異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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第二話『発想』

「まぁ狭いとこだけど、ゆっくりしていきなよ」

「は、はい。よろしくお願いします」

「よろしくね」

 

メリニにあるとある宿屋。その2階にある部屋がこの兄妹の住まう場所。

 

中は雑多ながらも必要なものが揃いきっており、いかに生活の知恵が絞られているかが分かる。

 

「棚の位置変えればふとん置けるかな」

「こっちの机をこの角に置くのはどうだ?」

「あ、手伝います!」

 

結局のところ、イツキはトーデン兄妹の世話になることとなった。

 

『いや、冷静に考えてくださいよお兄さん!一緒に住むって……一緒に住むってことですよ!?見ず知らずの他人と!』

『でもファリンの友達なんだろ?』

『ともっ……だち、ですかね?』

『友達じゃないの?』

『友達です!!』

『じゃあいいじゃないか』

『そっかぁ…』

 

何故か後半イツキが押されて一緒に住むこととなったが、とにかくファリンの提案で衣食住を自分で安定できるまでという条件で一緒に住むことに。

 

「それじゃあ早速なんだけど、これからの方針について話そうと思う」

「うん」

「はい」

 

三人は移動し、近くにある大衆食堂でライオスを中心に家族会議(部外者一名)が始まる。

 

「これからイツキのことを養っていく…というのは、正直いって経済的にかなり厳しい。つい先日金剥ぎをやめたばっかりだから」

「それはもちろん、おれも働きます。ところで金剥ぎってなんですか?」

「この島にある迷宮…ダンジョンは、昔は金で覆われていたんだ。それをひっぺがして売るやつのことだよ」

「ダンジョン…!」

 

ダンジョンという単語を聞いて目を輝かせるイツキ。それにライオスは答える。

 

「そう、ダンジョンだ!ぶっちゃけ俺たちが金を稼ぐのはあそこが一番手っ取り早い!ので!さらに仲間を集めて迷宮攻略をしようと思う!」

 

お〜、とファリンとイツキは拍手する。周りの客の反応は冷ややかなものだが。

 

「それで、俺は仲間を集めつつ日銭を稼ぐ。イツキは戦ったことあるか?」

「それが…足には自信があるんですけど、戦ったことなんてせいぜい子供のケンカくらいで…」

 

イツキはバツが悪そうに下を向く。ライオスはそんなイツキの肩に手を置いた。

 

「大丈夫。最初は誰だってはじめてのことはあるよ。それじゃあ、俺達がイツキを鍛えつつ、てのはどうだ?」

「鍛える、ですか?」

「ああ、こう見えて俺は多少剣術が扱えるし、ファリンは凄いぞ!いとも簡単に傷を癒すことが出来る魔法を使えるんだ!」

「も、もう兄さん…声大きいよ」

「魔法…!」

 

魔法という単語に再び目を輝かせるイツキ。ファリンはそんなイツキを見て穏やかに笑う。

 

「決まりだな。それじゃあ今後の方針は、俺は仲間集めとイツキを鍛えつつ日銭稼ぎ。ファリンは日銭稼ぎしつつイツキを鍛える。イツキは日銭を稼ぎながら鍛える!異論があるものは?」

「「異議なし」」

 

「よし!それじゃあ行動開始だ!」

「「おー!」」

 

そこからは怒涛の日々である。

 

ライオスは持ち前の体力で積荷を運ぶ仕事。イツキとファリンは酒場で接客や物運びなど。

 

修行に関してはライオスは意外にもスパルタ気味のものだった。兵士時代のものを真似たらしい。

 

「意外とついていけてるな、すごいじゃないか!」

 

「あ、あり、がとう、ございます……」

 

「じゃああとこれを三時間な」

 

「えっ」

 

ファリンからはノーム魔法を。

 

「つまり、ここをぶわーってやって、ぴたっ!ってやったら傷が治るよ」

 

「??????」

 

残念ながらファリンは教えるのが致命的なまでに下手くそだったため、医療所などでファリンの治癒術を見て学ぶことに。

 

酒場での仕事も重労働であった。主に酔っ払った相手を

 

「へへへ、姉ちゃんいいケツしてんねへへ…へぶっ!?」

 

「お触りは禁止ですお客様♡もう一発いかがですか?」

 

「イツキもうその人気絶してるよ」

 

「「((めちゃめちゃ重そうな蹴り入ったな…))」」

 

