ピー!
寝ているとなんだか変な音がし、急に光が私を襲った。
「うわ、眩しっ!」
あまりの明るさに目がなれるまで少し時間が掛かりつつも周りを見渡した。
「ここ、どこ?」
何処かの部屋のベッドに眠らされていたみたい。そして周りには何らかの機械が置いてあって、管が私の腕に繋がっている。
その上、窓から覗いている景色には大きな黒く光沢のかかった結晶みたいなものが生えていた。
…私は誘拐されたのかな?
そう思い、とりあえず寝る直前にやったことを思い出そうとした。でも、思い浮かんだのは私にいつも優しくしてくれた、研究者さんと、ある歌の歌詞だけだった。
それ以外を思い出そうとしても、頭に霧がかかったようになり、思考が続かなくなってしまう。
まぁ、思い出せないならしょうがないよね。とりあえず思い出せた歌を、鼻歌で歌ってみた。
「~♪」
その歌を歌っていると突然、扉が開いて硬直してしまった。
その扉の先には二人の女の人がいるみたいで、一人の女の人の方は真っ白な装いをしており、頭には突起物が付いていて、もう一人の人は頭に耳が付いていた。
「あら、貴方…起きたのね?身体とかに違和感はないかしら?」
そう言いながら白い女の人が微笑みながら、私の側にきて椅子に座った。
「は、はい。大丈夫だと思います。その…此処って何処ですか?なんで、私此処に?」
そして、女の人がちょっと考えてから教えてくれた。
「此処はバベルよ。貴方が此処にいる理由は彼女が教えてくれるわ。ねっ?ケルシー?」
もう一人の人がため息をつきながら私の側に寄り、警戒するように私を睨み付けてる…。この人、怖いなぁ。
「…テレジア、君はもう少し警戒をすべきだ。彼女が私達へのスパイかも知れないと言っただろう」
「でもこの子は子供じゃない?それにサルカズでもないわ。ケルシーはもう少し優しくなるべきよ。ほら、こんなに怯えちゃってるじゃない」
テレジアさんは私の手を握り、優しく頭を撫でてくれた。その手付きは、何時も頭を撫でてくれた研究者さんみたいだった。
「お姉ちゃん…」
思わずそう口に出てしまった。恐る恐る彼女の顔を見てみるとどこか嬉しそうな顔をしていた。
「ケルシー!今の聞いた…?この子、私のことお姉ちゃんって!」
「はぁ…。起きたばっかりだから意識が混濁しているのだろう。それに彼女は実験されていたようだった。記憶が余り残っていないだろう」
「は、はい。その通りです。ごめんなさい」
「やっぱりか。断片的でもいい。何か覚えていることを教えてくれ。君の処遇はそれによって決まる」
「え…えっと、覚えているのは私の名前がミューズなのと歌とある一人の研究者さんがいたことだけです」
「それだけか…。その覚えているの歌は今さっき歌っていたものだな?」
「は、はい。歌の名前とかは覚えていないですけど良く歌っていたんです。その研究者さんに聞かせるために」
「なるほど…。(君はあの時の…。でも彼は死んでしまったと言っていた筈だ。どうなっている…?やはり、早く彼女と一緒に見つかった資料を解読するしかないな)」
私がそのことを話すとケルシーさんはなにか考え込んでしまった。
私、何か悪いこと言っちゃったかな…。とりあえず謝らないと!
「ご、ごめんなさい。私、何か気に触ること言ってしまいましたか?」
「いや、大丈夫だ。テレジア、彼女の言っていた事はすべて本当だな?」
「ええ、本当よ。それでケルシー?この子の処遇はどうしようかしら」
「それは君次第だ。だがもし、君が許すならこの子は保護すべきだろう。この子の体内には源石が含まれていなかった。もしかしたら、君の理想を叶えるために使えるかもしれない」
「むぅ、ケルシー?人を道具みたいに言わないの。それに私は元から保護するつもりよ。貴方もそれでいい?」
「は、はい。ありがとうございます!」
「それじゃあ、直ぐにバベルについて教えないと、いけないわね。ミューズちゃんは歩けるかしら?」
「多分大丈夫だと思います。その、テレジアさん。…テレジアお姉ちゃんって呼んでもいいですか?」
「ええ、いいわよ。それなら私達もミューズって呼んでもいいかしら?」
「はい、大丈夫です!」
それから、バベルの船内を二人と回った。
バベルは、人々の笑顔と活気で溢れていているけど、なんだか怖い雰囲気もあった。それと誰しもがテレジアお姉ちゃんに会うと頭を下げていて、敬っているのが直ぐに分かった。
もしかしてテレジアお姉ちゃんって凄い人なのかな…?
ある程度見て夕方になってきたから、元の部屋に戻ってきた。
「ミューズ、バベルはどうだっだかしら?」
「えっと…みんなが笑顔で安心して暮らせる。そんな場所だと思いました!」
「そう!そう思えたなら私たちの理想に近づいている証拠ね。…そうだ、貴方の住む部屋をまだ決めていなかったわ。どこがいいとかあるかしら?」
「その…テレジアお姉ちゃんかケルシーさんと一緒の部屋がいいです。一人はもう…嫌だから」
何故か心の奥からそう言葉が出た…。
そんな私を見て、テレジアお姉ちゃんは私を抱きしめてくれた。そして、私が泣き止むまで頭を撫でてくれた。
「ええ、いいわ。私の部屋においで?…ケルシー、良いわよね?」
「はぁ…分かった。ただ、部屋を入る前に荷物検査だけするぞ」
「えぇ、ありがとう。ケルシー。それならもう確認しちゃいましょう。ミューズはそろそろ眠そうだから…ね?」
「…うんん、まだ眠くないです…。まだお話聞きたい…」
泣いたせいか眠くなってきた目を拭いながらそれでもまだお話したいから、テレジアお姉ちゃんから離れないようにしていたら、ケルシーさんに離された。そして、身体中をまさぐられた
「何も入ってないな。テレジア、彼女のことは任せてもいいか?」
「ええ。ケルシー、何か分かったら教えてね?それじゃあ、ミューズ。着いてきて」
そうして、テレジアお姉ちゃんに手を握られお部屋に連れていって貰い、一緒にお風呂に入ってからベッドに入った。…ただ眠ることが怖く眠るのに抵抗していたらテレジアお姉ちゃんが話し掛けてくれた。
「ねぇ、ミューズ?まだ起きてるかしら」
「はい…起きてます」
「ふふっ…眠そうね。大丈夫、明日はちゃんと来るわ。もし、怖い夢を見たら私が守ってあげるわ。だから、安心して眠ってね」
その言葉に安心して抱きつきながら目を閉じた…。
__________________________________________________
ジー…あ、ああー!これで入っているか?…入っているみたいだな。これを見ているってことは計画は成功したんだろう。とりあえず石棺に入っているこの子も生きていると過程して、説明をする。彼女に与えた役割は『文明の調律』だ。能力に関しては別のものに記録する。
これは最後に残った私が独自で入れたものだから、他の人は知らないはずだ。それに、他の人は実験で死んでしまったこの子のことをもう…覚えていないだろう。
彼女はここの最後の光だった…。彼女が歌えば皆が活気に溢れた。例えこの世界が壊れかけだとしても、明日を信じることが出来た。だから、この子を見つけた人にこの子を守って欲しい。そんなことにならないのが一番いいがな。
以上、----研究員より
この世界が作り直されますように。
プツッ…
ご覧いただきありがとうございます。良ければ感想等宜しくお願いします。
次回の投稿は今週の土日か来週になると思います。