異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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みんなは手洗いうがいとアルコール消毒などしっかりしてコロナに気を付けよう!(1敗)(もう問題無いと診断されました)


第六十二話【第一節】

 

次元の裂け目から出現した巨大な黒竜。それを見た悪魔は被っているライオスの肉体ごと変化し、歪な黒い角を携えた巨大な山羊の怪物に変貌する。

 

変貌した悪魔は四対の翼で飛翔し、黒竜へ殴り掛かる。

 

【グォォォッッッ!!】

【イツキィイィィッ!!】

 

待ちに待った食事を邪魔され怒り狂う悪魔。故に判断が鈍った悪魔は黒竜の世界を揺らしかねない拳を顔面に食らう。同時に、止まっていた世界は再び動き出す。

 

「いやぁぁーっ!?」

「今度こそ死んだこれーっ!?」

 

上空で取っ組み合いを始めた衝撃で塔から墜落するマルシル達。それを見たミスルンがマルシル達を地上に転移させた。

 

「ミスルン隊長ほんと凄い!」

 

ヒシッとミスルンにしがみつくマルシル。ミスルンはマルシルを優しく降ろしてから口を開く。

 

「何があった?」

「それが、私達にもよく分かんなくて…」

 

マルシルはミスルンへ説明しようとするが、遠くで発動した魔法の余波で会話が途切れてしまう。

 

「きゃあ!?」

 

ミスルン達は衝撃波で突如発生した突風に巻き込まれる。各々近くにいた人と手を取り合いなんとか耐える。

 

しかし、近くに誰もいなかったファリンが吹き飛んでしまう。ファリンは即座に防御結界を張り衝撃に備える。

 

だが、来るはずの衝撃が何時になっても来ない。

 

「……?」

 

ファリンは目を開ける。ファリンは、誰かに抱きとめられていた。

 

「大丈夫ですか?ファリンさん」

「あ……ああ……」

 

その人物は穏やかな笑みを浮かべる。赤い瞳、黒い角。少し変わった所もあれど、ファリンにとって忘れる筈も無い人物。

 

「イツキィーッ!!」

「ちょファリもがが、角危ないですって!」

 

ファリンはイツキを思い切り抱き締める。二度と手放さない様に。

 

「イツキくん!?」

「えっマジ!?」

 

マルシル達もイツキの存在に気付き、思わず駆け寄った。

 

チルチャックとナマリは笑いながらバシバシとイツキの背中を叩く。その間もイツキの首に手を回し離れないファリン。

 

「何カッコつけた登場してんだお前!」

「よく帰ってきたな!」

「いて、いてぇですよ二人とも!」

 

マルシルとセンシがイツキの頭を撫で回す。

 

「無事でなによりだ」

「ほんとに!え、てか角とか腕とか尻尾もそのまま?」

「それは……まあ後で説明しますよ」

 

イツキは黒い角と黒い鱗の尻尾を付けたままだ。だがその格好はこちら側に来た時と同じ、学ランだった。

 

「懐かしいね、その格好」

「おれらしいかなって思いまして」

 

シュローとマイヅルが膝を突いて話しかける。

 

「どこも痛いところは無いか?」

「さぞ恐ろしかったろうに……」

「大丈夫ですよ。へっちゃらです」

 

カブルーが魔力切れで倒れてミスルンをおぶりながらやってくる。

 

「イツキ、よく頑張ったね」

「カブルーさん!……師匠大丈夫です?」

「寝てるよ……君を見て安心したのかもな」

 

ベニチドリとヒエンが、何故か縮こまっているイヌタデとイヅツミを引きずってきた。

 

「何照れてんだよ」

「鬱陶しい」

 

「離せ塩顔!!」

「ベニさん離してぇ〜!」

 

「二人とも……」

 

イツキは立ち上がって二人を迎える。尚も離れぬファリンを見てイヌタデとイヅツミは覚悟を決めた。

 

「…おかえり」「おかえりなさい!」

 

イヌタデは笑顔で、イヅツミは顔を逸らしながら言う。それを見たイツキは、抑えていた涙腺が僅かに決壊した。

 

「っ……うん。ただいま」

 

永きに渡る修練は、今この時のためにあったのだ。

 

そこで、センシが頭にはてなマークを浮かべる。

 

