やはり俺の艦隊ラブコメはまちがっている。   作:いろはす@

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第31話:南の島の冬祭り(後編)

「久し振りだな・・・」

 

 

決まり文句を口にしかけて・・・咄嗟に俺は海軍式の敬礼を決めた。ヤツの階級章が目に入ったからだ。一瞬遅れて、加賀たちもそれに倣う。

 

 

「ははは、やめてくれ比企谷。今日は無礼講で頼むよ」

 

 

気さくな笑顔で応える()()()()。てかこいつ、ホントの提督さんになってたのかよ。こちとらまだ中佐だぜ?だから厳密に言うと、俺は提督じゃないのである。(小声)あ、あと無礼講ってのをを真に受けちゃダメ!絶対!それ上司の罠だから!(実体験)

 

 

「珍しいな。お前がひとりとは・・・」

 

 

あ、早速無礼講しちゃったにゃしい。(初戦轟沈)しかし、こいつは常に艦娘たちを侍らせて鼻の下を伸ばしていたはずだが?(先入観)

 

 

「俺だって、偶にはひとりになりたいこともあるさ」

 

 

やや翳りのある表情で、夜空を見上げる葉山。物憂げに金髪をかき上げるその姿は、そのままレディースコミックの表紙にでもなりそうだ。俺が女子だったら確実に勘違いして告って振られるまである。はやはち、キマシタワー!(?)

 

 

それにしてもこいつ、やっぱ基本ステータスからしておかしいだろ。やることなすこと全部イケてるとか、チートなの?転生者なの?転生したらスライム(葉山君)だった件。ざまあみろ!あれ?

 

 

「恵まれたお坊ちゃんが、何を言ってやがるんだ?嫌味か?」

 

 

以前も言った覚えがあるわ、これ。

 

 

「参ったな・・・親父が海軍省付きの顧問弁護士なのは無関係だよ。今の立場だって、別に親の七光りって訳じゃないさ」

 

 

まさにそれを親の七光りって言うんですけど?!ここ試験に出るから覚えとけ!

 

 

ところが、負け惜しみと捨てゼリフがごちゃまぜになった俺の返しを待つことなく、ヤツの注意はすでに別の方角へ向いていた。無視ですか。

 

 

「元気そうだね、雪乃ちゃん」

 

 

親しげに言って白い歯を見せる葉山。何なのこのムカつく生き物?いい加減、ぶっ飛ばしちゃっても良いよね?いや、俺の腕力じゃムリだけど。

 

 

しかし、雪乃ちゃん(うちの加賀さん)は数段上手だった。

 

 

「ご無沙汰しております、葉山提督。お言葉ですが、着任後の艦娘を本名で呼ぶことは禁則事項のはずかと」

 

 

敬礼したまま、完全に他人行儀で応じる雪ノ下。かき氷も真っ青な冷たさだ。一航戦の青い方なだけにな。いいぞもっとやれ!

 

 

醜いもうひとりの俺が歓喜する。(最悪)

 

 

「ははは・・・これは一本取られたな。さすがは雪乃ちゃ・・・加賀さんだね」

 

 

いまさら言い直しても手遅れだ。葉山、お前はもう、死んでいる。

 

 

が、ゆきのんから漏れ出す冷気が更に強まったところで、思わぬ伏兵が現れた。しかもまたまた顔見知り・・・

 

 

「隼人!こんなところに居たの?探してたんだから・・・」

 

 

親しげな様子で駆け寄る、ちょっと派手めの艦娘。途中で俺たちに気付き、慣れない手付きで敬礼するその子は・・・

 

 

「あ!お、お話中に申し訳あり・・・って、ひ、比企谷と、ゆ、雪ノ下さん?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかのあーしさん(三浦優美子)だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、秘書艦の優美子・・・じゃない、三浦だ。まあ、改めて紹介するまでもないかな、ははは・・・」

 

 

照れたように微笑む葉山提督さんと、傍らで俯き加減に顔を赤らめる秘書艦殿。ふたりを目の当たりにした大淀や川内たちから立ち上る、どす黒い瘴気。新婚さんいらっしゃい。ヘェ~シンコンサンナンダァ・・・バクハツシテシマエッ!!(全員深海化)

 

 

「その名前・・・准艦娘か」

 

 

「あ?准艦だからってバカにしてんの?」

 

 

態度を一変させ、俺の言葉尻に噛み付くあーしさん。正直ウザい。絶対本人には言わんけど。

 

 

「おい葉山、秘書艦の手綱くらいしっかり・・・」

 

 

「比企谷!隼人は提督さんなんだから口のきき方弁えな!」

 

 

ひゃい?!やっぱこの子苦手だわ。で、でも別に怖くなんてないんだからね!

