やはり俺の艦隊ラブコメはまちがっている。   作:いろはす@

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第3話:那珂ちゃんじゃありません!

「・・・せん、ぱい?」

 

 

加賀さんの幻影に悩まされ、早退を決意した俺だったが、その行く手を阻んだのは亜麻色の髪の乙女だった。現役生徒会長さんのお出ましだ。最近、とみに絡んでくるようになった後輩。何?この子、俺のことが好きなの?違いますキモいですごめんなさい。あ、告る前に振られちゃった。てへぺろ(・ω<)!(キモッ!)

 

 

彼女は一色いろは。会長選挙の時に依頼絡みで関わりが出来てから、ことある毎に肌を重ねてきた間柄だ。って表現がおかしいだろ!!よ、要するにだ、あざとい後輩に超接近されて手が触れたことが何度かあった、っていうだけだ!いかがわしいことなんて、誓って・・・

 

 

あ、分かってましたかそうですか。

 

 

「もぉ、ずっと探してたんですよぉ、せ・ん・ぱ・い」

 

 

きゅるるん♪と可愛らしい効果音付きで、いつものあざとい笑顔を浮かべる一色いろは。いろはす青春のレモン味。傍目には甘酸っぱいラブコメシーンに映るかも知れない。中学までの俺なら速攻で勘違いルートまっしぐら。

 

 

「間違えてお弁当ふたつ作っちゃったんですよぉ。え?食べたい?仕方ないですねぇ。どうしてもって言うなら今日だけですよ?」

 

 

「え?いや、そんなこと言ってな・・・」

 

 

「食べたいんですよねっ??!」

 

 

「あ、ハイ・・・」

 

 

全然聞いてねぇ・・・

 

 

ジャジャーン♪

 

 

またもや効果音付きでお弁当箱を取り出す一色。

 

 

「肉団子弁当とミートボール弁当、どっちにします?」

 

 

どっちも同じだよね、それ。あと、超ご機嫌だけど眼が笑ってない。これまでの経験上、こりゃかなりまずい。さっきから加賀さんのことガン無視だし。加賀さんも加賀さんで、突っ立ってないで何かフォローして!ハチマン泣きそう・・・

 

 

いや待て。それよりも事実関係の確認が先だ。

 

 

「あー、そのだな、一色・・・これが見えるか?」

 

 

問いかけながら、加賀さんが佇む方を指差す。彼女の返答次第で、俺の心の折れ具合が分かるだろう。

 

 

「え?何のことですか」

 

 

わざとらしい仕草で、きょとんと首を傾げるいろはす。だから右手の人差し指を顎に添えるの止めろ!あざとすぎて勘違いしちゃうから!

 

 

・・・ってか、やっぱりな・・・いま見えているのは全て、単なる俺の妄想、幻覚だ。そう、加賀さんなんていない。(グサッ)

 

 

しかし視線の先では「これ」呼ばわりされた加賀さんが、表情を曇らせる。あら?俺にだけ姿が見えちゃう設定とか?

 

 

「ちょっとせんぱい、何言ってるか全然分からないんですけど。そこにいる弓道コスの痛い人なんて全然見えませんよ」

 

 

しっかり見えてんじゃねぇか!

 

 

ツッコミを入れてから何故だかひと安心した俺は、改めて一色に状況を説明しようとしたのだが・・・

 

 

「邪魔しないで頂けるかしら。比企谷さんは私たち、いえ、私にとって大切な人なの」

 

 

ちょ、ちょっと加賀さん?誤解を招く言い方は止めようね。

 

 

しかし時既に遅く。

 

 

「なんすかこの女?」

 

 

うわ!(゜ο°;)声がめちゃくちゃ低い!いろはすブラックサンダー味召喚しちゃった。

 

 

が、素のいろはすも、歴戦の艦娘には通用しなかったらしい。

 

 

「私は正規空母加賀。鎮守府の名代として彼を迎えに来たの。これ以上は国防機密だから言えないわ」

 

 

「うわぁっ・・・その歳でガチの中2病とか、超あり得ないんですけど・・・」

 

 

「貴女、何かとんでもなく失礼な勘違いをしていないかしら」

 

 

深海棲艦をも射抜くと言われる眼力に、さすがの一色も固まる。それを尻目に、何も言えない腰抜けハチマン。すまん、いろはす。傷は深いぞしっかりしろ!あ、それじゃもうダメじゃん・・・

 

 

己の無力さに打ちのめされた俺の横で、ふと何かに気付いたように加賀さんが首を傾げる。右手の人差し指を顎に添える仕草も自然で愛らしい。同じことをしているのに、いろはすとの差は何処から来るのかしらん??

 

 

「貴女・・・まさか艦娘なの?声に聞き覚えがあるのだけれど・・・」

 

 

いきなり何を仰る加賀さんよ?こんなの(いろはす)に似てる艦娘なんている訳ない・・・いや、ひとり居たか?

 

 

「はぁ?」

 

 

もはや猫を被る気が無くなったらしい一色が、ストレートに応じる。

 

 

「あら、私の思い違いだったようね。では提督、あまり時間がありません。参りましょう」

 

 

さらりと言って、俺の右手を取る加賀さん。思わずビクッとしたのは、断じて彼女のいい匂いに反応したからではない・・・それを見て、一色がすかさず俺の左手を掴む。これがホントの両手に花・・・

 

 

「あ痛たたたたたっ!あたあっ!」

 

 

ってケンシロウか、俺は?左右から両腕を引っ張られ、思わず情けない悲鳴を上げてしまった。ふたりとも、何て馬鹿力だ!あ、本人には言えないわ。

 

 

「せんぱ~い!ちょっと生徒会室でお話しましょう♪」

 

 

溢れる笑顔が怖い。((( ;゚Д゚)))だが、更なる恐怖が牙を剥く。

 

 

「いい加減にして貰えるかしら。私の提督に気安く触らないで」

 

 

冷たい声色で告げる加賀さん、装甲空母「激おこぷんぷん丸」へ第二次改装完了。(何それ弱そ!)

 

 

「な、ななななんですかその正妻気取りの喋り方かなりイラっと来ましたし私の提督とかガチの弓道コスとか正直ドン引きなんですけど腕力では勝てそうにないので出直して来ますごめんなさい」

 

 

やや狼狽えながら捲し立てる一色。あのいろはすが負けを認めちゃったよ?!

 

 

手早くお弁当箱を仕舞い、しっかりその場であざとく1回転してから歩み去ってゆくいろはす。スカートが広がって何かが見えた気がするのだが、それこそ気のせいだろう。(確信)

 

 

「せんぱい、後で(説明)責任、取って下さいね」

 

 

最後に不穏な一言を残して遠ざかる小柄な背中。ふぅ・・・取り敢えず嵐は去った。じゃ、俺もそろそろ教室に戻るか・・・

 

 

そう思って歩き始めると、誰かの影が横に立つ。青い袴にサイドテール・・・あ、そういう設定、もうお腹いっぱいですから。俺リアリストなんで。今日は家帰って寝ます。

 

 

無視して進む俺の手を、白い手が優しく掴む。

 

 

「参りましょう、提督」

 

 

で、ですよね~汗。はちまん、了解であります!敬礼!(*`・ω・)ゞ

 

 

 

 

 

 

やっぱりそれは、現実だった。




【次回予告】いろはすの手を逃れた八幡を待っていたのは、また加賀さんだった。そして任地へと旅立ったふたりの前に、深海艦載機が現れる・・・

第4話:艦娘はトイレなんて行きません!
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