一方通行六歳転生(呪術廻戦)   作:木原レイリ

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 呪術執行局って元ネタはハリポタの魔法法執行局(闇祓いとかがいるやつ)なんですがなんか言ってるうちに笑けてきたので、ド直球デンジャラスネームング故に各所との調整に困り2008年頃に祭祀局に改名されたということでお願いします。

 ちなみに「眩しい闇」も「呪いの子」も呪術原作のタイトルです。


第9話 眩しい闇(一) ポスト天元時代の申し子

 2016年 11月 9日 東京

 

 乙骨 憂太、高校1年の秋。 閑散とした、放課後の校舎。

 

「久しぶりじゃないかぁ、乙骨ぅ」

 

 乙骨は教室の窓際に追い詰められていた。周囲を品の無い笑みを浮かべた不良が取り囲んでいる。

 たかだか四名。だが、ガタイも身長も恵まれており、細身の乙骨には隙を見て逃げ出すどころか満足な抵抗すら難しい。

 乙骨は数か月前より、この不良たちに執拗に付きまとわれている。

 きっかけは何だったか、忘れてしまうくらいの些細なことだ。

 何度かたかられ、時には暴力を振るわれ、それで乙骨は、お互いのために、しばらく学校を休んだ。

 そう、()()()()()()だ。

 

 ズズ……

 

「……来ちゃだめだ」

「おいおい寂しいこと言うなよぉ。俺がどれだけお前を殴りたかったか、もっと俺の気持ちも想像してくれよぉ!」

 

()()』は幼少より乙骨に憑いている。

()()』は何度も、路地裏の不良やチンピラから、果ては交通事故に至るまでどんな場面でも乙骨を守ろうとする。

 

 ──やめて

 

『彼女』は乙骨以外を顧みない。

 

 先頭の男が、シュル、とネクタイをほどいた。

 乙骨は思わず壁際に座り込んだ。

 

「こんなに焦らされたら、うっかり殺しちゃうぞ」

 

『彼女』は乙骨が傷つけられることを、()()()()()()()

 

「来ちゃダメだ、()()()()()!」

 

「リカ?」

 明確に空気が変わる。

 ああ、呼びかけも虚しく、ズズ……ズズズズ……と、不気味な質量と悪寒を感じさせながら、虚ろな手が同級生の背後から伸び、その体躯をぐちゃぐちゃに潰そうと……

 

 

 

 

「破ァ!」

 

 

 

 

 ガッッシャァアアンと。

 

 まるで世界が割れたような。

 普通に暮らしていればまず聞かないような盛大な音を立てて、黒い影が窓ガラスを突き破って飛び込んできた。

 飛び散るガラス片とともに、原因不明の凄まじい衝撃波が教室を襲い、取り巻いていた不良たちは吹き飛び倒れ込む。

 ガラス片が飛び散り、彼らに刺さり切り傷を作るのを乙骨の動体視力が捉える。

 

 壁際に座り込んでて良かった……!

 

「あれ? 何もいねぇ。まぁさか今ので飛んじゃった? 質的にゃあいい感じの呪力だったんだが」

 

 不審者、黒髪の少年は唖然とする乙骨たちに目もくれずキョロキョロと教室内を見渡し何かを探していた。

 外国の血が入っているのか目は青く煌めいていて、バサバサの髪も相まってどこか『野生の黒猫を見た』といった印象を受ける。

 いつの間にか里香の腕は見えなくなっている。なんとなく周囲にいる感じがするのにどこにも見えないのはいつも不思議だ。

 

「やぁすまんすまん、呪いの気配がしたもんで。取り込み中だったか?」

「バッ、ここ3階だぞ!?」

「え、重要なのそこなんだ。それに、……」

 

 少年は振り向くと、座り込む乙骨の顔をニヤニヤと覗き込んだ。

 

「なぁるほど。苛められっ子って訳だ。もしかして復讐に呪うところだった? 悪いね邪魔しちゃって」

「……『呪う』?」

「おやおや呪いをご存じない。闇を生み闇を祓う闇の力さ! ……なんつって。じゃあさっきのは無意識って訳だ?」

「……、違う、さっきのは、里香ちゃんがっ……」

「リカちゃん?」

「おい乙骨ぅ! お前そいつ知ってんのか!!」

 

 気づけば少年の背後で不良たちが衝撃から立ち直り起き上がっていた。

 多少の切り傷を除けば、大した怪我はしていない。

 

「し、知らないよ!」

 

「ざけんなよそんなん呼びやがって!」「犯罪だぞ! 侵入罪と破壊罪とかなんとか」「すぐ通報するからな! お前もそいつも終わりだ!」「しっかり撮ったからな!!!」

 