 

 

「て言うか、何であんたたちがこんなとこに居んのよ。転校したって聞いてたけど・・・ぷっ!まさかふたり揃ってコスプレ?」

 

 

どうやらこいつは、俺と雪ノ下をレイヤーさん認定したらしい。それより折木さん、ゆきのんがずっと黙ったままなのが、私気になります。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 

「比企谷は問題外として、雪ノ下さんもガチでコスプレとか、そんなに美人なとこ見せつけたいわけ?外見だけ真似てその気になってるとか、艦娘舐めてんの?」

 

 

「ゆ、優美子!このふたりは・・・」

 

 

なるほど、ヤツ(葉山)がひとりになりたかった理由はこれだったのね。ぷぷっ!だがしかし、狼狽える葉山閣下が加速するあーしさんを止められるはずもなく。まぁ、みんなの葉山くんじゃ荷が重いか。そろそろ雪ノ下の我慢も限界みたいだしな。

 

 

そう、こいつはいま、ゆきのんと艦娘、そしてレイヤーさんを侮辱した。いつしかBGMは『母港』から『敵超弩級戦艦を叩け!』に。

 

 

はぁ・・・仕方ない。歴戦提督さんスイッチ、オン。

 

 

制帽を被り直すと、敢えてゆっくり顔を上げる。

 

 

「ほぅ、最近の准艦娘は礼儀作法のひとつも知らないようだな」

 

 

「えっ・・・!?」

 

 

豹変した俺の言葉に固まる三浦。悪いが付き合ってくれ。お前のせいで、このままじゃうちの加賀さん(奉仕部部長)が爆発しちまいそうなんだよ。

 

 

「言葉を慎め。私は帝国海軍中佐にして、ここショートランド基地の司令官たる比企谷八幡だぞ?」

 

 

めっちゃ恥ずい。何言ってんの俺?これもう殆ど材木座の自己紹介と同レベルの黒歴史なのですっぽいにゃ。(キャラ完全崩壊)

 

 

「そして見ての通り、彼女は正規の艦娘、空母加賀だ。それに対して貴官は准艦娘。この意味は・・・分かるな?」

 

 

正式に改装を受けた艦娘は尉官待遇で着任する。そして既に充分な戦功を挙げている加賀(雪ノ下)の階級は中尉だ。一方、准艦娘は下士官待遇。現に三浦は一等兵曹の階級章を付けている。つまり、さっきのやつの言動は上官に対する明確な軍規違反なのだ。悲しいけどこれ、現実なのよね。

 

 

「それと葉山少将、本名呼びに関する禁則事項は准艦娘にも適用される。まさかとは思うが、私情を優先して公私の区別すらつかなくなったのではあるまいな?」

 

 

ようやく事態を把握したのか、にわかに青ざめる新婚夫婦。(事実誤認)どうだ!もはやぐうの音も出まい!

 

 

「ぐうっ・・・」

 

 

悔しそうに呻く葉山。あら、ぐうの音出ちゃった?

 

 

そして・・・

 

 

「い、言わせておけば・・・調子に乗るなよ比企ガッ!?」

 

 

反撃に転じた葉山が、不意に仰け反った。誰かに後ろから襟首を掴まれたのだ。マイガッ!ならぬヒキガッ!って欧米か?

 

 

が、下らぬツッコミを入れてる場合ではなかった。葉山を背後から襲っていたのは、ヲでん屋台の女将ならぬ、青いオーラを放つ空母ヲ級だったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てか、彼女(ヲ級さん)のことすっかり忘れてたわ。(汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉山を羽交い締めにした空母ヲ級。緊迫した空気が辺りを包む。急遽駆け付けた増援の艦娘たちも加わり、状況はT字有利と言えるものではあったのだが、やつが捕われている以上、下手に手出しは出来ない。

 

 

「て、提督?!」

 

 

「て、提督?!」

 

 

「は、隼人?!」

 

 

奇しくも似たようなセリフだけど、最初のは横須賀鎮守府の子たちが葉山を案じるもの。後の方はうちの子たちが俺に指示を求めるもの。そして最後のはどっかの准艦娘さん(三浦さん)・・・てか緊迫した場面で俺は誰に何を説明しているのです??

