異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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アニメ24話終わった…………二期制作決定!!はよ……はよ……


第三十三話『ファーストアタック』

「ふうん…そして、私たちの国に呼ばれた、と?」

「はい」

「若いのに苦労してんだなーお前」

 

シスヒスに椅子に座る様促され言われるがままこの世界に来てからのことを粗方話していく。

 

イツキのすぐ右隣に変なことを言い出したら即止めるためパッタドルが。イツキの左、というより顔自体イツキのすぐ隣、少しずらせば頬同士くっついてしまうような距離にシスヒスはいた。

 

イツキの膝に手を置き、妖しく微笑みながらイツキの目を見つめ、シスヒスが何かを話す度に不思議な甘い香りがイツキの鼻腔を刺激する。

 

シスヒス。カナリアの交渉役である彼女が異性相手に交渉あるいは尋問するときは大体この距離である。

 

しかしイツキ自身多少ドギマギしながらも『すっげぇ近いなこの人…』くらいにしか思ってないのは、この国に来てから女王で鍛えられた成果なのかもしれない。

 

「シスヒス、貴様いい加減離れろ。来訪者殿は女王様の来賓客だぞ。無礼をすればどうなるか分からん貴様ではないだろう」

 

パッタドルがシスヒスを睨むも、シスヒスは何処吹く風という顔だ。

 

「それで…女王に例のネックレスを貰ったのね?」

「ええ、はい。これです」

 

イツキは服の下に隠していたネックレスを取り出す。そして知っていたパッタドルとシスヒスとミスルン以外は苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「うわすっげ、マジじゃん。お盛んだねぇ女王も」

「隊長、あれ見たことある?」

「無い」

 

初めて聞いたミスルンの声。底冷えするような重厚な声。

 

「そういえばイツキ殿。前話した転移術を戦闘に用いる人物というのがミスルン隊長ですよ」

 

イツキはパッタドルの話を聞いて納得した。確かに、彼なら使いこなすことができるだろう。

 

パッタドルとミスルン以外は『イツキ殿?』と思い後で存分に揶揄ってやろうと心に誓った。

 

「ミスルンさん、が」

 

イツキはミスルンの顔を見る。名前を呼ばれたミスルンもまた、イツキの顔を見る。そしてミスルンは立ち上がり部屋から出ようとする。

 

「あれ、隊長どこ行くの?」

 

「戦るんだろう」

「……え?」

 

脈絡が無い会話。しかし、イツキはミスルンから目を離せなかった。ミスルンは無表情のまま、イツキに話しかける。

 

「顔に書いてあるぞ」

「た、隊長?」

 

ミスルンは欲が無い。無い故に過程を無視して直接仕掛ける。

 

イツキは口角をひくっ、と上げる。バレていた。

 

カナリア隊。正式名称を迷宮調査隊。迷宮が一定の危険度を上回ったら調査及び鎮圧を目的とする。要は現在のライオス一行の大先輩にあたる。

 

数々の魔物を打ち倒してきた。なんなら腹にも収めた。自信も付いた。頼れる仲間がいるから。

 

それでも、試してみたくなった。自分がどこまで通用するのか。

 

それは、力を手に入れた男の子なら誰しもが思うことだ。

 

「はい」

 

イツキはミスルンの後を追おうとするも、パッタドルに止められる。

 

「お二人とも!ダメですそんな危ないことは!」

「引けないんだろー、男ってそういうとこあるよな」

「隊長多分何も思ってないぞー、ただ要望に答えただけで」

 

パッタドルは慌てて考える。まさかイツキがここまで好戦的とは思わなかった。実際そこまで好戦的では無いが、一度そんなことを考えてしまったらやらずにはいられなかった。

 

あれよあれよとあっという間に二人は表の模擬戦場へ。

 

ミスルンは普段の隊服。イツキは上着を脱いでシャツだけとなり、袖を捲る。

 

ミスルンは戦闘スタイルの都合上徒手空拳。イツキは木剣を持つ。

 

「あーもう…!二人とも殺傷力の高い魔法使いなんですから、魔法は禁止ですからね!!」

「あ、パッタドルさんこれ預かっといてください」

 

