機動戦士ガンダムSEED DESTINY 未来に繋ぐ希望の翼   作:Please

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PHASE-05

ミネルバの修復が大体終わり、休憩室で待機していると、メインブリッジから戻ってきたメイリンからとんでもない情報を聞かされる。

 

それは、血のバレンタインと呼ばれた悲劇の場所ユニウスセブンが地球に向けて動き出したという事だ。

 

 

「ユニウスセブンが地球に?」

 

「衝突コースだって本当なのか?」

 

「バートさんがそうだって」

 

 

俺とシンの質問にメイリンは頷いて答える。

 

 

「…アーモリーでは強奪騒ぎだし、それもまだ片づいてないのに今度はこれ?どうなっちゃってんの」

 

 

カオス、ガイア、アビスの三機の奪還が終わっていないのに、そこへユニウスセブンの問題が発生した事にルナはため息を吐く。

 

 

「で、今度はそのユニウスセブンをどうすればいいの?」

 

 

ルナはヨウランに質問するが、ヨウランは困惑しながら答えられず、ルナはヴィーノの方を向くが、ヴィーノも困惑している。

 

シンは沈黙したまま何も言わない。

 

流石にあれだけデカイユニウスセブンを押し戻すのは不可能に近い。

 

だとすれば…けど必ず成功するとは限らないが、やらないよりはマシな方法だ。

 

対処法を思い付くが、口にせずに考えていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…砕くしかない」

 

 

レイが静かに口を開く。

 

そう。押し戻すのが無理なら地球へ落下を開始する前に砕いて軌道を変えて回避するという方法だ。

 

 

「軌道の変更など不可能だ。衝突を回避したいのなら、砕くしかない」

 

「でもデカいぜあれ?ほぼ半分くらいに割れてるって言っても最長部は8キロは…」

 

「そんなもんどうやって砕くの?」

 

「それにあそこにはまだ死んだ人達の遺体もたくさん…」

 

 

レイの説明を聞いてもヨウラン、ヴィーノ、メイリンの三人が具体的な対処法が分からず、それぞれの悩み口にする。

 

確か、ザフトにはメテオブレイカーという兵器がある為、それを使ってユニウスセブンの破砕を行えばあるいは…。

 

まだ悩んでいるメイリン達にレイは更に説明を続ける。

 

 

「だが衝突すれば地球は壊滅する。そうなれば何も残らないぞ。そこに生きるものも」

 

 

地球の壊滅。

 

それを聞いた俺達はしばらく沈黙する。

 

 

「地球、滅亡…」

 

「だな」

 

「そんな…」

 

 

ヨウラン、ヴィーノ、メイリンの話を聞きながらシンの方を向くと、少し険しい表情で顔を伏せている。

 

 

 

 

「…でもま、それもしょうがないといえばしょうがないか?」

 

 

しばらく沈黙が流れた後ヨウランが口を開く。

 

 

「不可抗力だろう。けど変なゴタゴタも綺麗に無くなって、案外楽かも。俺達プラントには…」

 

 

確かにそうだ。

 

 

 

 

プラント的には。

 

しかし、地球には俺とシン、そしてマユちゃん達の故郷であるオーブがある。

 

それを考えると少し気持ちが複雑になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくそんなことが言えるな!お前達は!」

 

 

突然休憩室内に響く怒声。

 

声がした方を向くと怒り心頭な表情をしているアスハ代表と困惑しているアスランが入り口に立っていた。

 

敬礼して挨拶する俺達にアスハ代表は更に怒りの声を浴びせてくる。

 

 

「しょうがないだと!?案外楽だと!?これがどんな事態か、地球がどうなるか、どれだけの人間が死ぬ事になるか、本当に解って言ってるのか!?お前達は!!」

 

 

アスハ代表の怒りの気迫を見て俺達は困惑する。

 

 

「…すいません」

 

「…やはりそういう考えなのか、お前達ザフトは!あれだけの戦争をして、あれだけの想いをして、やっとデュランダル議長の施政の下で変わったんじゃなかったのか!!」

 

「よせよカガリ」

 

 

ヨウランの発言を聞いてそれが気に触ったのか、問答無用で俺達に怒声を浴びせてくるアスハ代表。

 

アスランが止めようとしているが、アスハ代表の怒りが収まる様子がない。

 

 

 

 

「別に本気で言ってたわけじゃないさ、ヨウランも。そのくらいの事も分からないのかよ、アンタは」

 

「なんだとッ!」

 

「カガリ!」

 

 

シンの反論を受けたアスハ代表は、今度は怒りの視線をシンに向け、そんな彼女をアスランは止めている。

 

 

「シン、言葉に気を付けろ」

 

「…あ、そうでしたね。この人偉いんでした。オーブの代表でしたもんね」

 

 

レイに制止されたシンは少し考える素振りを見せながら挑発するような態度を取る。

 

 

「お前…!」

 

「いい加減にしろ!カガリ」

 

 

