Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
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《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
のりひこa、六四(5話)、にぼし蔵、紅ネギ、天城高雄(7話、10話)
ありがとナス!
それからの話をしよう(6話ぶり3回目)
風紀委員会委員長、空崎ヒナの登場により、アビドス・便利屋・DE連合軍とゲヘナ風紀委員会の局地紛争はひとまず幕を下ろした。
便利屋はヒナが登場した時点で逃走。
アビドスは、ヒナからの正式な謝罪を受け取ったのと、柴関ラーメンへの賠償金を約束された事で引き下がり。
DE部隊(仮)はというと───
D.U.外郭 連邦捜査部『シャーレ』
会議室
「ゲヘナ学園風紀委員会委員長、空崎ヒナ」
「ゲヘナ学園風紀委員会行政官、あ、天雨アコです…」
「ゲヘナ学園万魔殿パンデモニウム・ソサエティー所属、
「DE駐屯地暫定指揮官の古戦ヶ原哲郎」
「同じく暫定副指揮官のナダヤ・古戦ヶ原だ」
「えっと、ヴァルキューレ警察学校生活安全局の中務キリノです。今回は調停を務めます。どうして私が呼ばれたのかは本当に分かりませんが、呼ばれたからには法に則って公正に判断していきますのでよろしくお願いします!」
シャーレからの要請に基づき、ヴァルキューレ警察学校生活安全局が間に立って両者の調停を行う事になった。
??「連邦生徒会に調停室ってあったろ、なんで生活安全局が出てくるんだよ教えはどうなってんだ教えは!」
という疑問はもっともだが、連邦生徒会調停室が動くのは、あくまでも学園vs学園の衝突に対してである。
退学・停学者で構成されたただの武装集団であるDE部隊(仮)と、学園の一組織であるゲヘナ風紀委員会との調停には向いていないのだ。*1
最初はシャーレが調停を行なう流れだったのだが、そもそもシャーレはちょくちょくDE側と関係を持っていた事から、先生が自ら調停役を辞退。
ゲヘナ・アビドスは紛争当事者だし、トリニティはゲヘナへの積年の恨みつらみで公平に審判できない可能性が高い。ミレニアムはミレニアムで、少し前にDEから提供された
百鬼夜行、山海経、レッドウィンター、ハイランダー、クロノス、ワイルドハントは要請を『保留』。
保留というのはどういうことかというと、要は『
というわけで残ったのがヴァルキューレとSRTだったが、SRTは『
そして、事件発生時の初期対応や捜査を主任務とする警備局、対テロ業務の公安局が弾かれ、最後の最後まで残った生活安全局に調停の要請をしたというわけである。
「…これウチの仕事?」
と生活安全局長が首を傾げたのは内緒だ。
と、いうわけで話し合いが始まったわけだが、これが意外とスムーズに進んだ。そもそも、大まかなことは古戦ヶ原とヒナが無線越しに初めて話した際にざっと話していたのである。
話し合いで追加で決まった細かいことを含めると、以下のような内容となった。
➀ゲヘナ学園側で強化義肢購入費用を負担すること
➁Rimworld由来の技術『バイオニクス』、ポラリス由来の技術『身体欠損治療』をゲヘナ側で研究すること。なお、その研究には原則ゲヘナ風紀委員会所属の『天雨アコ』『銀鏡イオリ』『火宮チナツ』を随時参加させること。
その他『書面での再発防止策の提示』や『被害者への直接の謝罪』等々細かなことは多々あるが、ゲヘナ側への罰という点で見るとこの二つが大きい。
1つ目は書いてある通りとして、説明しなければならないのは2つ目だろう。
そもそもRimworldにおける『研究』とは、現実世界のように全くの未知を研究する、というわけではなく、既出の技術を研究し、技術をモノにする事が目的である。
その中でも、強化義肢に関する『バイオニクス』、ポラリス技術である『身体欠損治療』を研究しろ!前提研究も含めて全部な!!!という要求だ。
「何、どんなバカ*3でも時間をかけりゃいつかは終わる素敵仕様だ。何人かで回したりしながらどれだけ時間かけても終わらせてくれりゃいい。それに必要な機材はこちらから提供しよう。必要なだけ言ってくれ。ちなみに同時に研究する人数が多いほど早く終わるぞ。そちらの仕事との兼ね合いを見ながらやってくれ」
とは古戦ヶ原の談である。
……なお、ゲヘナ学園に前提技術を含めた各種技術がまるまる渡る事による混乱とかパワーバランスの変化とかは一切考えていない。古戦ヶ原の中ではあくまで嫁を傷つけた奴らへの嫌がらせがメインなのである。……嫌がらせと言う割には言葉の端端に気遣いが垣間見えるが。
