ブルーアーカイブ 青春の記録   作:Mrふんどし

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1000文字ちょっとで書きたいのにどんどん文字数が増えてしまう…

ちなみにハルカが1番の推しです。


便利屋68の護衛依頼

街から離れた目立たない場所にひっそりと聳え立つ一軒の事務所。

 

「はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」

 

その事務所内で机に突っ伏しながら呻いている少女がいた。

 

「アルちゃん、そんなにため息ついてたら幸せが逃げちゃうよ〜?」

 

「社長、どうしたの?最近元気ないけど」

 

「あ、アル様……大丈夫ですか…?」

 

3人の言葉にピクリと反応した陸八魔アルは、ゆっくりと顔を上げると

 

「……ないのよ」

 

「え、何?」

 

「依頼がこないのよ!」

 

そう言ってバンと机を叩きながら立ち上がる。

 

「私たちだってこれまで結構な数の依頼を受けてきたじゃない!なのに何で最近は間違い電話すらかかってこないのよ!」

 

「それであんなに落ち込んでたんだ」

 

「依頼が来ないことなんて珍しくなかったしね〜」

 

「あ、アル様、私が依頼を貰えるよう交渉してきましょうか……?」

 

カヨコ、ムツキ、ハルカがそれぞれ三者三様の反応を見せる。

 

「大丈夫よハルカ、あっちから頼まれてこそ便利屋としての仕事になるんだから」

 

「でもそろそろ家賃とかもあるけど大丈夫なの?」

 

「う、それは……」

 

今まで何度も移転し、時には野宿をも経験してきた便利屋68。

アルの頭の中には退居の2文字が浮かんでくる。

 

「ならみんなでどこかバイトすればいいじゃん、とりあえず当面のお金は稼げるし」

 

「だ、ダメよ!そんなのアウトローぽさが無いじゃない!」

 

「でもだからってこのままじゃこの事務所ともおさらばになっちゃうよ〜?」

 

「アル様と一緒ならどんな場所でも大歓迎です!」

 

元々アウトローに憧れて便利屋稼業を始めたのだが最近は全くと言っていいほど活動をできていない。

もっと依頼をこなして有名になって、いつかは一流のアウトローになる、そんな夢も地盤がなくてはやっていけない。

 

(バイトは最終手段よ、依頼さえくればきっと…)

 

と考えていた中、机の上の電話が鳴った。

 

「!……はい、便利屋68、陸八魔です」

 

「わぁ、凄いスピードで受話器とったね」

 

期待を込めて受話器を持つ。

だが電話の相手は予想していたものとは少し違った。

 

『やあ、アル。元気にしてた?』

 

「せ、先生!?」

 

その相手はシャーレの先生、これまで何度も行動を共にしてきた仲だが、最近は連絡もあまり取れていなかった。

 

『中々連絡出来なくてごめんね、こっちも最近仕事が立て込んでて…。今大丈夫かな?』

 

「え、ええ!丁度少し前に依頼が終わったところなの、だから今は暇ね!」

 

「アルちゃん思い切り嘘ついてるね」

 

「先生の前だから見栄を張りたいんでしょ」

 

2人が何か言ってる気もするが、今は電話に集中する。

 

『そっか、実はアル達にお願いしたい事があって』

 

「お願い?」

 

『うん…………便利屋68に依頼を頼みたいんだ』

 

「!!!」

 

依頼、久しぶりの依頼!それにまさかの先生から頼まれるなんて!

 

『……アル、大丈夫?』

 

「はっ!だ、大丈夫よ!それで、依頼って?」

 

『実はね……』

 

そう切り出し先生は話し始めた。

何でも依頼内容はとある集団の護衛任務らしい。

近々その集団で外を回る予定があり、その時に護衛する人手が欲しいとのこと。

 

『場所は山海経なんだけど…頼めるかな?』

 

「もちろんよ!私たち便利屋68が必ずやその依頼を遂行してみせるわ!」

 

『ありがとう、じゃあ後で詳細な場所を送るね、それじゃあよろしく』

 

そう言って電話が切れる。

アルはプルプルと全身を震わし、3人の方へと振り向いた。

 

「クフフっアルちゃんすっごく嬉しそう♪」

 

「アル様が元気に…!」

 

「はぁ、まああんな落ち込んだ状態の社長は似合わないしね」

 

「フフっ、ムツキ、ハルカ、カヨコ……」

 

不敵な笑みを浮かべながらアルは虚空に指を突きつける。

 

「便利屋68、出陣よ!」

 

――――――――――――――――――

 

「な、ななな何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

そして依頼当日、目的の場所ではアルの絶叫が鳴り響いていた。

 

