最初に登場したのはイチカになりました。
イベント内のあのセリフでめちゃめちゃ笑いました。
澄んだ青空が広がる中、トリニティ内に設置してあるベンチに腰掛けている2人の姿があった。
1人は黒を基調とした制服に身を包み、これまた黒い翼を持つ細目の少女。
トリニティの正義実現委員会に所属する仲正イチカ。
もう1人は反対に白を基調とした服装をしており、若干疲れた様に見える顔をしている大人。
連邦生徒会直属の超法規的機関、S.C.H.A.L.Eの先生。
イチカは通常業務の見回りがひと段落し、先生はトリニティへの定期訪問を終えどちらも休憩中。
そんな2人が並んでベンチに座り、お互いが同じ場所を凝視しながらある事について語り合っていた。
「正実モブちゃん、良いよね」
「わかるっす」
…それは正義実現委員会に所属しているメンバー、通称正実モブちゃんについて。
上下黒の制服に目隠れパッツンの黒髪、その見た目から小動物の様な可愛らしさが滲み出ている少女達の事である。
「あの子達がわちゃわちゃ動いているのを見てるだけで幸せな気持ちになるよね」
「めっちゃわかるっす」
ベンチから離れた所に立っているモブちゃん達への視線を外す事なく2人は話し続ける。
「そういえば、イチカが戦闘時によく連れてる子達は今日いないんだね」
「あの子達は今日はお休みっすね、最近はずっと出撃しっぱなしだったんで」
「なるほどね………戦闘といえばあの子達が銃の反動で尻餅をついたり、終わった後顔を赤らめてるの……良いよね」
「とてつもなくわかるっす。あの後いつも頭撫でてるんですけど、その時の喜んだり恥ずかしがったりしてる様子もたまらないっすね」
「最高の情報だね、私も撫でてみたいなぁ」
「残念ながらそれは私の特権なんでダメっすよ」
そんな会話をされているとは思ってもいない正実モブちゃん達は自分達が遠目から見られている事に気づき、2人に軽く手を振ってくる。
「見た、イチカ?私に対して小さく手を振ってきたよ、可愛すぎるでしょ」
「いやいや勘違いっすよ先生。今のは私にっす」
「いやいやいや、昔から視力には自信があってね、だからさっきのは間違いなく私にだったよ」
「いやいやいやいや、1日の大半をあの子達と過ごしてる私が見間違うわけないので私にっすよ」
なんとも不毛な争いをしている2人だが、当の正実モブちゃん達は既に他のメンバーとの会話に花を咲かせている。
「この前たまたま会った時にアイスを奢ってね、その時の嬉しそうな表情は永久保存したいくらいだったよ」
「私も最近誕生日だった子のお祝いでお願いを叶えたんすけど、”……イチカ先輩にいっぱい甘えても良いですか…?”なんて上目遣いで言われた時は頭がどうにかなりそうだったっすね」
「ぐっ!私もその姿を見たかった…!」
いつの間にかそれぞれの正実モブちゃんエピソード自慢大会にまで発展していたが、そんな空気は突然終わる。
「ん?ちょっとごめんね、電話みたい。はい、シャーレでs……」
『先生!!!また隠れて無駄遣いしてましたね!机の隅にレシート見つけましたよ!』
「ゆ、ユウカ!?あーそれはちょっと事情が…」
『進化型KAITEN.EXプラモデル限定版!しかも13万って何ですか!』
「せ、生産数が少なくて結構なプレミアで……」
『とにかくシャーレに来てください!お話はその時に聞きますので!』
「あ、ユウカまっ…切れちゃった…………ごめん、急遽シャーレに戻る用事ができたからそろそろ帰るね」
「先生、ドンマイっす」
見るからにしょんぼりとした先生を見ながらイチカから苦笑が漏れる。
「今度ハスミ達にも会いにくるよ、前に美味しそうなスイーツを見つけたからそれをお土産にね」
「ハスミ先輩も喜びそうっすね、楽しみに待ってますよ」
そう言って先生は足早に去っていった。
きっとしばらくは外出禁止でシャーレで仕事漬けになる事だろう。
イチカはそんな先生を思い同情しながらも、気持ちを切り替えベンチから立ち上がる。
「さて、私の方もお仕事再開っすね。みんなー次の場所行くっすよー」
イチカの一声にワラワラと集合する正実モブちゃんズ。
そんな彼女達を見て笑顔をこぼしながら、イチカは次の目的地へと足を進めた。