異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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ごめん!エルデンリング超面白かった!(まだ終わってない)


第四十話『ギガントミミック』

ライオス一行にイツキ達が復帰してから一ヵ月が経過──。

 

その間彼らが発見した魔法陣は合計二十三個。前回に比べると地形の変化などで進行スピードは落ちているが安定力は比べものにならない程上昇している。

 

現在一行は三階を探索中。ここは雰囲気こそ変わっていないものの、元々複雑で迷路の様な地形だった上地形が変化。センシ、チルチャックで地図作成しながらの進行となった。

 

「マルシル、止まれ。魔物の足音だ」

「これは………グールかな?」

 

ライオスは魔物の足音で種類を判別する特技があった。シュローとナマリがドン引きしながらも武器を構える。イツキも剣を構えた。

 

「どうしますか?」

「うーん…撃退で。今は地図を描きたいし」

「分かりました」

 

角を曲がった先にいるグール達に対しイツキとシュローが先制。二人の迅速かつ静かな行動にグール達は体温感知すらする余裕なく倒れる。

 

イツキは倒れたグール達を観察。どれもこれも、蘇生が不可能なほど欠損したり腐ってしまっている。

 

「おれ達より先に来てた冒険者、結構いたんですね」

「そうだな。しかし、ここで大勢の冒険者達が命を落としたのだろう」

 

イツキはグール達にゆっくりと纏わせる様に炎を展開。全てのグールに炎が行き渡ると、イツキは剣を収め手を合わせた。シュローも同様に手を合わせる。

 

冒険者がグールへと成り果てたり、迷宮で何かしらの理由で行方不明になった場合、捜索願いが出されることはしばしばある。しかし、今回捜索願いは無い。彼らの事情は知る由もないが、彼らを探している人はきっといない。

 

「特殊個体の討伐。魔法陣の封印による多額の報酬。そして未だ発見されていない宝の発見に目が眩む冒険者は未だ数しれない。この先も、どんどんこの様な事は続くだろう」

「早く、迷宮を攻略しないとですね」

「……そうだな」

 

イツキは中央にいる間、カナリアが過去攻略した迷宮に訪れる機会があった。そしてそれらの元迷宮の主とも出会っている。

 

『私には彼しかいなかったの……』

『彼女におぞましく思われても、俺は…俺は…』

『迷宮では全能の力を持っていた。しかし今では…』

『金塊…金、かね…どこに、行ってしまったんだ』

 

彼ら彼女らが迷宮の主となった理由は様々だ。愛。金。力。

 

そして、それらを誘惑した『悪魔』の存在。

 

それがどんな生き物でどんな生態をしているかは分からないが、イツキにとって悪魔は危険かつ恐ろしい存在として記憶された。

 

「…イツキ」

「はい?」

「……いや、すまん。なんでもない」

「?…そうですか」

 

シュローはイツキがカナリアとして中央に行くのだろう。そう思った。正義感が強い彼らしいとも思った。

 

しかし、心のどこかでこの子には平穏を歩んで欲しいとも思った。アセビやイヌタデ達と共に。だがシュローは口にはしなかった。優しい彼の事だ、きっとその選択肢も入れ悩み続けると思い軽率に口に出来なかった。

 

一行はその後探索を続行。数々の特殊個体とも遭遇する。

 

『アイアンゴーレム』

 

「鋼で出来たゴーレム!?ありえるのか、マルシル!」

「見たことないよあんなの!」

「全身鋼でも関節部に攻撃が通る筈だ!肘とか膝とか狙え!」

「あれでは農作できんの」

「ですね」

 

『餓者髑髏』

 

「なんだあの巨大スケルトン!?」

「「カッコイイ!!」」

「言ってる場合ですか二人とも!」

「カルシウムが豊富だったのだろうな」

「そこかな……」

 

以上二体の特殊個体と遭遇。いずれも撃退、魔法陣を封印した。

 

「四階への階段見つけたけど…どうする?」

 

全員階段の前で思案する。体力や道具の消耗的には問題は無いが、三階全てを回った訳では無い。

 

「とりあえず、今日は三階に集中しよう。四階以降は次の探索に後回しだ」

「了解」

「分かりました」

 

ひとまずライオスの提案で三階を再び探索する事に。しばらく地図を作成しながら歩き続け、最後の部屋へと辿りついた。

 

「なんか仰々しい扉だな」

「三階にこんな豪勢な扉…罠や魔法のチェックを頼む」

「はい」

 

チルチャックで罠チェック。イツキ、ファリン、マルシルで魔術式のチェック。いずれも問題は無し。

 

「鍵は掛かってない。開けるぜ」

「ああ、頼む」

 

一行全員武器を構える。そして扉が開かれ、開けた場所に出た。

 

「…ひろい、な」

「…ですね」

「…とりあえず、あれについてツッコんでいいか」

 

広い部屋の奥に、豪華な宝石や金で装飾された重厚感感じるいかにもな宝箱がある。しかし、様子がおかしい。

 

「……デカすぎだろ、100%ミミックじゃねーか」

 