「む?ここにイツキがいるのなら今空を飛んでいる黒竜は一体?」

「ああ、アレはおれの半身っていうか、同一の存在というか……話すと長くなるんですが「話してるとこ悪いけどさぁー!イツキあれどうにか出来たりする!?」

 

そこに獣化したリシオンが転がり込んでくる。どうやら全てを終焉らせる者に吹っ飛ばされたらしい。

 

「リシオンさん!」

「や、久しぶり。んであれどうにか出来る?」

「あれ、ライオスさんなにやってるんですか?」

「実はかくかくしかじかでね」

「なるほど」

「なんで理解出来たの?」

「自分で言っといて……」

 

イツキはファリンを降ろして全てを終焉らせる者へと歩き出す。そんなイツキの袖を、ファリンは摘んで心配そうに見上げる。

 

「大丈夫ですよ」

 

イツキはにこりと笑って安心させる。そしてファリンから少し離れた後、脚に力を入れる。

 

地面を蹴り全てを終焉らせる者へ跳躍し、高速で接近。そして、その眼前で蹴りを構えた。それに気付いたヘイメアは即座に魔法を中断。

 

「イツッ……!?」

 

「ライオスさん」

 

困惑するヘイメアを差し置いて、イツキは全てを終焉らせる者の顔面を、

 

「おすわり!!」

 

思い切り蹴り砕いた(・・・・・・・・・)。全てを終焉らせる者の顔面は疎か首が吹き飛び、その巨体は大地へと倒れる。フレキとリシオンが信じられない物を見た顔をする。

 

「「嘘だろ!?」」

 

イツキは着地し、すかさず倒れ伏した巨体に魔法を施した。巨体は淡い光を放ち出した。

 

「多分、これで……」

「イツキ!」「イツキさん!」「イツキ殿!」

「ぐぇーっ!?」

 

突如突っ込んできた三人に気づきながらもイツキは受け止めようとしたが、思いのほか威力があったためもみくちゃにされた。

 

「さっきやりましたよこの流れ!」

「何度でもやるがいい、私が許す」

「許す許さないの問題ですかこれ」

 

「イツキさん、私をキズものに(物理的に)した責任とってね?」

「何の話!?」

 

「うええええ!」

「泣き止んでくださいよぉパッタドルさん!」

 

「アンタら少しはあの子らに遠慮しなよ……」

「全く節操の無い……」

「……副隊長走りかけたの、私見逃してないよ」

「今度余計な事を言うと口を縫い合わすぞ」

 

真顔のままキレ散らかしているフラメラにオッタが引いていると、マルシル達が合流した。するとチルチャックがイツキの肩に手を置く。

 

「イツキ、お前ついに女を泣かす様になったか」

「なんでおれが引かれるんですか!!」

 

ギャーギャー大騒ぎしていると、ファリンが不安気にイツキに話し掛ける。

 

「ね、ねぇイツキ。兄さんは大丈夫なの?」

「え?……ああ、大丈夫ですよ。…………多分」

「今多分って言わなかったか?」

 

冷や汗をかくシュローの隣で、マルシルがちらりと倒れた巨体を見る。すると、倒れた巨体の腹から腕が飛び出した。

 

「ギャーッ!?」

「あ、成功した」

 

イツキは倒れた巨体に駆け寄り、腕を引っ張り出す。出てきたのは全裸のライオスだった。幸い下半身は未だに埋もれているので露出狂となることは無かった。

 

「う、うう……何が起きた?」

「ライオス!!」

 

イツキ以外の一行もライオスに駆け寄った。

 

「ライオスさん。再会の喜びを分かち合いたいところですが、あまり時間がありません」

「イツキ……」

 

ライオスはイツキが差し出した手のひらを両手で覆う。そして、目を開き切り替える。

 

「どうすればいい?」

「それは……」

 

イツキはどこからともなく無地の布を取り出しライオスに被せ、巨体から引きずり出す。

 

「イツキ?」

「せー……の!」

 

そしてその布を引っ張ると、ライオスは全裸からいつもの鎧姿へと切り替わった。

 

「よっし成功。んで大事な話があるんですけど」

「あ、ああ」

 

イツキがライオス達に説明しているのをよそに、ヘイメアは先程から反応がある遠隔会話用妖精を取り出し通話を繋げる。

 

