一度考えてた話を消して作り直したら思ったより文量増えなかった。
この2人の関係性好きです。
「わぁ!凄いですねアズサちゃん!」
「ああ!ヒフミ、早く行こう!」
人混みが激しく独特の熱気を感じとれる場所でヒフミとアズサは目を輝かせて歩いていた。
2人の目に映るのは普段は見ないような様々な店や商品の数々、そのどれもが心を躍らせるもので2人は今この上ない幸せに包まれていた。
「流石はモモフレンズフェスですね!あぅ…これだけのグッズ量です、お金は足りるでしょうか…?」
「大丈夫、私の分も合わせればそれなりに買えるずだ。それにいざとなったら……」
「わ、悪いことはダメですよアズサちゃん!?」
「そ、そうか。ごめん……」
テンションがいつもよりも高く、思考が若干おかしな方へと傾いているアズサを嗜めるヒフミ。
「アズサちゃん、あっちにペロロ様達が居ますよ!行きましょう!」
「本当だ!スカルマンまでいる……!」
アズサの手を引き着ぐるみ達の所まで走っていく。
そもそもなぜ2人がこの場所にいるのか、それは数日前に遡る。
いつも通りの日常を過ごしていた補習授業部の面々、そんな中勢いよく扉を開きやってきたアズサの一声がきっかけだった。
「みんな聞いてくれ、私はとんでもないものを手に入れてしまった……」
真剣な表情をして話を切り出したアズサ。
そんな固い雰囲気に3人も呑まれ、おのずと体が強張る。
「……そんなに大変なものなんですか?」
「ああ……もしかしたら私達を襲撃しにくる奴らも現れるかもしれない」
「ええっ!?だ、大丈夫なんですか?」
その言葉に慌てふためくヒフミ。
アズサにそこまで言わしめる物とは一体何なのか、教室内に緊張が走る。
「……………………これだ」
そう言って取り出したのは、2枚の紙切れ。
「「……モモフレンズフェス入場券?」」
その紙切れにはそう書かれていた。
「……ただのチケットよね?これ」
「な、何を言ってるんだコハル!」
「えっと…私もコハルちゃんと同意見なのですが」
アズサの大げさすぎる態度にコハルとハナコの2人は困惑する事しかできない。
「はあ、何事かと思ったら何の変哲もないチケットじゃない…………ヒフミ、どうかしたの?」
やれやれとため息をついたコハルは顔を上げると、正面に立っていたヒフミがプルプルと肩を震わせて俯いているのが見えた。
「あわわわわわわわわわわわ!た、大変ですよアズサちゃん!!!」
その後顔を上げたかと思えば顔面を思い切り青くさせ、震え出すヒフミ。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ!」
「コハルちゃん!これはアズサちゃんが言った通り暴動が起こる可能性があるほどなんですよ!」
「そんなわけないでしょ!ただのチケットで…」
「いえ!そもそもモモフレンズフェスというのはモモフレンズイベント関連の中でも特に重要度が高いイベントでして、会場内でのライブは勿論そこで販売されるグッズは全てその場限定!そこを逃すと2度とお目にかかれないようなものまであるんです!さらに入場チケット自体も倍率が高くこれまた入手しづらいもので、たとえ手に入ってもその情報を聞きつけた他のファンからの襲撃や争奪戦も起こる可能性があるほどです!そして……」
「?????」
「ヒフミちゃん、コハルちゃんが混乱しちゃってるのでその辺りで…」
「っは!すみませんつい…というかアズサちゃんはどうやってこのチケットを入手したんですか?」
ヒフミのマシンガントークを受けフリーズしたコハルを席に座らせながらアズサに尋ねる
「ああ、ここにくる前に店の前で暴れてた奴らを大人しくさせたんだ。そうしたら店長がお礼としてくれた」
「ええっ!?そ、そんな簡単に渡してくれたんですか!?」
「うん、『くじ引きの景品として仕入れたけど私にはよくわからんからね、これでよければ貰ってくれ』って」
「そ、それはなんともラッキーでしたね……でも凄いですよアズサちゃん!」
ヒフミの賛辞を受けるが、困ったような顔で話を続けるアズサ。
「それで…私が使うにしても1枚チケットが余るんだ。だから……」
「な、なるほど!じゃあ私とコハルちゃんとハナコちゃんで後悔のないよう、真剣勝負のじゃんけんを……」
「私は行かないけど」
「私も今回はご遠慮させて貰いますね」
「ええっ!な、何でですか!?」
腕をまくりやる気満々だったヒフミはあっさり降りた2人に問いかける。
「いや、明らかにヒフミが行きたそうだし……」
「私はこういうのは疎いので、きちんと楽しめる人が行った方がいいと思います。それに…アズサちゃんもヒフミちゃんと行きたがってる様でしたし♪」
そう言われたアズサは少し照れた表情をしながらヒフミにチケットを差し出して話す。
「……あの時、外の幸せを知らなかった私にモモフレンズの事、色んな事を教えてくれたのはヒフミだった。だからそのお礼としてこれをヒフミに受け取ってほしい」
「アズサちゃん……はい!是非!」