それは宝箱というにはあまりにも巨大で歪だった。具体的に高さはライオス二人分で横幅は四人分だ。

 

「ライオスさん、どうします?」

「うーん…あの宝箱の裏に魔法陣がありそうな気がするし…マルシル、なんか魔法ぶつけてみてくれ」

「私!?」

 

マルシルは渋々ながらも杖を構え、魔法を詠唱。

 

「『ᛖᛪᛈᛚᛟᛋᛁᛟᚾ(爆発魔法)』!」

 

魔法は勿論命中。そして、ギギギと異音を鳴らしながら宝箱が動き出す。

 

「やっぱミミックか!」

「(どうやってこの部屋入ったんだろう)」

 

宝箱が開き、中から巨大な蟹の様な足が出てきてひっくり返る。そしてヤドカリの様に宝箱を背負いその姿を顕にした。

 

「毛ガニみたいですね」

 

ミミックの足やハサミにはびっしりと細かい毛が生えていた。

 

「キモッッッ!!??」

 

思わず絶叫したマルシル。暴言を吐かれたと察したかは定かでは無いが、ミミックの巨大なハサミの内右側、より大きなハサミをマルシルに向かって襲いかかる。

 

しかし、前にいたライオスの盾による防がれる。ハサミに挟まれた盾はけたたましい音を出す。

 

「ぬぐ…凄い力だ!やはりカニと言ったらそのハサミが最大の攻撃か!」

 

ライオスが防いでる最中、イツキとシュローはミミックの正面に躍り出る。すかさずミミックがもう片方のハサミで攻撃するも、センシが斧を噛ませて防ぐ。小さい方のハサミだったのでなんとか耐えるも、それでも大きいハサミによって斧はどんどん形が変わっていく。

 

「むう…!長くは持たんぞ!」

「任せてください!」

 

シュローが先行。それをイツキはミミックの目線を炎で覆い援護。ついでに顔面を燃やす。ミミックは慌てて泡を出して消火を試みるも、炎の勢いは増すばかりだ。

 

「そこだ!」

 

シュローは実家で夕飯の毛ガニを処理するマイヅルを思い出した。マイヅルはあの時カニの目と目の間の下、所謂ふんどしと呼ばれる場所に鉄針を突き刺して締めていた。

 

シュローはそこに刀を突き刺し、思い切り捻る。

 

ミミックは奇声を上げて暴れ回るも、シュローは刀から手を離さない。

 

トドメに更に捻ると、ミミックは一瞬硬直した後、絶命する。

 

チルチャックは安堵から尻もちをついたライオスに声を掛ける。

 

「ライオス、大丈夫か?」

「ああ…凄い力だった。見てくれ、こんなに盾がひしゃげちゃってる」

 

そこにはミミックのハサミによりもはや原型を留めていない盾の姿があった。

 

「うわ…こりゃ生身で食らってたらひとたまりもねぇな…」

「センシさん、手を」

「助かる」

 

イツキはセンシに手を貸し起こす。センシは絶命したミミックに近付き品定めを始める。そんなセンシにライオスは声を掛ける。

 

「イケそうか?」

「ふむ…ここまで巨大なミミックとなるとちと大味かもしれんが…まあなんとかなるだろう」

 

センシはミミックの解体作業に入る。自慢のミスリル包丁でミミックの手足をスパスパ切り分けていく。

 

「凄い厚さの殻だの」

「ここまで大きいと鍋に入りませんね」

「茹では無しか…あれが一番素材の味を楽しめるんだが…」

 

センシの鍋にすら入らない足やハサミ。センシは露骨にガッカリしているライオスを置いといてハサミに添えられているイツキの手をじっと見つめる。

 

「ど、どうかしました?」

「イツキよ、殻の中の身を殻を壊さず焼く事は出来るか?」

「あー…どうでしょ、やってみます」

 

イツキは大きなハサミの切り口にじっくりと炎を通していく。ゲンナリとした表情でマルシルがボヤく。

 

「凄い良い匂いしてきた…」

「まるっきりカニだなこれ」

 

ひとまず、ミミックのハサミの丸焼きが出来上がった。

 

「じゃあ、イツキから」

「いただきます」

 

イツキはハサミの身をナイフでこそぎ取る。ナイフの上に乗ったぷりぷりの身に醤油をかけて一口。

 

「ど、どう?」

「すごい……」

 

イツキはボソッと感慨深く呟く。ライオスがイツキの肩を掴んでゆさぶる。

 

「すごいって、どうすごいんだ!?」

 

辛抱たまらずライオスもどこからともなく取り出したスプーンで身をほじる。そして一口食べ、ゆっくりと咀嚼する。そしてその動きを止めた。

 

「に、兄ちゃん…?」

 

テンションが上がって昔の呼び方に戻ったファリンが兄の様子を伺う。

 

美味いっ!!