イツキはパッタドルの正面に立ちネックレスをかける。ピタっっとパッタドルは固まった。

 

「んじゃ〜相手に一撃加えたら勝ちってことで、始め!」

 

固まったパッタドルの代わりにオッタが合図を出す。すかさず攻めるイツキ。

 

ミスルンは足を少し開いて腕をちょっと上げているだけでそこから動かない。舐められているのだろう。

 

イツキはミスルンの前で急停止。木剣で地面を抉り砂を撒き散らす。

 

「汚ねっ!?」

「いや、特に制限は付けてないしその程度隊長が予測してない訳が無い」

 

撒き散らされた砂煙で前方が見えなくなるミスルン。そして、正面から突きの状態で木剣が見える。ミスルンはそれを見てから回避、しかし肝心の持ち主はそこにはいなかった。

 

砂煙から回り込んでミスルンの右隣へ。それは義眼である彼の死角。

 

イツキは姿勢を低くしてから腹部目掛けて蹴りを放つ。

 

砂煙、死角攻め。普通の人間ならこれで決着がつく。

 

しかし、相手は中央国直属迷宮調査隊(カナリア)隊長。その程度では動じない。

 

「なっ…!」

 

死角で見えない状態で足を掴まれ防がれる。掴まれたと思ったイツキはもう片方の足で跳躍し横回転。ミスルンの手からイツキの足が離される。

 

しかしそれは悪手であった。ミスルンは身体をくねらせて正面に着地したイツキの顔面に長い足で回し蹴りを食らわせる。

 

イツキの蹴りとは比べ物にならない重く素早い蹴り。すんでのところで両腕でガード。しかし既にミスルンはもう片方の足で跳んでいた。

 

結果、顔面にドロップキックをモロに食らったイツキ。

 

数メートル吹っ飛んで地面に無様に転がった。

 

「はい終わりー」

 

リシオンが試合終了の合図を出す。パッタドルは慌ててイツキに近付こうとするも、シスヒスに止められる。シスヒスを睨むパッタドル。

 

「なにを…!」

「彼、もう立ってるわよ」

 

もう一度イツキを見るパッタドル。そこには既に立って鼻血を出しながら立っているイツキが。

 

「もう一回お願いします」

「ああ」

 

イツキは鼻血を出し切ってから回復魔法を掛ける。視界がクリアになった。

 

フレキは拾った木剣をイツキに投げ、それをイツキはノールックでキャッチした。

 

「ありがとうございます」

「気張れよ〜ガキンチョ」

 

「はい、始め!」

 

パッタドルの制止が入る前にオッタは再度開始の合図。

 

今度はミスルンから攻める。イツキは木剣を構えミスルンの拳を受け流す。もう片方の腕でミスルンの攻撃。木剣から片手を離し拳を腕で流す。

 

イツキは木剣の柄頭部分で少ないモーションで攻撃。

 

ミスルンはそれを下から拳で柄を弾く様にして回避。そう来ると思ったイツキは弾かれた力をそのまま利用し少し下がって剣を逆手持ち。柄頭に手を添えて一気に突く。

 

しかしミスルンはそれも見てから回避。尋常ではない反射神経と戦闘継続力。

 

ミスルンは突くために前のめりになっていたイツキの右足を払う。モロに食らったイツキは地面に倒れ、そのままミスルンの蹴りを顔面に食らう。

 

「隊長容赦ねーな、顔面しか狙ってねーぞ」

「そりゃそうだ、おままごとやってんじゃない。一番戦意を削る方法で攻めてるんだろうさ」

 

ミスルンは少しイツキから離れる。

 

「まだやるか?」

「もちろん」

 

それでもイツキは立ち上がる。

 

その後二十回程ミスルンに挑むも、いずれ全てミスルンの完勝で終わった。

 

「はぁーっ……はぁーっ……クソっ……」

 

イツキは地面に大の字で寝っ転がっている。いくら治したからといっても怪我とその治療で疲労は蓄積されていく。

 

「十三回目の蹴り。速かったな。危なかったよ」

「そりゃ……どうも……!」

 

