Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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月曜日に面接に行ってくるので初投稿です。

-追記-
ハルカとカヨコを間違えるバカがいるらしい。一体誰やろなぁ⁉︎(修正済。CoralCat兄貴姉貴ありがとナス!)


16話 ラーメン、C4、風切音

柴関ラーメンの前の駐車場に1/2tトラックを止めたナダヤ一行は、漂ってくる醤油や豚骨スープの濃厚な香りに心を躍らせながら店内へと入った。

店内には、テーブル席でラーメンを啜る客が4人1組だけ。

カウンターを拭いていた柴犬の大将が入店した一行に気づき、声をかけてくる。

 

 

「いらっしゃい!何名様で?」

 

「4人でーす!」

 

 

大宮寺がウキウキで答えると、「テーブル席にどうぞ」とテーブル席に通された。とりあえず適当に座る。

 

 

「水はセルフなんでそこから取っていってくれ!」

 

 

と、再度声をかけられた。

 

 

「……この機械か? えー……と?」

 

「(^q^)ハイ!」

 

「あぁ、ここを押すと水が出てくるのかい」

 

「ナダヤさん給水機分からないとかあるんだ。ちょっと意外かも」

 

「そもそも私はこういう店すら初めてだからねぇ、色々と任せるよ」

 

「(`・ω・)b」

 

 

 

席に座ってメニュー表を開き、大将からおすすめなんかを聞いて注文をしながら、店内を見渡す。

先客は近くのテーブルの4人。『ヘイロー』と呼ばれている輪っかが付いているのを見るに、どこかの学生だろう。どこの学校かまでは全く分からないが。哲郎に各学校の特徴とか聞いておけばよかったかな……。

 

まあそれはそれとして、先ほども言った通り、ナダヤはこういった飲食店に入った経験がほぼない。文明レベルがぶっちゃけ言うと低いコロニーだったのと、ナダヤ自身コロニーの農業と畜産の世話ばかりしていてコロニーから出た事がなかったのだ。

 

そういう事を抜きに考えても、やはりガランとしているなぁ、と。

つい先日哲郎から聞いた話では、「この地域を管理している学校が莫大な借金をしているのと、砂嵐の影響が大きすぎるのが原因で過疎化が進んでいるのではないか」みたいな感じだったが、どうもそれだけが原因では無いように思える。

 

どういった星、時代、場所でも、故郷を意地でも捨てない頑固者、もしくは愛郷精神たっぷりな者というのはいるものだ。普通は。

しかし、アビドスにはそれに該当する住民がかなり少ない。「アビドス、愛郷精神ある奴非常に稀説」なんて言ってしまえば簡単だが、どうもそうは思えない。

 

 

……何か圧力が働いているのか?

 

「あいよぉ!柴関ラーメン4つとチャーシュー丼お待ちどう!」

 

「(^q^)ワァー!」

 

「( *ºρº)」

 

「あ、そうか。マナツちゃんもラーメン初めてなんだっけ。これマジで美味しいからね、ほら、伸びないうちに食べちゃお!ナダヤさんもほら!」

 

「あ、ああ。そうさせてもらおう」

 

 

何か思いつきそうだったが、運ばれてきたラーメンと、大宮寺の提案により思考を一時シャットアウト。

 

今はとりあえず、匂いからして既に『今までの人生で食べてきて美味しかった物ランキング』を大幅に更新しそうな、このラーメンを食べるとしよう。

 

黒く輝くスープ、食欲をそそる醤油とんこつの芳醇な香り、スープが絡み合い黄金に光る麺。これは至宝に違いない。

 

箸をスープの中に入れ、麺を掬う。

 

 

「では、いただきま───」

 

「友達なんかじゃないわよぉーーーー!!」

 

 

急停止。

急に近くのテーブルの客のうち1人が急に騒ぎ始めた。

柔らかな赤色の髪に2本の角を生やした、えんじ色のコートの生徒。

ナダヤも思わず「なんだこいつ」みたいな目で見てしまうほどだ。

 

 

「わかった!何が引っかかってたのか分かったわ!問題はこの店、この店よ!」

 