挑発されたアスハ代表はシンに掴みかかろうとするが、アスランが言葉を強めて彼女を止める。

 

その後アスランが一歩前に出てシンに話しかけてくる。

 

俺達はそれを真剣に、心配そうに、困惑とそれぞれの心情で黙って見守っている。

 

 

「君はオーブが大分嫌いなようだが、何故なんだ?昔はオーブに居たと聞いたが、下らない理由で関係ない代表にまで突っかかるというのなら、ただでは置かないぞ」

 

 

アスランの発言を聞いた瞬間、シンは目を鋭くさせ、今までにない怒りの表情をアスランとアスハ代表に向ける。

 

 

「下らない?…下らないなんて言わせるか!関係ないってのも大間違いだね。俺の友人と家族は、アスハに殺されそうになったんだ」

 

 

そのシンの発言を聞いた俺はかなり驚愕する。

 

シン、お前はまだその事を…。

 

 

「国を信じて、あんた達の理想とかを信じて、そして最後には騙された」

 

 

シンの鋭い視線を見たアスハ代表は戸惑いながら驚愕している。

 

そんな彼女にシンは更に怒りをぶつける。

 

 

「だから俺はオーブなんて国は信じない。アンタ達の言う綺麗事も信じない」

 

 

持っていたコーヒー缶を握りつぶし、怒りの視線をアスハ代表に向けながら静かに語る。

 

 

「この国の正義を貫くって…あんた達だってあの時、自分達のその言葉で誰が傷付くことになるのかちゃんと考えたのかよ…」

 

 

今度はシンの気迫に押されて何も言い返す事ができないアスハ代表。

 

 

「何も解ってないような奴が、解ってるようなこと言わないで欲しいね」

 

 

困惑するアスハ代表を見かねたのか、シンはそんな彼女に肩をぶつけながら休憩室を後にする。

 

 

「お、おい、シン」

 

 

慌ててシンを追いかけるヴィーノ。

 

俺はあえて追う事はせず、しばらくはそっとしておく事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩室でのいざこざからしばらく経ち、俺達パイロット組はユニウスセブンの破砕作業に備え、レイと作戦内容を話し合いながら艦内通路を渡って待合室に向かっている。

 

待合室に入ると先にシンが待機しており、声をかける事はせず、俺とレイをじろじろ見ている。

 

アスハ代表に強く当たっていた様子を俺達に見られていたのを気にしているんだろう。

 

 

「大丈夫かシン?」

 

「え、ああ。大丈夫だ」

 

 

俺に声をかけられたシンはそう答えるが、表情から見てそうは思えないくらいに曇っているのがよくわかる。

 

 

「気にするな、俺は気にしてない。お前の言ったことも正しい」

 

 

待合室のモニターを操作していたレイに声をかけられたシンは少し驚いた表情でレイを見る。

 

 

「レイの言う通りだ。もし俺が逆の立場ならきっと同じ事をしていたからな」

 

 

あのモビルスーツに助けられたとはいえ、もしそうでなければマユちゃん達と一緒に命を落としていたかもしれない。

 

もし逆の立場でシンとマユちゃん達が命を落としていたら、俺もシンと同じようにアスハ代表を強く否定していただろう。

 

 

「…サンキュー、二人とも」

 

 

先程の曇っていた表情から少し心が晴れたように笑みを向けて応えるシン。

 

それを見た俺は安心感も含めてシンに笑みを見せた後にレイの方を見ると、レイも同じ気持ちなのか笑みを浮かべながらモニターを操作していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モビルスーツ発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ。繰り返す、発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ』

 

 

メイリンの艦内放送を聞きながら俺達はそれぞれの愛機のモビルスーツに搭乗し、発進準備を行っている。

 

 

『モビルスーツ発進1分前』

 

 

もうすぐ発進だと思った瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『発進停止。状況変化。ユニウスセブンにてジュール隊がアンノウンと交戦中。各機、対モビルスーツ戦闘用に装備を変更して下さい』

 

 

ジュール隊が未確認の敵の襲撃を受けた報せを聞いて驚いている俺達に更に悪い報せがやって来る。

 

 

『更にボギーワン確認。グリーン25デルタ!』

 

 

アンノウンだけでなく、逃走して姿を消していたボギーワンの出現に驚きを隠せずにいた。

 

 

『どういう事だ!』

 

『分かりません。しかし本艦の任務はジュール隊の支援であることに変わりなし。換装終了次第各機発進願います』

 

 

アスランとメイリンの会話を聞きながら俺達の各モビルスーツの装備が作業用から戦闘用に換装されていく。

 

 

『中央カタパルトオンライン。発進区画、減圧シークエンスを開始します。非常要員は待機して下さい』

 

『ボギーまでとはね』

 

「ボギーはともかく、アンノウンの方はどんな敵かわからない。油断はするなよ」

 

『わかってる。そっちも気を付けろよ』

 

 

シンと通信で会話をした後、発進準備を終えた俺達は、ユニウスセブンに向けてモビルスーツを発進させた。

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