「あ!居たぁ〜♪」
さて、やっと訪れた放課後。猫背なアホ毛を見つけて思わず足取りが軽くなるのは、きっと気のせいです。会いたかったなんて、全然思ってませんからね!てか、なんでそこでイヤそうな顔するんですか?!こんなに魅力的な美少女の後輩から慕われてるんですよ?
「自分で言うな。あざといし、あとうざい」
心底面倒くさい感じで答えるせんぱい。ああ、私この表情に惹かれたのかも知れません。だっていままでは、男子なんて私を見ればたちまちホの字でしたし・・・(死語)コホン!いけません、まだ今朝の影響が・・・ここは気を取り直して本題に入りましょう。
「せんぱ〜い!実は生徒会のお仕事がですね・・・」
「無理」
みなまで聞かずに即答しやがりました。ゆうべはあんなに激しく求めてきたくせに・・・(脳内劇場)因みに妄想と現実の区別が出来なくなってきたら、晴れて一人前の中2病に仲間入りらしいですよ。あ、私は大丈夫です、もう高1ですから。(手遅れ)
「だいたいどうして俺に振る?執行部のやつらに頼めばいいだろ」
むぅ、往生際が悪いですね。仕方ありません。実力行使のお時間です。
「さ、行きましょう行きましょう!」
「ちょ?おま、押すなよ。あと俺行かないって言ったよね?」
無駄な抵抗をするせんぱいにさり気なくボディタッチしつつ、
ほわたぁ!
「なっ?なんだぁ!!足が勝手に!!とっ止めてくれ!!」
はいスタートです。生徒会室まで後ろ歩きでどうぞ。秘孔の膝限を突いたので、もう止まれませんよ。
「はっ!!ああっ!!あは!!はっは!!」
自称ボッチの後ろ歩き、さすがに注目集めちゃってますね。ちょっとだけ笑えますが、まぁそこは見なかったことに。このまま奉仕部のおふたりさえ現れなければ・・・はっ?!フラグを立てるのはやめましょう。(またも手遅れ)
「な、なぜボッチの俺がこんな目に!!なっなぜぇ!!うわああああぁ!!うわらば!!」
相変わらず自己評価が低いですね。実は面倒見が良くてお兄ちゃん力が高くて家事全般と文系科目に強くてかなりイケメンなせんぱいのことを一番知らなかったのはせんぱい自身だったようです。ふぅ・・・
目的地が見えてきました。あとは閉じ込めてしまえばこっちのもんです。早く昨夜の続きを・・・えへ♪
「やめてとめてやめてとめてやめてぇ!!とめった!?」
はい、ぴったり到着♪今日こそは逃しませんよ。ん?
「あら、そこに居るのは変態谷くんかしら?」
チッ!出たな黒髪貧乳!フラグの回収なんて頼んでないです。
「一色さん、貴女いま何かとてつもなく失礼なことを・・・?」
一瞬、廊下が真冬になりました。
「ひぇ?な、何のことですか?そ、それより雪乃先輩!聞いてくださいよぉ、実は駅前に猫カフェが・・・」
「何処なの?!直ぐに車を手配するわ!」
即答かい!てかこのひと、案外チョロインですね。
「ところで、彼はとうとう新しい性癖に目覚めてしまったのかしら」
生徒会室の入り口で後ろ向きに歩き続けるせんぱいを見て、雪乃先輩が訝しげに美しい眉をひそめました。あ、止めるの忘れてた!てへ♪(≧▽≦)
「あのぉ・・・一色さん?いい加減恥ずか死んじゃいそうだから早く止めてくれ・・・て言うかこれ、完全にどっかの世紀末アニメになってる気がするんですけど」
完全に気のせいです。しばらくそのまま晒し者になってて下さいね。私をこんな気持ちにした罰です。
なおもひとり行進曲状態のせんぱいへ、私は心の中で囁きました。いつかきっと貴方の本物になってみせます、と。
でもこの時はまだ、さすがの私も予想出来ませんでした。まさかこの続きを南方の最前線で、しかも更なる
「一色さん?」
「うまぴょい!?」
急に呼ばれて変な声が出てしまいました。そう言えばウマ娘って艤装くっ付けたら艦娘と似てません?(唐突)
「どうした一色?やっぱそんなに嬉しいのか」
気付けば表彰式も終わり、なぜかみんなの視線がこちらに集まっています。そして目の前にはセーラー服姿のロリっ娘・・・ケホケホ!第六駆逐隊の4人が。え?これどういう状況?
「いつもありがとうなのです」
その言葉と共に差し出されていたのは、彼女たち特Ⅲ型駆逐艦のトレードマークである、錨の付いた制帽でした。
「一人前のレディなんだから、ちゃんとお礼も出来るわ」
「もっと私に頼っていいのよ?」
「
混じりけのないストレートな感謝を伝えられ、滲む視界・・・やだ、いきなりこんなの・・・
「お札管理から遠征艦隊の手配、それに基地航空隊の熟練度上げまで、その・・・感謝してる」
立ち尽くす私に、言葉を添える
「ぜひ被ってみてほしいのです」
「やっぱり電はお子様ね。レディは自分からそんなこと言わないわ」
真っ赤になってあたふたする電ちゃんに、お姉さん風を吹かせる暁ちゃん。私に姉妹は居ませんが、年上としてここは照れちゃダメなところですね。
「あ、ありがとう・・・」
やっとの思いでそれだけ言うと、私は手にした制帽をそっと頭に乗せました。
「ハラショー!」
「とても良く似合っているのです!」
年下からの絶賛にちょっとだけ苦笑いしながら、さり気なく提督のリアクションを窺うと・・・少し赤くなったほっぺたを掻きながら、そっぽを向いています。完全に捻デレです。そこはもっと素直になるところでしょ・・・
「なんつーか、まぁ・・・」
「甚だ遺憾だけれど、そこは認めざるを得ないわね・・・」
あと、何気にふたりの加賀さんが悔しそうにしてるのは、なぜなんでしょうか。まさかこの制帽が欲しいとか言わないですよね?絶対似合いませんよ。(ドヤ顔)
言葉を継ごうとしたその時、秘書艦席の無線機が鳴りました。見ると、緊急周波数帯での入電!?お仕事の時間です!
「こちらショートランド前進鎮守府。感度良好、どうぞ」
ヘッドセットを装着しつつ、受信状況を確認。期間限定イベント直後のこのタイミングで、いったい何が・・・
『トラック泊地食糧庫が深海棲艦隊の襲撃を受け、多数の物資が強奪された模様。直ちに捜索部隊を派遣すべし。なお・・・』
うーん、そんな搦手で来るとは、敵ながらなかなかやりますね。
「あぁ、秋刀魚イベントだな、こりゃ」
あっさり答える
「日頃遠征ばっかの子たちに、ソナーと探照灯持たせて出しときゃいいだろ。あと旗艦は卯月な」
「ま、待って下さい!」
謎の指示を出して私室へ引っ込もうとする背中を呼び止めます。なんせ緊急事態なんですから。
「なんだ?イベント明けで正直眠いんだわ。出来れば後にしてくれるか」
だからそうはいかないんですって!
「奪われた物資の中に、ここショートランド向けのものが有ったんです。マックスコーヒー3ヶ月分も!」
「なん・・・だと?」
そしてこのあと、深海棲艦隊はその身をもって比企谷提督の恐ろしさを味わうことになったのでした。
次回予告:南の島の冬祭り(前編)