IS+1(インフィニット・ストラトス・プラスワン) 作:暇人の鑑
スパロボDDの戦闘ムービーが、色々参考になって助かってます。
「な……輝戸⁉︎」
「流良!何よその機体……⁉︎」
突然空から舞い降りた白いIS。
そこから聞こえてきた声に,誰もが耳を疑っていた。
それはそうだろう。
つい数週間前に行方不明になった奴が、こんな形で帰ってきたら……
「お前…‥どうして⁉︎」
「話は後で…‥今は!」
以前とは明らかに違う、落ち着きを纏った声が俺を遮り、翼と腰から4本の砲身が現れ………一斉に火を吹いた。
矢継ぎ早に放たれる攻撃に、ダガーは次々と落とされていくが……それだけの攻撃をしても、機体に一切の消耗は見受けられなかった。
すべての砲撃を過たず当てる能力よりも,その値の知れなさに困惑する。
「……福音以上のバケモンだな、こいつは……」
接近戦用の機体に仕込むものじゃ無いと改めて理解している俺の前で、流良は次々と敵を撃ち落としていった。
side流良
「よくも僕の邪魔をしてくれたな!」
ミハエルが顔を真っ赤にして迫ってくるのを見て、迎撃の構えを取る。
そうして交差しようと言う時に……向こうはマントを投げつけてきた。
「目眩しか……!」
「僕の攻撃で死ね,小僧‼︎」
おそらく,そのマントに視界を奪われている隙に不意打ちしようと言う魂胆だろうが……トーナメントでやった砂埃の巻き上げみたいなものだ。
後ろにバックステップをすると、案の定元いた場所に斬撃が飛んできた。
切り取られた手首に予備のサーベルを付けた,フック船長のような出立ちで、即座にライフルで追撃してくる。
流石に、女憎しでここまできただけあって強さはあるみたいだけど……彼がシャルロットにしたことは許されていいことじゃなかった。
「そっちこそ、親を失って悲しんでた彼女をレイプしようだなんて……!大人のやることか⁉︎」
そのせいで心を失っていた彼女の、諦めを込めた乾いた笑いが甦った。
「妾のガキをデュノアとして迎えようとしてやったんだ!なのにそれを拒んで,挙句あの男に媚を売った……とんだアバズレだ!僕はあのクソ女狐に嵌められたんだ!」
もはや,幼稚な八つ当たりを吐き散らかし、開き直るミハエルに、殺意すら覚えるが……手を下すのは僕じゃない。
「でも、今はおかげでいい気分だ……AISFはメスどもを好きにしていいんだからね!アレに似た子を相手にした時はもう……!このスーツのデータ元……このISの元操縦者も、今や毎日団員の便器さ!」
司法のもとできっちりと裁かれるべきであり、僕ができることは……。
「言いたいことはそれだけか!」
その逃げ足をなくすことくらいだ。
「新しいおもちゃをもらったからってカッコつけてると,痛い目見るぞ!」
ビームサーベルを抜いて迫った僕に、電撃鞭を飛ばしてくるが……。
「シールドを囮に⁉︎」
シールドが弾き飛ばされたフリをして懐に飛び込み、左に通り過ぎる際に一撃を叩き込み。
「この……!」
振り返りながらもう一撃を加え、空いた左手で逆刃に抜刀したサーベルで、さらにまた一閃。
「なっ……ぐっ………⁉︎」
「この世界の誰だって……貴方のおもちゃなんかじゃないんだ!」
いきなりの連撃に戸惑いながら、こちらに振り向いたミハエルを。
「これで終わらせる……!」
雪崩のような連撃を食らわせ、そのISの至る所を破壊し尽くした。
「こんなはずじゃぁぁあ⁉︎」
負け惜しみのような言葉は,墜落音にかき消され爆煙が舞う。
それが晴れた時には………ミハエルは完全に気絶していた。
「最終保護機構……目が覚めた時には独房の天井だろうね」
ISが致命的なダメージを負った時、操縦者の意識ごと失ってしまう機能……ISの甘い汁だけ啜ろうとしたって,そうはいかないと言うことだ。
side一夏
「なんとかなったな……」
「ええ……」
ようやく戦いが終わり、地面に降り立つと湿った潮風が肌にまとわりついた。
げんなりとして返事をした鈴は、警察に担がれて運ばれる下衆野郎を見送るが……すぐに視線を上に向ける。
「アイツ……なぜ,降りてこないんだ?」
箒の言う通り、流良はこちらに降りてこない。
声は間違いなくアイツのものだったし,偽物ということはないと思うんだが………。
その行動に顔を見合わせていた俺達だが、司令室にいた千冬姉が。
「……着陸許可だと?MIAになっていたとは言え、お前はウチの生徒だ,何を回りくどいことを言ってる」