DEとゲヘナ風紀委員会の紛争は、これにて決着がついた。誰がなんと言おうとこれでついたのである。
「つーか、あの服装なんだよ。横乳はみだしてんぞ。学生がしていい格好じゃないだろ」
「ああいう服装が好きなお年頃なんだろうねぇ。というか、Rimworldの人工種族の面々だって酷かったろうに」
「あっそっかぁ…」
「あの、お二方、天雨行政官がものすごい顔をしてらっしゃるのでやめて差し上げて下さい」
シャーレ
話し合いののち、「もう時間も遅いから」という事でシャーレの居住区画に泊めてもらった古戦ヶ原夫妻。
古戦ヶ原がアホ面かましながら寝ているのを横目に、ナダヤは1人で車椅子に乗ってシャーレの廊下をとことこと進んでいた。
理由は簡単。なんとなく月が見たくなったから。
一応言っておくが決して死にたくなったとかではない。
日中に使い方を教えてもらったエレベーターに乗り、屋上へと向かう。
エレベーターを出て、屋上へと出る扉を開け、開け……
ガチャガチャ
「ん?」
ガチャガチャ
…なかなか開けられない。
車椅子を動かしたりしてしばらく悪戦苦闘していると、
“な、何やってるんですか…?”
ワイシャツ姿の先生が背後に立っていた。その手には紙タバコ───ラッキーストライクとオイルライターが握られている。一服しに来たらしい。
「お、先生かい。すまない、ここを開けてくれないかな。車椅子だとふんぬっ、なかなか、開けづらくてね」
事情を話すと、先生はため息をひとつつき、扉を開けて、車椅子を押してそのまま屋上へと出てくれた。
D.Uの夜空には、まん丸の月がのぼっていた。
「ああ、予想通りだ。ここからなら綺麗に見える」
“月がお好きなんですか”
「ん? へぇ、こちらでも『月』というのかい、ああいう類の衛星は」
“はい? え、衛星…?”
「Rimworldにもあれと同じような天体があってねぇ、私が哲郎と出会う前にいたコロニーでも『月』と呼んでいた。まったく、不思議なものだ」
“あ、そういう……そうですねぇ、確かに不思議”
沈黙。
会話が途切れる。
そのうち、先生が一言断りを入れてタバコに火をつけた。
小さな白い煙が、キヴォトスの夜空にゆらゆらと消えて溶けていく。
星空、満月、下からの人工的な明かりと喧騒。
遠くからはパトカーのサイレンと銃撃の音も聞こえる。
数分後、再び口を開いたのはナダヤだった。
「そういえば田中女史、哲郎から聞いたよ。あの日、私のために哲郎に怒ってくれたんだって?」
まるで友達をいじるかのような軽快な口調で、背後にいる先生をつっつく。
“……すみません、価値観が違うのは分かってたつもりなんですが、どうしても我慢がならなくて”
「いやいや、責めてる訳じゃないよ。むしろ興味深い」
“きょ、興味深い…??”
「そうともさ。考えてもみたまえよ」
ナダヤは、右脚をぷらぷらさせながら、楽しげに指を回す。くるくる、くるくる。
「哲郎も言っていたそうだが、基本的にRimworld周辺に住んでる知的生命体にとって欠損は『ありふれた事』なんだ。指を簡単に噛み切るような野生動物はその辺に大量に生息してるし、なんなら入植者同士の喧嘩で片方の脚が飛んだこともあった、あぁ、もちろん私じゃないがね」
“け、喧嘩で……刃物でも使ったんですか? エスカレートしたみたいな…?”
「いや? 間違いなくステゴロだったよ」*4
“嘘でしょ……”
「まあ、とにかく我々はそういう価値観なんだ。こればかりは変えられそうもない。しかし、田中女史にとってはどうだい? 『欠損』というのは」
“……『一生残る大怪我』、ですね。古戦ヶ原さんとかが言ってるような生身よりも高性能な義肢とか、欠損部位の再生技術なんて、まだまだフィクションの話でしたよ。根幹になりそうな技術はぽつぽつ出てましたけど”
「そう、それなんだよ。じゃあ、ここキヴォトスにおいては?」
“私もここに来てまだ日が浅いんですけど、それでもいいですか”
「構わないよ。田中女史の主観でいい」
“『“負傷”という定義の埒外』。少なくとも、この前柴関でDEの子達の反応を目にした時、そう感じました”
「おおむね私も同じ考えさ。キヴォトスの知的生物は皆々が恐るべき耐久性を持っている。異常とも言っていいだろうね。それ故に、『負傷』という事象への耐性があまりにも低い。身体の耐久性と『負傷』という事象への耐性が反比例しているんだ。とても興味深いよ」
“えっと……すいません、分かったような、分からないような…?”