「騒がしいな、何用だ?」

『何用だ。じゃねーよヘイメアテメェこの野郎!』

『何が起きているのですか!説明を!』

 

声の主は、南方大陸にあるドワーフ国国王と、東方大陸にあるノーム国国王だった。ヘイメアは溜息を吐いた後ダルそうに返答する。

 

「本当に騒がしいな。今忙しいんだ」

『なーにが忙しいだ!テメェあれはどういう魔術だ!?』

「?……何の話だ」

『とぼけないでいただきたい!』

 

『『あの竜の群れはなんだ!?』』

 

「……は?」

 

少し時は遡り、ドワーフが治める南方大陸迷宮広場にて。

 

迷宮から大量の魔物が溢れ、兵士や冒険者で防衛戦を行っていた時のこと。

 

「オラオラどうしたかかってこいや!」

「隊長!」

「もう世界の終わりは近けぇぞ!テメェら気合い入れ「隊長!!」なんだうるせぇな!!」

 

「あ、あれを!」

「……あ?な、なんだありゃあ!?」

 

ドワーフの兵隊長が見たのは、上空にある裂け目から夥しい量の竜種が溢れ出ている光景だった。

 

ドワーフの兵士達はもはやこれまでと武器を落としてしまう。

 

しかし竜種達が攻撃を始めたのは、迷宮から溢れ出た魔物達へだった。

 

火炎。氷結。雷撃。猛毒。あらゆる属性の波状攻撃に地上の魔物達はあっという間に壊滅し、竜種達は迷宮内へどんどん潜っていった。

 

「な、なにが起きてやがんだ……?」

 

そんな光景が、東方大陸や迷宮がある大陸全土で広がった。

 

人々は世界の終わりと嘆く一方で、神話の始まりと嘯く者もいた。

 

そして現在に戻る。

 

『どうせお前さんお得意の魔法でなんかしたんだろ?』

「……ハハハッ!いや、私じゃないよ。しかし心当たりはある」

『心当たりですと?』

 

「なに、若き竜の咆哮が世界に鳴り響いただけの事さ」

『……相変わらずお前の会話は抽象的で分かり辛ぇ』

『いつもの事ですね、全く……』

 

一方、ライオス達はイツキから話を聞いた。

 

悪魔を斃す事は世界を壊す事と同義であり、悪魔を完全に止めるにはイツキ以外の誰かが悪魔の【食欲】を喰らわなければならない。

 

そして欲を食らった当人がその欲に支配されない様に、食らい奪った欲を消化しなければいけない。

 

「『悪魔の欲を消化出来る』様にするには、並大抵の魔法等では不可能なので、おれが創ってきました。『食べたあらゆるものを消化する魔法』です」

「よくそんな都合の良い魔法創れたな」

「まあ、色々手は借りましたし時間も掛かりましたけどね」

 

ったくあのうっかり屋め。と悪態を吐くイツキを他所に、マルシルは心中穏やかでは無かった。

 

「(魔法を、創った?習った訳じゃなくて?しかもそんな具体的かつ限定的な魔法、参考にする魔法も無い筈)」

 

「(一体イツキはどれほどの時間を無限次元の中で過ごしたの…?)」

 

「話を戻します」

 

「欲を喰らう。そんな事が出来る人は世界中探しても少ないでしょう。そして、今の所おれはその人しか心当たりがありません」

 

「人一倍魔物に興味があり、研究家であり、魔物食に邁進的で、尚且つそんな芸当を成しても正気を保ちそうな精神力。極めつけは、その人の優しさです」

 

最後のは後々分かるので今は内緒です。とイツキは続けた。

 

「そんなの、は……」

 

センシは考えた。自分の信念である魔物食に躊躇無く食らいついたあの男を。

 

マルシルは考えた。自分の親友の兄である優しく変態的な彼の事を。

 

シュローは考えた。初対面にも関わらず遠慮なくそれらの話をした親友の事を。

 

チルチャックは考えた。色々な意味で手のかかり過ぎる友の事を。

 

ナマリは考えた。厄介の種でしか無い自分を受け入れた一人であるアイツの事を。

 

ファリンは考えた。最愛の兄の事を。

 

彼ら彼女らは、揃ってライオス・トーデンの方を見る。肝心の彼は腕を組んで考え事をしていた。

 