「それでも…今のこの機体には必要なものですから」
「曰く付きか……わかった。許可してやるから降りてこい」
着陸許可を出したことで、ようやく地表に降り立った。
ISの展開が解除され、中からは赤いパイロットスーツの人影が姿を表す。
そして,ヘルメットを外すと………。
「男子三日会わざれば刮目して見よ,とは言うが……」
「何があったんだ?あいつ……」
俺たちが知っている流良の顔だが、その雰囲気はそれまでと何かが違っていた。
少しの戸惑いを覚えながら,以前よりも心なしが落ち着いた足取りで歩み寄ってくる。
そうして、穏やかな笑みを讃えた流良が俺たちの前に立って。
「みんな……間に合ってよかった」
ぎこちなく微笑みかけた瞬間、いろんなものが込み上げて。
「馬鹿野郎、心配させやがって……!」
俺が思わず声を上げた瞬間、箒と鈴も「よく生きてた」だの「遅いわよ」だのともみくちゃにする。
「うん、もっと早く行けたらよかったんだけど…」
そんなふうに謝っていた流良は、後ろでタオルに体をくるんだシャルロットに視線を向け。
「ゴメン。辛い目に合わせちゃって」
「……ううん、流良こそ無事でよかった…」
感極まったように顔を覆うシャルロットと、それを噛み締めるようにする流良。
そんな、2人にしかない何かを分かち合っているのを感じていると、千冬姉がやってきた。
「……それで,わざわざ着陸許可を求めたのはどう言うことだ?」
side流良
当然と言えば当然の質問に、僕はみんなの顔を見渡し……ひとつ,覚悟を決める。
「あの機体……フリーダムにはエターナルサイクラーが搭載されています」
「……確か、人類初の永久機関って言われてた代物だな」
織斑先生の言葉にまわりがどよめくが、構わず頷く。
「ええ……沈黙を破った山野順一郎博士が、ターミナルで作ったのがこの機体です。
そして、僕にはこれを託された責任がある」
この人たちを信頼してないわけじゃない。
だが………このあまりにも大きな力を持った以上、易々と他人を信じるわけにもいかない。
期待と恐怖,その両極の思いを顔に浮かべる面々にむけて。
「データを取りたいとおっしゃるなら、お断りして僕はここを離れます」
そして、一息つき。
「奪おうと言うのなら,敵対してでも守りますし……何かに利用しようと言うなら,僕が討ちます」
あえてキッパリと、釘を刺すように告げた。
いや,むしろこれは自分の覚悟を決めるための言葉なのかもしれない。
戦いの連鎖に身を投じ、世界を変えてしまうほどの力を持ちうるこの機体を持った者として、立場をはっきりさせておきたかったんだと思う。
そうしてしばらくの沈黙の後。
「……後で専用機の登録手続きの書類を用意してやる。
それに適当に書いて出しておけ」
頭痛を堪えるような顔をしながら、織斑先生は悪い笑顔を浮かべていた。
「お前達も……それでいいな?」
その振りに,周りにいた面々も頷く。
「………ありがとうございます」
その言葉に,やっと「ただいま」を言えたような気分になった。
side千冬
「………随分と変わったな」
輝戸の瞳の奥にあった底冷えするような何かを前に,私は複雑な気分だった。
無事に帰ってきたことは教師として喜ばしいし、戦力が増えるのは学園としてもありがたい。
だが……これでアイツは、戦場に立ち続けるしかない。
ただの一般人として生きていける最後のチャンスを失ったことになる。
尤も、デュノア社に喧嘩を売り、人の命を奪った時点でそんなものはとうにないのかもしれないが……。それでも、普通の人生を歩むことはできないのだ。
「何をしてるんだろうな…私たちは」
やりきれない思いを胸に、私はグラスを煽った。
side流良
学園に戻ってきた最初の夜。
「ゴメン,母さん……さよならも告げずに」
「事情はアスラくんから聞いたわ…私たちも日本に戻るから,心配しないで」
「うん…」
整備室でフリーダムを専用機とするための登録書類を書きながら、僕は母さん達と通話していた。
バタバタとしていて一報入れられなかったのが気残りではあったのだ。
「じゃあ,今度そっちにまた戻るよ」
「ええ。後……忘れないで。貴方が帰ってくる場所は、私たちと共にいた日常なんだから」
「うん…ありがとう」
確かに、入学してから一度も帰ってなかったし、もう帰って合わせる顔もないと思っていた面もあったが……いらない心配だったようだ。
「さて、フリーダムの出力を試合で使用できる火力までリミッターをつけないと…」
