異世界ダンジョン飯   作:一般通過炎竜

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今回はちゃんとマジメ回

Q.そういえば今のイツキってどんな格好?

A.ゼンレスゾーンゼロのライカンってキャラを検索してみてください。格好はあんな感じで、角はあるし頬に鱗もあって、袖を捲って肘から先の前腕部が竜の腕、戦闘時だけ膝から下を竜の脚にする感じ。

角や腕、尻尾には棘が付いてたりしていて危ないので革製のカバーを付けてたりします。

翼は基本仕舞いっぱなし。飛ぶ時以外邪魔らしい。



幕間(3)

 

①《拉麺かなりあ本店》

 

「……腹減ったな」

 

イツキは現在、メリニで倒壊した建物や崩落した外壁などの復興作業をしていた。そして時刻はお昼時から少しズレた時間、腹に何か入れようとイツキは現場作業員に伝えてから臨時の出店が開かれている広場へ向かった。

 

それぞれの店舗の規模は様々だが、どの出店からも良い香りが漂っている。イツキは目に付いた白いテントの出店のカーテンを開けて入る。

 

「すみませーん、何置いて……ます、か?」

「む?」

 

イツキは信じ難いものを見た様な顔をした。一回店から出て、再度入店する。しかし景色は変わらない。

 

「なんだ、冷やかしか?」

「……師匠?」

 

そこにいたのは腕を組み、頭にタオルを巻いてエプロン姿のミスルンだった。

 

「お?なんだイツキじゃねーか」

「なにか食べに来たの?」

「フレキさんに、リシオンさんまで…!?」

「私もいるぞ」

「オッタさん!?」

 

フレキにリシオン、オッタもミスルンと同様に頭にタオルを巻いてエプロンを着用している。因みに下に着ている服はそれぞれ好みのものだ。ミスルンは黒一色。フレキは意外にも青と白ベース。オッタも黒一色、そして何故かリシオンはズボンと靴は着用しているが上は着ていなかった。

 

「実質裸エプロンだよね」

「服着てください。……え、いや。なにしてるんですか?」

「見て分からないか。食事を提供している」

「それは分かりますけど…!」

 

フレキが客に出す用のお冷をイツキへ持ってくる。

 

「前に私、隊長に麺打ちでもしたらどーだ?って話したろ?」

「あー…え、もしかしてこれがそうなんですか?」

「ああ、言い出しっぺは隊長の麺打ち見たカブルーなんだけどな」

 

そこへ、白シャツに着替えたリシオンがやってくる。

 

「んで、俺達は刑期恩赦のための社会奉仕ってことでお店手伝ってんの」

「そうだよ!私達は刑期恩赦の為にせこせこ働いてんのに、シスヒスのやつぅ…!」

 

フレキがおしぼりを握りしめて悔しさに歯を食いしばる。

 

「シスヒスさんがどうかしたんですか?」

 

イツキの質問には肩を回しながら気怠そうにオッタが答える。

 

「アイツ、私達にも伝えず刑期免除されてとっとと囚人組から抜け出したんだよ」

「ああ…そういえば刑期無くなったって聞きました」

「お前が知らねぇー訳ないだろ?なにせイツキの嫁になったから刑期免除されたなんて噂が広まってんだぜ?」

「なんですかそれ、そんなわけないでしょ」

「じゃあシスヒスは?」

「……まぁ、その、はい」

「こりゃダメだ」

 

そこで、腕を組みながらミスルンがイツキへ警告する。

 

「イツキ」

「はい?」

「美人局には気を付けろよ」

「可愛くて美人な嫁さんあんなにいて引っかかると思います?」

「「「引っかかると思う」」」

「ヒッデェ」

 

そんな信頼無いかな、女性関係に関しては無いかな。というイツキとリシオンの会話を尻目に何やら準備を始めるミスルン。

 

「……まあ、冗談はこれくらいにして。何か食べる為に来たんだろう?」

「あ、そうなんですよ。ここ麺打ちって事は麺料理ですよね?」

「ああ。センシに聞いたオススメの麺料理だ」

「センシさんに?」

 