「うーん……そんな人いるかなぁ」

 

「「お前だよ!!」」

 

「うわぁ!?」

 

突然の大声にひっくり返ったライオス。それを見て大笑いするイツキ。

 

「え、俺そんなイメージある!?」

 

その発言にチルチャックとナマリが賛同する。

 

「むしろお前以外にいてたまるか!」

「もしいたら鼻からスパゲッティ食ってやる」

「え、えぇ……?」

 

そうかなぁ……?と未だに納得がいっていないライオス。そこで、イツキは一回咳払いをし、ライオスの前に立つ。

 

「ど、どうした?」

 

イツキはライオスの前で膝まづき、頭を垂れる。静寂が訪れ、その場にいた誰もが二人を見ていた。

 

二人の傍に妖精達が形作った炎の蝶が集う。マルシルやエルフらはそれが炎の精霊『サラマンダー』である事を理解した。

 

精霊がこうして形を保ちここまで密集する事は極めて珍しい。ヘイメアはどこか納得した様な表情をする。

 

「(見届けに来たのだ。新たな王の誕生を)」

 

「ライオス・トーデンさん」

「えっ、あ、うん」

「おれが剣となります。弓となります」

 

「ですがそれを振るうのも、弦を引くのも、人間でなくてはならないのです」

 

「悪魔という超越的存在を打ち倒し」

 

「この世界を治めるのは、人間でなくてはならないのです」

 

「どうか悪魔を討ち滅ぼし】

 

【この世界を救って下さい】

 

そう言って、イツキは顔を上げる。その瞳には悪魔と同じ無限の印が浮かび上がっていた。それは、もはやイツキが人ではないことの証拠だった。

 

ライオスは考えた。本当に、自分にしか出来ない事なのか?自分以外の、もっと凄い人がやれるんじゃないか?

 

今この場には大勢のエルフだっている、その女王すら。

 

魔法に詳しい人がイツキが作ったという魔法に掛かれば最善の動きが出来るのでは?

 

ライオスはそう考えた。そこで、イツキは立ち上がり、そしてニヤリと笑う。

 

「ライオスさん」

「なんだ?」

 

「無限次元で作り出された超越的かつ上次元の存在すら魅了された【欲】、食べてみたくないですか?」

「そ、それは……」

 

気にならない。と言えば嘘になる。

 

「おれが言うのなんですけど、気楽に考えていいんですよ。今までライオスさんを突き動かしてきたのはその驚異的な魔物とそれの味に対する知的好奇心なんですから」

 

「…狂気的とも言うよな」←チルチャック

「しっ、よしなよ」←マルシル

 

「世界を救うなんて、そのついでで良いんです」

 

イツキは先程の悪魔に似た目付きではなく、いつもの笑顔をライオスに向ける。それはライオス達が危険な迷宮に潜ってでも取り戻したかったものだ。

 

「……うん。やろう、イツキ!」

 

ライオスの覚悟は決まった。そんなライオスを見てイツキは心底安堵したのか、その場にへたりこんだ。

 

「はぁー!良かった良かった!いやぁ受けてくれなかったらどうしようかと思いましたよ!」

「そ、そこまでか?」

 

他にも候補は…とライオスが言いかけたが、イツキは言葉を続ける。

 

「もしライオスさんが受けてくれなかったら、おれが悪魔の代わりになったあと世界に干渉しない様に自我を完璧に消して無限次元に閉じこもっていようと思ってたんで、いやぁ助かった助かった!」

 

HAHAHAと笑うイツキにライオスが掴み掛った。

 

「なんでそういうことを先に言わない!?」

「それ先に行ったらライオスさんへのお願いが脅迫みたいになるじゃないですか。おれを助ける代わりに…的な」

「イツキ、君は本当に自分という人間を省みた方が良い…!」

「えー?ライオスさんがそれ言います?」

「イツキ……」

 

後ろを見てみな。とライオスが言うのでイツキは振り返る。

 

「ヒェッ」

 

そこには、鬼の様な表情を浮かべているファリン達が立っていた。珍しくイヌタデまで怒っていた。彼女の背後に鬼子母神の幻影が見える。

 

「なんでそんな大事な話黙ってたの」

「いやあの」

「なんで?」

「あ、あの……」

「な ん で ?」

「すいませんでした……」

 