 

 

一触即発の雰囲気が漂う中、艤装を展開して身構えるショートランドのメンバーたち。その多くは浴衣姿だったが、ヲ級を前に隙はない。さすがはここ、激戦区ソロモン諸島で生き抜いて来ただけのことはある。やっぱ司令官が情けないと、指揮下の艦娘は危機感を募らせてより力を発揮するのだろうか。あれ?それってつまり俺のせい?

 

 

泣ける。(ノД`)シクシク

 

 

一方、司令官さん(葉山君)の危機に駆け付けては来たものの、横須賀の護衛部隊はなんと丸腰だった。いくら数は揃っていても、生身の彼女たちは無力だ。それが艤装も着けずにお祭り騒ぎとか、あいつら気が緩み過ぎだろ。葉山のやつも日頃どんな指導してんだよ。

 

 

やはり、最前線と内地で意識の差が出たか・・・

 

 

そうこうしているうちに、辺りが騒がしくなってきた。ただならぬ様子に、一般客が集まってきたのだ。しまった・・・!

 

 

「あ!艦娘ショーかな?」

 

 

「ヲ級をやっつけろー」

 

 

「神通さん負けるなー」

 

 

「勝手は榛名が許しません!!」(レイヤー榛名さん)

 

 

いやこれ、完全にお祭りの余興だと思われているみたいなんですけど?( ゚д゚)ポカーン

 

 

声優さんたちはヲ級と葉山をバックに自撮りしてるし、レイヤーさんたちに至ってはハリボテの主砲を構える始末。まずいな・・・いや、パニックを避けるには、むしろ好都合か・・・

 

 

「提督!ご命令を!」

 

 

大淀が促す。

 

 

『艤装を仕舞え。さもなくば・・・』

 

 

苛立つようなヲ級の声。あ、喋れたのね、貴女。てか彼女がその気になれば、葉山などイチコロだろう。でも何であいつは恐怖に歪んだ苦しげな表情でもイケメンなわけ?やっぱなんかおかしくない?

 

 

「大淀、他にも居るか?」

 

 

声を潜めて、いちばん気になる点を確認する。つまりこれが艦隊規模の本格的な攻撃なのか、それとも彼女(ヲ級)のスタンドプレイなのか・・・

 

 

「いいえ、他に敵影なし、とのことです」

 

 

耳に手を当てながら答える大淀。通信相手は、周辺海域を警戒中の球磨率いる第四水雷戦隊らしい。グッジョブだクマ〜!

 

 

単独で潜入して来るとは、敵ながらあっぱれなやつ。或いは、そこまでしなければならない理由が有ったのか?まあ、いずれにしろ、これで後顧の憂いは消えた。ならば、やることはただひとつ。

 

 

『早く言う通りにしろ。こいつがどうなってもいいのか?』

 

 

そう言い募り、一層青いオーラを燃え上がらせるヲ級。正直めちゃくちゃ怖い。だが断るっ!!

 

 

制帽を目深に被り、敢えて目元に翳を作ってから語り出す。え?何をしてるかだって?聞かないでくれ。単なる雰囲気作りだから。

 

 

「残念だったな。我々を脅しているつもりのようだが、(葉山提督)は何よりも不名誉を恐れる(武人)だ。深海棲艦の人質になるくらいなら、潔くお前さんを道連れに爆散する道を選ぶだろう」

 

 

さらりと『葉山くんは切り捨てます宣言』をした俺は、やつの名誉を守るため次なる指示を出そうとしたのだが・・・

 

 

「やらせませんっ!」

 

 

「させるかよっ!この腐り目野郎!」

 

 

「このクズ提督・・・!」

 

 

「哀れね。まさかここまでの捻デレぼっちとは思わなかったわ・・・」

 

 

こちらに向けて横須賀の艦娘たちから放たれる、半端ない殺気。俺が葉山を見捨てたと思ったのだろう。(半分正解)つか待て待て待て!話は最後まで聞きなさいって艦娘養成学校で習わなかったかな?やはり君らの攻撃目標はまちがっている。あと、どさくさに紛れてとんでもないこと言ってるの誰だ??

 

 

気を削がれた俺がため息をつくと、死よりも不名誉を恐れる(はずの)(ヘタレ)が悲鳴を上げた。

 

 

「ま、待て!彼女(ヲ級)の言う通りにしてくれっ!」

 

 

ええい、大の男が聞き苦しいわ!それにそこは『俺に構わず撃て!』だろ!!