魔物でも入れてるのかな。と思ったイツキはちょっとワクワクする。が、オッタに訂正される。

 

「言っとくけど魔物入ってないからな」

「えっ」

「なんでショック受けてんだよ」

 

暫く待っていると、ミスルンが丼に入った料理を運んでくる。

 

「待たせたな」

「おお!美味しそ……ラーメン?」

 

それはイツキにとっても馴染み深い麺料理で、醤油ベースの拉麺だった。きちんとメンマもナルト、海苔もチャーシューまで乗っている。

 

「なんだ、知っていたのか?」

「故郷に同じ料理があったんです」

 

ふと感じる元の世界の雰囲気に少し涙ぐむが、すぐに手を合わせた。

 

「いただきます!」

「いただけ」

「隊長、それはちょっと違う」

 

これからの重労働に備え、しっかりと精をつけたイツキだった。

 

 

②《王様見習いライオス&摂政見習いカブルー》

 

「と、言うわけで王が政治などの慣れない職務を補佐する為に臨時として私、ヤアドとシスルが摂政として王に仕えさせて頂きます」

「う、うん。助かるよ」

「…ライオス王、背筋を伸ばしなさい。貴方は王になったのですから、小市民の様な立ち振る舞いでは民は付いて来ませんよ」

「敬語のシスルに凄い違和感を感じる…」

 

なんだと。と憤慨するシスルを諌めるヤアド。その光景の少し離れた場所に、近衛騎士の制服*1に着替えているイツキと上等な素材で出来た服に身を包んでいるカブルーが立っていた。

 

「…結局、シスルさんとヤアドさん消失しなかったね。いや、良い事なんだけど」

「そうですね、今は世界中に魔力が溢れていますからその影響もあるのかもしれません」

 

元黄金城摂政兼宮廷魔術師シスル。黄金城王族の末裔であるヤアド。そして黄金城の民達は迷宮内で永い時を過ごし、肉体と魂が摩耗していた状態だった。

 

なので迷宮が消失した今、シスルとヤアド、そして黄金城の民達は消失を待つばかりかと思われていた。

 

しかし待てど暮らせど一向に消失する気配が無い。イツキが言っていた通り、迷宮内の魔力が地上に溢れ魔力濃度が迷宮と大差無くなった事が要因だろう。

 

だがそれは、地上が迷宮と同じになったと同義。今大陸中で魔物の大量発生や魔力磁場の変動、魔力嵐など災害も多発している。

 

しかしそれでも災害や魔物による死傷者は未だゼロ。それはイツキが無限の魔力を持っていたあの時の名残が影響していた。

 

「全く…今でも信じられない光景だよ」

 

カブルーは外の空を見る。そこにいるのは、まるで渡り鳥のように優雅に飛んでいる翼竜達(・・・)の姿だった。

 

イツキはあの最終決戦の日、その魔力を使い世界中の竜達と繋がっていた(・・・・・・)。世界各地の迷宮から溢れる魔物や天変地異に対応する為である。

 

尋常の生物ならば不可能な事だが、あの時のイツキは尋常では無かったので問題無かった。

 

無限の魔力こそ無くなったものの、イツキと竜達の主従関係は健在であり、今は世界中の国々に無償で竜を派遣させ復興作業や災害対策などで役立っているらしい。

 

もちろん、竜を派遣するのにも一悶着起きたが…。

 

「イツキに負けてばかりではいられないな」

「カブルーさんこそ、あんな分厚い政治やらなんやら書かれてる本良く読めますね」

「元々こういうの好きだったから、全然苦じゃないよ」

 

「カブルー!世間話をしている暇があるのか!」

「今行きますシスルさん!」

 

現在カブルーはシスルの教育の元、摂取として励んでいる。

 

「おれも頑張らないとな」

 

イツキは空を飛んでいる翼竜達に、目配せした。

 

 

③《竜と人》

 