「アハハハ!アルちゃん驚きすぎ!」

 

「まあそんな事だろうと思った」

 

「あわわ…わ、私にできるでしょうか……」

 

ほんの数分前の事。

アル達4人が指定された場所にやってくると、そこに居たのは小さな子供達。

 

「ようこそ梅花園へ、お話は先生から伺ってます」

 

そして身長が高く、長い黒髪を靡かせた1人の少女。

 

「私は山海経高級中学校3年の春原シュンと申します」

 

「あ、え、ええ!よろしくお願いするわね」

 

「そしてここが教育支援部の梅花園、私はここの教官も務めています」

 

そう紹介されたが、アルはまだ事態を飲み込めていなかった。

 

(え、何で子供達?護衛は?このシュンって人が護衛対象?でも集団って言ってたし…)

 

「本日は、園児達の郊外学習の付き添いに協力いただき助かりました。うちのココナが熱でダウンしてしまったので、どうしようかと困っていたんです」

 

そのシュンの言葉でパズルのピースがハマった。

 

そして先程の場面に戻る。

 

(ご、護衛任務ってこの子達の見守りって事!?先生なんであんな紛らわしい感じで話してたのよ!)

 

実はアル達が最近依頼を受けていないという事を元々知っていた先生による優しさだったのだが、そんな事は知る由もない。

 

「すみません、その様子だとよく伝わっていなかったようで……始めは先生にお願いしていたのですが、数日前に連邦生徒会の方から緊急の仕事が入ったそうでシャーレを出られなくなってしまったらしく……」

 

「なるほど、それでうちの社長にその役が回ってきたって事ね」

 

「はい、引き受けてくださるでしょうか?」

 

そう不安そうに尋ねてくるシュン。

先程はいきなりの事で驚きはしたが、アルの答えは決まっている。

 

「受けるわ、お金さえ貰えれば何でもするのががうちのモットーよ」

 

「ありがとうございます!」

 

どんな依頼であろうと手は抜かない、全て完璧にこなす事がアウトローへの道だと信じている。

 

「では早速なんですが、郊外学習はお昼からの予定なので、それまでは是非この子達と親交を深めてください」

 

「へ?」

 

「皆さーん、今日はこのお姉ちゃん達が一緒に遊んでくれますよー」

 

それを聞いた園児達は目を輝かせて4人に攻め寄ってきた。

 

「遊んで遊んでー」

「お姉さん誰ー?」

「頭のそれ何ー?」

 

矢継ぎ早に質問責めに合い困惑する4人。

 

「お、落ち着いて!ちゃんと答えるから……!」

 

「はわわわわわわわ」

 

「アハハ!ハルカちゃん大丈夫?」

 

「はぁ…………」

 

 

こうして便利屋68の依頼がスタートした。

始めはどう接すればいいかわからず動きもどこかぎこちなかった。

だが時間が経つにつれ慣れてくるもので、子供達もすっかり懐いており、今では4人もそれぞれの方法で遊んでいる。

 

「ほら〜早く逃げないと捕まえちゃうよ〜♪」

 

ムツキは持ち前の明るさから特に元気な子を相手に外で鬼ごっこ。

 

「昔々、〇〇山には…………」

 

カヨコは比較的大人しくしている子に読み聞かせ。

 

「こ、これをここに置いて…」

 

ハルカは屋内で遊ぶ子に混ざって積み木で。

 

「ね、ねえこれどこまで進めばいいのかしら……あ、角掴まないで頂戴!?」

 

アルは何故か四つん這いになり、背中に園児を乗せて歩いていた。

 

しばらく遊んで休憩時間になった4人は集まって話をする。

 

「みーんな元気だねぇ」

 

「うん、まあ私のところは静かだったけど」

 

「わ、私なんかが混ざって良かったんでしょうか……」

 

「はぁ……はぁ……なんか私だけハードじゃなかった?」

 

お互い感想やこれからの郊外学習のことについて考えを巡らせている最中、ひとりの園児がトコトコとこちらへやってきた。

 

「あら、貴方は……」

 

その子供は先程アルが背中に乗せて歩いた子供。

黄色い髪を後ろで結んでいるその子は手に持っていたものをアルに差し出した。

 

「お姉ちゃんさっきはありがとう!これあげる!」

 

そう言って渡されたのはピンク色の花弁の押し花。

 

「……ふふっ、ありがとう」

 

その微笑ましさからついつい頭を撫でるとその子供は嬉しそうに目を細め、そのまま他の園児の元へと走っていった。

 

「…………たまにはこういうのもいいわね」

 

「アルちゃんすっかり絆されちゃったね♪」

 

「べ、別に絆された訳じゃないわ!これは、そう!私のオーラに尊敬されたまでよ!」

 

