機動戦士ガンダムSEED DESTINY 未来に繋ぐ希望の翼 作:Please
ミネルバが無事にオーブに到着し、アスハ代表を送り届けた後、俺は色々と予定を考えながら修理中のミネルバの艦内通路を歩いていると、休憩室からメイリンとヨウラン達の雑談を聞き取る。
「本当?」
「いや、まだ分からないけどさ、修理で数日って事になるんなら案外出るんじゃないかって。上陸許可」
ヨウランの返答を聞いたメイリンは手を合わせて喜んでいる。
「ちょっとここまできつかったからなぁ実際。なんか夢中で来ちゃったけどむっちゃくちゃだったもんな本当。あぁ!ねぇオーブってさぁ…」
上陸許可か…。
後でシンにも知らせてみるか。
そう思いながら俺は再び予定を考えながら休憩室を後にした。
???side
時刻は夕方となり、ある人物二人と一緒に子供達の相手をしながら海を眺めていると……
「あーアスラン!」
「違うよアレックス!」
「どこ行ってたんだよ」
「カガリは?」
アスランに気付いて駆けていく子供達に続くように俺達もアスランに歩み寄る。
「アスラン」
「お帰りなさい。大変でしたわね」
「無事そうで何よりだ」
「君達こそ。無事で安心したよ、キラ、ラクス、ダン」
第2次ヤキン・ドゥーエ戦を生き残った俺はプラントには戻らず、アスランと一緒にオーブへ移り、キラ達と一緒に戦争とは無縁の生活を送っている。
アスランとカガリがプラントに向かってから色々とあったと聞いて心配していたが、二人がザフトの新造艦とやらでオーブに戻ってきたという知らせを聞いて安心している。
カガリがいないという事は、おそらく代表の職務の最中なのだろう。
「家流されてこっちに来てるって聞いて。大丈夫だったか?」
「そうお家なくなっちゃったの」
「あのね見てないけど高波っての来て、壊していっちゃったって!」
「ばらばらー」
アスランの質問に一斉に答える子供達。
「あらあら。ちょっと待って下さいな皆さん。これではお話が出来ませんわ」
ラクスが子供達を連れて浜の方へ移動するのを見届けると……
『トリィ!』
『ウォン!ウォン!』
ロボット鳥のトリィがキラの肩に止まり、ロボット子狼のドルフが俺の足元まで走り寄ってくる。
「カガリは?」
「行政府だ。仕事が山積みだろ」
「…一緒にいなくていいのか?」
「………」
俺の質問に黙秘するアスラン。
それを見て心情を察した俺は……
「キラ、アスラン。お前達は先に行け。色々と話したい事があるだろう?」
「ダンは?」
「俺はラクスと子供達と一緒にゆっくりと浜を歩きながら戻るから心配するな」
「…そうか」
「気をつけてね」
「お前達もな」
やり取りを終え、車に乗って先に用意された別宅に向けて移動するキラとアスランを見届けた俺はドルフと一緒に子供達の相手をしているラクスの元へ歩み寄る。
「よろしかったのですか?ダンも色々とお話したかったのではありませんか?」
「いいんだ。また後で話せる」
「そうですか」
「ねぇダン。またいつもみたいに持ち上げてー」
ラクスと話をしていると、一人の女の子が俺の腕に引っ付いてきた為、言われた通りに腕を上げる。
「わー、高い高いー!」
「あー、ずるい!俺も俺も!」
「僕もやってー!」
「あたしもー!」
「あらあら♪︎」
俺はラクスに見守られながら、群がる子供達を相手にしながら別宅に戻る事にした。
レツside
「上陸許可が出た?」
「うん。今から皆で町に行くんだけど、レツも一緒にどう?」
ある用事の為、訓練所に向かうと艦内通路を通っていると、偶然向こう側からやって来たメイリンから上陸許可が出た事を聞く。
メイリンから誘われた俺は少し考え……
「…ごめん。少し用事があるから無理なんだ」
「そっか。用事ならしょうがないね」
「本当にごめん」
「ううん大丈夫。また誘うから」
「ああ。わかったよ」
「それじゃあ、そろそろ行くね」
メイリンと別れた俺は、訓練所に向かう為に再び歩き出す。
訓練所に到着すると射撃訓練を行っているシンを見つける。
シンの近くには同じ射撃訓練をするレイがいる。
俺も少し訓練をしてから撃ち終えたシンに話しかける。
「シン。上陸許可が出たのを聞いただろう?気晴らしに外に行かないか?」
「…外に?」
「ああ」
誘われたシンは訓練中のレイを見る。
それに気付いたレイはシンの方に顔を向ける。
「行ってこいシン。上陸許可が出ているなら問題ないだろう?」
レイに言われたシンは少し頷き、俺の方に顔を向ける。
「わかった。けど、どこに行くんだ?」
「ああ。それはな……」
2時間後。
ミネルバで話を済ませ、射撃訓練を終えた俺はシンと一緒にミネルバから降り、ある場所に来ている。
「レツ。ここって……」
何かに気付いたように俺に問いかけるシン。
何故なら俺とシンにとって関わりのある場所であるからだ。
そう。2年前、俺とマユちゃん達があのモビルスーツに助けられたのが此処だ。
戦いの最中、軍港に向けて避難をしていた事。
ビームの流れ弾が俺達に迫ってくる恐怖。
それを救ってくれたように現れたモビルスーツ。
色々な事を思い出しながらシンの方を見ると、俺と同じなのか何かを思い出しながら悲しそうな表情で空を見上げている。
『トリィ!』
機械音がした方を見ると、崖の方に二人の男性達がいて、その内の一人の肩に機械鳥が止まっており、もう一人の足元には機械子狼が座っている。
俺達に気付いたのか、男性達が振り向いてこっちを見ている。
機械鳥は飛び立ち、機械子狼は立ち上がって俺達を警戒するように見ている。
よく見ると、二人の近くには大きな石が建っている。
「慰霊碑…ですか?」
「うん。そうみたいだね。よくは知らないんだ。僕達も此処へは初めてだから」
シンの問いに機械鳥が懐いている男性が答えると、男性達は慰霊碑を見る。
「せっかく花が咲いたのに、波を被ったからまた枯れちゃうね」
茶髪の男性の言葉を聞いてしばらく沈黙が流れる。
「…誤魔化せないって事かも」
シンの言葉に茶髪の男性は再び此方を見て、もう一人はそのまま慰霊碑を見ている。
「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす…」
シンの言葉を聞いたその言葉を理解している俺は目を閉じる。
今シンが語った事は、今でも戦争が絶えない現状を物語っているようなものだからだ。
それを考えていると、ピンク色の長髪の女性が現れる。
「すいません。変な事言って」
「…気にするな。君の言っている事は間違いではない」
シンの謝罪に、慰霊碑を見ていた男性が答える。
「それじゃあ、俺達はこれで。失礼します」
俺とシンは二人の男性と一人の女性に一礼して慰霊碑を後にし、ミネルバに向けて帰路につく事にした。