ミスルンはふらふらと足元がおぼつかない。汗も流れており息を切らしている。しかし無表情のままだ。

 

「あ、隊長。ちょっと休憩しよ。ふらついてる」

「ああ」

 

リシオンはミスルンを連れて建物へ戻って行った。パッタドルはイツキの傍へ。

 

「イ、イツキ殿。大丈夫ですか?」

「プライド以外は無傷です」

 

イツキは立ち上がり顔面を治す。メキメキという音と激痛が走るが涙は流さなかった。

 

「まぁーあそこまで隊長に動かせただけ及第点でしょ」

「八つ当たり用の藁人形をご用意しましたよ来訪者殿?」

 

フレキがニヤニヤしながら近くに藁人形を置いて下がる。

 

イツキはそれに全開の魔力で力を込めて裏拳をかます。炎の拳を受けた藁人形は消し炭となった。

 

「ははは!それアリだったら善戦出来たかもな!」

「まあそうなったら隊長の転移術で手も足も出ないのがオチだろ」

 

「次は勝ちます」

 

パッタドルからネックレスを掛けてもらい、イツキは上着を着る。その目は吊り上がったままだった。

 

「うふ、うふふ、ふふふふふふふ」

 

不気味に笑い出すシスヒス。軽く引いたオッタは距離をとった。

 

シスヒスはイツキに近付いて話し出す。

 

「イツキ。貴方いつまで国に滞在するの?」

「え?……さあ、特に予定は無いですね。ヘイメアさんに色々話して…ヘイメアさんが満足したら?」

 

「そう……ねぇ、貴方」

 

 

「カナリアに入らない?」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

オマケ。

ダンジョン飯ワールドガイド冒険者バイブル風

【冒険者の人物関係】*1

 

【メリニ編】

 

イツキ↓扱いに困ることがある恩人。

ライオス↑はじめての弟子。良い子。

 

イツキ↓命の恩人。尊敬する師匠。

ファリン↑はじめての弟子。可愛い名誉弟で好きな子。

 

イツキ↓魔法で教わることが多い。尊敬する魔法使い。

マルシル↑良く学び印象は良い。イイね。

 

イツキ↓上手く人生を歩む人。熱い人。

チルチャック↑良いやつ。怖い時が多々あるため目が離せない。

 

イツキ↓尊敬する師匠。不器用な人。

シュロー↑初弟子。人間性を尊敬している。

 

イツキ↓装備を相談すると長い。もちろん感謝はする。

ナマリ↑マメで良いやつ。足が良い。

 

イツキ↓良き相談相手。魔物食を教えてくれた恩人。

センシ↑食わせねば…

 

イツキ↓歳の近い異性なのにめちゃくちゃ距離近くて困る。困らない。

イヅツミ↑寝相が良いし暖かいからよく布団に入る。好きなのは好きだがLoveなのかLikeなのか未だに分からない。モヤモヤする。

 

イツキ↓可愛い女の子。包容力もあり良いお嫁さんになると思う。

イヌタデ↑初めて女の子として扱われた。憧れの男の子。

 

イツキ↓母性を感じつつもカッコイイと思う。男装が似合ってた。

マイヅル↑子供がいたらこんな子なら文句は無い。

 

イツキ↓カッコイイ女性。シュローさんが好き?

ヒエン↑危なっかしい子。シュローは主だ。

 

イツキ↓化粧がとても上手い。よく教わっている。

ベニチドリ↑自分の悪癖の理解者。

 

イツキ↓友達。表情を作れて凄いなぁと思う。

カブルー↑友達。人たらし天然記念物。

 

*1
原作キャラから原作キャラへの人物関係を知りたい人は『ダンジョン飯飯ワールドガイド冒険者バイブル』を是非購入しよう!定価1.900円(税別)だ!

 

追記。どうやら完全版が発売される前、つまりダンジョン飯が連載中に発売した通常版ワールドガイドもあるらしい。気をつけよう!

今回のオマケみたいなのこれからいる?本編じゃなくて後書きにチョロ書きの方がいいのだろうか

  • いる。本編でいい
  • いらん
  • いる。でも後書きにほしい
  • ミスルンを最初女性と勘違いした人
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