そんな思いを聞いたヒフミは差し出されたチケットを丁寧に受け取り笑顔で答えた。
――――――――――――――――――――
「ふぅ…………一杯買いましたね」
「ああ、良い写真もたくさん撮れた」
それからしばらくして、大量の戦利品を手に入れたヒフミとアズサは満足そうな顔で休んでいた。
「この後はライブがありますし、少し早めにステージ前に行きましょうか」
モモフレンズフェスの最大の目玉であるライブ。
それを近くで見るために2人は席を立ち移動しようとする。
が、その時だった。
遠くから轟音が聞こえてきたかと思えば、そこから現れたのは、数台の戦車に大量の不良集団。
「おらっ!全員大人しくしろ!」
「グッズを全部この袋に詰めろ!」
そう大声で話す不良達に皆が怯える中、ヒフミとアズサは物陰に隠れて様子を伺っていた。
「ど、どうしましょう!?なんでこんな事に!」
「わからない、ひとまず奴らの動きを見る」
その間にも店や購入者からどんどんグッズを回収していく不良達。
「へへっ上手くいったな」
「ああ、これを売ればあたしらの活動資金にもなるし、小遣いにもできて一石二鳥だ!」
「っ!」
どうやら不良達の目的は限定グッズの転売らしい。
その発言にアズサは悔しそうに口を結ぶが、流石にただ特攻するわけにはいかない。
どうすればいいかと策を考えていると、隣のヒフミがやけに静かな事に気づきそちらを見る。
するとそこには普段の様子とは違いら眉をキュッと寄せて銃を手にしているヒフミの姿があった。
「……モモフレンズはみんなのものです、あんな事のためにこんな事態を起こしたなんて許せません」
「でもヒフミ、流石にこの状況は不利すぎる」
「…………アズサちゃん、耳を貸してください」
そう言ってヒフミはアズサに小声で何かを伝える。
それを聞いたアズサは一瞬思案し、立ち上がる。
「わかった、私はヒフミを信じる」
「ありがとうございます、アズサちゃん」
お互いにふっと笑い、それぞれが動き出す準備を整える。
そして、アズサは取り出した閃光弾を力を込めて不良達の方へと投げつけた。
「ぐっ、目がぁぁぁ!」
「な、何だいきなり!」
突然視界を覆ったまばゆい光に気を取られ慌てふためく不良達、その隙を逃さずにアズサは突撃し前方に居た不良を倒していく。
「だ、誰だ!」
「全員、蜂の巣にしてやれ!」
アズサに気づいた残りの不良達は一斉に銃を発泡するが、再び投げられた閃光弾によって邪魔される。
そしてアズサは目標であった戦車の一台に近づき、入り口を開けた。
「え、な、何だお前!ぐふっ」
いきなり入り口を開けられた操縦者は混乱するが、アズサに容赦なく気絶させられ外へと放り出される。
「ヒフミ!」
そしてその瞬間を待っていたヒフミがアズサの手を掴み、その戦車に乗り込む。
「任せてくださいアズサちゃん!」
そう、ヒフミの作戦はシンプル。
戦車を一台でもいいから奪うこと、それだけだ。
普通ならそんな作戦が成功しても、数で押されて負けるだろう。
だがヒフミ達には勝算がある。
ヒフミとアズサは以前、海へと行くためトリニティの戦車を拝借しようとした事があった。
その際に止めに入った正義実現委員会約30名を撃退しさらには校舎の一つを全壊させるなどの戦績を叩き出したのだ。
しさらには校舎の一つを全壊させるなどの戦績を叩き出したのだ。
つまりヒフミに戦車の操縦をさせる事ができれば。
「うわぁぁ!く、来るな!」
「逃げろ!アイツヤバイぞ!」
「白髪の方も気をつけろ!お前ら……うっ!」
「何であんな動きできるんだよ!」
後に、会場にいた人々が言うにはその光景はまさに無双だったという。
何台もの他の戦車を振り切り、あり得ない角度のドリフトを決めながら砲撃を行うヒフミ。
そして逃げまわる不良を確実に仕留め、順に拘束していくアズサ。
かくしてモモフレンズフェスで突如起こった襲撃はとある2人の少女の手によって鎮圧されたのだった。
――――――――――――――――――
「…………今日は何だか凄い1日でしたね」
あの後無事にライブも開催され、今回の功労者として1番前でライブを見る事ができた2人はそれはもうはしゃぎまくった。
「アズサちゃん、大丈夫ですか?」
「………………うん」
結果、そのせいで体力を使い果たした2人は明らかに疲れが溜まった様子でバスに揺られていた。
特にライブ慣れしてなかったアズサの疲弊は凄く、力が抜けほぼヒフミに寄りかかる体勢で目を瞑っている。
そんなアズサを微笑ましく見ていたヒフミは、今日手に入った戦利品を確認していく。
それらを部屋のどこに飾ろうかと考えていると。
「……今日は疲れた」
「……アズサちゃん?」
「…………でも、凄く楽しかった」
アズサの方を改めて見ると、本格的に眠ってしまったのか小さな寝息が聞こえてくる。
「…私も凄く楽しかったですよ。ありがとうございます、アズサちゃん」
そう言ってヒフミは今日の思い出に浸るように目を閉じた。
その後2人はバスで完全に寝過ごし、自室に帰るまでもう一苦労する事となった。