使命感に突き動かされた足癖の悪いイツキを止めるのが一番の重労働だったと、後に酒場の主人は語る。

 

 

 

そんな生活が続き、半年程立ったころ。

 

 

 

「そろそろ仲間を集めて迷宮に潜ろうと思う」

「いよいよですか」

 

大衆食堂に三人で朝食を摂っていたとき、ライオスから発言が始まる。

 

因みに、イツキは和食で焼き魚に味噌汁とご飯。ライオスはローストビーフにサラダにパン。ファリンもライオスと同じものを食べている。

 

「そこでなんだけど、仲間を集める前に三人で迷宮に行ってイツキに迷宮がどんなものか知ってほしいんだ」

「三人だけで…大丈夫なんですか?その、おれ足ひっぱるんじゃ…」

「地下一階なら大した魔物は出ないし、人も多いから大丈夫だよ。それにイツキはよくやってるよ。まだ子供なのに剣術は筋が良いし、魔法だってこの前自分で患部を治してたじゃないか」

 

ライオスから褒めちぎられイツキは照れくさそうに笑う。そんなイツキの頭にファリンが手を置いた。

 

「うん、イツキ凄いよ。私治癒術に関しては全然説明出来なかったのに、ちょっと魔導書を見たら凄く分かりやすく説明出来るようになったもんね」

 

それは貴女が治癒術の練度に比べて教えるのが下手くそすぎるだけでは。という言葉をどうにかイツキは飲み込んだ。

 

「そんなイツキに…じゃん!プレゼントがあるよ!」

「え?」

 

ライオスは両刃の直剣を、ファリンは外側が黒で中が赤い色の外套をイツキに手渡す。

 

記述し忘れていたが、イツキの今の格好は鍛錬に耐えられる頑丈な革製の防具。それをプールポワンと呼ばれる本来鉄鎧の下に着るものの上に着けており、下はボトムにロングブーツである。

 

色が革鎧以外黒で統一されてたりグローブが指部分が全部空いてたりするのは完全にイツキの趣味である。

 

「これ、俺とファリンで選んだんだ。なんでも魔法を……なんだっけ?」

「魔法発動の補助にも使える剣だよ。ほら、ここの装飾がそれになってるの。剣と魔法を使うイツキにぴったりなんじゃないかって」

「あ、ありがとうございます!!……因みになぜ外套を?」

「黒一色じゃ味気ないかなって。イツキ好きでしょ?こういうの」

「大好きです!」

 

さっそく外套を装備する。しかし身長が足りないのか裾が地面に着いてしまった。

 

「ほ、ほら!イツキまだ身長伸びるだろうし。大きめの買っといたんだ!」

「伸びるとイイデスネ」

 

かくしてイツキの装備が外套以外揃ったところで、迷宮攻略の装備に3人とも整え、迷宮の前へ辿り着く。

 

迷宮に挑むにあたっての手続き等は多少手間取ったものの、イツキの様な戸籍不明の冒険者は多い。良くあるということで不問とされた。

 

「ここが…ダンジョン…!」

 

喜びと焦りが抑えられないイツキ。ライオスとファリンは初めて迷宮に来た自分達を思い出して少し微笑んだ。

 

「じゃあイツキ、ダンジョンについておさらいだ。ダンジョンには魔物や罠が蔓延っているが、最大の特徴は?」

「…死した者達を甦らせることができる、ですか?」

「そう。確か蘇生魔法もファリンから習ったんだっけ?」

「はい」

「じゃあもう一個確認。イツキが今使える魔法は?自分の手札を確認するのも大事だ」

「はい。[回復魔法]。[属性付与魔法]。[蘇生魔法]。[防御魔法]。[帰還魔法]の5つです。帰還魔法はまだ未熟で…このスクロールの補助が無いと出来ないです」

 

「それじゃあ次は持ち物の確認ね」

「はい」

 

イツキは背中にあるポーチに魔力を回復するポーション。換えの衣服。医薬品と食料、そして前の世界で使っていた水筒があるのを確認した。

 

次に、足に付けているレッグポーチには上記の魔法スクロール。ナイフや手持ちの望遠鏡にメモ帳などが入っているのも確認した。

 

「大丈夫です!」

 

「よし。今回は1階、調子が良ければ2階の入口に行くから食料を使うことは無いと思うけど、これがイツキのいつもの装備ってことで覚えてくれ」

 

「はい」

「よし…それじゃあ行くぞ!」

 

