だけどどこかが違う
どこなんだろうね
雨が、降っている
空はどんよりと曇っていて、その雲から水が落ちてきている
建物の屋根からには、降ってきた雨が溜まり、そして落ちてくる
そして、傘を差して行き交う人々
被っているフードに水が染み込んで、私の体を濡らす
こういう日は、憂鬱になる
昔の、私の、自業自得な姿を、思い出すから
だけど、定期的に思い出さないと
全部私の、自業自得なんだから
「…帰ろ」
スマホの画面を見て、そう呟く
濡れた髪の毛から滴り落ちる水が、スマホの画面を濡らす
歩道橋から見ていた光景から視線を離して、歩みを進める
車が通る度に、道路で水が跳ねる
「…ん?」
誰かが、路地裏に入るのが目に入る
傘も差さずに、逃げるように走っている
雨の中、傘も差さずに走るその姿
一瞬見せたその表情は、何だか
「…気の所為か」
泣いてるように、見えたのは
「…何あれ」
学校の前で、高級車に飛び乗る燈と愛音の姿
あの高級車は確か、最近になって来るようになった車
飛び乗る2人に驚いている人物に、何となく見たことがあるような気がする
「…あぁ、思い出した」
あの雨の日で、泣いてるように見えた人だ
…あの二人と、何らかの関わりがあるのだろうか
やけに、必死になっているようだったが
それにしても、あの顔
「…苛つくなぁ」
何でなのかは、分からないけど
今日も、雨だ
ここ最近は、こうやって、自分を戒める日が多い
…リサ達に見られたら、どうなるんだろうか
そんなことを考えていると、視界の端で誰かが走るのが目に入る
こんな雨の中、一人で何をしているのだろうかと思って、よく見てみる
見ていると気づいたが、この前の雨で一人泣いていた人だと気づく
名前は確か…立希が言っていたけど…
「…豊川祥子、だっけ」
あんな一人で、びしょぬれになって何をしているのだろうかと
…いや、私は人のことを言える立場じゃないか
また、雨の中、濡れる
…最近は、私にとって、眩しすぎる
皆が、私に構って、色々なものを食べさせてくれたり、色々な所へ連れて行ってくれる
…そんなことをされるような人間じゃ、私はないのに
そして、それを嬉しいと思っている自分が、嫌いだ
そんなふうに思っていると、自分を打ち付けていた雨が急に止む
雨が止んだのかと思えばそんなことはなくて、誰かが傘をさしてきていた
「土谷銘様、ですね」
「…誰」
そう言いながら視線をそちらへ向ければ、スーツを着ている、知らない人
「私は豊川家に仕える使用人でございます」
「豊川…あぁ、あの子の」
未だに面識はこっちからしかないけど、名前ぐらいは知っている
最近見かけることはあるけど、なんか吹っ切れたような感じでイキイキしてるっけ
「で、何?」
「お話したいことがございます、ご一緒願えないでしょうか」
淡々と、事務口調でそう話すスーツの人
「…断る、知らない人にはついていくなって言われてる」
「そこを曲げていただきたい」
…断っても、食い下がってくる
しつこい
「…悪いけど、もう帰る」
そう言ってスーツの人を押しのけて、その場から歩き出す
…そうすると、後ろの気配が増える
「待ちなさい」
…頭が、痛む
あの連中と、同じような命令形で、自分の思い通りになるというような
その痛む頭をこらえながら振り返れば、スーツの人のほかに白髪の爺さん
「…誰」
「…私は、祥子の祖父の定治というものだ」
…痛くなる
頭が痛いのが、より増した
「今日は、君に頼みごとをしに来た」
「…何」
「私の孫…祥子に、家へ戻る様に説得してもらいたい」
「…何で私が」
「あの子は…豊川の恐ろしさを知らないのだ、初音と関わって何かあってからでは遅い、それに…」
聞いてもいないのに内容をぺちゃくちゃしゃべる白髪の人
…あぁ、こいつは
自分は清廉潔癖だと、信じている人間だ
頭が酷く痛むのは、このせいだったのか
どうりで昔のナニカと、そっくりだと思うわけだ
「…のだ…聞いているのかね?」
聞いてもいない話が終わったのだろう、こちらに問い質すように言葉を投げてくるナニカ
…まぁ一つ分かったことがある
「…元の元凶は、貴方だと思うんですが」
静かにそう零すと、眉をしかめるナニカ
フードから滴る雨が、私の体を濡らす
「私は今まで、人間に似たナニカを沢山見てきた…貴方も、それらと同類ですね」
「なっ…!私はただ、祥子のために…!」
「その思いが責任転嫁になってるってことが分からないですかね…貴方はただ、他人に責任押し付けて、自分は正しい判断をしていると思い込んで、自己保身に走る…昔のナニカと、同じですね」
この娘は、ただのストレス発散道具
だから、犯そうが、殴ろうが、好きにしていい
だって、道具だから、何をしてもいい
自分は、間違っていない
自分は悪いことなど何もしていない、悪いのは発散させてくれないこの道具だと
自分は正しいのだと、責任があるのは自分じゃない
あれらと、本質は一緒だ
「…」
黙り込んだのを見て、踵を返す
「君は…豊川の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるのだ…!」
「…知るわけないでしょう…それに…その『豊川の恐ろしさ』とやらを盾に恐気づいてるのは…貴方でしょう」
