IS+1(インフィニット・ストラトス・プラスワン)   作:暇人の鑑

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戦闘回ですね。
楽しんでいただければ幸いです。


第4話 雨流れて恋始まる?

 オルコットの名を保ち、イギリスの国家代表候補生として、専用機を纏って今ここに立つまでに、どれだけのことが起こったのだろう。

 

 強く、厳しく、美しく。

 いくつもの会社を経営し、成功を収めていて…憧れだった母。

 

 名家に婿入りして、母に引け目を多く感じていたのだろうか、いつも顔色を窺っていた父。

 

 そんな2人が3年前の電車の事故で帰らぬ人となってから…私は、ただの貴族令嬢ではいられなくなった。

 

 手元に残った莫大な遺産を、金の亡者から守る為にあらゆる勉強をして、その一環で受けたIS適正テストでA+が出た。政府から国籍保持の為に様々な好条件が出され……即決した。

 

 両親の遺産を……良くも悪くもたくさんあった、思い出を守る為に。

 

 

 それを、「没落貴族」?「国家の狗に成り下がった」?

 

 確かに、その前に言いすぎたのが元々の原因なのはわかっている。

 

 だが……あの日の喪失感と、それからの疑心暗鬼の毎日全てを嘲笑するようなあの言葉だけは、どうしても許せなかった。

 

 

 でも、私は国家代表候補生で、貴族だ。

 

 たとえどれだけ、目の前の男が憎くても、まずは謝罪する機会を与えよう。

 

 

 きっと母ならそうした………と、思ったのも束の間。

 

「食らえ!」

「なっ⁉︎」

 こちらにやってくるや否や、腰だめに構えた砲を発射した。

 

 

side流良

「卑怯者!これは決闘だと」

「何が決闘だ、ただの初心者狩りの癖に!」

 アグニの一撃を避け、体勢を整えようとするセシリアに、そうはさせまいと立て続けに肩のガトリングを発射する。

 

 確かに、こういった場合は名乗りをあげたりするものだろうが……僕とセシリアの実力差は圧倒的にこっちが下。

 

 しかも、機体相性も圧倒的にあっちが有利で……どう考えてもワンサイドゲーム。

 勝ち筋なんて奇襲からのゴリ押しくらいしかないし、おしゃべりに付き合う意味もない。

 

「大体、もう試合は始まってたんだ、騎士ごっこなんかに付き合う訳ないじゃないか!」

 

 おまけにと、ガンランチャーからミサイルを発射するが、それが着弾するより前に、セシリアは大きくジャンプして。

 

「言わせておけば……!」

 

 怒りの声と共に、展開していたフィン状のパーツを切り離し、こちらに飛ばしてきた。

 

「もう許しませんわよ!

 

 さあ、踊りなさい……私と、ブルーティアーズの奏でるワルツで!」

 

 

 その言葉と共に、四方八方と絶え間なくビームの雨が降り注いだ。

 

 

 

 時折掠りながらも、必死に避け続けるが…攻撃に移ることができずにいた。

「くっ、弾を撃つ隙がない…ウワッ!」

「そんな慈悲などありませんわ!あんなにバカにされたのは生まれて初めてですの!」

 掠ったビームでシールドエネルギーを削られたのを見てか、セシリアはここぞと言わんばかりに弾雨のような射撃を続ける。

 

 これがイギリスのBT兵器の特徴だ。

 一機で多数を相手取ることができる自立機動兵器……ISの持つ制圧力を生かしたものと言えるだろう。

 

 

 だが……気のせいだろうか。

 

 さっきから飛んでくる射撃は、全部あのビット兵器からのものな気がする。

 

 しかも、セシリアはスナイパーライフルの狙撃姿勢すら取ってないのだ。

 

 あれも使えば、さらにこっちは避けにくくなるのに……。

 

 もしや、あの2つは併用ができないのか?