「「おう!」」

 

3人で階段を降り、最初に目に付いたものは

 

「…結構、というかかなり人で賑わってますね」

「一階だからな。商人や初心者から上級者まで、人の往来が一番多い階層だよ」

 

メリニの迷宮は元は墓場であり神聖な場所だったが、迷宮に繋がってからはメリニで一番人の賑わいが多い場所となった。

 

「ここらの魔物で一番楽なのは…歩き茸だな」

「キノコ…歩くんですか?」

「歩く、なんなら走る」

 

イマイチ想像つかない魔物にイツキの頭の中が一瞬宇宙に呑まれるが、まぁファンタジーだしそういうこともあるか。と頭を切り替えた。

 

「ここらは人が多いから、少し離れた場所に行こう」

 

大広間から少し離れ、2階の階段へ続く通路を歩いていると、分かれ道の影から小さい影が飛び出した。

 

「あるききのこ が あらわれた !?」

 

「出たぞイツキ、さぁ鍛錬の成果を!」

「はい!」

「頑張って!」

 

イツキは左の腰に携えていた直剣を抜き頭と同じ高さに構え前へ突き出す。そこで魔法を唱える。

 

「[炎属性付与]…せいっ!」

 

炎を纏った剣を歩き茸に振り下ろす。歩き茸は機敏な魔物ではないため、これに斬り燃やされる。鳴き声を上げるでもなく歩き茸は絶命した。

 

「よ、よし…!」

「まだだイツキ!更にもう2体!」

 

見ると斃れた歩き茸の背後にもう2体の歩き茸が。同族を殺された怒りか、歩き茸は走ってイツキに襲いかかる。

 

「せいっ!やぁっ!」

 

下から上へ。上から下へ。流れるように炎の剣で2体の歩き茸を切り伏せる。

 

「よぉし!」

「イツキ危ない!」

 

歩き茸を斃した油断。そこを突くように壁の穴から大サソリが現れイツキに襲いかかる。

 

ファリンは咄嗟にメイスを構えるが、ライオスに止められる。

 

「兄さん!?」

「大丈夫」

 

見ると大サソリの毒針はイツキの防御魔法によって防がれていた。

 

「よっ…と!」

 

無防備になった大サソリの上から炎の剣を突き刺す。金切り声を上げて大サソリは息絶えた。

 

「ふぅ…っ。よし!」

「うん、十分戦えるじゃないか!」

「イツキすごい!」

「へへへ…」

 

照れくさそうに笑うイツキ。しかし冷静にライオスは咎める。

 

「でも大サソリ程度に防御魔法を使ったら下層まで魔力が持たなくなる。回避か、剣での防御が好ましかったかな」

「はい、精進します」

 

そこで、イツキはチラリと歩き茸を見ておもむろにナイフを取り出して歩き茸をスライスした。

 

「…イツキ?どうしたの?」

「あぁ、いえ。斬った感じ……やっぱり、歩き茸って縦に切れやすいですよ。本物の茸みたいに」

 

縦に軽く切れ込みを入れた歩き茸は少し力を入れただけで簡単に裂けてしまう。

 

「そうか…当たり前だが歩き茸もキノコだもんな…!気付かなかった!じゃあ茸と同じで交配も菌なのかなぁ前見た時生殖器は見当たらなかったし、それじゃあホコリっぽい菌でもないし菌糸が伸びるタイプか…?」

 

はーほーふーんと過去一テンション高く歩き茸を観察するライオスに少し引きながらも、イツキは剣を元の鞘に戻し一息つく。

 

「それにしてもキノコだなんて言うから食べられるかと思ったんですが、よくよく考えたら毒があるかもしれないから無理ですよね」

 

その場の空気が凍り付いた。

 

ライオスはとんでもない顔でイツキを見つめ、ファリンは驚いた顔でイツキを見つめている。

 

「…えっ?な、なんかマズイこと言いました?」





飛んだ半年のストーリーもそのうちやりたい。

ダンジョン飯の原作読んでも設定集見ても魔法の詳細があんまし載ってなくて名前とかが分からなかったので、この小説上で主人公などが使う『魔法』の名前だけを他原作のゲームやアニメから流用する?しない?名前だけなので急にかめはめ波撃ったりはしないです。

  • する(名前だけそれっぽいの)
  • しない(なんかそれっぽい記号)
  • オリジナル(どうあがいてもチープになる)
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