 

 

いまひとこと命じれば、ヲ級を倒すことは容易い。陸に揚がった深海棲艦など、完全武装した艦娘の敵ではないからだ。が、ここで攻撃すればみんなの葉山くんも確実に爆散するだろう。やだ、これって文字通りのリア充爆発しろじゃね?YOU、ヤっちゃいな。(黒ハチマン)

 

 

待たれよ!仮にも一度は同じクラスで机を並べた仲であろう?ましてや今は、共に深海棲艦へ立ち向かう戦友同士。お主はそれを見捨てることができるのか?(白ハチマン)

 

 

待てや兄さん。此処でヤツを吹っ飛ばせば、雪乃はんも横須賀鎮守府も丸ごとあんたのものでっせ?ささっ、ドカンと行きまひょ!(再びの黒ハチマン)

 

 

仕方ない。やはりここは俺がヘイトを集めて、その隙に葉山を・・・

 

 

「ふはははは!」

 

 

高笑いと共に猿芝居を開始する。キャラじゃないしマジ恥ずかしい。恥辱汚辱屈辱凌辱。寿限無かよ?あと最後のは全然意味違うから!

 

 

「おいおい、どこを見ているんだ?そいつは所詮、βテスター上がりの雑魚提督さ。態々ここまで苦労して潜入したなら、もっと大物を仕留めた方が深海の提督さんも喜ぶんじゃね?ま、知らんけど」

 

 

軽薄な口調で煽りながら、ゆっくりと前へ進む。え?何となくどっかで見た展開だって?SAO?第一層ボス攻略後?黒の剣士?さあ、知らない子ですね。二次小説の読みすぎじゃないですか?(巨大ブーメラン)

 

 

(因みに、葉山が本サービス開始前に艦これを先行プレイしてたのは事実だ。どうせ親のコネだったんだろうけど、羨ましい。ボソッ)

 

 

「っ?!あなた、まさか()()っ?!」

 

 

雪ノ下が鋭く声を上げるが、もう止まれない。すまん、俺はこれしかやり方を知らないんだ。全艦娘、突撃!あ、突っ込むのは俺だけか。それと周囲から感じる「なに言ってんのこいつ?」みたいな冷たい視線は気のせいだよね?

 

 

「俺はあのヘンダーソン飛行場を陥とした()()()()()()()()()()()だぜ?深海棲地への手土産には充分すぎると思わないか?」

 

 

これでヲ級の注意が逸れたら、一斉射だ。卑怯と言われようが、だまし討ちと罵られようが、構うものか。犠牲を出さずにこの場を収めれば、勝ちなのだから。

 

 

「どうした?まさか臆したか?」

 

 

ひたすら煽る。ああ、分かってるさ。これは問題の解決じゃない、解消だ。自己犠牲なんて高尚なものでもない。単なる捻くれぼっちの・・・

 

 

が、彼女はちらりとこちらを一瞥しただけで、直ぐ興味を失ったように視線を戻した。

 

 

ば、バカな?!(失敗フラグ)

 

 

『雑魚に用はない』

 

 

で、ですよね〜 (;´д`)トホホ…

 

 

漂う白けた空気。突き刺さるジト目の視線。とても痛い。主に心が。これってやっぱりただの「久し振りだな・・・」

 

 

決まり文句を口にしかけて・・・咄嗟に俺は海軍式の敬礼を決めた。ヤツの階級章が目に入ったからだ。一瞬遅れて、加賀たちもそれに倣う。

 

 

「ははは、やめてくれ比企谷。今日は無礼講で頼むよ」

 

 

気さくな笑顔で応える()()()()。てかこいつ、ホントの提督さんになってたのかよ。こちとらまだ中佐だぜ?だから厳密に言うと、俺は提督じゃないのである。(小声)あ、あと無礼講ってのをを真に受けちゃダメ!絶対!それ上司の罠だから!(実体験)

 

 

「珍しいな。お前がひとりとは・・・」

 

 

あ、早速無礼講しちゃったにゃしい。(初戦轟沈)しかし、こいつは常に艦娘たちを侍らせて鼻の下を伸ばしていたはずだが?(先入観)

 

 

「俺だって、偶にはひとりになりたいこともあるさ」

 

 

やや翳りのある表情で、夜空を見上げる葉山。物憂げに金髪をかき上げるその姿は、そのままレディースコミックの表紙にでもなりそうだ。俺が女子だったら確実に勘違いして告って振られるまである。はやはち、キマシタワー!(?)