 

 

「さあ、今やあなたはカゴの中の鳥……!もう参ったと許しを乞えばいかがですか?」

 嗜虐心でも煽られたのか、SMクラブのお嬢様みたいな事を言い出すセシリア。

 

 さっきの推測に確証なんてないが……これ以上はシールドエネルギーが持たない。

 

 

 ここは、賭けに出るしかない!

 

 そうして僕は……あえて、スラスターの噴射を止めた。

 

 

sideセシリア

 

「なっ⁉︎」

 

 突然地上に急降下したストライクに目を向いた私が、慌ててスナイパーライフルを向け……

 

「行け!」

「しまった⁉︎」

 こちらに向けてまたミサイルを放ってきたので、間一髪で避けた。

 

 自由落下でビームの包囲網から抜け、そこに面食らったところを狙ってきたのだ。

 

 多少驚かされたが、それだけだ。

 

 体勢を立て直し、再びカゴの中に閉じ込めてやればいい。

 

「小賢しい事を「ならそっちは鈍臭い亀だ!」

 

何ですって……あっ⁉︎」

 

 そうしようとした時に挟まれた愚弄に食ってかかってしまい、左腕に抱えたビーム砲の砲撃で、ビーム射出型のブルーティアーズが2つ破壊されてしまった。

 

 やり方は小狡いが…この男、中々に強い。

「やってくれましたわね……このわたくしをここまで追い詰めるとは」

 怒りに囚われてたら足元を掬われそうだと、ティアーズを自分の周囲に戻し、相手の動きを警戒しながら、とりあえずの賞賛を伝えると。

「そっちこそ……でも、これでカラクリは何となく分かった!」

 

 と、頭部装甲越しに不敵に笑う声がした。

 

 

side流良

 あの浮遊してる武器には、弱点がある。

 

 「まず、スナイパーライフルとの併用ができない……要は撃たなかったんじゃなく、撃てなかった」

 

 そして、もう一つ。

「操作するのに、集中力が必要だったんだ。だから突然のことに気を取られて、動きが止まったんだ!」

 

 電力消費の激しく、動きづらいランチャーストライカーをパージし、身軽にしながら推測を突きつけると、セシリアは頬をひくつかせた。

 

 どうやら図星のようだが……実は僕もそこまで旗色が良くない。

 

 あれだけやれば流石に、こっちの奇策の警戒をしてくるだろうし、パックの換装なんてやってたらそれこそいい的。

 

 こうなると、今の素体状態で弾幕を避け、インファイトを仕掛けるしかない。

 

 取り出した二本のナイフ「アーマーシュナイダー」を構えた僕と、ライフルを構えるセシリア。

 

 そうして生み出された沈黙がしばし流れて。

 

 

「「‼︎」」

 

 僕が走り出すと同時に、セシリアの周りに浮遊していた残り二つのビットが、砲撃を仕掛けてくる。

 

 

 だが、さっきまでの空中とは違い今は地上だ。警戒するのは目の前の二個だけでいい。

 

 銃口を光らせた一つをバルカンで落とし、突っ込んできたもう一つをナイフで弾く。

 

 そして思い切りジャンプして、セシリアにナイフを突き立てようとした時。

 

 

「切り札は最後まで取っておくものですわ!」

 

 腰部スカートが展開し、そこから二対の砲身が姿を表す。

 

「ブルー・ティアーズは、6機ありましてよ!」

 

 その言葉と共に放たれたミサイルを避ける術など、今の僕には持ち合わせちゃいなかった。

 

 

セシリアside

「……こんなギリギリの試合は初めてですわ」

 

 爆炎を前に、私はため息をついた。

 

 とんでもない暴言を吐いた無礼な男を、完膚なきまでに叩きのめし、小間使いにしてやろうと本気で思っていたのに。

 

 今やその怒りは、不思議なほど収まっている。

 

 いや、それどころか彼との試合をもっと楽しみたい。

 

 

 こんな高揚感を男から感じるだなんて、夢にも思わなかった私は、それを与えてくれた勇敢な戦士に。

 

「ここは私の勝ち「まだだ!」

 