「どゆこと⁉︎」

 

「私たちは仕事しに来てるの!ハードボイルドに!アウトローっぽく!」

 

 

話が読めないが、どうにも考えすぎなのではとは思う。

 

 

「(^q^)コロセ!」

 

「 ‪( ◜ᴗ◝) 」

 

「はいはいムツリはちくちく言葉使わない。マナツちゃんも笑顔でダブル中指立てないで!」

 

 

食事時を邪魔されてムツリもマナツも喧嘩腰になっている。これはいけない、と、年長者として軽く注意をしに行こうと席を立ったその時である。

 

 

「それって……こんなお店はぶっ壊してしまおうって事ですよね、アル様?」

 

「……へ?」

 

 

そう聞こえてきて、体が強張った。

ぶっ壊す? この店を? 何を言ってるんだあの散弾銃娘。そんな事を考えた刹那、その散弾銃娘が、懐から何かを取り出した。

……コロニーでも見た事がある形。確か、岩盤を吹き飛ばす時に哲郎が持ち出してきた───

 

 

「起爆装置? なんでそれを……」

 

 

 

───起爆装置。

 

 

 

4人組の中でも落ち着いた雰囲気の、白と黒の髪の毛の生徒がこちらを見た。目が合った。

 

 

「ッ、ハルカ!それはダメ───」

 

 

伏せる?

いや、店を吹っ飛ばすと言ったぐらいだ、相当な量の爆薬を仕込んでいるに違いない。伏せたところでどれだけ効果があるか。

 

腰に差した護身用のマカロフを抜く?

論外だ。だらだらの子らと違って早撃ちは練習してないし、そもそも射撃は専門外。まして発砲した事で敵対して、あの散弾銃娘にこの距離で応戦でもされたら確実に死ぬ。

 

敵対しないかつ、あの散弾銃娘を怯ませられる方法は───

 

 

「(っ、これしかない!)」

 

 

すぐ手に取れる範囲にあった物───お冷の入ったプラスチックのコップ。

 

それを手に取り、思い切り投げつけた。

 

 

水は空中でコップから飛び出しながら空気の抵抗を受けて薄く広がり、散弾銃娘の顔にパシャッ、とかかった。

「きゃっ」と、今までの頭おかしい行動とは裏腹に可愛らしい声をあげる。動きは止まった。それでいい。

 

腰のマカロフを抜き、散弾銃娘に向け、息を吸う。

 

 

「動くなァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

一瞬ののち、背後のデザートエッジ組が、そして眼前の4人組が銃を向け合った。

 

 

空気が、固まる。

 

 

「……水をかけてしまったのは謝る。だが、その起爆装置は、どうか、降ろしてくれ」

 

 

眼前から発せられる強大なプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、どうにか言いたい事を口にした。

 

 

「ハルカ、降ろして」

 

「カヨコさん…? で、でも」

 

「よく見て。あの人、ヘイローがない」

 

「え…? あっ……!」

 

「ハルカちゃん、ゆ〜っくり、ゆっくり降ろそう。これ多分シャレにならない奴」

 

白い髪の生徒と白黒の髪の生徒に諭され、散弾銃娘もゆっくり起爆装置を降ろした。

 

 

「っ、ふぅ〜〜〜…………ありがとう。みんな、銃を下ろしてくれ」

 

 

そう言われてデザートエッジ組が銃を下ろし、それを見た4人組も銃を下ろした。

 

懐からハンカチを取り出し、散弾銃娘に近づく。

 

 

「いや、本当にすまない。これを使ってくれ」

 

「あ、えっと、ありがとうございます……」

 

「ごめんなさい、全て私のせいよ」

 

「えっ、いやそんな、アル様…」

 

 

赤色の髪の子が頭を下げてきた。

 

 

「いいんだ、起爆されてたらどうにもならなかったが、未然に防げたからねぇ。…私が彼女に水をかけてしまったのと相殺という事でどうかな」

 

「…ふふっ、そうね。そうしましょう、お互い()()()()って事で」

 

 

今度は別の意味で空気が固まった。

 

 