 あぁ、悪化してしまった。僕、死んだな。

 

「……なぁ乙骨、でいいのか?こいつら畳んで良い?」

「……っ、だ、駄目です!」

「悩んだね。それで助っ人のリカちゃんは?」

「あの、幽霊なんですけど僕にもいつ出てくるか分からなくて」

 

 再び醜く顔を歪めて、微妙に距離を取りながら何やら叫び続ける四人の不良に視線を戻す。

「あ? やんのか!」「やめとけよ、絶対やべぇって」と彼らが騒いでいる間に、少年は乙骨を立たせる。

 

「じゃ、仕方ないか」

「ど、どうするんですか」

 

 少年は、乙骨をひょい、と抱え、サッシの外れた窓枠に飛び乗った。

 次の展開が容易に想像できて、乙骨は絶叫する。

 

 ここ3階だよ!!!!????

 

「うわぁあああああああああああああああああああ!!!!」

「じゃーなー、おっさん顔野郎ども!」

 

 少年は躊躇なく乙骨を片手に抱えたまま飛び降りる。

 ズン、と、思っていたよりも衝撃はひどくはなかったが、それでも内臓に圧迫感を感じ息が詰まる。

 昔から異様に酔いには強かったが、他の人だったら間違いなく吐いてると思う。

 

 ポイ、と下ろされて見上げれば、窓だった穴から不良たちが身を乗り出して、ギャアギャア喚いている。

 乙骨は胃が引き攣るのを感じた。

 こういう時、笑ったらいいのか嘆いたらいいのか教わらなかったなあ。

 ていうか器物損壊の一味にされているのが解せないよッ!

 

「おーい何してんの俺もう行くぞ?」

 

 どこか黒猫のような印象を受ける少年は硬直する乙骨に声をかける。

 

「まっでおいでかないでッッ!!!!!」

「おるあ待てこら犯罪者どもア!!」

 

 そのまま2人で駅前まで走って逃げた。

 

「青津テラ、通りがかりの高校1年、寺生まれだ」、と少年は名乗った。

 身に宿すのは破邪の術式。呪いを追っているらしい。

 快活で人の良い、168cm。

「じゃあな乙骨ちゃん、きっとまたどっかで会えるっしょ」、と後ろ手に手を振り去っていった。

 寺生まれってすごい。乙骨はそう思った。

 

 それはそれとして、あいつらの報復が怖いから明日から引きこもろう。

 

 * * *

 

 2017年 2月 12日 仙台

 

 あれから3ヶ月が経過した。

 

 あの後、一回も学校に訪れず、郵便と電話だけで無理やり転校を済ませた。

 ちなみに、あのとき彼らが撮った写真には僕しか写ってなかったらしく、あのガラスは僕が割ったことにされてしまった。

 どうして内側に向かって割れてるのに彼らの証言を学校側が信じたのか知らないけど、議論しに学校に行くなんてしたくないので、さっさと払ってしまった。

 現在は、親戚を頼って仙台に来ている。

 

 最初は、何も口に出していないのになんで転校してきたのかを何故か微妙に察されてて、気まずい雰囲気が周囲にできていたけど、転校初日の始業式から1ヶ月たち、友達とかはいないけどようやく馴染んできた。

 馴染んできたところだったんだけど、

 

「お前、呪われてんぞ」

 

 何故か今、路地裏で刃物を突きつけられていますっっっ!!!!!

 


 

 祭祀(さいし)局の管理する書庫(バンク)より抜粋①

 



 登録ナンバー h-10662

 姓名 不明

 状態 不明(存命?)

 術式名 伝承術式

 生年月日 2005年ごろ?

 危険度 A+ (現場責任者判断で処刑可能 /1級以上)

 残穢データ あり

 

 ◎概要

 未登録術師『h-10662』は北海道■■市の児童養護施設『■■■』に保護されていた児童であると考えられています。詳しくは以下の事件資料を参照してください。

 ⇒[2010年 『■■■』連続怪死事件及び爆発事件の調査記録を参照]

 2016年現在、4級術師1人と補助監督1名を含む計13名の死亡が確定しています。2010年以降の消息は不明のため正確な被害者総数は不明です。

「再現」された伝承として、2級仮想怨霊『テケテケ』及び準2級仮想怨霊『死のレストランのコック長』が観測されています。いずれも同施設の所蔵する児童向けホラー本『■■■■■■■■■』に収録されている怪異に酷似しており、同施設ほとんどの児童が読了あるいは認知していました。

 時間が経つごとに伝承を「学習」し続け成長するため、生存していた場合かなり危険です。

 