 

「ひゃあっ!?」

 

顔の近くでいきなり大声を出されたファリンは尻もちをついてしまう。優しくナマリが手を貸し起こした。

 

「なんだこれ…!身はぷりっぷりなのにジューシーで噛めば噛むほど味がする…!!これに比べると港で売ってるカニはカスだ…!」

「言い方悪いですよライオスさん」

 

急に他者下げ論法を繰り出したライオスをイツキは咎める。

 

「ホントだ、すっごい美味しい!」

「こりゃ無限にイけるな…!」

 

いつの間にかミミックの身を食べているファリンとチルチャック。他のメンバーもたまらず続く。

 

「ふむ…焼きも良いが、ちと手間を掛けたいの…」

「あ、じゃあカニクリームコロッケとかどうです?材料はありますよ。残念ながら白ワインはありませんが…」

「でかした!」

 

「白ワインあると美味しいの?」

「コクが増すって、食堂の人に聞いたことがあります」

 

センシは受け取った材料でパパっと調理し皆に配る。玉ねぎ少なめミミックの身ぎっしりのカニクリームコロッケだ。

 

「はふ、うん。美味い!」

「興が乗ってきたわい!他にはどんな調理を…!」

 

その後、かにたまやカニの身を使ったパスタ、〆にカニ飯を作り大満足の一行であった。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

オマケ。展開上入れられなかったチェンジリング編。

 

ライオス一行はとある日迷宮へ潜り、全員が熱を出して寝込んでしまった。幸いにも拠点にしている休憩所の周りに魔物の気配は無い。

 

「う、う〜ん………ハッ!?なぜ三途の川にライオンが!?」

 

変な寝言と共に起床したイツキ。周りは暗く、灯りを付けなければ隣の人の顔すら分からない。

 

「みんな、大丈夫ですか?」

「な、なんとか…」

「イツキ、灯りを点けてくれ」

 

イツキは照明魔法を展開。あっという間に部屋は優しい炎の灯りで包まれる。

 

「なんか、服がキツイような…」

「あれ、なんでこんなブカブカに…」

 

違和感。自分の手や顔が小さかったり大きかったり……

 

「「「なんじゃこりゃ!!??」」」

 

ライオス→コボルト

ファリン→ハーフフット

イツキ→エルフ

マルシル→ノーム

チルチャック→ドワーフ

ナマリ→トールマン

センシ→ノーム

シュロー→オーガ

 

「凄い、凄いぞ!!これが獣人の身体か!!」

「兄ちゃんズルい!」

「これが、エルフ…うわ耳長っ」

「ファリン可愛い…!!」

「か、身体が重い…!?」

「うわ、目線高っ!?」

「わしはあんまり変わってないの」

「体格ならそんなに…いや俺が変わりすぎなだけか?」

 

「うわああああ!?」

 

急に大声を出したイツキ。全員イツキに目線を合わせる。

 

「なんだ急にでかい声……だし、て……」

「イツキ、さん?」

 

急に敬称で呼び出したナマリ。無理も無い。今のイツキは…

 

「背、高すぎません!?」

 

今のイツキはエルフとなり身長は190cmをオーバーしていた。筋肉は少し見劣りするが、エルフ特有の切れ長の目に細い輪郭。そしてエルフを象徴する細長い耳。

 

「イツキくんかっこいいー…」

 

エルフとなり顔面偏差値が大幅に上昇した結果、元々そこまで素材は悪く無かったイツキの顔立ちは完全にイケメンのそれとなった。

 

「ふふふ、いつぞやのお返しが出来ますよ」

「わあっ」

 

イツキは小さくなったファリンをヒョイっと持ち上げ膝上に乗せる。

 

「これは気分が良いものですね」

 

ハッハッハ!と笑うイツキ。膝上に座っているファリンは小さい両手でイツキの頬に手を添える。

 

「イツキ、楽しそう」

 

にへっと笑うハーフフットファリン。その笑顔から放たれるマイナスイオン的超破壊力の奔流はイツキとマルシルの庇護欲をこれでもかと掻き乱した。

 

「「ファリン(さん)かわいい…」」

 

イツキとマルシルは二人でサンドイッチの様にファリンを抱え込んだ。髪を撫でたり頬擦りしたりする。

 

一方、チルチャックは外に走りに行こうとするライオスをどうにか食い止めていた。

 

「離してくれチル!獣人のスピードと体力を確かめたいんだ!!」

「今の状況でリーダーが単独行動すんじゃねぇバカタレ!!」

 

「ナマリ、随分と…その、がっしりした体格なんだな?」

「いや今のお前に言われたくは無いが…まあそうだな、トールマンになるとこうなるのか…」

「なんだか世界がチカチカして見えるのぉ…」

 

軽い魔力酔いを起こしたセンシをナマリは介抱する。

 

「ここまで背が高いと、色々な服着てみたいですね!」

「帰ったら色んなコスプレしてみようよ!」

 

残念ながら、その後チェンジリングの胞子の特性を理解したライオスによって、その夢は潰える事となった。

 

その後イツキはたまにファリンに膝上に乗せてもらうよう頼まれたり、シュローのイヌタデに対する雰囲気がかなり優しくなったのは、また別の話である。




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