IS+1(インフィニット・ストラトス・プラスワン) 作:暇人の鑑
レジェンドのメタロボ化がついに決定ですよ!
この流れでセイバー来ないかなと思っております。
ちなみに今、この作品でデスティニー出そうかな?と迷っているところです。
「そんな……私は……」
一夏さんの言葉に狼狽えた箒さんが、取り落とした刀が消えた。
「おい、急に刀が消えたぞ⁉︎」
エルネマンさんの声を聞くまでもなく、その状態に私は血の気がひく。
「具現維持限界(リミット・ダウン)ですよディアスカ!」
「アレだけの出力を垂れ流せば当然ですわ!」
紅椿の性能は確かに圧倒的だ。
しかし……エネルギーの減りが早い高速戦闘を行いながら、アレほどの高エネルギーの武装を頻発すれば、自然と枯渇も早くなる。
そうして使い切ってしまうと、武装などが具現化を維持できずに消えていってしまうのだ。
しかも、絶対防御のないISなど、あまりに脆い。
つまり、今の彼女は丸裸も同然ということであり、そう言う時に限って相手は最悪の行動をとるものだ。
その翼の砲門の全てを箒さんに向け、光の礫を放ったその時。
「箒ぃいいいいい‼︎」
福音と箒さんの間に、白い影が割り込んだ。
「ぐああああっ‼︎」
「………一夏さん⁉︎」
side一夏
刀を捨て、最後のエネルギー全てを使っての瞬時加速をした俺は、視線の先を目指す。
スローモーションの世界が見せたのは、一斉射撃モードに入った福音が、箒に照準を絞る姿。
次の瞬間………福音と箒の間に入った俺は、咄嗟に庇うように、箒を抱きしめ。
爆発する光弾が、一斉に背中に降り注いだ。
エネルギーシールドでも相殺しきれない程の衝撃が、何十発と続き。
ミシミシと骨があげる軋みが聞こえると共に、破壊されたアーマー。
悲鳴を上げる筋肉に、肌を焼く熱波。気が狂いそうなほどの激痛が無限のように続く中、俺は一度だけ箒を見た。
「一夏……一夏?………一夏ぁ⁉︎」
何を泣きそうな顔をしてるのだろう。
有頂天になったり、凹んだり……今日のこいつは百面相でも目指してるんだろうか。
そんな思考の中……グラリと世界が傾くような感覚ののち、大きな水音が轟き、全身を衝撃が駆け巡る。
どうやら、海に落ちたらしい。
ゆらゆらと揺れる海面越しに映る、福音の姿を目にしたのを最後に、俺は意識を失った。
sideアスラ
「ディンはこれで全部か?」
「そうだな…後はあのグーン一機だけだ」
アイザックと共にディンを全て破壊した俺は、グーンにライフルを打ちかけながらも、解せないものを抱えていた。
「にしてもあのマークは「深海の鯱」……?何で国際的な海賊がこんな所に?」
そう、ただの脱走騒ぎにしてはやってくる敵の数が多すぎるのだ。
しかも、旅館にはISの展開を封じるウイルスをばら撒いてあったらしい。
「ひょっとして、裏で糸を引いてるやつが…?」
「流石の分析じゃないか?アスラ」
そこまで考えた時、敵の接近のアラームと時を同じくして、聞き覚えのある声がした。
同時にやってきたISは、さながらジンの上位機種といった形だが……その人物が誰かを理解した瞬間、俺とアイザックは自然とこわばってしまう。
「クルーシヴル隊長……?」
「何故ここに……!」
その名はリディク・ル・クルーシヴル。
ザラン隊の前身である「クルーシヴル隊」の隊長であり、俺たちの上官だった男だ。
そんな彼が、見たことのないISに乗ってきたことに驚きを隠せずにいると、彼はライフルを構え。
「よしたまえ。君たちはもう部下ではないよ」
「な、何を……!」
海中から浮上したグーンを、徹甲弾で撃ち抜いた。
「さあ、どうなるのか楽しみだ」
その言葉に、猛烈に嫌な予感を刻んで。
sideリディク
「………ほう?」