「……えっ、何? 私、そんなおかしい事言った⁉︎」

 

「はぁ……」

 

「(おろおろハルカ)」

 

「くふふ。アルちゃ〜ん、もしかして、今の狙ったぁ?」

 

「な、何がよ⁉︎」

 

「(`・ω・)b」

 

「えっ、もしかして私名前も知らない子から慰められてる……?」

 

 

リーダーの顔から急にコメディアンになった彼女に、思わず笑みが溢れる。

 

 

「はあ、決着はついたかい」

 

 

声のした方に振り返ると、呆れ顔の大将が両手にお盆を持って立っていた。

 

 

「悪いね大将、お騒がせしてしまって」

 

「怪我人も無いならいいけどよ。ほら、サービスしてやっから全員頭冷やしな」

 

 

見ると、お盆の上に乗っていたのは、ガラスの小皿に入った白くぷるんとした物。

 

 

「これは?」

 

「杏仁豆腐だよ。新メニューにどうかと思って試作した奴だが、まあ食ってくれ」

 

「えっ、いいの大将⁉︎」

 

「(^q^)ワァー!」

 

 

いつの間にか側まで来ていた白い髪の子とムツリが、それぞれ1つずつお盆を手に取った。

 

 

「ああ、あとそこの嬢ちゃんはそれとラーメン食ってからでいいからよ、爆弾撤去してくれよな」

 

「あっ、すすすすいません。急いで食べます!」

 

 

大将はそうとだけ言うと、カウンターの内に戻っていった。

 

 

「自己紹介がまだだったわね。便利屋68社長、陸八魔アルよ」

 

「便利屋……陸八魔……? ああ!君が哲郎が言ってた子らか」

 

「はい? 哲郎?」

 

「いやぁ、この前はすまなかったね、ウチの旦那が───」

 

 

ピピピッ

 

 

そこまで言ったところで、突然通信機が鳴った。

陸八魔にすまない、とだけ言って通信機を取る。

 

 

「こちらナダヤ」

 

《何も聞かずにそこから逃げろナダヤ!!!》

 

 

通信回線を開くと、緊迫した様子の哲郎の声がスピーカーに乗って店中に響き渡った。

 

 

「と、突然何を言ってる⁉︎」

 

《バカ!迫撃砲が飛んでくるぞ!!

 

 

瞬間、店の外───というか真上から、シャッシャッシャッ、と、何かが風を切る音。

コロニーの防衛戦の時に、何度も聞いた音。

 

 

「ッ、伏せ───」

 

 

 

 

真上が、爆ぜた。

 

 

 

──────

───

 

 

数分前

デザートエッジ駐屯地

 

古戦ヶ原哲郎

渡辺アスカ(副リーダー)*1

永末ミキ(田舎っぺ採掘人)

石田ナオコ(ナチュラルギャンブラー)

 

 

 

 

正方形のテーブルを囲んで唸る4人。全員の手にはトランプが握られている。

最初に、渡辺が動いた。

 

 

「フルハウス!」

 

「残念だったなァ渡辺ぇ!フォーカードだぁ!」

 

「ぎゃああああ!!!」

 

 

渡辺アスカがひっくり返った。

 

 

「すまね、すとれーとふらっしゅ」

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

 

古戦ヶ原がひっくり返った。

 

 

「んじゃ、ワイが総取りで貰うすけ───」

 

「み、ミキちゃん」

 

「ん?」

 

「ごめんね…?」

 

 

石田が見せた札に全員の目がいく。

ダイヤの10、ジャック、クイーン、キング、エース。

 

 

ロイヤルストレートフラッシュ。

 

 

全員がひっくり返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポーカーってこれで遊び方合ってんのか……?

 

「ダメっスよ兄貴、正気に戻ったら負けっス」

 

「んだんだ、これがだらだらのルールだもの」

 

「そっかぁ……」

 

 

本人達が楽しいならヨシ!という考えで、散らばったトランプのカードを拾い集める。

 

 

「ちぇ、やっぱギャンブルにおいて石ちゃんの右に出る奴はいないっスねぇ。なんかコツとかあるんスか?」

 

「コツって、言われても……」

 

「ま、そうそう無いっスよねぇ」

 

トランプとか、賽の声を聞けば分かるよ……?