「なに、全部感覚だよ。そもそも私は研究畑じゃないからね、哲郎の言う『高校数学』すら未知の世界だ」
“……今度お教えしましょうか?”
「ははは、ぜひ頼むよ。最近、だらだらの子達に勉強を聞かれた時の落胆の顔が地味に心に来るんだ」
“わ、笑いながら泣いてる……”
翌日
シャーレ屋上 ヘリポート
“すいませんでした!この間は怒鳴ったりして!”
「いいんスよ!俺もアレはマズったなって反省してたとこなんで!」
“いやいや!”
「いやいや!」
「あのねえ!漫才やってないで早く行かないかい⁉︎ 車椅子でダウンウォッシュ受けるの結構キツいんだよ⁉︎」
翌朝、事前に連絡していたくじら号がシャーレに到着。先生と別れ、D.Uの空を帰路についた。
──────
───
で、戻った翌朝。
古戦ヶ原はある用事のためアビドスに出かけた。
事の発端は、ゲヘナ風紀委員会と衝突したあの日。
ヒナが現着し、古戦ヶ原もそちらに向かっていた時のことである。
突然、無線が鳴った。
「はいDEリーダー」
《初めまして、
「……( ・ω・)?」
《……古戦ヶ原さんとお呼びした方がよろしいですか?》
「あっ俺? ごっめん完全にド忘れしてたわハハハ……んで? 誰だアンタ。間違い電話ってわけじゃなさそうだが」
《ククク…あなたやあなたの奥様、そしてシャーレの先生と同じく、キヴォトスの外部から来た者、とだけ申しておきましょう》
「はあ。……マジで何の用? ちょっと今立て込んでっから話は後にして欲しいんだけど。後でかけ直していい?」
《そういう事でしたら、直接会ってお話ししませんか? そちらのお時間が大丈夫な時で結構ですので、今から言う住所に───》
と、いうことがあり、今現在指定された住所に立っている。どう見ても廃ビルにしか見えないが、その人物は最上階で待っているらしい。
「なあ兄貴ぃ、ホンマに1人で行くん?」
「これ廃ビルにしか見えないですよ…?」
すぐ後ろに止まっているハイラックスの助手席から志津が顔を覗かせた。
運転席の宮崎も心配そうな顔をしている。
「なに、ちょっと話をしてくるだけさ。見たところ敵性反応もない。お前らは適当に時間潰しててくれ。終わったら連絡する」
「そういう事ならええけどさぁ……なんかあったら連絡しいや?」
「おう。じゃあ行ってくるわ」
廃ビルのエントランスに入り、ホルスターのM1911を確認する。何もないとは言ったが、あったらあったで後が怖い。一応準備だけはしておく。
「エレベーターは……だよなぁ、動かねえよなぁ。階段かよめんどくせぇ……」
見たところ、このビル15階はある。
これからくるであろう疲労に辟易としながら、階段に足を踏み入れた。
「Fu○k!!!!!!」
放送禁止用語と一緒に最後の一段を登り終える。
普通に足が辛い。15階分の階段は決して人が登ってはいけない高さであると身に沁みて実感した。
「うぉぉん、俺の膝は人間バイブレーターだ…」
プルプルと生まれたての子鹿の様に震える膝を抑えながら、目的の部屋の前に着いた。
ノックをしようと手を───
『開いていますよ。どうぞお入りになって下さい』
……まあ、同じ階であんな叫んでたら分かるか。
扉を開ける。
「お待ちしておりました。古戦ヶ原哲郎さん」
文字通りの黒一色。
まるで、影がスーツを着た様な、そんな不気味な人物。
古戦ヶ原は、その顔に見覚えがあった。
「あっ!!??生徒プロフィール網羅おじさん!!??」*5
「はい???」
今回の話を組み立てるにあたって幾人かの方々にご協力頂きました。ありがとナス!
ところでどうしてハーメルンがDdos攻撃を受けるんですか???