異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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すみません。11話に出てくるゾンビなんですが、公式設定集見たらゾンビじゃなくてグールだった!!マジごめん直したのでグールということでお願いします!!マジすんませんっした!!


第十四話『特殊個体』

「特殊個体…というのは、本当かね?」

「はい、この目で見て、そして倒しました」

 

渡り鳥も羽を休める昼下がり。ライオスとその一行は島主の屋敷へ訪れていた。目の前にいるのはこの島の実権を握っている島主その人である。

 

「ふぅむ…タンス、どう思う」

「調べてみる価値はあるでしょうな」

 

そして島主の隣にいるノームの老齢の男性。タンス・フロッカ。職業は島から少し離れた別大陸である東方大陸のカーカブルードと呼ばれる港町を治める領主の顧問魔術師だ。

 

間違えやすいのが、カーカブルードがある東方大陸とシュローやマイヅルの出身地である東方群島はまた別地域である。

 

現代人に分かりやすく伝えるのならば、日本列島とユーラシア大陸に近い関係だ。

 

今現在タンスはその領主から島にあるダンジョンの調査の任を受けたため、島主とは協力関係にある。

 

タンスはその職業柄鋭い目をライオスへ向ける。

 

「ライオス殿と言ったかな?貴公はその魔物をどれほど確認し、そしてその魔物の種類は?」

 

ライオスは一瞬、本当に一瞬だけタンスの目に気圧されたが、魔物の話となりいつもの調子を取り戻す。

 

「俺たちが見つけたのは5種類で、グール、スライム、動く鎧、シーサーペント、そしてハーピーです」

「ふむ……階層も種類も食生もバラバラと来たか」

 

「やはり……狂乱の魔術師か?」

 

島主が怯え気味にタンスに問い掛ける。それに応える様にタンスは毅然とした態度を変えずに島主へ返答する。

 

「可能性は高いでしょうな。詳しく調べてみなければ分かりませぬが」

「そ、そうか…」

 

「ではそれらの魔物の細かい特徴は分かるか?」

「はい!あー…っと、ではグールの方から説明します」

 

グール。基本的には迷宮で死した冒険者や迷宮から訳あって出られなくなった犯罪者達の成れの果て。死体に幽霊が宿り、元の魂を喰い破りながらゆっくりと這いずりまわる。彼等の行動理念は不規則かつ出鱈目だ。

 

一説では宿った幽霊による生前の行動を模範している、とか。地域によってはゾンビだったりミイラと呼ばれたりする。

 

そしてグールが、つまり腐乱した死体が腐り果て骨だけとなったのをスケルトン。更に骨が形を保てなくなると、再び幽霊として辺りを彷徨うのだ。

 

ここまでが通常のグール。特殊個体と謳われる理由は以下の項目である。

 

①ゆっくり這いずるのではなく、普通の人間の様に歩いたり走ったりする。

 

②グールは屍肉を好むが、特殊個体は生者を執拗に狙う。

 

③全体的に肌や目が赤い。

 

「ふむ…普通の人間の様に歩く、走る、か。入った幽霊の自我が強いのか?次はなんだ」

 

スライム。大きさは個体によって異なる。色はそのスライムが生息する場所によって変動する。苔むした場所なら緑。水が多い場所では青に近い緑色だったり。体表は粘性のある消化液に包まれており、内蔵の核を破壊されない限り時間が立てば再生する。

 

基本的には天井や壁の隙間など襲いやすい場所に待機し生き物の二酸化炭素に反応して顔を目掛けて落下及び飛び込んで窒息させる。

 

しかし生き物を狙う種自体は全体で見れば珍しく、基本的には水棲生物などの体内に飲み込まれその体内で生物の消化を助けたり代わりに老廃物などを摂取する共生可能な魔物である。

 

ここまでが通常のスライムであり、特殊個体のスライムは以下の通り。

 

①積極的に生物を狙う。

 

②身体の一部を硬質化させ槍の様に突き刺す事が可能。

 

③全体的に粘液が赤い。

 

「基本おとなしいスライムの凶暴化に加え硬質化…そしてまた赤いのか。次は?」

 

動く鎧。冒険者を狙う無人の甲冑。外部から操られている。内部で不定形の魔物が動かしている。など諸説あるが、未だ確信には至っていない。

 

(まだセンシと出会っていないので中身が軟体動物であることはこの時のライオス達は知らない)

 

鎧の造形は様々だが異形になる事は無く、人型の鎧であり大体体型的にトールマンのものが殆どである。彼らは直剣を振るい冒険者を攻撃する。

 

ここまでが通常の動く鎧。特殊個体はと言うと。

 

①武器が様々な種類に置き変わっている。槍や大剣など。

 

②ケンタウロスの様な体型の全身鎧を確認した。得物は槍。

 

③全体的に鎧やその装飾が赤い。

 

「ううむ、ここまで全て赤か」

 

シーサーペント。迷宮4階の壁。静かなる海の暗殺者の異名を持つ巨大なウミヘビ。異名の所以はその隠密性。水中を音なく移動し獲物を捕え、牙から注入される強力な毒はどんなに優れた治癒術士でも治すことは不可能である。

 

ここまでが通常のシーサーペント。特殊個体の場合は。

 

①隠密性をかなぐり捨てた様な移動。陸にも上がれる。

 

②牙から酸性であり致死性のものと思わしき毒を垂れ流す。

 

③全体的に鱗が赤い。

 

「ふむ、次で最後か」

 