 ◎術式・異常性

 2006年以降に発見された特定危険術式の一つです。現在、3人の術式保持者が確認されており、そのうち2名は既に呪詛師として処理されています。

 伝承術式は4つの能力で構成されます。伝承の「学習」「再現」、被呪者の恐怖や絶望の「収集」、呪力への「変換」。「学習」は集落単位で行われ、術師は集落を定期的に移動する傾向にあります。

 866年の平安京での百鬼夜行事件以降、天元により術式の発現と同時に封印されていたと思われます。

 詳細は以下の術式資料を参照してください。

 ⇒[『伝承術式』を参照]

 

 ◎備考

 2010年12月 観測されている呪霊はたかだか2級程度であることから危険度をB-に設定しました。

 2013年2月 事件から3年が経過したので成長性を鑑み危険度をA-に引き上げました。

 2015年2月 事件から5年が経過したので危険度をAに引き上げました。

 2017年2月 事件から7年が経過したので危険度をA+に引き上げ、対策本部を設立しました。

 


 

 

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◎[秘] 本部対策方針(2010.1)

 

 術式の性質上、成長するまでは特定が難しい。そのため、『ポスト天元』の現状と祭祀局のキャパシティを鑑み、このまま消息が不明であり続けた場合、2017年まではリソースを割くことは得策ではないと判断する。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 管理タグ YellowPlatinum

 

 ◎アスカちゃんの素敵な研究用メモ

 

 自分の術式に飲まれちゃった可哀そうな子。仮想怨霊を生み出して使役できる呪霊操術の上位互換?

 いる場所の呪力場観測値と蝿頭指数の変位に反相関的で特徴的な影響を及ぼすのでわりと簡単に見つけられる。

 [図1][図2]

 観測機といる場所の関係と各グラフのイメージはこんな感じ

 

2010/12/3 一昨日の事件の子を■■市の地下で発見。略称をRorony(ロロニー)とする。登録ナンバーからとった。自分の領域の中に閉じ込められているっぽい。仮想怨霊が生まれる過程に介入するだけの術式? あんま興味ない。yellowのタグを。

2011/11/3 海底を通って本州に上陸。青森県■■市の下水道の一角にとどまる。

2015/4/3 伝承の一つが知性を獲得した模様。Rorony-1とする。

2015/4/21 「学習」って一般人の呪力漏出以外からもできるの? 神話を読み聞かせたらどうなる? タグをPlatinumに変更!

2016/5/2 いつの間にか本体が自我を失ったらしい。乗っ取られててかわいそう。この形態をRorony-2とでも呼んでおこう。地下を普通に歩き回り始めた。表面は真っ黒で星空みたい。記録の画質上げたいなぁ。

2016/11/9 Rorony-1が乙骨憂太に接触してウケる。折本里香の呪力に惹き寄せられたか? 追跡が容易な乙骨に監視リソースを割く。

2016/12/29 乙骨を追ってRorony-1が仙台へ。

2017/2/1 Rorony-2が仙台入りした。

2017/2/8 局が対策本部を立てるらしいので大まかな見つけ方を教えてあげた。やさしい。仙台周辺に絞って捜索が始まった。マキちゃんが行ったらしい。

 






◎禪院明日香

オリキャラ。木原唯一にちょっとおしゃれな服着せて呪力を見る丸眼鏡をかけさせた感じ。性格は原作唯一より子供っぽい(『心理掌握』に出てくる唯一の感じが近い。かわいいね。)
学園都市の科学知識の流出によって生まれた『木原』。元型制御(アーキタイプコントローラ)の影響外。
よく思うけど、『木原』って多分『純粋な科学の位相』の魔術師だよね。

◎書庫(バンク)のアクセス権限

閲覧者権限ランク[ 1 ] ゲストID・宮内庁職員・警視庁・自衛隊関係者・政府関係者
閲覧者権限ランク[ 2 ] 一般局員
閲覧者権限ランク[ 3 ] 1級以上
閲覧者権限ランク[ 4 ] 特別1級以上・宮内庁高官
閲覧者権限ランク[ 5 ] 元禪院家呪術学研究会および宮内庁長官
閲覧者権限ランク[ 6 ] 禪院明日香 (それ以外は存在すら知らない)

◎呪術的なモノも写るカメラ

ノイズがひどい。
補正技術の超進化により旧来の「心霊写真よりマシ」レベルから「安物の型落ちカメラ」レベルにはなっているが「高精細ハイスピードカメラ」にはまだ遠い。難易度は『空性結界』の再現より高いというバグ。「光学式」という発想に囚われている間は解決できないかもしれない。
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