 感謝の勝鬨を上げようとしたところで、煙の中から何かが飛び出てきた。

 

 

side流良 

 ブルーティアーズが放ったミサイルは、PS装甲によりシールドエネルギーを使わずに受け切ることができた。

 

 そして、もう一つの恩恵が。

 あの爆炎により、ストライカーパック換装の時間を稼ぐことに成功したのだ。

 

 その装備は「ソードストライカー」。

 

 身長並みのサイズを持つ、巨大な刀が特徴の近接格闘用の装備だ。

 

 左腕の小型シールドの先端についてる、ロケットアンカー「パンツァーアイゼン」を煙の中から射出し、視界の確保と、ついでにセシリアの腕を掴ませ、こちらに引き寄せる。

 

 

「なっ…」

「もらったあッ‼︎」

 それと同時に、右腕に持っていた対艦刀「シュベルトゲベール」を上段に振り上げ、飛び上がる。

 

「かはっ…⁉︎」

「このまま叩きつける!」

 

 そして、大上段からの振り下ろしをセシリアに食らわせたまま、セシリアを地表に叩きつけるべく地面に向けてバーニアを噴射した。

 

 対艦刀の前面に出ているビーム刃により、ブルーティアーズのシールドエネルギーはゴリゴリと削れていく。

「ウオオオオオオッ‼︎」

 そのまま地面に叩きつけ、その衝撃で削り切ろうとした時。

 

 

「タダではやられませんわ!」

「なっ⁉︎」

 後ろに弾き飛ばしたビットの一つからのビームが直撃したらしく、2機のISのシールドエネルギーの残量は、全く同じタイミングで0となった。

 

 

 

 「両者シールドエネルギー0。よって、この勝負は引き分けとします」

 

 

 

 

 ISを解除し、アリーナに腰を下ろした僕に、同じようにISを解除したセシリアが近づいてくる。

 

 その顔は、つい先日見た憎しみに染まったものじゃなくて、どこか満たされたような表情だった。

 

 そして、少しの逡巡を置いて。

「素晴らしい試合でしたわ……案外、日本の殿方も捨てたものじゃないみたいですわね」

「お褒めに預かり光栄だよ……でも、もしかしたらって思ったけど、やっぱそう簡単には勝てなかったかな」

「それはそうですわよ。国家代表候補生を、舐めてもらっては困りますわ」

 

 そう声をかけてくるセシリアが手を差し伸べてくるが、その手を受け取るには、後一つやることがあった。

 

 僕は立ち上がって、頭を下げた。

「……その、この前はごめん。言いすぎた」

「先に言い出したのはわたくしですし、お互い様ですわ」

 その言葉と共に、差し伸べられた手を取ると、思いのほか強い力で握りしめられ、戸惑う僕に、彼女は不敵な笑みを見せ。

 

「次はわたくしが勝ちますわよ。輝戸さん」

「僕だって負ける気はないよ。セシリア」

 

 僕もまた、同じように笑って見せて………いつかはわからないけど、再戦を約束しあった。

 

 

 

side一夏

 流良とセシリアの戦いは、観客の拍手喝采の中で引き分けで終わった。

 

 で、その後は俺とセシリアの試合になるわけで、専用機である「白式」を身に纏った俺がゲートから飛び出ると、流良との戦いで破壊された移動砲台を修理したのか、完全な状態のブルー・ティアーズが姿を現す。

 

 セシリアの中距離の射撃主体の機体に対して、俺の白式は近接格闘機。

 試合は開始しているので、向こうが射撃態勢に移る前に距離を詰めようと、唯一の武器である剣を構えた時。

 

「お待ちください。

 戦いの前に、伝えておかなければいけないことがございます」

 

 なにやら真剣な面持ちで、止まれのジェスチャーをしてきた。

 

 ここで止まるなんて普通はしないんだろうが、これまで見せてきた余裕というか、侮りのないその顔から、きっと何かあるのだろうと動きを止めると。

 

「これまでの無礼な言葉の数々、お詫び申し上げますわ。わたくしが浅はかでした」

 

