流れ出る血を感じながら、古い…古い記憶が脳裏に過る。それはあまりにも甘く幸せな日々と無力感で溢れているものだった。
先生は様々な知識を教え、この地で生きる術を教えてくれた。
ドクターは死者の意思を継ぎ、理想を貫く精神を教えてくれた。
親友は人を愛することを…家族とは何かを教えてくれた。
そしてテレジアお姉ちゃんは、私に生きる理由を…帰る家をくれた。
でもその全ては一人の裏切りにより消え去った。
それなのに、生き方を教えてくれた先生は彼を守った。
お姉ちゃんも彼を恨むなと最後に約束を求めた。
親友も彼のことを許し、お姉ちゃんの意思をついだ。
私も彼のことが好きだったけどでも…でも!!私は皆みたいになれないよ…。
ねぇドクター…?なんでお姉ちゃんを殺したの?いつも私に本を読んでた時みたいに教えてよ!
なんで、なんで!記憶を失ってるの!?
私は何十年も貴方が目を覚めるまで待ってたのに!貴方に理由をいって欲しかったの!せめて、せめて貴方のことを憎ませてちょうだいよ!!なんで、そんなに優しくしてくれるの!?
私はどうすればいいのよ!貴方にしちゃダメって言われたこともたくさんしたのに!!貴方のこと…殺したかったのに!!
なんで、記憶を失ってるのにあの時みたいに抱きしめてくれるのよ…。
私にはもう、分からないよ!この気持ちはなに!?誰か、教えてよ…。
そんな気持ちを抱え新しい家で様々なことをした。
この世界に嘆く子を慰めたり、進む道が違った者と戦ったり。
それで、様々な人の思想と理念を聞き、感じ。この気持ちが分かった。
私はどうしようもなく彼のことを好きで、彼のことが大っ嫌いなことを。
だから、私はこうして地に伏せている…彼を守って。
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止めどなく血が流れ出る。Wにして貰った止血帯も意味がないみたい。そんな私をみてWは私に話しかけてくれた。
「ねぇ、ミューズ。なんでアイツを守ってそんな怪我してんのよ…。あんたアイツのこと嫌いだったんでしょ?」
そう言うWは泣きそうな顔をしていた。過去の私みたいになにも出来ない無力感に苦しめられてるのだろう。だから、私はせめて最後に彼女に幸せに生きて貰うため頑張って質問に答えた。
「うん、嫌いだったよ…。でも大…好きでもあったんだ。ねぇ、W。この指輪を、貰って…?」
すると、私の顔に彼女の涙が流れてきた。その涙を拭おうと手を伸ばしたけど、その手を彼女は握ってしまった。そして彼女は泣きながら叫んだ。
「その指輪…テレジアに貰ったって、死んでも誰にも渡さないって言ってたじゃない!あんたは私が連れ帰るから…誰にも取られないようにするから!!だから、そんなこと…言わないでよ…」
彼女はそんな、過去のことを覚えてくれたんだ。でも、それでも私は彼女にこの指輪をして貰いたかった。
私が好きな人が幸せになれるように、そんなお守りになって欲しかったから。
「W、だから貰って…欲しいの。貴方は私が、どんな道に、行っても、一緒にいてくれたから…」
息が続かない、この気持ちを彼女に伝えたいのに。彼女の涙を止めたいのに、彼女の笑顔がみたいのに。
目の前も見えなくなってきた。だから、アーツを使い指輪を自分で外して、彼女の指へ付けた。
「そう…。分かったわ。私はこの指輪、一生放さないから。だから、いい夢…見るのよ…?」
最後に見えた彼女の顔は何時もより暗い顔だったけど、今までで見たこともないほど、優しいものだった。
「あり…がとう。W…」
過去のこと等、色々なモノが頭に通り、そして…前の家に帰ってきた。
テレジアお姉ちゃんも、ドクターも、先生も、親友も、死んでいった仲間達も皆笑顔で。
(ああ…。結局私は皆のことが好きだったんだな…。)
私は皆のもとへ駆け出した。様々な地獄をみた、そんなことがどうでも良くなるようないい夢…。
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