「さ、流石ですアル様!」

 

「あ、皆さん。そろそろ子供達が外に行く時間なので、準備をお願いします!」

 

シュンの声を聞き、すぐさま気持ちを切り替える。

 

「さあ、ここからが本番ね」

 

それぞれ銃よ整備や弾丸の補充など軽く準備を終え、シュンの待つ玄関へと歩みを進めた。

 

――――――――――――――――――

 

園児達はシュン先導にゾロゾロと付いていき、その横をアル達が囲うように並ぶ。

そのような形で郊外学習は始まっていた。

とは言っても、行うのは予め訪問許可をとっている店に向かい、質問や見学をする程度の簡単なもの。

それでも園児達は楽しそうに笑顔を見せ、それなりに好評なようだった。

中には作業場の中に入れてくれた場所もあり、園児達に混じってアルも目を輝かせていたりしていた。

 

そんな有意義な時間を過ごして、梅花園に帰ろうとした時。

 

「え……〇〇ちゃん!〇〇ちゃんどこですか!?」

 

シュンが突然誰かの名前を呼び出す。

 

「ど、どうしたの?」

 

「〇〇ちゃんがいないんです!」

 

「そんな!?」

 

そう言われすぐさま園児達の人数を数えるが、確かに1人足りない。

 

「わ、私のせいで……!」

 

シュンは慌ただしくどこかに連絡をとろうとしている。

 

「……いえ、貴方のせいではないわ。元々この子達を見守るのは私達の役割よ、だから責任は私達にある」

 

「で、でも」

 

「カヨコ」

 

「うん、子供の足だからそこまで遠くには行けないはず。周辺を探してみる」

 

「ムツキ」

 

「わかってるって〜」

 

「ハルカ……はもう行ったのね、何かあったらすぐに連絡してちょうだい、そこで集合しましょう」

 

「「了解」」

 

それぞれが走り出し、子供捜索に動き出す。

 

「シュンさん、安心してちょうだい。子供必ず見つけ出すわ、だからそれまで他の子達を安心させてあげて」

 

「……はい!よろしくお願いします!!」

 

そう言ってアルもその場から駆け出した。

 

 

それからしばらく捜索を続けたが特に情報は得られない。

どうするべきかと次の行動を模索していた時。

 

「カヨコから!………もしもし、何かあった?」

 

「社長、子供を見つけたよ。ひとまず安心して」

 

突然カヨコから電話がきたかと思えば、子供が見つかったという嬉しい連絡。

 

「ナイスよカヨコ!じゃあ今すぐ……」

 

「いや、そう簡単にいかない。傍に怪しい2人組が居て何か話してる、もしかしたら誘拐かも」

 

「…わかった、全員そこで落ち合いましょう」

 

その後カヨコから連絡のあった場所に集まった4人は、物陰から様子を伺っていた。

視線の先にいたのは、カヨコの言っていた通りの怪しい2人組。

そいつらが子供の腕を握りながら何かを話しており、子供は恐怖から泣き出しそうな顔をしている。

 

だがその子供を見た瞬間、アルは飛び出しており、

3人もアルの後に続く。

 

「待ちなさい!貴方達、その子を離してもらえるかしら?」

 

「ああ?なんだお前ら?」

 

「お姉ちゃん……」

 

そう小声で喋った子供は、あの時アルに押し花を渡した少女。

 

「へっ、なんだお前、こいつの姉か?」

 

「……それは違うわ、でもある子にとっては大切な子供よ」

 

先程のシュンの姿が目に浮かぶ。

 

「なら邪魔すんな、こいつは大事な身代金代わりだ、わかったら大人しくしとけ!」

 

「っ!」

 

「おらっ!お前らさっさと銃を降ろせ!」

 

目の前の1人が銃を取り出し子供の頭に突きつける。

 

「ひぅ……!」

 

「…………………………わかった」

 

アルは一瞬だけムツキに視線を向けて両手を上げ、

そのまま手を開き持っていた銃を手放した。

他の3人も同じように銃を離す。

 

「そうだ、それで……」

 

そしてアルの銃が地面に落ちた瞬間

 

ドンっ!ドンっ!