 そう、頭を深々と下げてきた。

 

 

 

sideセシリア

「先程の流良さんとの戦いで気付かされたのです……自分の未熟さに」

 

 戸惑いの顔を見せる織斑一夏に、その行動の訳を話しながら、私はこれまでの自分を思い返して、恥じる。

 

 クラスにおける国家の顔とも言える代表候補生でありながら、他国を貶めるような発言ばかりして。

 

 あまつさえ、猿と吐き捨てた男の1人……しかも、初めて専用機を使う初心者相手に、引き分けにまで持ち込まれた。

 

 そんな、貴族にあるまじき失態を重ねた自分は、間違いなく身の程知らずの愚か者だったのだ。

 

 少なくとも……憧れていた母とは、明らかにかけ離れている。

 

 でも……過ちは認めて、正し、次の糧にすればいいと母は言っていた。

 だから私は、ここから始める。

「ですが……もし、貴方が許してくださるのなら、改めて試合を申し込ませていただきたいですわ」

 

 憧れへの旅路を……今の私の全力を持って。

 

 前よりも少し広がった気がする視界の先、織斑一夏の反応を待つと。

 

 

「お前……そんな顔するんだな。今までで一番いい顔してるぜ!」

「なっ…‼︎」

 と、真っ直ぐに私を見て笑った。

 

 その眩しさに、心がざわつくのを感じたが、動揺を悟られないように。

 

「で、では……受けてくださいますね?」

平静を装いながら確認を取ったが、その後に見せた強い意志を宿した瞳は。

「勿論だ……いい試合にしよう、セシリア」

「………‼︎」

 私の心を、ハッキリと撃ち抜いてきた。

 

 

 side一夏

「行くぞ!」 

「行きますわ!」

 俺が刀で斬りかかると、先程よりも心なしが弾んだような声のセシリアはバックステップでよけながら、展開していた4つの自立機動兵器による射撃を開始する。

 

「さあ、わたくしとブルー・ティアーズのワルツを踊りましょう!」

「俺、ダンスやったことねえよ!」

 

 四方からの射撃を、流良がやったようにかわそうとするが、この機体は細かい動きが苦手らしく、避けきれずにシールドエネルギーを削られる。

 

 更にはちょくちょくライフルによる狙撃も挟んでくるため、その消耗は加速していくばかりだ。

 

 こうなったら……シールドエネルギーが残ってるうちに、多少強引にでも活路を開くしかない。

 

 腹を括り、誘導兵器とスナイパーライフル…攻撃の種類が入れ替わる瞬間を見て。

 

 

「ぜああああッ‼︎」

 

 最大加速で突っ込み、構えていたライフルを弾き飛ばして……

 

「む、無茶苦茶しますわね…⁉︎」

「一緒に踊るんだろ!」

 

 その勢いのまま、振り下ろしの斬撃を喰らわせた。

 

「私に小細工なしの近接格闘を仕掛けて、それを当てるとは…お見事ですわ」

「まだまだここから!」

 一回間合いに入ればこっちのもの。

 

 あの誘導兵器は、おそらく毎回命令を送らないと動かせない。

 

 また、その時は他の攻撃ができない。

 

 だから攻撃の切り替えに数秒の空白があって……俺はそこを狙ったのだ。

 

 そして、ここからは間合いを詰めての連続攻撃で、射撃をする暇も、あの誘導兵器を動かす暇も与えなければ……俺は攻め放題という訳だ。

 

「今度はそっちが一緒に踊ってもらうぜ!」

 

 見出した活路で押し切るべく、更なる追撃に移ろうと加速した時。

 

「ですが、私とのワルツはまだ終わってませんわよ!」

 

 

 リアスカートから砲身が展開され、そこからミサイルが打ち出された。

 

 しまった、ブルーティアーズは6つあったんだった。

 この機体には、流良のみたいな特殊な装甲はついておらず、喰らえば大ダメージを受ける。

 