 

 

それにしてもこいつ、やっぱ基本ステータスからしておかしいだろ。やることなすこと全部イケてるとか、チートなの?転生者なの?転生したらスライム(葉山君)だった件。ざまあみろ!あれ?

 

 

「恵まれたお坊ちゃんが、何を言ってやがるんだ?嫌味か?」

 

 

以前も言った覚えがあるわ、これ。

 

 

「参ったな・・・親父が海軍省付きの顧問弁護士なのは無関係だよ。今の立場だって、別に親の七光りって訳じゃないさ」

 

 

まさにそれを親の七光りって言うんですけど?!ここ試験に出るから覚えとけ!

 

 

ところが、負け惜しみと捨てゼリフがごちゃまぜになった俺の返しを待つことなく、ヤツの注意はすでに別の方角へ向いていた。無視ですか。

 

 

「元気そうだね、雪乃ちゃん」

 

 

親しげに言って白い歯を見せる葉山。何なのこのムカつく生き物?いい加減、ぶっ飛ばしちゃっても良いよね?いや、俺の腕力じゃムリだけど。

 

 

しかし、雪乃ちゃん(うちの加賀さん)は数段上手だった。

 

 

「ご無沙汰しております、葉山提督。お言葉ですが、着任後の艦娘を本名で呼ぶことは禁則事項のはずかと」

 

 

敬礼したまま、完全に他人行儀で応じる雪ノ下。かき氷も真っ青な冷たさだ。一航戦の青い方なだけにな。いいぞもっとやれ!

 

 

醜いもうひとりの俺が歓喜する。(最悪)

 

 

「ははは・・・これは一本取られたな。さすがは雪乃ちゃ・・・加賀さんだね」

 

 

いまさら言い直しても手遅れだ。葉山、お前はもう、死んでいる。

 

 

が、ゆきのんから漏れ出す冷気が更に強まったところで、思わぬ伏兵が現れた。しかもまたまた顔見知り・・・

 

 

「隼人!こんなところに居たの?探してたんだから・・・」

 

 

親しげな様子で駆け寄る、ちょっと派手めの艦娘。途中で俺たちに気付き、慣れない手付きで敬礼するその子は・・・

 

 

「あ!お、お話中に申し訳あり・・・って、ひ、比企谷と、ゆ、雪ノ下さん?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかのあーしさん(三浦優美子)だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、秘書艦の優美子・・・じゃない、三浦だ。まあ、改めて紹介するまでもないかな、ははは・・・」

 

 

照れたように微笑む葉山提督さんと、傍らで俯き加減に顔を赤らめる秘書艦殿。ふたりを目の当たりにした大淀や川内たちから立ち上る、どす黒い瘴気。新婚さんいらっしゃい。ヘェ~シンコンサンナンダァ・・・バクハツシテシマエッ!!(全員深海化)

 

 

「その名前・・・准艦娘か」

 

 

「あ?准艦だからってバカにしてんの?」

 

 

態度を一変させ、俺の言葉尻に噛み付くあーしさん。正直ウザい。絶対本人には言わんけど。

 

 

「おい葉山、秘書艦の手綱くらいしっかり・・・」

 

 

「比企谷!隼人は提督さんなんだから口のきき方弁えな!」

 

 

ひゃい?!やっぱこの子苦手だわ。で、でも別に怖くなんてないんだからね!

 

 

「て言うか、何であんたたちがこんなとこに居んのよ。転校したって聞いてたけど・・・ぷっ!まさかふたり揃ってコスプレ?」

 

 

どうやらこいつは、俺と雪ノ下をレイヤーさん認定したらしい。それより折木さん、ゆきのんがずっと黙ったままなのが、私気になります。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 

「比企谷は問題外として、雪ノ下さんもガチでコスプレとか、そんなに美人なとこ見せつけたいわけ?外見だけ真似てその気になってるとか、艦娘舐めてんの?」

 

 

「ゆ、優美子!このふたりは・・・」

 

 

なるほど、ヤツ(葉山)がひとりになりたかった理由はこれだったのね。ぷぷっ!だがしかし、狼狽える葉山閣下が加速するあーしさんを止められるはずもなく。まぁ、みんなの葉山くんじゃ荷が重いか。そろそろ雪ノ下の我慢も限界みたいだしな。