 

「ダメだ渡辺、ありゃ天性のギャンブラーだ」

 

「まるでイタコみてえだぁ」

 

「イタコは違くないスか…?」

 

 

そんな馬鹿みたいなやり取りの最中、そばに置いていたタブレットから

 

『ブオォン』

 

という通知音。

すぐさまタブレットを開く。

 

 

「うわわ、どうしたんスか兄貴」

 

「襲撃の通知だ。遂に来やがったか……あん? 違えなこれ」

 

 

通知には『派閥:包囲戦』の文字。

 

コロニーの領域外で、他の派閥と他の派閥が戦闘する時にでる通知だ。そんなに焦る物では無い。

 

 

 

 

 

 

 

いや待て、それにしては音がおかしい。

 

 

 

 

 

 

 

今まで何度も聞いてきたからこそ言える。

今鳴った『ブオォン』という通知は、コロニーで戦闘が起きる際の通知音。しかし、今の『派閥:〜〜戦』の通知音は『ポンッ』と軽い音のはずだ。

 

何かおかしいぞ、と思い、通知をタップして詳細を開く。

 

 

──────────────────────

 

付近でゲヘナ学園風紀委員会と便利屋68が戦闘を開始しようとしています!風紀委員会は迫撃砲を準備して包囲攻撃をしようとしているようです!

 

付近の入植者:

・ナダヤ 古戦ヶ原

・キョウ 大宮寺

・ムツリ ”(^q^)” 陸奥

・マナツ “(`・ω・)” 安富

 

──────────────────────

 

 

「嘘だろオイ」

 

 

タブレットでマップを開き、件の場所をズームする。

 

 

寂れた市街地の飲食店、柴関ラーメンだ。

そこの店内に、便利屋68と4人、あと大将を確認。

 

 

そして、

 

 

 

 

 

離れたところで迫撃砲を準備する、エリアを埋め尽くすような大軍。『ゲヘナ風紀委員会』

 

 

 

慌てて通信回線を開いた。

 

 

《こちらナダヤ》

 

「何も聞かずにそこから逃げろ!!!」

 

 

砲弾が発射された。

 

 

《と、突然何を言ってる⁉︎》

 

「バカ!迫撃砲が飛んでくるぞ!!」

 

《ッ、伏せ───》

 

 

着弾。

 

 

 

──────────────────────

 

ナダヤが助けを求めています!

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

「バ カ 野郎がよぉ!!渡辺ぇ!倉庫にある迫撃砲と弾薬ありったけ持ってくじら号に積め!他は完全武装でくじら号前に集合!ジャベリンも()()()()()()()も全部ありったけ持ってこい!」

 

「わ、分かったっス!」

 

「えらいこっちゃ…!」

 

「や、山ちゃーん!藤ちゃーん!」

 

 

3人がトランプを投げ捨てて走り出す。

 

 

「奈良山ァ!いるかぁ⁉︎」

 

「お呼びですか」シュバッ

 

 

どこからか奈良山が現れるが、この際驚いている場合ではない。

 

 

「緊急事態だ!くじら号で柴関ラーメンに救援に行く!俺は指揮に専念するからお前はくじら号を操縦しろ!」

 

「了解」

 

 

奈良山も窓から飛び出してヘリポートに向かって走って行った。

 

タブレットを見る。大宮寺が既にナダヤに対して応急処置を開始しているようだった。

しかし、ゲヘナ風紀委員会が未だ砲撃を続けながら進軍してくる。

どうにも腹が立ってきた。なんでゲヘナ風情がアビドスにいるんだよ。

 

 

「クソ馬鹿がよ……後悔させてやる……!」

 

 

さあ、キヴォトス人に見せてやろう。

Rimworldの戦いとやらを。

*1
一番最初に古戦ヶ原に助けられた奴




Tips:前半のラーメンの描写を考えたせいで投稿者はめちゃくそに腹が減ったぞ!(編集時午前2時)
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