異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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原作のシーンどれくらい入れれば良いかすげー迷う。あと人数増えすぎて上手く動かせない…絶対に許さねぇドン・サウザンド!


第四十六話『進む者と引き返す者』

 

歩く。歩く。歩き続ける。

 

無限に続く砂漠を歩く。無限に広がる空の下を歩き続ける。

 

振り返らない。前だけを見る。

 

足に三つの重り。足がちぎれそうになるも耐え続ける。

 

その足跡には、炎が燻っていた。

 

魂から離れる事の無い、魂を焼き続ける炎。

 

『思い出せ』

 

己の原点。己の拠り所。己の在り方。

 

『思い出せ』

 

歩いている誰かが、貴方を見た。

 

「思い出せ」

 

その瞳は焼け爛れていながらも、貴方から目を離さない。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

メリニ地下迷宮四階。例の海坊主の一件以来此処には子供の霊が度々現れる様になり、冒険者達の荷物を隠したり驚かせたりなどの悪戯が増えているらしい。

 

ファリンは湖を渡る前、湖に向かって膝をつき霊達に語り掛ける。

 

「ごめんね、通るだけだから」

 

霊達は霧散して行き、あとにはライオス一行のみが残った。

 

「うん、これで幽霊達に邪魔されることはないよ」

「霊的感覚が備わっているとは、知らなかった」

 

マイヅルが興味深そうに聞いてくる。ファリンは照れくさそうに笑う。

 

「えへへ、変でしょ?」

「?なぜだ。死した者達の声を聞ける人間なぞ限られている。それがファリン殿とあればその優しき心に溶かされる霊達も満足であろう」

 

マイヅル様ってああ言うとこあるよな。うん。とヒエンとベニチドリが小声で話す。なおばっちり聴かれていた為折檻(軽)されることとなる。

 

一行は湖を渡る。道中魚人に出会しながらも、もはや相手にならない。

 

「…ん?」

「どうしたのイヅツミちゃん」

「血の匂いがする」

 

イヅツミの言葉に一行は警戒を強める。進行方向だったので仕方なく血の匂いがする方へ歩き続ける。

 

「誰か倒れてんぞ、…ん?あれって確かイツキの友達の…」

「カブルーじゃないか!」

 

チルチャックは湖の水面に水死体となっているカブルー一行を発見。ライオスはカブルーの死体を地上へ引き上げる。イヌタデも率先して救出に赴く。

 

「流石オーガ。力仕事はお手の物だな」

「はい!任せてください!」

 

ナマリに褒められ嬉しそうなイヌタデ。

 

センシやナマリなど戦士組で警戒。ファリンとマルシルで蘇生開始。リーダーであるカブルー。そして恐らく魔法に精通し蘇生術が使える可能性があるノームの男性、ホルムを蘇生する。

 

「ぐ…ゲホッごホッ!?」

「ああ、水が器官に入りっぱなしか。落ち着いて。もう蘇生したから」

 

ライオスはカブルーの背中を摩る。少ししてカブルーは意識を取り戻す。

 

「あ、あれ…ライオスさん?」

「やあ、カブルー。気分は平気か?」

「……は、はい。ありがとうございます」

 

名前を覚えられている事に謎の感動をしてしまったカブルーは返事が遅れた。そして、後ろでホルムも起き上がる。

 

「うぅん…。あれ、死んでたんだ、僕達」

「起き抜けでごめんね。残りの人達を蘇生するのを手伝ってくれる?」

「もちろん」

 

ホルムも加えてカブルー一行全員の蘇生に成功する。その間、ライオスはカブルーと話していた。

 

「なにがあったんだ?」

「それが、魚人達との戦闘中に武器が手から離れたりといった不思議な事が起きまして…魚人達の武器も離れてたりしたんですよね」

「ああ、それ多分子供の霊だよ」

 

ライオスは事情を説明。カブルーはそれを理解した。

 

カブルーはライオスと話しながらも辺りを見回す。そして気付いた。一人大事な人が掛けていることに。

 

「あの…イツキは?珍しいですね、彼が不在とは」

 

カブルーのその言葉に、ライオスは黙り込む。それを察せない程カブルーは鈍くなかった。

 

「…何があったんですか」

「…実は」

 

ライオスは事の顛末を話す。それを聞いたカブルー一行は苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

カブルーに至ってはかなり荒れている。壁を殴るなどの八つ当たりを幼なじみであるリンシャは初めて見た。

 