 

 

そう、こいつはいま、ゆきのんと艦娘、そしてレイヤーさんを侮辱した。いつしかBGMは『母港』から『敵超弩級戦艦を叩け!』に。

 

 

はぁ・・・仕方ない。歴戦提督さんスイッチ、オン。

 

 

制帽を被り直すと、敢えてゆっくり顔を上げる。

 

 

「ほぅ、最近の准艦娘は礼儀作法のひとつも知らないようだな」

 

 

「えっ・・・!?」

 

 

豹変した俺の言葉に固まる三浦。悪いが付き合ってくれ。お前のせいで、このままじゃうちの加賀さん(奉仕部部長)が爆発しちまいそうなんだよ。

 

 

「言葉を慎め。私は帝国海軍中佐にして、ここショートランド基地の司令官たる比企谷八幡だぞ?」

 

 

めっちゃ恥ずい。何言ってんの俺?これもう殆ど材木座の自己紹介と同レベルの黒歴史なのですっぽいにゃ。(キャラ完全崩壊)

 

 

「そして見ての通り、彼女は正規の艦娘、空母加賀だ。それに対して貴官は准艦娘。この意味は・・・分かるな?」

 

 

正式に改装を受けた艦娘は尉官待遇で着任する。そして既に充分な戦功を挙げている加賀(雪ノ下)の階級は中尉だ。一方、准艦娘は下士官待遇。現に三浦は一等兵曹の階級章を付けている。つまり、さっきのやつの言動は上官に対する明確な軍規違反なのだ。悲しいけどこれ、現実なのよね。

 

 

「それと葉山少将、本名呼びに関する禁則事項は准艦娘にも適用される。まさかとは思うが、私情を優先して公私の区別すらつかなくなったのではあるまいな?」

 

 

ようやく事態を把握したのか、にわかに青ざめる新婚夫婦。(事実誤認)どうだ!もはやぐうの音も出まい!

 

 

「ぐうっ・・・」

 

 

悔しそうに呻く葉山。あら、ぐうの音出ちゃった?

 

 

そして・・・

 

 

「い、言わせておけば・・・調子に乗るなよ比企ガッ!?」

 

 

反撃に転じた葉山が、不意に仰け反った。誰かに後ろから襟首を掴まれたのだ。マイガッ!ならぬヒキガッ!って欧米か?

 

 

が、下らぬツッコミを入れてる場合ではなかった。葉山を背後から襲っていたのは、ヲでん屋台の女将ならぬ、青いオーラを放つ空母ヲ級だったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てか、彼女(ヲ級さん)のことすっかり忘れてたわ。(汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉山を羽交い締めにした空母ヲ級。緊迫した空気が辺りを包む。急遽駆け付けた増援の艦娘たちも加わり、状況はT字有利と言えるものではあったのだが、やつが捕われている以上、下手に手出しは出来ない。

 

 

「て、提督?!」

 

 

「て、提督?!」

 

 

「は、隼人?!」

 

 

奇しくも似たようなセリフだけど、最初のは横須賀鎮守府の子たちが葉山を案じるもの。後の方はうちの子たちが俺に指示を求めるもの。そして最後のはどっかの准艦娘さん(三浦さん)・・・てか緊迫した場面で俺は誰に何を説明しているのです??

 

 

一触即発の雰囲気が漂う中、艤装を展開して身構えるショートランドのメンバーたち。その多くは浴衣姿だったが、ヲ級を前に隙はない。さすがはここ、激戦区ソロモン諸島で生き抜いて来ただけのことはある。やっぱ司令官が情けないと、指揮下の艦娘は危機感を募らせてより力を発揮するのだろうか。あれ?それってつまり俺のせい?

 

 

泣ける。(ノД`)シクシク

 

 

一方、司令官さん(葉山君)の危機に駆け付けては来たものの、横須賀の護衛部隊はなんと丸腰だった。いくら数は揃っていても、生身の彼女たちは無力だ。それが艤装も着けずにお祭り騒ぎとか、あいつら気が緩み過ぎだろ。葉山のやつも日頃どんな指導してんだよ。

 

 

やはり、最前線と内地で意識の差が出たか・・・

 

 

そうこうしているうちに、辺りが騒がしくなってきた。ただならぬ様子に、一般客が集まってきたのだ。しまった・・・!

