り集まり、1秒とかからずに銃を形成する。

 

 これこそが『高速切替』……シャルルの代名詞とも呼べる技能だ。 

 

「逃がさない!」

「私を忘れてもらっては困る」

 そうしてラウラを追撃していたシャルルの前に、ブーメランが戻ってきたのか、打鉄を纏った箒が現れた。

 

 防御肩ISである証明とも言うべきシールドを展開し、銃弾を弾きながらシャルルへと切り掛かる。

 

 ラウラへの追撃を阻止するべく現れたようだが……これを待っていた。

 

 

「シャルル!」

「うん!」

 

 俺はAICから解放されるや否や、シャルルの背中へと瞬時加速した。

 

 

 これは、決して当て逃げするわけじゃない。

 

 ぶつかる瞬間に、クルリとシャルルが宙返りして、お互いの場所を入れ替えた。

 

 ペアになった日から俺は、コンビネーションを鈴、セシリア、シャルルから教わり、それを今日までずっと練習していたのだ。

 

 ラウラの傲慢からくるチームワークを無視したワンマンや、流良のチームのように、個人戦の押し付けじゃない、俺たちのテーマである。

「……一夏!」

「俺も忘れられないようにしないといけないしな!」

 

 そうして今度は近接格闘機の俺と、訓練機の箒でのインファイトに持ち込んだ。

 

side流良

 

「成程…上手く性能差を押し付けられてるわね。

 単純な子と思っていたけど、案外やるじゃない」

「そうですね…流石に訓練機と近接専用機のパワー差は無視できない。

 そして、それをカウンターに使うほどの機転は、箒にはない」

「同級生に辛辣じゃないか?……まあ、後は連携のかみ合いが上手いな。あの金髪のお嬢ちゃんが……」

「ちょ、それは!」

 マリアさんに頷いていた僕は、ムウさんのいきなりの発言に慌てて待ったをかけた。

 と言うか、どうして話してもいないのにシャルルの正体を……?

「シャルルさんの性別の話は、ここではちょっと……」

「あ、そういえばそうだ。悪かったな……だが、あれで男は無理があるぜ?スーツで誤魔化してはいるが、どう見ても女の骨格だよ」

 マリアさんに嗜められているが、その表情は飄々としている。

 

 でも、教官をやっているだけあって、とんでもない観察眼と無神経ぶりだ。

 

……いや、後者はあるまじき要素じゃないか?

 

 そんなコントじみたことを考えている間にも、一夏が白式の高い加速性能とパワーにより、箒を壁側に追い込み…箒が焦れたように大きく刀を振り上げた瞬間。

 

「一夏!」

「おう!」

 真横にした雪片弍型で一夏は箒の一撃を受け止める。

 

 そこにすかさず、背中に控えていたシャルルが両脇からショットガンを打ち込もうとしていた。

 

 あれじゃあ刀を捨てようとしても、それよりトリガーを引く方が早い。

 

 箒の顔はきっと青ざめていることだろうと思いきや……

 

「邪魔だ」

 

 突然箒がアリーナ脇まで投げ飛ばされるように吹っ飛び、入れ替わりにラウラが急接近してきた。

 

 

「ボーデヴィッヒさんもコンビネーションを?」

「いえ、おそらく邪魔だからどかしただけですわね」

 

 鷹月さんにセシリアが訂正する通り、当人同士での合図もなかったようで、床に叩きつけられた箒は怒声を発していた。

 

 だが、ラウラはそれを気にも留めず、既に一夏達への攻撃を開始している。

 どうやら最初から箒を戦力に加算していないようだ。

 

 正直、あの二機なら打鉄が防御力を使ってタンクをやり、その隙をワイヤーブレードで闇討ちしていた方が、ラウラとしても助かるだろう。

 だが…それをしないあたり、むしろ一人で2人を叩き潰すことに固執していると感じた。

 

 そんなラウラはプラズマ手刀を展開しつつ、斬撃と突撃をまぜた、正確無比な攻撃を繰り出しながら、ワイヤーブレードでシャルルを牽制し、一夏とのコンビネーションを封じている。

 

「にしても、やっぱ化け物ね、あいつ……」

「おそらく、一年の専用機持ちだと最強格じゃないかな」

 鈴のぼやきに神戸先輩が頷く。

 

 その言葉にセシリアと共に鈴が何か言いたげだが……流石に、実際にやられていることを忘れたわけではないらしい。

 

「でも、あの2人はどうやら作戦を変えたようね」

「ええ…篠ノ之さんを先に倒す作戦に切り替えたわ」

 

 だが、ラウラのそれは一夏達の作戦に塩を贈る結果となったようで、シャルルの戦術「砂漠の逃げ水」により死に誘われた箒は、ISのシールドエネルギーを0にされていた。

 

