良ければ前話のコメントとここすきをお願いします。
コメントもここすきも自分にとってはかなりモチベに関わる重要な要素であり、される分だけテンション上がります。
がんばれハーメルン…おまえがナンバー1だ!!
「んじゃあ改めて、カンパーイ!」
「「「カンパーイ!」」」
メリニにある酒場、数多の冒険者が一攫千金を夢見て迷宮へ訪れ、その傷を癒すために訪れる。
人種も性別も様々だ、そしてひときわ注目を集めているテーブルが一つ。
「改めて、お久しぶりです皆さん」
少年の名は真島イツキ。異世界からの来訪者である。一年前に比べるとかなり髪が伸びて、髪の後ろは一つに束ねた三つ編みになっている。
「あっちはどうだった?」
ハーフフットの男性。チルチャック・ティムズ。容姿こそ変化は無いが、どうやら奥さんとヨリを戻せたらしい。
「うーんと…色々魔法覚えたよ?詠唱も速くなったし」
トールマンの女性。ファリン・トーデン。髪を短めのポニーテールの様に纏めてメガネを掛けている。
「ほんっと…色々あったけど終わり良ければ全て良しだね」
ハーフエルフの女性。マルシル・ドナトー。イツキとファリンの髪型は彼女がほぼ毎日コロコロ変えているので固定の髪型は無い。
「俺はとても充実した一年だったよ。センシと色んな魔物を観察して…食べて…あまり深い深度までは行けなかったけど」
トールマンの男性。ライオス・トーデン。このパーティのリーダーである彼はホクホクした顔で本を取り出した。
「なんだそれ?」
ドワーフの女性。カーカーブルードのナマリ。借金が帳消しとなり冒険者業をほぼ引退したが、イツキの帰還により復帰。タンス夫妻の養子であるカカとキキとなにやらただならぬ関係らしい。
「ああ、俺とセンシが出版した『食べられる魔物大全』だ!大全って言ってもそこまで種類は無いんだけどな!」
「意外と需要があるのか物珍しさからか、そこそこ売れておるらしいぞ?」
ドワーフの男性。センシ。この一年ほぼ迷宮から出ずライオスやライオスが連れて来たその時その時のメンバーで迷宮を探索。結果、彼は魔物食の第一人者として密かに噂されている。
「止めたんだがな…無駄だったよ」
和服に身を包んだトールマンの男性。シュロー。本名を半本俊朗。主にライオス達と迷宮を探索、剣の腕にはますます磨きが掛かったそうだ。
イツキはライオスとファリンに挟まれる様に座っており、蒸留酒を一口。
「イツキ、向こうでの暮らしはどうだった?」
「順風満帆な日々でしたよ。カナリアの人達にも随分とお世話になりました」
「うん。イツキとマルシルと一緒に魔法の勉強したり…」
「はい、訓練の方も…………」
思い出されるミスルンのよる情け容赦無い訓練の日々。
『えっ素手でゴーレムを倒すんですか?』
『えっ魔法無しで滝を登るんですか?』
『えっとりあえず崖から落ちるんですか?』
『えっ一人で敵対した亜人の群れに突っ込むんですか?』
『やれ』
『はい……』
一応。女王による『イツキを無事に返す』という制約があったためミスルンはいつでも転移術で回収出来るようには身構えていたが、イツキ本人は気が気では無かった。
「あばっはばわづはぱづぱばばばばば」
「イツキどうした!?」
「えいっ」
ファリンはポカッ☆とイツキの頭を叩いて正気に戻す。精神状態異常治癒魔法である。嘘である。
「という訳で、順風満帆な日々でしたよ」
「いやウソつけ」
チルチャックは呑んでいた酒が入ってるジョッキを置き、頬杖をつく。
「そういや、島主からの伝言。『引き続き迷宮調査を頼む』だとさ。俺らが封印処置した魔法陣がちょこちょこ解かれてるらしい」
「狂乱の魔術師によるものでしょうね」
「じゃあ、次はいつ行く?」
話し合いの結果、明後日から迷宮調査を再開する事となった。
「イツキ!」
そこで、酒場の戸が開かれる。入ってきたのはカブルーとその一行だった。
