機動戦士ガンダムSEED DESTINY 未来に繋ぐ希望の翼   作:Please

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PHASE-07

ミネルバが陽電子破砕砲タンホイザーでユニウスセブンの破砕作業を行っている最中、俺はコックピットのキーボードを操作してスピリットのバランスの調整を行っている。

 

 

「突入角度調整。排熱システムオールグリーン。自動姿勢制御システムオン。ECSニュートラルへ」

 

 

スピリットのバランスを取り戻し、周囲を見渡していると、同じようにバランスを取り戻したインパルスと大気圏に備えるアスランのザクを発見する。

 

大気圏に備えている最中、アスラン機のブースターが一部損失してしまう。

 

その間もミネルバによるユニウスセブンの破砕作業が進み、なるべく細かく砕く事に成功する。

 

細かく砕かれたユニウスセブンの破片が落下していき、ミネルバも降下を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

教会の地下シェルターに避難した俺達は、これから落下してくるユニウスセブンの残骸の衝撃に備えている。

 

 

「何が来るの?ねえ何が来るの?」

 

「ずっとここにいなきゃいけないのかよ?」

 

「大丈夫ですわ。いいえ、少しの間です。直ぐに行ってしまいますからね」

 

 

理由を聞かされていない子供達は女性に質問し、それをある女性が優しい口調で答える。

 

 

 

 

 

その最中、激しい揺れがシェルター内に発生する。

 

おそらくユニウスセブンが落下したのだろう。

 

 

激震に怯える子供達は泣き出し、俺達にしがみつく。

 

 

「大丈夫ですわ。大丈夫ですから」

 

 

女性は優しく子供達の肩を抱き締め、俺は怯えている女の子の頭を撫でて安心させる。

 

 

 

 

 

しばらく沈黙が流れる。

 

それを破るように優しい歌声がシェルター内に響く。

 

その歌声を聞いた子供達が彼女の方に視線を向ける。

 

激しい揺れが続く最中、彼女は歌い続ける。

 

その先の未来が平和である事を願うように…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レツside

 

 

無事に大気圏を突破した俺はインパルスとアスラン機の安否を確かめると同じように大気圏を突破した二機を発見する。

 

俺は近くにいるインパルスに通信を繋げる。

 

 

「シン!シン!無事か?」

 

『レツ?ああ何とか無事だ。そっちは?』

 

「見ての通り、何ともないよ」

 

 

インパルスは無事だが、アスラン機の方は盾を利用して大気圏を抜いた為、その分負担がかかったのか肩の盾が破損してしまう。

 

 

『レツ』

 

「ああ。行こうシン」

 

 

それを見た俺達は急いでアスラン機に近付く。

 

 

『アスランさん!アスランさん!』

 

『シン、君か!?』

 

「返事ができるって事は無事みたいですね」

 

『レツ、君もか!?だが、機体の方は無事ではなさそうだ…』

 

『待ってて下さい、今…!』

 

「少し揺れると思いますけど…」

 

『よせ!いくらインパルスとスピリットのスラスターでも…』

 

 

自分で何とかしようとするのは分かるけど、負傷したザクでミネルバに辿り着くのは無理に近い。

 

アスランの言葉に耳を貸さず、スピリットとインパルスでアスラン機の確保に成功する。

 

 

「今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ?」

 

『どうして貴方は、いつもそんなことばかり言うんですか!』

 

『じゃあ何を言えばいいんだ』

 

『俺を助けろこの野郎!とか…』

 

「いや、それは流石に…」

 

『…その方がいいのか?』

 

『…いえ、ただの例えです…』

 

 

通信でのやり取りをしながらアスラン機を抱えたスピリットとインパルスはゆっくり降下を開始する。

 

 

 

 

 

ゆっくりと高度を下げていると、ミネルバの発光信号を発見し、その信号に近付くとミネルバの姿が見えてくる。

 

ミネルバに近付き無事に着艦に成功した俺達は、モビルスーツデッキに入れる範囲まで高度が下がるのを待った。

 

 

 

 

 

モビルスーツデッキに機体を収納した俺はシン達と一緒にアスランがザクから降りるの待っている。

 

 

「アスラ~ン!」

 

 

アスランが降りてきた直後、アスハ代表がアスランの名前を呼びながらこっちに駆け寄ってくる。

 

その直後、突然モビルスーツデッキ内に揺れが発生する。

 

 

「なに?まだ何か!?」

 

「地球を一周してきた最初の落下の衝撃波だ。おそらくな」

 