謝るだけじゃわかんないよと更に詰められるイツキを他所に、カブルーがライオスの傍に駆け寄った。

 

「ライオスさん」

「なんだ?」

「無事に戻って来て下さい。俺、まだまだ貴方の話を聞きたいです」

 

この場じゃ大して役に立ちませんでしたが…と言ったカブルーに、ライオスはカブルーの両肩に手を置いてそれを否定する。

 

「ううん、そんなこと無い。地下四階で君を突っぱねた後に再会して、あの時は切羽詰まっていたから言う暇が無かったけど、凄く嬉しかったんだ」

 

「ありがとう、カブルー」

「……いえ、こちらこそ」

「必ず、戻ってくる」

 

お互い微笑み合う後ろで、イツキがなんとか女性陣から逃れてきたが、腕や首に出処不明の首輪が仕掛けられていた。

 

「ラ、ライオスさんこれ!」

「それは…」

 

イツキが差し出したのは、妹と一緒にイツキへプレゼントした、魔法を補助する剣。しかし今の剣には魔術素人のライオスにすらハッキリ分かるほど強力な魔力が何重にも練り込まれているのが理解出来る。

 

「それ、お返しします」

 

「剣は、人間の武器ですから」

 

少し寂しげに言うイツキを、ファリンは正面から、イヅツミは腹に、イヌタデは背後から三人纏めて抱き締める。

 

「み、みんな?」

「イツキ、私達はイツキがどうなっても、イツキの味方だよ」

「大体私はどうなんだよ。純人間とは言い辛いぞ?」

「私だって、角はイツキくんとお揃いです!」

 

形も本数も違うだろとイヅツミに鋭いツッコミをされ、項垂れるイヌタデ。それを見て笑うファリン。

 

そんな三人を見て、イツキはその光景を噛み締める様な穏やかな笑みを浮かべる。

 

「……うん。そうだね」

 

と言った辺りで、周りの空気が何やら生暖かいものになっているのを感じ取り慌てて三人からイツキは離れる。

 

「じ、じゃあ行きますか!」

 

イツキは皆から離れ、右腕に刻まれている紋章に魔力を充填。イツキは全身を黒い炎に包まれ、その炎は見る見るうちに膨張する。そして巨大な翼が羽ばたかれ、黒い炎の中から黒竜が出現する。

 

現在上空にて戦っている巨大黒竜とサイズ違いではあるが、瓜二つだった。

 

【さぁ、ライオスさん…いや、我が主、我が騎手よ!】

 

 

【共に空へ!】

 

竜の背に乗り、空を飛ぶ。

 

世の魔物愛好家だけではなく、子供や冒険家ならば一度は想う夢。それはもちろんライオスも例外ではなく、その瞳はキラキラと輝いていた。

 

「よっしゃあ任せろ!」

 

かつてないやる気を見せるライオスに、ファリンが抗議する。

 

「兄さんズルいー!」

「はっはっは!」

【帰ったら皆を乗せて、空の旅をしましょうか!】

「「しよう!」」

 

これから世界の命運を賭けた戦いだというのに、あまりの緊張感の無さに全員笑い出す。

 

「いや、それで良いのだろうな」

 

ヘイメアは爽やかに吹く風を感じる。上空では炎と斬撃の嵐で地獄の様な光景だというのに、地上にその影響はまるでない。

 

イツキは惑星全域及び惑星にいる人類に防護結界を、特に翼獅子と自分自身の攻撃と概念に強く作用する様に発動させていた。

 

更に精神作用に関係する全ての魔法及び概念ごと防護、これで悪魔の誘惑に引っかかる者もいなくなった。

 

これから起こるこの惑星を巻き込む最終決戦に備え、イツキが無限次元にて創り上げた決戦魔法、その一端である。

 

「諸君、見るがいい。そして語り続けるのだ」

 

ヘイメアは誰に語りかける訳でもなく話し出す。その表情は、とても穏やかなものである。

 

「正真正銘、これが神話の一頁目なのだから」

 





ニコニコ復活!ダンジョン飯アニメ第24話期間限定配信中!(2024年8月31日現在)

2期楽しみだぁ……



(更新した直後に見てくださった方には大変申し訳無い。三千年云々をちょっと蛇足感感じたので消しました)
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