「カブルーさん!お久しぶりです!」
「全く君って人は!手紙の一つも寄越さないなんて!」
「あー…ほぼ毎日気絶した様に寝てたんで、完全に失念してました…」
「ライオスさん達からエルフの元へ残ると聞かされた時は終わったと思ったよ、ホント…」
「よっ、イツキ。五体満足でなによりだぜ」
「ガウ」
「久しぶり」
「お久しぶりです!」
上からミックベル。クロ。ホルム。ダイアの順番でイツキと顔を合わせる。
「なんだ、無傷だったのね」
「リンシャ……」
「大丈夫ですよホルムさん。リンシャさんも、お久しぶりです」
「……ふん」
リンシャは不機嫌な顔で顔を逸らす。イツキとホルムはカブルーからリンシャは笑顔を不機嫌な顔で誤魔化す癖があることを聞いていたため、安心する。
「そういえば、義母には会ったのか?」
「会いましたよ。別にトラブルがあった訳じゃないですけど」
『吸わせてもらっていい?』
「……かなり強烈な人でしたけど」
「ああ……うん……」
全てを察したカブルーは何も言わなかった。
そして、またもや酒場の戸が開かれ入ってきた面々が。
「皆さん、お久しぶりです!」
「……久しぶり」
イヌタデとイヅツミだった。イヌタデは中央にいる間シスヒスから色々と女として何かを学んだらしい。
イヅツミはというと、イツキが座っている椅子の後ろにちょこんと身を隠す様に座る。
「ふふ、よしよし」
「ん……」
イツキはイヅツミの頭を優しく撫でる。イヅツミはそれに抵抗すること無く受け入れる。
それを見たチルチャックとマルシルが小声で話し出す。
「…え、なんかあったのか?あの二人」
「私も細かいことは聞いてないけど、イヅツミったら中央にいる間ずーっとイツキの傍を離れなかったの」
そこにファリンも混ざる。メガネにより目を細める必要が無くなったファリンはくりっとした大きい目を優しく細める。
「私知ってるよ。イヅツミ発情期に入ってイツキを襲」
「なんか言ったかファリン!!!」
獣人特有の聴覚でファリンが口走ったのを遮る。
「未遂で終わったんだからセーフだよ、セーフ」
「お前もさりげなく混ざろうとしたの忘れてないからな!」
「ファリン!?」
「未遂だからセーフだよ、セーフ」
「いやアウトだろ」
両手で真っ赤になった顔を覆うイツキの肩に、カブルーは手を置いた。
そんなイツキ達をイヌタデは優しい微笑みで見守っている。
「あれ、マイヅルさん達は?」
「ああ、俺たちが泊まっている部屋の整理をしてる。二人帰ってきたからな」
「そうですか…」
「心配せずとも、皆元気だよ」
かなり大所帯となったテーブル席に、一人のドワーフの男性が大きめのテーブルを持ってくる。
「おいイツキ。これ使え、狭いだろうが」
「マスター!お久しぶりです!」
ここは前にイツキとファリンが勤めていた酒場であり、彼はマスターと呼ばれる酒場の店主である。誰しもマスターとしか呼ばないため、いつの間にか彼の本名を知るものはメリニにはいなくなった。
「少し見ない間に貫禄ある顔つきになりやがって。足癖悪いお前を庇う必要はもう無さそうだな」
「あの時はお世話になりました…」
マスターはハッハッハ!と笑いながら去っていく。
その後、宴会はしばらく続いてから解散となり、イツキとファリン、そしてライオスは帰路に着いていた。
「こっちの夜も随分と久々に感じます」
「ね、たった一年しか行ってなかったのに」
「あっちは星空がやたら綺麗だったな」
しばらくして宿屋に着き、イツキは宿屋の店主と再会する。
「お久しぶりです」
「あらイツキ!戻ってきたってのは聞いてたけど本当だったのね。おかえりなさい」
「ただいまです」
「貴方の部屋、定期的に掃除してたから綺麗よ」
「え、そうなんですか?」
「向こう一年分の代金を送られたら掃除しない訳にもいかないでしょう?ほら、疲れてるでしょ。今日はもう寝ちゃいなさい」