 

少し動揺するヴィーノにレイは落ち着いた口調で説明する。

 

 

 

 

 

『警報。総員着水の衝撃に備えよ』

 

 

艦長の号令からしばらくして艦内に一瞬だけ強い衝撃が発生する。

 

おそらくミネルバが海水に着水し始めたんだろう。

 

衝撃が治まるまで待機室で着席したまま待っていると徐々に揺れが弱まってくる。

 

 

『着水完了。警報を解除。現在全区画浸水は認められないが今後も警戒を要する。ダメージコントロール要員は下部区画へ』

 

 

ミネルバが停止した後、副長の艦内放送を聞いた俺達はノーマルスーツから軍服に着替え、現在はミネルバの甲板から久しぶりの地球の海を眺めている。

 

 

「けど地球か」

 

「太平洋って海に降りたんだろ?俺達。うっはは、でけー」

 

「そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」

 

 

プラントで育った者達は初めての海に対して興奮したり、興味を持ちながら海を見ている。

 

 

「大丈夫か?アスラン」

 

 

俺達ミネルバ組が海を眺めている最中、アスハ代表が現れてアスランに話しかけるのを見かける。

 

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「けど本当に驚いた。心配したぞ。モビルスーツで出るなんて聞いてなかったから」

 

「すまなかった、勝手に」

 

「いや、そんなことはいいんだ。お前の腕は知ってるし。私はむしろ、お前が出てくれて良かったと思ってる」

 

 

アスハ代表は海を見ながら話を続ける。

 

 

「本当にとんでもないことになったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった」

 

 

アスハ代表のその言葉を聞いていたのか、俺の隣で海を見ていたシンが怒りの形相でアスハ代表を睨み付けている。

 

 

「そのことは地球の人達も…」

 

「やめろよこの馬鹿!」

 

 

その先を言わせないようにシンがアスハ代表を睨みながら怒鳴り付ける。

 

シンの怒鳴り声に気付いたミネルバのクルー達がシンに注目する。

 

 

「あんただってブリッジに居たんだ!ならこれがどういうことだったか解ってるはずだろ!?」

 

「シン」

 

 

俺達に見られていることに気にする様子もなくアスハ代表を怒鳴るシンを止めようとアスランが間に入るが、シンの怒りは止まる様子はない。

 

 

「ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだ!落としたのはコーディネーターさ!」

 

 

シンの言葉を聞いたアスハ代表は驚愕し、アスランは表情を曇らせて顔を少し伏せる。

 

 

「あそこで家族を殺されてその事をまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだぞ!?」

 

 

確かに、家族、敬愛する人、愛する人を奪われたこと忘れるなんて事はかなり難しい事だ。

 

きっとユニウスセブンを落としたアンノウンの大半にはそんな人達が戦っていたのかもしれない。

 

そう思うと複雑な気持ちになってしまう。

 

 

「…わ、解ってるそれは…でも!」

 

「でもなんだよ!」

 

「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!」

 

「当たり前だ!」

 

 

何とか言葉見つけようとするアスハ代表の言葉をシンはあっさりと言い返す。

 

しばらく沈黙が流れるが……

 

 

「だが…それでも破片は落ちた」

 

 

それを破るようにアスランが口を開く。

 

 

「俺達は…止めきれなかった…」

 

「アスラン…」

 

 

そう。ユニウスセブンの破砕には成功した。

 

しかしその破片は地球各地に落下し、壮大な被害が出てしまった。

 

 

「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネーターのしたことに変わりない。許してくれるのかな…それでも…」

 

 

アスランの言う通り、被害にあった地球の者達の中には大切な者達を失ったり、自分達の居場所を失った者達もいる。

 

それを理解したのか、アスハ代表は表情を曇らせて顔を伏せる。

 

話し終えたのか、これ以上この話をしたくないのか、アスランはミネルバの艦内に戻っていく。

 

そこへ追い打ちをかけるようにシンはアスハ代表に話しかける。

 

 

「自爆した奴等のリーダーが最期に言ったんだ。俺達コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだってさ!」

 

 

パトリック・ザラ。

 

その名前を聞いた俺以外のクルー達が驚愕する。

 

 

「…アスラン…」

 

 

アスランを追いかけようとするアスハ代表に……

 

 

「あんたってほんと、何も解ってないよな。あの人が可哀相だよ」

 

 

アスハ代表に対し、とどめと言わんばかりの言葉をぶつけたシンはミネルバの艦内に入っていく。

 