「だから、箒ちゃんのお披露目を邪魔されないためにも………いい機会だから、きらくんを殺して欲しいんだよね」
これは数日前の出来事である。
「何故私に?そちらほどの技術力なら簡単でしょう」
突如私の元を訪れた「篠ノ之束」からの依頼に、私は奇妙な運命じみたものを感じていた。
「まあ、そうだけど?数揃えるのがめんどいし、むしろ私よりそっちの方が因縁ありそうじゃん?」
「……どこまでお知りに?」
「この束さんの勘なのだ、ぶいっ!」
と、Vサインを見せてきたが、その顔に映るのは張り付けたような笑顔と、隠しきれない狂気。
「……どうやらよほど怖がりなようで」
「んー、正直いっくんはまだいいよ?でも、きらくんはねぇ……」
まるで、子供のように無邪気に。
いかにして邪魔なのかを語る彼女を前にして……名状し難い何かと会話しているような薄気味悪さを覚えつつ、その申し出を引き受けていまに至る。
だが……もちろん全てに従ってやる気は毛頭ない。
「これは実戦だ。試合やシュミレーションとは違う……。
死者が出ても、不思議ではあるまいな?」
まだ、その舞台の準備ができていなければ。
そこで踊る役者の準備も整っていないからだ。
side流良
グーンとの戦闘中に現れた、ずんぐりとした面持ちの機体「ゾノ」との戦いにおいて。
僕は先にもまして劣勢を強いられていた。
グーンに勝るとも劣らないスピードで、自由に潜航するゾノに対して…こちらは水中で使えても、適している武器は持っていない。
近接戦闘用のソードストライカーであるが故、何とか接近したいが…
機体に取りつこうと発射したロケットアンカー「パンツァーアイゼン」は,あっさりと鉤爪で払い落とされてしまう。
みるみるうちに眼前に迫ってきたゾノに弾き飛ばされた僕は、海底の岩棚に叩きつけられた。
「ぐうっ……何でパワーなんだ!」
グーンと比べてだいぶ鈍重そうな見た目だが、それがほぼ同じスピードで飛んでくるということは……相当な推力をしているのだろう。
あまりの衝撃に気絶しかけるが、何とか持ち直して呻く。
だが……持ち直す余裕を相手が与えてくれるわけもなく、撃ち込まれた魚雷をかろうじて避ける。
その動きによってできた隙をつくように、そのまま突進してこようとしたゾノだったが。
「隊長!クルーシヴルg」
「ハンス⁉︎どうした、アイツが何か……」
その時,海面で爆発が起こった。
sideアスラ
クルーシヴル隊長がグーンを撃墜してから少しして。
海中で何かが爆発したらしく、巨大な水柱が上がった。
「フン………これで,邪魔は消えたな」
「………一体,何を」
「彼に死なれると私も困るのでね」
かつて自分達の上官だった時にも聞いた声だが…‥今の彼からは、奇妙な薄ら寒さを感じる。
「それでは失礼するよ。君たちも,私に構っていられる状況ではあるまい?」
そして……霧散するように消えていく姿を、俺たちは見送ることしかできなかった。
確かに作戦は失敗し、織斑が負傷している上に,みんなも消耗している。
密漁船の拿捕もあるし……全く浮上してこない流良も心配だ。
状況としては言う通りだが……何と言うか,モヤみたいな気持ち悪さを拭うことはできずにいた。
side流良
「そこだ!」
ゾノが動きを止めた隙に、懐に飛び込んだ僕は対艦刀を突き出した。
その切っ先はゾノの機体に突き刺さったが……寸前でぎりぎりかわされたのか,致命傷には至ってないようだ。
だが……それでいい。
「もうその機体で無茶はできないはずだ!このまま引いてくれ!」
ここは命の保証もなく、また,命のやりとりをしなくちゃいけない戦場だと言うのはわかってる。
わかってるが…それでも,殺したくなんてない。
頼む,このまま……!