「…よく言うものだ、犯罪者の娘の癖に、…君は人のことを言える立場かね」
その言葉に何も返すことなく、歩みを進める
…そんな事、言われなくても、自分が一番よく分かってることだ
雨の音が、益々強くなり、スーツの人が差している傘を叩く音
その音を聞きながら、その場から歩き去った
…何を偉そうに、言っていたのだろうか
私も屑だから、人の事言えた義理じゃないのに
「…義姉さん、何かあった?」
「…え?」
ご飯を食べていると、立希にそんなことを聞かれる
「…何で、そう思うの?」
「いや…何となく機嫌が悪そうに見えて…」
…立希にそう言わせてしまうなんて、何をやっているのだろうか
心配なんて、かけさせちゃいけないのに
「…何でもないよ、気にしないで」
「…そう」
そこで、会話は終わった
「…さて、確認するか」
「申し訳ありませんわ」
そう言って頭を下げるあの子
朝起きたら立希に、『出かけるから準備して』って言われて
連れられるがままショッピングモールのフードコートに来たら、愛音とあの子、そして初めて見る金髪の子と水色の子がいて
促されるまま取り敢えず座ったら、あの子と金髪の子にこうして頭を下げられているわけだ
…正直、この子に謝られるようなことをされた覚えはないのだけど
「立希さんから聞きました、私のお祖父様が酷いことを言ったようで…本当に申し訳ありませんわ」
…あぁ、そう言えばこの子は昨日の爺さんのお孫さんだっけ
酷い事…あぁ、『犯罪者の娘』の事か
「気にしてないから別にいいよ、私も生意気にも偉そうにしちゃったし…間違ったことは、言ってないし」
「そういうわけにはいきませんわ、人の事を貶すようなことを言ってしまって…」
「いいよ、君のせいじゃないよ」
…あぁ、良かった
最後の方は、聞こえてないみたいで
というより、初対面の私に頭を下げるなんて、いい子だなぁと思う
「燈や愛音たちから聞いてたけど…今はイキイキしてるね、色々吹っ切れた?」
「…はい、もう、色々なことがありましたが…もう悟りましたわ」
「そっか」
…良いなぁ
私は、吹っ切れることなんて、出来ないし、そんなことをしていい権利もないのに
というか、ふと思ったけど
あの子は、立希から聞いたって、言ってたけど
昨日、私
立希に、こんなことがあったって話、してない
立希は、何で、知ってたんだろ
「あれ、銘先輩じゃないですか」
一人で、外で、目の前の光景を見てると声をかけられる
「…あぁ、海鈴か」
「冷たいですね、傷つきました」
「いや嘘つけ」
そう言って軽く海鈴の頭をチョップするにゃむ
…まぁ、これが海鈴なりのコミュニケーションだろうとは、少なく無い付き合いで何となく理解はした
「ところで銘先輩、ここで何してたんですか?」
「…別に…強いて言うなら…ただ、見てただけ、かな」
「つまらなそうですね」
「分かってるよ」
海鈴の言葉にそう返す
「そう言う二人は何してんの?」
「日頃のストレスの発散です」
…あぁ、だからなんか両腕に紙袋いっぱい持ってるのか
というかいつも見るたびに思うのだが、何を買ったら、そんな量になるんだろう
「私は勝手に付き合わされたんだけど?」
「いいじゃないですか、どうせやることなく家でごろごろしてるだけでしょう?」
「私配信者だってこと忘れてない!?」
仲いいなぁ、この二人は
「…あ、そうだ、銘先輩もよかったらご一緒にどうです?」
「…いや、私は遠慮しとくよ…じゃあ」
「まぁまぁ、良いじゃないですか~」
二人で出かけてたのに、そこに異物が入り込むのは良くないことだろう
その場から去ろうとすると、いつの間にか近づいてきたにゃむが私の肩を掴む
「…にゃむ?」
「逃がしませんよ、ここで会った以上、一緒に付き合ってもらいますからね」
先輩?と言って笑顔を向けてくるにゃむ
だが、その笑顔には巻き込んでやるという意思が強く感じられる
これは逃げられないなと思った私は、大人しく白旗を上げた
「にゃむさん、大分強引すぎやしませんか」
「私が行かなくてもうみこが言ってたでしょ~?私は代弁してあげたんだよ~」
「ムカつきました、慰謝料を請求します」
「いや何で?」
「ただいま…」
巻き込まれた海鈴の買い物から、家に帰る
両腕には、買ったものが入った紙袋が沢山
…何でか分からないけど、いつの間にか私の物を買うことになってたな
「あ、銘先輩、おかえりなさい」
「…あぁ、初華か、ただいま」
そんな私を出迎える初音にそう返すと、何故か抱き着いてくる初音
…初音の出自を聞いて、若干親近感がわいた
あの爺さんに望まれていない初音と、誰からも望まれていない私
初音がいるってことは、多分祥子と睦もいるんだろう
今でも、リビングの方から料理している音が聞こえてくる
今日は何なのかと楽しみにしている私がいることにに気づいて、嫌気がさす
私は、楽しみにしている権利どころか、こうやって料理を振舞ってもらう資格すら、ないのに
浴衣レイが天井まで出なかった
貯蓄してたぶんでは250連が限界、あとの50連は曲クリアで稼いだ
100曲弱やった、精神崩壊するかと思った
誰か褒めてほしい
まぁ書いててどっかおかしいなとは思う
だけど結構苦労したから許して
私思うけど全部の元凶あの爺さんだと思うんだよね
感想宜しく
誰か挿絵書いてくれる人いるかな