 だが、突っ込んで行った中で急な方向転換ができるわけもなく、せめてもの防御態勢をとるや否や、凄まじい衝撃が俺に襲いかかった。

 

 

「フォーマットとフィッティングが完了しました。確認ボタンを押してください」

 

 

sideセシリア

 

 かすかに聞こえたアナウンスに嫌な予感がすると、どうやら当たったようで。

 

 目の前に現れた相手のISは、先ほどまでとは違う形状をしていた。

 つまり、さっきまであの方は……

 

「初期設定の機体で戦っていたのですか⁉︎」

 

 ISは、使い込んでいくたびによりその使用者に合わせたものへと進化していく。そして、さっきのアナウンスは一次移行の時に流れるアナウンス。

 

 つまり、あの人はまだ完全に自分のものではない状態の機体で戦っていたことになる。

 

「………やはり、私の心を射抜くだけはありますわ」

 

 先程から宿っていた胸の高鳴りは、どうやら何かの間違いではないらしい。

 

「俺は、どうやら最高の姉さんを持ったよ。

 

……そして、これからは守られっぱなしなんかじゃない!俺だって守るんだ!」

 

 雪片弍型……かつて、織斑先生が、世界の頂点に立たせた刀の名を持つ刀で、一夏さんは突撃してきた。

 

side一夏

「おおおおっ‼︎」 

 

 セシリアが迎撃に放った砲弾を、勢いを殺さずに真横に一閃すると、後方で爆発音がした。

 

 白式の動きが、先ほどまでの初期設定の時よりも明らかに良くなってるのがわかる。

 

 機体の瞬間加速度、センサーの感度共に、圧倒的に使いやすい。

 

 しかも、使っている刀は千冬姉の暮桜から受け継がれた雪片のマイナーチェンジだ。

 使い方ならわかってるし……何より、あのカッコイイ千冬姉の弟が格好つかないなんて、冗談でも笑えない。

     

 刀身から迸るエネルギーの密度が増し、より強い力の存在を俺に伝えてくる。

 

 セシリアの懐に飛び込み、下段から上段への逆袈裟払い……まさに快心の一撃とも呼ぶべき斬撃が当たる寸前に。

 

『試合終了。勝者、セシリア・オルコット』

 

「「……は?」」

 決着をつけるブザーが鳴り響き、その場のほぼ全員が同じような反応を見せた。

 

 

side流良

 

 あの衝撃の結末の真相は、織斑先生がこう教えてくれた。

 

「白式に積まれている雪片弍型は、シールドエネルギーを糧にして、一撃必殺を相手に叩き込むものだ。その特性を考えずに使えば、すぐにガス欠になる」

 

 要は、取扱説明書の大切さが良くわかる戦いになったと言う事だ。

 

 で、この後の僕と一夏の試合は、アリーナの使用可能時間が残り少ないとの事で、次の日に持ち越しとなる筈が………。

 

 

「では、1年1組代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

 なぜか、それをやる事なく一夏に代表が決まっていた。

「先生、質問です」

「はい、織斑くん」

「俺は昨日の試合に負けたんですが、なんでクラス代表になってるんでしょうか?」

 当然、一夏からはあたりまえのような質問が飛んでくる。

 僕らの試合はまだやっていなかったのだ、それなのに決まると言うのもおかしな話だろう。

 

 と、そんな疑問に対して山田先生の代わりに答えたのはセシリアだった。

 

「それはわたくしが辞退したからですわ!」

 腰に手を当てるお決まりのポーズを取りながらだが、その声音はどこか弾んでいる。

 しかも、その表情は……アレだ。

 

「女心と秋の空、かな……」

 

 こんな展開本当にあるんだなーと思いながら、僕は無事(?)クラス代表から外れることに成功した。

 

 

「なあ、俺よりも流良の方が良いんじゃないか?セシリアと相打ちだったんだから」

 

 やめろ、折角外れそうなのに候補に入れにくるんじゃない。




いかがでしたか?

次回は鈴音の登場までいければなと思います。
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