そんなシンの心配とユニウスセブンの件など、色々な複雑な思いが治まるまでミネルバの甲板で海を眺める事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからしばらくして、現在俺、ルナ、レイ、メイリンの4人はミネルバの甲板に設置された射撃訓練所で射撃の訓練をしている。

 

 

「レツって凄いね。ほとんど真ん中に近いし」

 

 

俺の射撃を見ていたメイリンが感心の声を上げる。

 

自分が撃った的の箇所を見てみると、頭と胸のほぼ真ん中に近い部分を撃ち抜いている。

 

しかし……

 

 

「そうかな。俺よりレイの方が凄いと思うよ」

 

 

そう言ってレイの方を見ると、的のかなり真ん中に近い部分を撃ち抜いている。

 

俺に気付いたのか、そんな事はないと言わんばかりに優しい笑みを一瞬だけ見せてから訓練を再開するレイ。

 

メイリンに見られながら、俺も射撃訓練を続行していると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら!」

 

 

何か気付いたような声を出すルナの方を見ると、腕を組んで壁に寄りかかりながら俺達の訓練を見ているアスランの姿があった。

 

 

「訓練規定か」

 

「ええ、どうせなら外の方が気持ちいいって。でも調子悪いわ」

 

「確かに、風がいいからね」

 

 

俺の言葉に納得したようなルナの笑顔を確認した俺は訓練を続行しているレイに続くように訓練を再開させる。

 

 

「あ、一緒にやります?」

 

「え…いや俺は…」

 

 

自分の銃を手渡すルナに対してアスランは戸惑う。

 

 

「本当は私達みんな、貴方のことよく知ってるわ」

 

「え?」

 

「元ザフトレッド、クルーゼ隊。戦争中盤では最強と言われたストライクを討ち、その後、国防委員会直属特務隊フェイス所属。ZGMF-X09A、ジャスティスのパイロットの、アスラン・ザラでしょ?」

 

 

それを聞いたアスランは表情を曇らせている。

 

 

「お父さんのことは知りませんけど、その人は私達の間じゃ英雄だわ。ヤキン・ドゥーエ戦でのことも含めてね」

 

 

戸惑っているアスラン にルナが歩み寄る。

 

 

「射撃の腕もかなりものと聞いてますけど?

お手本、実は私あんまり上手くないんです」

 

 

そんなルナに対してアスラン少し笑みを見せ、ルナから銃を受け取り、的に向けて構える。

 

 

 

 

 

その後、俺達は目を疑った。

 

なんとアスランは、全ての的を一発で真ん中を撃ち抜いていく。

 

俺だけでなく、ルナ達もその光景を見てかなり驚愕している。

 

 

「うわー、同じ銃撃ってるのになんで!?」

 

「銃のせいじゃない。君はトリガーを引く瞬間に手首を捻る癖がある。だから着弾が散ってしまうんだ」

 

 

驚愕するルナに対し、アスランは軽く説明を行う。

 

 

「こんな事ばかり得意でもどうしようもないけどな」

 

 

説明を終えたアスランはルナに銃を返して立ち去るように艦内に入ろうとする。

 

出入口をよく見ると、その近くにはシンが立ち止まっているのに気付く。

 

 

「そんな事ありませんよ。敵から自分や仲間を守るためには必要です」

 

「敵って…誰だよ」

 

 

そうルナに返答したアスランは出入口にいるシンの横を通過する。

 

 

「ミネルバはオーブに向かうそうですね。

貴方もまた戻るんですか?オーブへ」

 

「ああ」

 

 

現在ミネルバはアスハ代表をお送りする為にオーブに向かっている最中である。

 

 

「なんでです?」

 

 

呼び止めるように質問するシンに対し、アスランは黙秘する。

 

 

「そこで何をしてるんです?貴方は」

 

 

更に質問を続けるシン。

 

確かに、ザフトのエースであるアスランがプラントを去って何故オーブにいるのか、俺だけでなくルナ達も気になっている事だからな。

 

 

 

 

 

しばらく沈黙が流れた後、アスランは何も言わず、シンに振り向く様子もなく、そのまま歩き出してミネルバの艦内に戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

ユニウスセブンの破片落下からしばらく経ち、俺はある人物達と一緒に少し荒れている海を眺めている。

 

 

「嵐が来るのですね」

 

「…らしいな。そろそろ戻るぞ」

 

「うん、そうだね」

 

 

短く会話を終えた後、俺達はまだ荒れている海を後にするように立ち去った。

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