‥‥まあ、あんな攻撃一辺倒だけでシャルルに勝てるなら苦労はしないよね。

 

side一夏

「お待たせ!」

 ラウラの猛攻を必死に耐えていた俺の耳にシャルルの声がした。

 

 オレンジ色の疾風にふさわしい早さで駆けつけてきた彼女は、俺を捕縛していたワイヤーブレードを切断して、俺の手を引いてUターンする。

 

「……訓練機とは言え、足止めにもならんとは!」

 ラウラは毒づきながら、シャルルの牽制射撃をかわしていた。

「箒は?」

「お休み中」

 

 視線を向けた先には、アリーナの隅で損傷し、シールドエネルギーを空にした打鉄で膝を突き、悔しがる姿があった。

 

「流石だな」

「その言葉は試合の後で、ね」

 

 アサルトライフルを捨てたシャルルは、ショットガンとマシンガンがそれぞれ形を成した。

 

 俺の方は、シールドエネルギーは半分。

 ISアーマーは3分の1持っていかれてるが……まあ、やるしかないな。

 

「それじゃあ…見せてやろうぜ。俺たちのコンビネーションをな」

 

 そうして、俺たちのとっての本番が、ようやくスタートした。

 

 

sideシャルル

「うおおおおっ!」

 僕達の作戦は、こうだ。

 

 一夏が零落白夜を発動させて突っ込めば、その威力を警戒せざるを得ない。

 

 そして、ボーデヴィッヒさんは一夏に並々ならぬ敵意を抱いているのも相まって……僕の方へ向ける意識は若干おざなりになる。

 

「触れれば一撃でシールドエネルギーを消し去るなら、当たらなければ良い話だ」

「一夏だけならね」

 この、2対1の状況で、A・I・Cを発動させようとするくらいには。

「ちっ、チョロチョロと小癪な!」

 そこに射撃を挟んで邪魔してあげれば、彼女はその発動を断念せざるを得ない上に、その間に動きを止めていた分、一夏の斬撃の回避に集中しないといけない。

 

「あの装置は集中してないと使えない」と、流良が対策を教えてくれたのだ。

「忘れたのか?俺たちは二人組なんだぜ?」

「数だけいたとて何も変わらん!お前の動きさえ止めてしまえば!」

 一夏がわざとらしく振り上げようとしたときに動きを止められる。

 

 今度は直線による突撃を選択した、一夏の体を対象に意識を集中させつつも、ワイヤーブレードによる僕への牽制も行ってきた。

 

 凄まじい技術なのは間違いないけど……流石に、よそ見しながらの攻撃でどうにかなる程、フランス代表候補生は甘くない。

 

「脇見運転事故の元、だよ!」

「くっ!」

 眼帯をしている左側に避けるついでに、近接武装である「ブレッドスライサー」とアサルトライフルに武器を切り替えながら高速で接近。

 

 すれ違いざまにリボルバーカノンを切り落としながら、射撃による追い討ちで、距離を再び取った。

 

「一夏!」

「おう!」

 そして……僕に意識を向ければ、今度は一夏の零落白夜が待っており、今度は横薙ぎの一撃を繰り出そうとしたが……

 

 

「なっ!ここに来てエネルギー切れかよ⁉︎」

 ボーデヴィッヒさんに必殺の一撃を与えるその直前で、その得物は輝きを失ってしまった。

 

「残念だったな、限界までシールドエネルギーを消費して仕舞えばもう戦えまい!」

 

 その、不運を好機と見たボーデヴィッヒさんは、やっと討ち取れると言わんばかりに、プラズマ手刀を展開。

 

 一夏へ必殺の一撃を見舞おうとした…‥ところで彼女の肩を叩く。

 

 

 なぜ、さっき距離を離した僕がもうそんな近くにいるのか?

 

 それは……まあ、たまにはアドリブをやってみるものということで。

 

「あの距離をいつの間に⁉︎」

「…瞬時加速か?」

「正解……どう?初めてにしては上手くいったんじゃない?」

「この場で覚えたと言うのか⁉︎」

 初めての瞬時加速は成功したようで、2人は驚きの声を上げるが……それだけじゃない。

 

「第二世代型の攻撃力でこのシュヴァルツェア・レーゲンを堕とす事など…」

「おしゃべりしてる余裕があるなんてね」

 僕は、流良からもらったハロを呼び出す。

「なんだこいつは」

「これ、読んでみて?」

 

 ボーデヴィッヒさんに、その口に挟んでいたメモを見せると同時に、一夏はそれを行動に移した。

 

「き、貴様‼︎」

 そのままに書いてある言葉は「はがいじめ」。

 日本の学校に転校してくる以上、日本語の読み書きは叩き込まれているのだ。

 彼女は突然の行動に驚き、それを振りほどこうとするが……もう遅い。

 