そんな,僕の祈りは現実の前に打ち砕かれる。
「こうなれば貴様を道連れに……仲間達への手向けにしてくれるわ‼︎」
ゾノの鉤爪がストライクの頭部を掴み、僕は再び海底に叩きつけられたのだ。
「くそ、こんな至近距離じゃそっちも……」
無事では済まないと言おうとした時、通信から男の顔が映り込む。
「それがどうした!バラバラにしてくれると言ったろうが!」
「ばかやろう、なんで……!」
死なば諸共と言わんばかりの搭乗者に、悪態をつくが。
ゾノの掌から照準のレーザーが緑に光るのを間近で見せられ,それ以上の言葉も失う。
いくら絶対防御があるとは言っても、あんなのを喰らえばひとたまりもない。
そんなどうしようもない状況に、僕は。
「何でこうなるんだよ⁉︎」
覚悟を決めるしかなかった。
咄嗟にアーマーシュナイダーを展開し、それを敵機に突き立てる。
装甲を貫く感触のすぐ後、肉をえぐるような感触が伝わる。
「なんで……こんなことに……」
「ば、ばか……なぁ……⁉︎」
男のしていたヘルメットの中が、赤く染まっていき……その顔は悔恨と憤怒から、段々と表情を失っていく。
致命傷を受けた機体も、滲むような光芒を漏らし、モノアイは光を失った。
「くっ………!」
海底に押し込んでいた腕から力が抜けたのと同時,ゾノの首周りのチューブを掴む。
そのまま腹部を蹴り上げ、巴投げの要領で機体を岩棚の向こうに放り出す。
一拍おいて、岩の影で爆発が起こり,濁った水流が機体の破片を押し流していくが………その中に紛れた赤い液体や、人だったものの破片が機体にへばりつく。
それが伝えることはただ一つ。
越えてはならない一線を越え、取り返しのつかないことをしてしまったことだけだ。
「僕は……」
どんなものであれ、一つの人格を持った命をこの手で奪ってしまった。
「……殺したくなんてないのにぃいいいい⁉︎」
そんな事実を前に僕は……溢れる感情のまま叫んだ。
sideシャルロット
「僕は………殺したくなんてないのにぃいいぃ⁉︎」
これ以上は見るに堪えないと、鈴が目を背けた。
ラウラもまた、その慟哭を前にして、目を見開いたまま動かない。
そして僕もまた、言葉を失っていた。
彼らが今いる場所は、学園じゃない。
試合のアリーナでもなく……実戦であり、戦場だ。
代表候補生として、人を殺すことになる覚悟を背負い、そのための訓練も重ねてきた僕たちでさえも、実際に殺したことなんてない。
そんな僕たちの前で、平穏な日常から巻き込まれただけで、命のやりとりをする覚悟なんてない民間人が、テロリストとはいえ……人の命を奪ったのだ。
その衝撃は計り知れない。
「お、織斑先生……密漁船の乗組員の引き渡し場所のデータが届きました…後,ウイルスはどうやら消滅したみたいです」
地獄ような空気の中,山田先生が受け取った電文を報告する。
「ご苦労……オルコットと篠ノ之は織斑を連れて帰還。
ダコスとバルフェは帰還し次第詳しい状況の報告を頼む。
他は指定した教員の監督のもと、密漁船をデータの場所まで護送しろ」
それを受けた織斑先生が指示を出していくが……その拳は血が出るほどに強く握り締められていた。
「実戦下かつ、相手はテロリスト。だが……」
まるで,自分の不甲斐なさに打ち震えるように………。
sideアスラ
「ほら!さっさと護送車に乗れこの犯罪者が!」
「深海の鯱の他メンバーかよ……こりゃあクルーシヴル隊長の捨て駒みてえだな」
アイザックが乗組員を護送車に押し込み,ディアスカはデータを閲覧している。
警察が密漁船を検問しているすぐそば、護送任務に向けて準備していた俺は。
「流良……大丈夫か?」
「うん……ごめん………」
心ここに在らず,と言った感じの流良を休ませていた。
まあ,無理もない。
軍人の俺たちとは違い、人を殺す覚悟も訓練もしていないただの学生だ。
初めて人を撃った時のあの震えなんて、味わっていいものじゃないし、ましてや慣れてもいけないのだ。
親友に人殺しの咎を背負わせてしまった事への不甲斐なさを募らせていると,ニコラス達が駆け寄ってきたので、少し離れたところで彼の話を聞く事にした。
「動くのか?」
「手続きが終わったので、彼を花月荘に連れていくそうです。僕らはそのまま護送任務について欲しいとのことですね」
「わかった。なら,3人は機体の準備を始めてくれ」
「ふん、やっとか」
「まあいいじゃねえの!さっさと終わらせようぜ」
そうして、俺もISを展開させようとした時。
敵の接近を知らせるアラームが,鳴り響いた。
「反応は………銀の福音⁉︎」
はい、いかがでしたか?
解説を挟ませていただきます。
ゾノ
武装
フォノンメーザー砲
魚雷
クローアーム
詳細
モルコ・マラシムが登場した水中用MS。水中下での運用を前提としたグーンと比べ,陸上や海底での近接戦闘も視野に入れている他、指揮官機としての側面が強い。
その為内部に人の搭乗を前提としていることから,人間と同じくらいのサイズであるグーンと比べて巨大化している。
今回の流良の殺人に関しては、求めていた力に浮かされた箒と、求めてもない力を押し付けられたまま、戻れないところまで来てしまった流良との対比の意味も込めてます。
次回は福音とのラストバトルまで行けたらなと思っておりますので,よろしくお願いします。