「どこまで英雄であるつもりだ君は……っ!!」

「カブルー…」

「ライオスさん、お願いです!俺達も同行させて下さい!彼を喪う訳にはいかない!」

 

ライオスはカブルーの必死の懇願を聞くも、至って冷静に対処する。

 

「…すまない。イツキを想う気持ちはとても有難いが、これから俺達が相手取るのはレッドドラゴンの特殊個体だ。魚人相手に全滅する様じゃあ…」

 

足手まとい。ライオスはそこまで言わなかったが、カブルーにはわかった。

 

対人間を得意とするカブルーだが、相手が魔物となると過去の事や観察する為にどうしても後手に回ってしまう。

 

他のメンバーも戦力として整ってはいるが、これ以上の相手となると難しいだろう。

 

「っ…じゃあ、俺だけでも!囮役でも盾にでもなんでもなります!」

「……すまない」

 

しかし、これ以上人数が増えるというのも問題だ。罠に掛かる確率、魔物に出会す確率が格段に増える。そして、ライオスは一つ提案する。

 

「今回の事、俺達の依頼主である島主…はいいや。側近のタンスさんに報告してきてくれないか?」

「側近のタンス…タンス・フロッカさんですか?一体何故」

「そうすれば、もし俺達が全滅したとしてもタンスさんが黒竜の討伐依頼を出してくれるかもしれない。なにせ急だったから誰にも告げずに迷宮に潜ったからさ」

「そんなの…」

 

貴方達はどうする気だ。とカブルーは言いかけるも、ライオス一行を見る。誰も彼も、その瞳には覚悟が備わっていた。

 

カブルーは唇を噛む。己の弱さからくる歯痒さに憎悪した。

 

「〜〜…………分かり、ました」

「うん。ありがとう。脱出魔法は使える人はいるか?」

「……いません」

「ファリン。開けてやってくれ」

「うん」

 

ファリンは脱出魔法の起動準備に入る。その後ろで、ミックベルがカブルーの背に手を添えていた。

 

「僕達に出来ることをしようよ。それがイツキの為になるなら」

「……ああ」

 

そして、ゲートが開かれカブルー一行は迷宮から脱出する。最後に、カブルーがライオス達の方へ振り返る。

 

「イツキのこと、よろしくお願いします!」

「ああ、任せてくれ!必ず連れ戻す!」

 

そうして残ったライオス一行は再び下層へ潜っていく。

 

地下五階。そこはオーク達の集落があり、最近は他の魔物を制圧しながらその域を拡大。地下五階の半分をオーク達が占領していた。

 

ライオス一行はオークの集落がある手製の門の前にやってきた。

 

「止まれ!」

「何しに来た人間!」

 

「俺だ!ライオスだ!ゾン族長に大切な話がある!」

「わしもいるぞ!センシだ!」

 

イツキ不在の為、リーダーであるライオスとオーク達と知り合いであるセンシが先頭に立つ。オーク達は鼻をふがふが鳴らして匂いを確認。

 

「おお、ホントに野菜売りと金髪の人間だ」

「おい、通してやれ!」

 

そしてゾン族長の元へ集った一行。そこにはたまたま同席していたリドもいる。ゾン族長とリドは瞬時にイツキがいないことに気付く。

 

「おい、イツキはどうした」

「今から説明する」

 

ライオスは事情を説明。ゾン族長は己の武器である大槍を持って立ち上がる。

 

「例の黒竜か!」

「知っているのか!?」

 

「少し前になにかが大爆発した音を確認に若い衆が地下六階に向かった。そこには巨大な黒い竜鱗のドラゴンがいたと報告があった」

「私達は今その黒竜について相談してたところだ。やつが上層に上がる事があれば我らの集落がある地下五階にとって大問題だからな」

 

「ライオス。俺達もその黒竜を討つぞ。勇者の仇に加え我が一族の危機だ。是が非でも連れてってもらう!」

 

ゾン族長は大槍を、リドは槍を地面に立てて勇ましく吠える。

 

「願ってもない。実はゾン族長に相談しようと思ってたのはそれなんだ。今は戦力が欲しい。とびきりのを」

「はははっ!それは上々!ウチの若く強い面々も連れていこう。イツキに負けず劣らず勇ましき戦士達だ!」

 

くノ一組。そしてゾン族長とリド、オーク達と共にライオス一行は地下六階の階段を降りていった。

 

竜退治に赴く彼等の顔には、誰もが確固たる意志が宿っていた。

 





Q.冒頭のポエムなに?
A.ポエムじゃねーし!!
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