 その腹部に当てた左拳……その左腕に付けてあった、この装備の前では。

「これなら外さない」

 盾の装甲の中に隠してあった、リボルバーと杭が融合した、69口径パイルバンカー《灰色の鱗殻》(グレー・スケール)。

 

 単純な攻撃力なら第二世代型最強の威力を誇る、その武器はこう呼ばれた。

「『盾殺し』(シールド・ピアース)…⁉︎」

 それを理解して、青ざめるボーデヴィッヒさんだが……ここで見逃すには、彼女はやりすぎた。

 

 停止結界を発動させる間も許さず、その鉄杭の裁きを腹部に叩き込む。

 

 シールドエネルギーをごっそり削られ、相殺し切れなかった衝撃が、彼女の顔を苦悶に歪ませる。

 

 だが…これで終わりじゃない。

 

 リボルバー機構により、高速で次弾炸薬を装填するこの武器は…連射が可能なのだ。

 

 

 続けざまに3発を打ち込み、抑え込んでいた一夏が離れたのを確認してから僕も離脱して、距離を取る。

 

 ボーデヴィッヒさんのISに紫電が走り、強制解除の兆候を見せ始めた………その時。

 

 

 彼女の漆黒のISに、異変が起こった。

 

 

side一夏

「ああああああーッ⁉︎」

 

 突然、ラウラが身を裂かんばかりの絶叫を発する。

 

 それと同時にそのISから電撃が走ったかと思えば、そのISが変形していた。

 

 いや、変形なんて生やさしい言葉じゃ言い表せない。

「一体何が起こって……⁉︎」

「なっ、なんだよあれ……」

 俺もシャルルも目を疑う間にも、その変化は続く。

 

 装甲をかたどっていた線はぐにゃりと溶け、どろどろとしたものがラウラを包み込んでいく。

 

 基本的に、ISはパッケージ装備による多少の部分変化はあれども、基礎の形状が変化することはない。

 

 ないはずなのに……本来ならあり得ないことが、目の前で起こっていた。

 

 その、例えるなら小さい頃に作った粘土人形。

 

 ぐちゃぐちゃにしてから作り直すアレを連想させるその光景に、目を奪われている間に、それは更なる変化を遂げた。

 

 いきなり高速で全身を変化、整形されていったそれは、やがてある人型を作り出す。

 

 先日襲撃してきた無人機とは違い、人の形は残しているものの……その、マネキンのような姿はISと呼んでいいのか迷ったが、やがて完成した姿を見た俺は。

 

 

「織斑先生と暮桜に似てるような……って、ちょっと一夏⁉︎」

 シャルルの言葉に、何かが切れるような音がした。

 

「その姿を見せるんじゃねえ‼︎」

 その異形が持つ刀…雪片を継ぐ『雪片弍型』をその手に握りしめて。

 

 

 




いかがでしたか?
今回も新しいキャラの解説を挟みます。

ムウ・フラガラッハ
28歳
 マリアのパートナーにして、オーブ連合首長国における軍学校の教官を務める男性。
 言動が軽く、少々無神経なところはあるが、凄腕のMSパイロットでもあり、並のIS操縦者は相手にならないほどの技量を持つ。

元ネタはガンダムSEEDより「ムウ・ラ・フラガ」

MS(モビルスーツ)
作業用スーツの一種であり、現在国連が開発中のEOSと同様、ISの代用とするべく生み出されたもの。

 シールドエネルギーや絶対防御、P・I・Cは搭載されておらず、武装の収納や展開ができない為に総合力ではISには及ばない。
 しかしEOSのものと比べて小型ながら大容量のバッテリーの搭載や、AIによる稼働補助、風力や水力による小型の発電装置を搭載している事により、稼働時間と運動性、機動性が向上している。
 装甲は見た目こそフルフェイスだが、最低限の堅牢性を保持しつつ、運動性と機動性で回避する事を想定した軽量なものを採用している場合がほとんどである。
 さらには、男女問わず鍛えれば使用可能な上に、人の代わりにフレームを搭載する事で無人機としても運用可能と言う、ISにはない方面での汎用性があり、ISの保有数が少ない国ではMSの配備が進んでいる。
 しかし、女権団体からは男の立場を向上させる一端となり、女性の優位性を崩しかねないとして目の敵にされている。

尚、厳密に言うとM1アストレイ、シグーはこのMSの発展型にあたり、これにISコアを搭載する事でISとしても扱えるようになる。フルスキンという特異性はその名残という面もある。
 一応、このMSはのちの展開に出てくるものですが、単語として先に出しておきたかったので、今回解説させていただきました。

 あと、実は今回はいつもの1.5倍くらいの文章量ですが、今後もこれくらいでいいのか、いつもの5000字くらいのほうがいいのかをお聞かせ願えるとありがたいです。
 その他、感想や評価もお待ちしています。

 それでは、次回はラウラ戦の後半となりますので、お楽しみに!
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