 

「うっ!」

 

「ぐっ……!」

 

横に居たムツキが落下中の銃を蹴り上げ手で掴んだ後、2人のこめかみに弾を命中させていた。

相手が一瞬怯んだその隙にカヨコとハルカが駆け出す。カヨコは右の男に回し蹴りをくらわせ、ハルカはもう1人を吹き飛ばした後ショットガンで撃ち続ける。

 

「お姉ちゃん!!!」

 

「もう大丈夫よ、ごめんなさい遅くなって」

 

2人が離れた事で解放された少女が走ってきて、アルはその子を抱きしめた。

他の3人も安堵した様子でアルに駆け寄る。

 

「ナイス判断だったわ、3人とも」

 

「そりゃあアルちゃんの考えてる事くらいわかるよ♪」

 

「社長がただ諦めるわけないしね」

 

「アル様のお役に立てて何よりです……!」

 

だが喜んでいる暇はない。

1人は気絶しているがようだがもう1人はまだ意識があったようで、この場から逃げ出そうとしている。

 

「クソ……なんでこんな…………うっ!」

 

「起き上がった所悪いのだけれど、もう少し寝ててもらうわ」

 

アルは起き上がろうとする相手に近づき、銃を突きつける。

 

「お、お前らは何なんだ!」

 

「………何事にも縛られず、己の信じた道をゆく…」

 

「は、はあ!?い、いきなり何を……」

 

「……時には弱気を助け、強気を挫く……」

 

相手に狙いを定め、アルは引き金に指をかける。

 

「覚えてなさい、私達は便利屋68……何でも屋よ」

 

そしてその場に一発の銃声が鳴り響いた。

 

 

 

「本当に、本当にありがとうございました!!!」

 

少女を連れてシュンの元に戻ると、首が取れるんじゃないかと思うくらい頭を下げて感謝の言葉をかけられた。

何とか落ち着いてもらったのだが、シュンを落ち着かせる方が先程よりも大変だったんじゃないかと錯覚するほどだった。

 

「お姉ちゃん……ごめんなさい」

 

助け出された少女は顔を暗くして謝ってくる。

 

「……お姉ちゃんにこれをあげたくて」

 

そう言って見せてきたのは綺麗な紅色の花。

どうやら歩いている最中に見つけて夢中になってしまい、そのまま列から離れてしまったのだという。

 

「もう勝手に1人でどこか行ったりしたら駄目よ?貴方の事を心配してくれる人が悲しむんだから」

 

「うん…………」

 

そう言ってアルは少女から花を受け取る。

 

「でも、中々センスがいいわね、このアウトローである私にピッタリじゃない!」

 

受け取った花を見つめてそう少女に言葉を返す。

そんなアルを見た少女は元気よく笑顔で頷いた。

 

 

 

「本日は本当に助かりました、あの子達も凄く楽しかったと話してましたよ」

 

「ふふ、当然よ。私達は何でもできるんだもの!」

 

「先生がおっしゃっていた通りの方々でした。ありがとうございました、こちらは今回の報酬で……」

 

そのセリフを聴き終える前に、アルは背中を向けて歩き出す。

 

「あ、あの依頼の報酬を……」

 

「報酬?それならもう貰ってるわ」

 

そう言ってアルは手に持った綺麗な花を肩越しに見せながら、この場を華麗に去っていった。

 

――――――――――――――――――――

 

「はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………」

 

山海経の依頼からしばらく経った事務所の中、

アルは再び机に突っ伏していた。

 

「社長、まだ落ち込んでるの?」

 

「あの時アルちゃん格好つけて報酬貰わないで帰ってきちゃったもんね〜」

 

「何で家賃の心配してたのに受け取らなかったのさ……まあ社長らしいけど」

 

「あ、アル様……やっぱり私が稼いできましょうか…?」

 

あれから結局他に依頼がくることはなく、便利屋68としては初めの状況とほぼ変わっていなかった。 

 

「あ、そういえば。あの後先生が山海経に訪問した時の事を教えてくれたんだけど、この前助けたあの子、アルちゃんのファンになっちゃったみたいで毎日アルちゃんの真似してるんだって♪」

 

「へーそんなんだ、よかったね社長」

 

「いや、その子に関しては嬉しいやら恥ずかしいやらで複雑だけど……それより依頼がこないとこのままじゃこの事務所を追い出されるわ!」

 

どうにかしなければ、やはりバイトをする必要があるのか……

机の上に置いてある求人票の束を横目で見ながら考えていると、不意に電話が鳴った。

 

「……はい、便利屋68、陸八魔です…………え?は、はい…はい…はい!わかりました、お受けしましょう!ええ、では詳細を……」

 

やがて電話が終わったアルはゆっくりと3人に振り返る。

 

「クフフっ♪やっぱ元気なアルちゃんが1番だね!」 

 

「なんか前にも似たような感じあったけど……まあいっか」

 

「アル様のためならどんな事でもやりきって見せます…!」

 

アルは1人1人の顔を見ながら、不敵な笑みを浮かべ声高らかに言った。

 

「さあ、便利屋68、出陣よ!!!」

 




誘拐犯はロボット型のNPCの姿をイメージしてます。
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