 

 

「あ!艦娘ショーかな?」

 

 

「ヲ級をやっつけろー」

 

 

「神通さん負けるなー」

 

 

「勝手は榛名が許しません!!」(レイヤー榛名さん)

 

 

いやこれ、完全にお祭りの余興だと思われているみたいなんですけど?( ゚д゚)ポカーン

 

 

声優さんたちはヲ級と葉山をバックに自撮りしてるし、レイヤーさんたちに至ってはハリボテの主砲を構える始末。まずいな・・・いや、パニックを避けるには、むしろ好都合か・・・

 

 

「提督!ご命令を!」

 

 

大淀が促す。

 

 

『艤装を仕舞え。さもなくば・・・』

 

 

苛立つようなヲ級の声。あ、喋れたのね、貴女。てか彼女がその気になれば、葉山などイチコロだろう。でも何であいつは恐怖に歪んだ苦しげな表情でもイケメンなわけ?やっぱなんかおかしくない?

 

 

「大淀、他にも居るか?」

 

 

声を潜めて、いちばん気になる点を確認する。つまりこれが艦隊規模の本格的な攻撃なのか、それとも彼女(ヲ級)のスタンドプレイなのか・・・

 

 

「いいえ、他に敵影なし、とのことです」

 

 

耳に手を当てながら答える大淀。通信相手は、周辺海域を警戒中の球磨率いる第四水雷戦隊らしい。グッジョブだクマ〜!

 

 

単独で潜入して来るとは、敵ながらあっぱれなやつ。或いは、そこまでしなければならない理由が有ったのか?まあ、いずれにしろ、これで後顧の憂いは消えた。ならば、やることはただひとつ。

 

 

『早く言う通りにしろ。こいつがどうなってもいいのか?』

 

 

そう言い募り、一層青いオーラを燃え上がらせるヲ級。正直めちゃくちゃ怖い。だが断るっ!!

 

 

制帽を目深に被り、敢えて目元に翳を作ってから語り出す。え?何をしてるかだって?聞かないでくれ。単なる雰囲気作りだから。

 

 

「残念だったな。我々を脅しているつもりのようだが、(葉山提督)は何よりも不名誉を恐れる(武人)だ。深海棲艦の人質になるくらいなら、潔くお前さんを道連れに爆散する道を選ぶだろう」

 

 

さらりと『葉山くんは切り捨てます宣言』をした俺は、やつの名誉を守るため次なる指示を出そうとしたのだが・・・

 

 

「やらせませんっ!」

 

 

「させるかよっ!この腐り目野郎!」

 

 

「このクズ提督・・・!」

 

 

「哀れね。まさかここまでの捻デレぼっちとは思わなかったわ・・・」

 

 

こちらに向けて横須賀の艦娘たちから放たれる、半端ない殺気。俺が葉山を見捨てたと思ったのだろう。(半分正解)つか待て待て待て!話は最後まで聞きなさいって艦娘養成学校で習わなかったかな?やはり君らの攻撃目標はまちがっている。あと、どさくさに紛れてとんでもないこと言ってるの誰だ??

 

 

気を削がれた俺がため息をつくと、死よりも不名誉を恐れる(はずの)(ヘタレ)が悲鳴を上げた。

 

 

「ま、待て!彼女(ヲ級)の言う通りにしてくれっ!」

 

 

ええい、大の男が聞き苦しいわ!それにそこは『俺に構わず撃て!』だろ!!

 

 

いまひとこと命じれば、ヲ級を倒すことは容易い。陸に揚がった深海棲艦など、完全武装した艦娘の敵ではないからだ。が、ここで攻撃すればみんなの葉山くんも確実に爆散するだろう。やだ、これって文字通りのリア充爆発しろじゃね?YOU、ヤっちゃいな。(黒ハチマン)

 

 

待たれよ!仮にも一度は同じクラスで机を並べた仲であろう?ましてや今は、共に深海棲艦へ立ち向かう戦友同士。お主はそれを見捨てることができるのか?(白ハチマン)

 

 

待てや兄さん。此処でヤツを吹っ飛ばせば、雪乃はんも横須賀鎮守府も丸ごとあんたのものでっせ?ささっ、ドカンと行きまひょ!(再びの黒ハチマン)

 

 

仕方ない。やはりここは俺がヘイトを集めて、その隙に葉山を・・・

 

 

「ふはははは!」

 

 

高笑いと共に猿芝居を開始する。キャラじゃないしマジ恥ずかしい。恥辱汚辱屈辱凌辱。寿限無かよ?あと最後のは全然意味違うから!

