やはり俺の艦隊ラブコメはまちがっている。   作:いろはす@

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第6話:知り合いが艦娘になりまして

「し、失礼します!」

 

 

初々しい感じで入って来たのは、中学校1年生ぐらいの艦娘。最近、初見で彼女たちの年齢や学年を識別できるようになってきたのは、立場上仕方ないことだと信じたい。いや信じている。

 

 

え?どこを見て判断してるかって?そりゃ、顔立ちだったり胸部装甲だったり胸部装甲だったり・・・あ、こらそこ!HENTAIなんてお下品なこと言わない!憲兵さんコイツです!(自爆)

 

 

しかし、今だったら平塚先生の実年齢もドンピシャで当てられる自信がある。まぁ、あの人とっくに艦娘になれる適齢期過ぎてるだろうし、歳を言い当てた時点で確実にこっちが無事じゃ済まないけどな。あ、適齢期といえば結婚の方は・・・うん?背中に殺気が・・・

 

 

 

 

 

 

 

ショートランド前進鎮守府に着任して2週間。深海棲艦隊は何やら自粛中なのか目立った動きはなく、勘違いラブコメで妙なフラグが立つこともなく、基地は順調に回っていた。今日も榛名と鎮守府は大丈夫です!・・・て言うか、これなら俺って要らなくね?テレワーク提督ってダメなんですか?

 

 

雑念の泥沼に嵌まっていた俺は、少女の声に現実へと引き戻された。ええと、彼女は確か、補充要員の新人艦娘だった、かな・・・

 

 

「着任のご挨拶に参りました!本日付けで当鎮守府に配属となった朝潮型駆逐か・・・」

 

 

ん?どうした?噛んだか?まぁ気にするな。俺なんてしょっちゅうだ。

 

 

途中で言葉を切り、驚いたようにこちらを見る新入りさん。あぁ、あれか、やっぱこの眼ね。実家を発つ際、小町に勧められて伊達眼鏡をかけてはいたんだが・・・

 

 

「そ、そうですよね~♪やだなぁ、全然傷付いてなんかないから!八幡嘘つかな・・・」(心の声)

 

 

ごふっ?!

 

 

自虐モードに切り替わりかけた俺は、腹に強烈な一撃を受けて呻いた。何しやがんのよ、この小娘・・・

 

 

ふと下を見ると、新入りさんが俺の腹に頭から突っ込んでいる。何してるの、この子?頭突きは夕立の専売特許じゃなかったの?ってか初対面でここまで嫌われたら、提督、泣いちゃうよ。

 

 

「は、はちまん!はちまんだよね?逢いたかったよぉ・・・」

 

 

なおもぐりぐり頭を擦り付けながら、まさかの爆弾発言。え?何?実は新手の美人局とか?いや待てよ、そうか、扉の向こうには青葉がカメラ片手に・・・

 

 

くっ・・・その手には乗らんぞ!

 

 

と、俺に抱き付いたまま、新入りさんが顔を上げた。艶のある黒髪が流れ、ばっちり目が合う。か、可愛いなぁ・・・(赤面)涙まじりの上目遣いとか、酸素魚雷100本にも匹敵する破壊力。提督が轟沈しました。ただいまより艦隊の指揮系統が崩壊します・・・

 

 

いや、そんなギャグ言ってる場合じゃねぇ。何となく見覚えはあるんだけど、すまん。誰か分からぬ。

 

 

「クリスマスイベント以来だよね?いきなり居なくなって心配してたんだから!」

 

 

げっ!( ゚ロ゚)!!美人局どころじゃねぇ。ガチの知り合いだ。

 

 

「る、ルミルミか・・・」

 

 

鶴見留美。去年の夏、例の林間学校で知り合って以来、何度か交わった地元の女子小学生だ。いや、だから表現がおかしいだろ!登校中にたまたま出会って朝の挨拶しただけだよ!なんにも後ろめたいことなんてしてないからね?!

 

 

しかし、ちょっと見ないうちに随分大人びたなぁ。もう中学生か。子供の成長は早いものだ。(しみじみ)

 

 

「提督、何をなさっているのかしら?」

 

 

低すぎる声。

 

 

「へ?」

 

 

脇に控える秘書艦(加賀さん)から流れ出す、凄まじい冷気と怒気。留美を連れてきた大淀も、なぜかドン引きしている。Why Japanese Kanmusu?