現在黄金城研究兼医務室にて、イツキは下着のみの姿で眠り、健康診断を受けていた。理由は、イツキ……竜人の寿命。

 

「ライオス、竜ってどれくらい生きるの?」

 

白衣に着替えているマルシルが、ライオスに質問する。

 

「基本的に竜は長生きだ。個体によるが、大体千年から三千年程と言われている。その巨躯を維持するため魔力を貯めたり半日を休眠して力を抑えるからな。……だが、竜人となると話は別かもしれない」

 

白衣に着替えているシスルはイツキの喉仏にある逆鱗に触れ、その熱を感じ取る。

 

「竜と人が混ざり、竜という上位生命体と人間という個としての生物として見れば脆弱な生物…。楽観的な意見としてなら、半分づつ混ざって千年くらい…と、好きなだけ言えるが」

「そもそも竜人って言う種族自体がイツキくんが初だから…」

 

シスルは眠っているイツキの額に手を添え、苦悶の表情を浮かべる。

 

「――――本当に、すまない。イツキ」

 

今にも罪悪感で押し潰されそうになるシスル。そして、眠っているはずのイツキが眼を開いた。

 

「っ、起きていたのか?」

「竜は長生き…当たりからですかね」

 

髪を掻きながら起き上がり、シスルのことを睨む。しかしすぐにいつもの表情へ戻った。

 

「恨みます。……とでも言えば満足ですか?おれと黒竜は確かにシスルさんと混ぜられましたけど、最終的に黒竜と同化するのを選んだのはおれです」

「だが、そうしない選択肢もあった筈だ」

「……あーもう!しかし、だが、でも、しつこいんですよ!!おれと黒竜が良いって言ってんだからそれでいいだろ!」

 

ったく…と呆れながら着替えを始める。

 

「それに、もし仮に千年生きて…愛する人達に先立たれてしまっても、おれは大丈夫ですよ」

「なにを根拠に」

 

「だって、マルシルさんいるし。寂しくないよ」

「わ、私?」

 

マルシルは照れながら頭を搔く。イツキの意見に、ライオスも賛同する。

 

「うん。任せてくれ、二人とも」

 

「千年、三千年経っても寂しくない、賑やかな国を作ってみせるよ」

 

「二人の為にも」

 

「ライオス…」

 

イツキとライオスの良くも悪くも楽観的な意見。シスルは今結論付けても仕方が無いと思い、これ以上考えるのをやめた。

 

「ふむ。ではライオス王にはそんな素晴らしい国を作ってもらう為にも今日の予定はキャンセルして勉強の時間に割り当てようかな」

「え、そ、それは勘弁してくれシスル!!」

 

先程の名高い君主風はどこへやら、いつものライオスに戻ったのを見た三人は朗らかに笑う。

 

いずれ訪れる結末にも、きっと彼等なら耐えうることが出来るだろう。

 

 

④《乙女の受難》

 

「う、うぅ〜〜〜……」

「あれ…マルシル?いるー?」

「ファリン〜〜……」

「どうしたの、部屋の灯りも点けないで」

 

現在時刻は夜。マルシルの私室にファリンは訪れていた。そして部屋の主であるマルシルは灯りも点けず、毛布に包まり泣いていた。

 

「大丈夫?お腹痛いの?」

「ううん、そういうのじゃないの」

「…精神的な方?」

 

マルシルはコクリと頷く。ファリンはマルシルが座っているベッドの縁に座り、マルシルの頭を優しく撫でる。

 

「私で良かったら聞くよ?」

「私……私ね……」

「うん」

 

「尻軽女かも知れないの……」

 

「うん…………うん?」

 

なんか話の様子が可笑しいな?と思ったファリンは改めてマルシルに問いかける。

 

「え、えっと…なんでそう思ったの?」

「この前、イツキくんの健康診断の時にね…」

 

マルシルはイツキの寿命問題の際、イツキの発言。そしてライオスの発言をファリンに伝える。

 

『千年経っても、マルシルさんがいるから寂しくないよ』

『千年後だろうと、二人が寂しくならない国を作ってみせる』

 