 

 

「おいおい、どこを見ているんだ?そいつは所詮、βテスター上がりの雑魚提督さ。態々ここまで苦労して潜入したなら、もっと大物を仕留めた方が深海の提督さんも喜ぶんじゃね?ま、知らんけど」

 

 

軽薄な口調で煽りながら、ゆっくりと前へ進む。え?何となくどっかで見た展開だって?SAO?第一層ボス攻略後?黒の剣士?さあ、知らない子ですね。二次小説の読みすぎじゃないですか?(巨大ブーメラン)

 

 

(因みに、葉山が本サービス開始前に艦これを先行プレイしてたのは事実だ。どうせ親のコネだったんだろうけど、羨ましい。ボソッ)

 

 

「っ?!あなた、まさか()()っ?!」

 

 

雪ノ下が鋭く声を上げるが、もう止まれない。すまん、俺はこれしかやり方を知らないんだ。全艦娘、突撃!あ、突っ込むのは俺だけか。それと周囲から感じる「なに言ってんのこいつ?」みたいな冷たい視線は気のせいだよね?

 

 

「俺はあのヘンダーソン飛行場を陥とした()()()()()()()()()()()だぜ?深海棲地への手土産には充分すぎると思わないか?」

 

 

これでヲ級の注意が逸れたら、一斉射だ。卑怯と言われようが、だまし討ちと罵られようが、構うものか。犠牲を出さずにこの場を収めれば、勝ちなのだから。

 

 

「どうした?まさか臆したか?」

 

 

ひたすら煽る。ああ、分かってるさ。これは問題の解決じゃない、解消だ。自己犠牲なんて高尚なものでもない。単なる捻くれぼっちの・・・

 

 

が、彼女はちらりとこちらを一瞥しただけで、直ぐ興味を失ったように視線を戻した。

 

 

ば、バカな?!(失敗フラグ)

 

 

『雑魚に用はない』

 

 

で、ですよね〜 (;´д`)トホホ…

 

 

漂う白けた空気。突き刺さるジト目の視線。とても痛い。主に心が。これってやっぱりただの中2病じゃん、俺。自意識過剰による深い怨みや強い屈辱感が、提督の深海化を促す要因として考えられる以上、もはや・・・ん?それって誰のことかな?ハチマン、もう深海棲艦になっちゃってもいいよね?(だからダメ!絶対!)

 

 

もう、泣ける気力も失せたわ。

 

 

やむを得ん。許せ葉山。お前も軍人の端くれなら分かってくれるだろう。二階級特進おめでとさん。(爆散確定)

 

 

見ると、やつも覚悟を決めたような表情だ。言葉は無くとも分かり合えた瞬間。これがまさか『本物』なのか?やだ、やっぱ男の子同士以心伝心とか、はやはち再び来ましたワ〜!!(勘違い)

 

 

と、その時。

 

 

『横須賀・・・提督・・・』

 

 

俺は確かに聞いた。彼女(ヲ級)が漏らした言葉を。

 

 

ほぅ・・・横須賀、葉山、ヲでん、給糧艦娘・・・なるほど、そうか、そういうことだったのか・・・

 

 

結論に達した俺が再び指示を出そうとした瞬間、ひとりの少女が飛び出して来た。伊良湖の格好をしたレイヤーさんだ。

 

 

「ま、待って下さい!」

 

 

若干怯えながらも、必死に訴える伊良コス美少女。

 

 

「お、お願いします!彼女(ヲ級)と話しをさせて下さい!」

 

 

チッ!ここにも目立ちたがり屋の中2病さんかよ。傍から見るとひたすら痛いだけだな。(自沈)これだから素人は・・・

 

 

「下がりたまえ!民間人が出る幕ではない!」

 

 

思わず口調がきつくなるが、返ってきたのは、

 

 

「へ・・・?わ、わたし横須賀鎮守府の給糧艦伊良湖です!」

 

 

真っ赤になって抗議する、レイヤーさん改め伊良湖ちゃん。え?あなた本物(艦娘)?いや、最初から分かってましたよ?ハチマンウソツカナイ。

 

 

そしてヲ級へと向き直った彼女が口にしたのは、予想外のひとことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女は先輩・・・間宮先輩、ですよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てか、こんなところでフラグ回収とか勘弁して・・・(*´Д`)




次回第予告:遥かなる南十字星
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