 

 

そこまで思った俺は、ようやく留美の頭を撫でている自分に気付いた。彼女はなぜか頬を染めながら、トロ~ンとした涙目で俺を見上げている。

 

 

はぅ?!し、しまった!いつも妹にやってた癖で、つい・・・確かにこれは、涙目の少女にご奉仕させているようにも見える。まぁ、俺は奉仕部員だからな。はっはっは!(空疎な高笑い)

 

 

「はぁ・・・それなりに期待した私が愚かだったわ」

 

 

ため息をつきながら、受話器を手にする加賀さん。そのしなやかな白い指先が、内線を押す・・・ってその番号、憲兵隊本部じゃねぇか!待って!お待ち下さいませ加賀様!

 

 

「あら?何を慌てているのでしょうか、炉里谷提督」

 

 

冷たい感じと言い絶望的なあだ名のセンスと言い、そう、加賀さんは我が部長(雪ノ下)にそっくりだ。(気付くの遅すぎ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、気不味い。リアルの知り合いが艦娘になってこの鎮守府に配属されるなんて、どんな黒い冗談(ブラックユーモア)だよ。どんな態度で接すりゃいいんだ?

 

 

謎の存在「艦娘」の正体が、実は魔改装を受けた一般女学生らしいということは、すでに一部マニアの間では公然の秘密。しかしだ、いざこうして顔見知りの後輩が艦娘として目の前に現れると、内心恥ずかしくてとても平常心じゃいられん。冷静になってみれば、鎮守府だの制海権奪回だのと、中2病全開の世界。第二種軍装とかも、俺が着たら単なるコスプレだし。

 

 

加賀さんの視線が痛い・・・

 

 

すると、空気を察した留美が弾かれたように俺から離れ、直立不動の姿勢をとった。うん、さすがだ。相変わらず場を読む力は大人顔負けだな。まぁ、あれだけの経験をしたら当然か。ボッチという名の煉獄。常に未来予測しなきゃ生きてゆけないいじめられっ子(アイアンボトムサウンド)。分かる、分かるぞルミルミ!!

 

 

「く、駆逐艦朝潮です!艦隊のお役に立てるよう、頑張る覚悟です!宜しくお願いします!」

 

 

「う、うむ。期待しているぞ」

 

 

うわ、誰だよ、このキャラ。あ、俺か。

 

 

緊張した留美の様子に、思わず頬が弛んでしまったが、動揺を抑えて何とかそれらしく(提督さんっぽく)振る舞う。どうやら彼女は「朝潮」になったらしい。サラサラ黒髪に大きな瞳。確かに雰囲気似てるよな。まぁ頑張れ。

 

 

艦娘型録の写真を思い出しながら、俺は心の中でルミルミにエールを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

留美改め、朝潮型駆逐艦一番艦朝潮(ルミ潮)が退出すると、俺はため息をついた。ふぅ・・・明日から提督のキャラ設定どうすんだよ・・・

 

 

ふと、こちらを見詰める加賀さんと視線が交わる。しかし彼女は、はっとした表情を浮かべると直ぐに目を逸らしてしまった。嫌悪感のためか、顔色が少し赤い。大淀も、右に同じ。

 

 

ああ、またか・・・

 

 

着任以来、いつもこうだ。何気無い瞬間に目が合うと、みんな慌てたように顔を背けて逃げてゆく。嫌われるのには慣れていたが、その事実を受け入れられるかどうかは、また別問題だ。そもそもこれは、慣れてしまっていいものなんだろうか?雪ノ下や由比ヶ浜の言葉が脳裏をよぎる。

 

 

こちらに背中を向けた加賀さんと大淀の後ろ姿を見ながら、憂鬱な気分はしばらく晴れそうもなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんな表情も出来るのね・・・」(加賀さん)

 

 

「あの笑顔はずるいです、提督・・・」(大淀)




次回予告:最も危険な罠。それは実弾演習。新入りの艦娘たちが送り込まれたのは、適性テストとは名ばかりの過酷な実戦だった・・・

第7話:特別演習(前編)
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