電話を切った僕は、十字架に磔にされた天使のペンダント……フリーダムの待機状態をコードに繋げ、キーボードを叩く。
今のままでは授業や試合で使える火力を大幅に超えてしまうため、その時用のリミッターを作る必要があったのだ。
「まあ、それでもビームやPS装甲は無制限だから、あんま変わらないのかもしれないかも」
改めてとんでもない機体を授かったものだと戦慄していると、ドアがノックされる。
「先生かな?流石に夏休みと言えど門限はあるか……」
まだ完了してないが、仕方ないと区切りをつけてドアを開けると。
「流良……ここにいたんだ」
トリィを肩に乗せたシャルロットが、ホッとしたような顔を見せていた。
sideシャルロット
整備室から出た僕たちは,星空の下を並んで歩く。
「よかった……またいなくなっちゃったのかと」
「流石に即日で離れることになるのは嫌だよ…」
戻ってきたのが実は夢なんじゃないかと、少し不安だった僕は隣から聞こえる息遣いに今度こそ安心していた。
「それにしても……ゴメン。もう少し早ければあんなことにはならなかったのに」
ズタズタに裂かれたISスーツを思い出したのか,少し表情を翳らせながら謝る流良に首を張り。
「確かに怖かったけど………君が助けに来てくれたのを見て,それ以上に安心したんだよ?」
伝えられなくなるかもしれなかったこともあって、前よりもはっきりと伝える。
「そっか……なら、よかった」
すると、前よりも少し大人びたような笑みを浮かべて応えた流良。
(な、なんだかドキドキしちゃう……)
満天の星空の下、2人で並んで歩く……なんか,ロマンチックだけど、どうしても聞きたかったことがある。
「ねえ、流良……なんで、ここまで戻ってきたの?」
その問いに、流良の表情が少し固まった。
side流良
「タッグマッチトーナメントの時、僕があんなことしたせいで……ずっと、苦しかったでしょ?」
「いや、そんな……」
ついにこの時が来たと、僕は否応がなく緊張するが……目の前の彼女は,泣きそうだった。
「やりたくもない戦いばっかりして……その手を血で染めて。
そんな辛いことばっかりで……そのままなら、そんな地獄から解放されてたんだよ?」
それを見て,自分がやったことの重さを思い知る。
自分がやらなきゃと抱え込んで,辛いのは自分だけだと思っていた。
でも……違った。
シャルロットもまた,そんな僕を見てずっと苦しんでいた事なんて,知ろうともしなかった。
もっとこうして話すことができていればよかったと思うけど、取り戻すことはできない。
なら,僕にできることは……。
「戦いたくなんてないのは今も同じさ」
その言葉に、ならどうしてと言う目を向けるシャルロットを抱き寄せる。
「でも……戦わなきゃ守れないものがここにあって、それを守りたかった。
だから戻ってきたんだ……もっとも、君は僕より強いのかも知れないけどね」
目を丸くしたシャルロットは、赤い顔で目を逸らす。
「そ、そんなことないよ……?今も、こうして疑って…」
そんな彼女がふと愛しくなって、寄せていた体を抱きしめた。
「僕も同じだよ。あの時の僕は独りよがりで,君がどんな気持ちかだったかなんて……考えてなかった。本当にごめん」
まるで、安っぽい恋愛ドラマのようだが………それでも、ありがとうとごめんなさいを伝えたかった。
らしくないことばっかりして、引かれたりしないか心配だったが………。
「………うん。僕こそ、ごめんね」
おずおずと伸ばした腕が、やがてゆっくりと僕を包む。
そんな抱擁は、しばらくの間続いた。
まるで、本当の意味での再会の喜びを分かち合うように。
お互いのすれ違いを、少しでもなくせるようにと。
sideシャルロット
「夏休み……どこか行く予定とかある?」
流良の体温がまだどこか残っているような感じがしているが、なんだか満たされたような気分でいた僕は、ベンチに並んで腰掛けていた。
「とりあえず、いなかった分の補習とテストやって、あとは実家に帰るくらいかな…」
「そっか……僕も、一回本国に戻ろうと思うんだ」
その言葉に、流良が顔をこわばらせる。
「え?でも……大丈夫?デュノアの親族から」
「社長……いや、お父さんと話してね。何かしようものなら、流良や一夏……箒に鈴やセシリアも敵に回すぞって、親族に圧をかけたみたい」「そっか……それは、よかったのかな?」
なんとも微妙な表情を見せる流良に。