「あー…言うね、うん。あの二人なら言うよ。でもそれがどうしたの?」

「今だから言えるけどね…私、イツキくんの事が好きだった時があったの」

「…………えっ!?」

 

流石のファリンも目を見開いて驚愕した。そんな素振り見たこともないからだ。

 

「私が古代魔術でイツキくんに相談した頃だったかな…無謀な私の夢を笑いもせず真剣に聞いてくれた彼に、惹かれたの」

「そ、そうだったんだ…」

 

ファリンは己の鈍感さを恨んだ。親友の恋心にすら気付けないなんて、と。

 

「でも、ファリンとかイヅツミとか、私より素敵な沢山の女の子に囲まれてるのを見て、私じゃ無理だなぁって…」

「そんなことないよ!!私、マルシルより素敵な女の子見たことないもん!!」

「ファリン……」

「行こうマルシル!大丈夫、イツキなら受け入れてくれるよ!」

 

ファリンはマルシルをお姫様抱っこして連れ出そうとするも、マルシルは抵抗する。

 

「ち、違うの!いや違くないけどそうじゃないの!」

「どういうこと?」

マルシルをベッドへ下ろして再び隣へ座るファリン。マルシルはとても言い辛そうにしているが、ファリンはマルシルが話してくれるのを待った。

 

「私、私ね」

 

「ライオスの事も、好きになっちゃったの……」

 

「…………えぇっ!?」

 

ファリン本日二度目の完全開眼。

 

「健康診断が終わったその晩にね、小腹が空いたから食堂にサラダでも食べて来ようかなって向かったの」

 

「夜中で人全然いなくて、食堂に入ろうとしたら話し声が聞こえて…イツキくんとライオスのだって分かったの」

 

「盗み聞くつもりは無かったんだけど…思わず隠れちゃって」

「会話の内容を聞いてしまった、と?」

「うん」

 

それはこの様な内容だったらしい。

 

『実際、千年生きたとして…マルシルさんが耐え切れるか、ですよね。いや、それを言えばおれもそうなんですけど』

『そうだな……』

『マルシルさんは優しい人ですから、親しい人の死に直面したらどうなるか…ちょっと分からないですね……頑張らないとですね?昼間あんなに大見得切ったんですから』

『ああ、頑張るよ』

 

『マルシルには、笑顔でいて欲しいから』

 

『……ほほー?二人には、じゃなくてマルシルさん名指しときましたか』

『え、あ、いやそういう意味じゃ…!』

『なにを今更恥ずかしがりますか。聞かせてくださいよ、そのへん実際どうなのか』

 

 

「……辺りで、聞いていられなくなっちゃって、逃げちゃったんだけど」

「(兄さん……)」

 

ファリンは兄の成長に涙した。

 

「えと、つまり今マルシルはイツキのことも好きだし兄さんのことも好きってこと?」

「はい…」

 

ファリンは少し考えた後、笑顔でマルシルに答える。

 

「大丈夫だよ!私の旦那さんなんて奥さん七人いるんだよ?それに比べたら一人増えたところで誤差だよ誤差!」

「い、いや、それイツキくんが特殊なだけだからね!?普通の人はそんな恋愛小説みたいにならないから!」

「私、マルシルのこと義姉さんって呼びたいなぁ〜」

「うぐぅ!?」

「更に言うならイツキについて話し合いたいなぁ〜」

「う、うう…」

 

「あ、そうだ!二人呼んでみんなで話し合おうよ!三人集まればなんとやら、四人ならもっとじゃない!?」

「そ、それだけはやめて〜!」

 

乙女の秘密の会議は、明け方まで続いたとか……

 

 

*1
前書きのヤツ





実は最初この二次小説書いてた頃、当初の予定ではヒロインはイヅツミオンリーでなんだかんだあって二人でイヅツミの出生のケジメを付けに東方へ行ってENDって感じでした。

原作でいうファリンが旅に出た的なノリで。

いつの間にかえらいこっちゃな事になりましたが。
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