「はい。おやすみなさい」
三人は階段を登り、イツキの部屋を見る。
「おお、ほんとに掃除されてる」
「なあイツキ、久々に三人で寝ないか?」
「私もそう思ってた」
「そうですね、賛成です」
三人はイツキの部屋にシーツと毛布を集め、川の字になる。真ん中をイツキに二人は囲む様に寝転んだ。
「また、皆で迷宮を探索するのが楽しみだよ」
「はい。おれも鍛えた技を見せるのが楽しみです」
「ふあ……おやすみ。兄さん。イツキ」
「「おやすみ(なさい)」」
さりげなくイツキを抱き枕にするファリン。ライオスもかなり近い距離で寝る。寂しかったのかもしれない。
イツキは多幸感に包まれながら、眠りについた。
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オマケ。ミルシリルとの邂逅。
イツキとパッタドルはとある屋敷の前に訪れていた。
「ここが、カブルーさんの養母さんの家…」
「はい。ミルシリル殿は元とは言えカナリアでも随一の剣術家です。隊長も良く褒めていました」
イツキは薄らぼんやり世紀末覇者みたいなエルフ女性を想像した。
「会うの怖くなってきました」
「大丈夫ですよ、とてもお優しい方ですから」
イツキは覚悟を決めてドアノッカーを叩く。少ししてから、中からエルフの男性が現れる。
「あ?トールマン?誰だよ」
「えと…真島イツキです。カブルーさんから何か聞いてたり…」
「イツキ………ああー、なんかミルシリルが言ったな…おーいミルシリル!客だぞー!」
「誰?」
「うおびっくりした、居たのかよ」
エルフの男性の背後からスっと姿を表したエルフの女性。彼女こそがミルシリルであり、カブルーの養母だ。
ふわふわな綿の服を着て両手にぬいぐるみを抱いた可愛らしい女性だ。
「ど、どうも。真島イツキです。カブルーさんとはお友達で…」
「貴方がイツキね!?」
「うおわっ!?」
エルフの男性とパッタドルは『またか…』と片手で顔を覆った。
「カブルーがお友達を紹介してくれるなんて初めてなの。うふふ、可愛い髪。撫でていい?撫でるわね」
「あ、あの……?」
ミルシリルはイツキを引き寄せイツキの頭を撫でまくる。
「はあ〜〜〜子供特有の細い髪。愛いわね……吸っていい?」
「ミルシリル殿!」
「え?……ああ、パッタドル。久しぶり」
そう言ってミルシリルはエルフの男性の後ろにサッと隠れる。
「お久しぶりです。今日はミルシリル殿に頼みがありまして」
「頼み?」
「はい。おれは今ミスルンさんのところで訓練を受けているんですが、剣術の訓練となるとミスルンさんが『剣術ならミルシリルを頼れ』と仰ってまして……ご迷惑でなければご教授願いたいです」
「……貴方も、生き急いで…ミスルンめ、あとでシバく」
ミルシリルは一瞬恐ろしい顔になったと思ったら、これまた一瞬で元の表情へ戻る。
「話は分かったわ。でも、条件があります」
「条件、ですか?」
「ヘルキ、みんなを呼んできて」
「へいへい」
「返事は『はい』で一回」
「は〜〜い」
「伸ばすな!」
ヘルキと呼ばれた男性は奥の部屋から子供達を連れてくる。計六人。いずれもトールマンの男女だ。
ミルシリルは子供達を優しく撫で、イツキを見る。
「この子達と遊んでほしいの。同じトールマンの貴方にしか分からないこともきっとあると思うから」
「それは……はい、是非!」
「良かったですね、イツキ殿!」
その後、子供達と大いに遊んだ後昼寝をし、その瞬間を見たミルシリルが鼻血を出しながら尊死した。
ちなみに、ミルシリルとの訓練はミスルンの訓練より過酷を極め、イツキはミルシリルの事が苦手になったのはここだけの話である。
Q.なぜファリンに眼鏡を?
A.いつぞやX(旧Twitter)で見た眼鏡掛けたファリンがどちゃくそ好みだったからです。