「……で、折角だからお母さんのお墓参りに行こうかなって」
「………そうか、行けるわけなかったもんね。いいんじゃないかな?」
同情の目を向けてくる流良だが……どこか他人事である。
むしろ,本題はここからなのに。
「でも、女の子1人だと怖いから…‥付き合ってくれない?」
「え?でも……体術とかの成績は僕よりも上でしょ」
………どうしてこう言うことには天然なんだろう,この子は。
「身体じゃなくて、その……気持ちの問題でね?」
「エスコート的な奴?」
「それもそうだけど……その、これから先も!」
「………これって僕、旅行に誘われてる?それとも告白されてる?」
「え?あ………両方ともじゃ、だめかな?」
なんだかムードもへったくれもないが……お互いこの方が伝えやすいような気がする。
「僕……流良のこと好きだよ?あの時のアレだって、そうだからああしたのに」
「え〜……まあ、僕も似たようなものだから戻ってきたけど、そこは僕から言いたかったなぁ…」
「なら,いいじゃない。それとも……僕と付き合うの、イヤ?」
「そんな訳……」
おそらく、お互い顔は真っ赤だろう。
でも……お互い、これくらい強くいかないとダメなんだ。
そして,流良は腹を括ったように。
「ないよ。僕もシャルロットのことが好きだよ!」
「………なら、決まりだね」
「……あれ、誘導された?」
なんだか最後まで締まらなかったけど……こうして、僕たちの関係のずれはなんとか直り、そのまた先へと歩き出した。
「僕も嬉しいよ」
「……やっぱり、シャルロットには敵わないや」
いかがでしたか?
今回はいよいよ新主人公機の紹介ですね。
フリーダム
型式 ZGPS‐X10E
所属 日本(ターミナル所属だが名目上)
分類 万能型対多数殲滅機
世代 第3世代
装甲 相転移装甲(PS装甲)
武装
・ビームライフル「ルプス」
・ビームサーベル「ラケルタ」×2
・アンチビームラミネートシールド
・マルチロックシステム
・水風力発電ジェネレーターx1
・循環型水風力駆動推進装置
・大容量小型コンデンサー×1
・腰部展開式レール電磁砲「クスィフィアス」×2
・頭部近接機関砲「ピクウス」
・背部展開式プラズマ収束ビーム砲「バラエーナ」×2
備考
・エターナルサイクラー
・背部展開式ウイングスラスター
・IS化
・高速軌道形態「ハイマットモード」
・砲撃形態「フルバーストモード」
解説
輝戸流良が受領したMSであり、コアを搭載すればISとしても使用可能。
基本兵装はライフル,シールド、サーベルとシンプルだが全てがストライクのそれを大きく上回る火力と防御力を持つ。さらに、バラエーナの威力はランチャーストライクのアグニと、クスィフィアスは収納時はサイドバインダーとして使用可能かつ、展開時はIWSPのレールガンとほとんど同じ威力となっており、これらの両立にはエターナルサイクラーの無限のエネルギーが必要不可欠となる。
モルゲンレーテが開発に協力しており、PS装甲や小型のビーム兵器など、Xナンバーズに搭載されていた基本機能が全て搭載されている。
また、マルチロックシステムを搭載していることで、フルバーストモード時の射撃の命中率を底上げしている。
エターナルサイクラーにより、火力と機動性と稼働時間の制限をクリアした正に「自由」な機体だが、裏を返せばエターナルサイクラーなしでは到底成り立たないロマン全振りということでもあり、堅実な武装で固めたジャスティスと比べると、エターナルサイクラーへの依存度は高い。
背部展開先ウイングスラスター
バックパックの両側についている巨大なユニットであり、計10枚の羽とバラエーナで構成されている。
その翼全てにスラスターがついており、それを広げた「ハイマットモード」では、多次元的な軌道が可能となる。
さながら、天使の羽の如く圧倒的な空中戦能力を機体に与える。
エターナルサイクラー
解説
人類初の永久機関とその構想。
ISを軍事転用した世界を見て世界へ与える悪影響が大きすぎると判断され、長らく日の目を見ることはなかったが、「争いを終わらせるための抑止力」として開発されたフリーダムとジャスティスの開発理念に対する挑戦として,搭載を許可した。
搭載機に与える恩恵としては、ビーム兵器の無制限の使用や、PS装甲の時間的制限の消失。半永久的な稼働時間など様々である。
いかがでしたか?
次回は少し夏休み編と言うことで平和な回にしていこうかな?と思います。それではお楽しみに!