ハーピー。人間の女、該当するのはトールマンでありその顔と乳房を持った鳥の魔物。外見からは想像つかないような下品な戦い方を好む。不愉快極まる鳴き声を上げながら糞を撒き散らし他の生物の食べ物を横取りする。ちなみにその糞は信じられないぐらい臭い。

 

ここまでが通常のハーピー。特殊個体である特徴は。

 

①女の顔がより洗練され不気味なほど美形。

 

②翼と鉤爪が肥大化し糞ではなくその剛爪で攻撃する。

 

③瞳や髪、そして全体的に羽根が赤い。

 

「以上になります」

「ふむ。全体的に凶暴化し、かつ赤くなっている。か」

 

「い、今まででこういう事例はあったのか?」

「魔物が凶暴化するのは珍しくありません。しかし色素の変化…そもそも根本から特徴が変わるというのは聞いたことがありませんな」

 

それも含めて調べておきます。とタンスは付け加える。

 

「なにかの兆候なのだろうか…なにか…不吉な…」

「島主殿、怯えてはなりません。理解し、解明すれば自ずと解決策は浮かび上がる。まずは調査ですぞ」

 

「そ、そうだな…それもそうだ…」

 

「(島主さん、この人の事を信頼しきってるんだな…)」

 

イツキは震えている島主から視線を外す。そして窓の向こうに見える迷宮の入口を見る。人集りが出来ている。急な凶暴な魔物の出現。それで職を追われた冒険者は多い。この先冒険者上がりのゴロツキが増えるだろう。

 

「では、ご苦労だったな。今回の件の謝礼は館の入口にいるメイドに持たせてある」

 

そして、と付け加える。

 

「これはわしからの依頼だ。この中で迷宮の造形や魔法陣に詳しいものは?」

「わ、私分かります!」

「造形には詳しくありませんが、魔法陣なら読み取ることができると思います」

 

マルシル、そしてイツキが手を挙げる。しかし、タンスの反応は微妙だ。ついでに島主も。

 

「「エルフか…」」

 

「んなっ……!」

 

種族差別はこの世界では珍しいことでは無い。とりわけエルフはその長命から他種族からの反応があまり良くない。

 

マルシルは食って掛かろうとするが、イツキに片手で宥められる。何回りも年下の子供が冷静で自分が声を荒らげるのは、流石に恥ずかしかったのでマルシルは大人しく引き下がる。

 

「子供か。では『子供用初めての魔導書』を持ってくるのでそれを全て読み解けたらまた来い」

「それなら魔法習い初めて2日で読み終わりましたよ」

「ほう?では268ページに書いてある内容を言ってみよ」

「……あの魔導書260ページまでですよ」

 

引っかからなかったか。とタンスはニタリと笑う。

 

「では魔法陣における最低項目は?」

「円形の外側に魔術式を書かない。円は極めて正確である事。一般用であるならば分かりやすい色で書く事。です」

 

「よろしい。では」

「タンス…!ここは小学校ではない!お前が護衛を雇い迷宮に向かえば済む話ではないか!」

 

結構楽しかったんだけどな。とイツキは思った。

 

「まあそれが一番手っ取り早いですな。では護衛として、ライオス一行。お主らを雇おう」

 

報酬はこれくらいでどうだ?と金額をライオスに見せる。すぐさまチルチャックが代わり精査していく。

 

「うむ。では報酬は1人頭10万ゴールド。合計70万ゴールドでいいな?」

「た、高くないか?」

 

島主は狼狽えるが、タンスは変わらず毅然としている。

 

「高くはありません。彼らは一級と謳われるプロの冒険者です。くわえて今一番迷宮の深層に近いのも彼らだ」

 

そう思えば安いものです。とタンスは言う。

 

「し、しかし…子供だぞ!子供がいるようなパーティだ!程度も知れるだろう!」

 

「イツキ」

「はーい」

 

イツキは自身に身体強化の魔法を付与。そして目にも止まらぬスピードで島主の背後を取った。

 

「ひいぃっ!?」

「驚かせてすみません。ですがこうした方が早いでしょう?」

 

あ、肩凝ってますね〜。とイツキは島主の肩を揉む。

 

「はは、ははは……すまん。訂正しよう」

「ありがとうございます♡」

 

イツキはとことこライオス達のもとへ戻る。その様子を見たタンスはなにか考え事をしているようだ。

 

「ではタンスさん。タンスさんの都合が合えば迷宮に向かうので、向かう前日に連絡を下さい」

「うむ。また使いの者をよこそう」

 

失礼しました。とライオス一行は島主の館から出る。もちろん報酬は忘れずに受け取った。

 

「……!ぶはーっ!!あー息苦しかった!」

「ナマリさん。ああいうところ苦手ですか?」

「硬っ苦しいのはどうもね…」

 

ナマリは両肩を思い切りグルグル回したり背中を伸ばしたりする。見かねたシュローが話を切り出す。

 

「島主殿はともかく、あのタンスという御老人。只者では無さそうだな」

「だな、ありゃかなりの狸爺だ」

 

チルチャックは欠伸しながら歩き出す。

 

「兄さん、あの人の使いの人?が来るまで迷宮はお休み?」

「そうだな…いつ来るか分からないけど、そんなに遠くない話だろうから…」

「ねぇ、イツキ」

「はい?」

 

「明日、デートしよ?」

 

「「…………えっ!?」」

 

「(なんでシュローまで驚いてるんだろ…)」





言い忘れてましたが、評価バーがえげつないことになっていました。本当にありがとうございます。皆もダンジョン飯読もう!!そして書こう!!おれもやったんだからさ!!
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