Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
00ガンダム、RPG大好き、貧弱な自分、緒方
ありがとナス!
アビドス中央病院から南に2km
アビドス住民・対策委員会
アビドス中央病院から連絡を受けた対策委員会は、市民の避難の援護の為、通りに防衛線を敷いてカイザーPMCの軍勢を迎撃していた。
銃弾、砲弾、ロケット弾が飛び交い、偶にカイザーの戦車やアビドス住民のテクニカルが爆発する。
アビドス住民はよく戦い、カイザーは無駄な被害と作戦の大幅な遅延を強いられた。その甲斐あって、対策委員会が防衛線に間に合ったとも言っていい。
《シロコ先輩、補給です!》
「ん、助かる。避難の進捗は?」
アヤネのドローンから落とされた弾倉を受け取る。
トラックの陰で弾倉を交換したシロコは、無線の向こうのアヤネに問いかけた。
《もうすぐで終わりそうです!病院内のシェルターに収容できればかなり安心できます》
「ん、でもこのまま戦っててもジリ貧」
《アヤネちゃん!アタシにも弾薬ちょうだい!》
《私にもお願いします!》
《あっはい!今届けます!》
射撃を再開したシロコの隣に、何やら緑色のでっかいものが飛び込んできた。何事かと視線を向けてみれば、ここ最近よく見るようになった森林迷彩。
「先生…⁉︎ なんでここにいるの⁉︎」
“生の情報がないと正確な戦術指揮ができなくてね。あとシロコ、正直にでいいんだけど、ここの防衛線を離れて市街地に潜入する事ってできる?”
「ん、さすがに無理。今の戦力でもかなりカツカツ」
“だよねぇ……”
「何があったの?」
“古戦ヶ原さんのとこの子が市街地でカイザーに襲われて大怪我したらしくて、できたらでいいから保護してくれないかって連絡がね”
「……あそこも相当な戦力を持ってたはずだけど……」
そこまで言ったところで、シロコはある一つの可能性に思い至った。
「もしかして、同時襲撃?」
“みたい。とりあえず、ここをどうにかしないことにはどうにもならないから、どうにかしよう”
「ん、抽象的」
その後、先生が戦線に加わったことによりアビドス側の戦いっぷりは精彩を増し、遂に各所各所でカイザーの撤退を確認する報告が上がり始めた。
「やったぜ!奴ら尻尾巻いて逃げてったぞ!」
「ヒューッ!アビドス万歳ー!対策委員会万歳ー!」
アビドス住民が、遮蔽物の陰からカラシニコフやM16など、思い思いの武器を掲げて歓喜する。
しかし、その足元で先生は厳しい目をしてカイザーPMCが撤退していった先を見つめていた。
“……”
「……先生?」
“アヤネ、戦線全体の動きは見える? どうも撤退が綺麗すぎる”
《は、はい!今確認を……ッ!カ、カイザーの理事です!カイザーの理事が接近してきます!》
“……OK、見えた。主役は遅れて登場ってとこかしら”
銃声の止んだ通りを、カイザー理事を先頭に一団が歩く。
護衛に隙がない、やはり自分の私兵は精鋭で固めているらしい。
「ふむ。学校まで出向こうと思っていたのだが…こんなところで何をしているのかね?」
「うるせえハゲ!」「くたばれ!」「服のセンスおかしいだろ!」
“あなたのツレが随分とヤンチャをしていたので、それに対応していたまでですよ”
「そうだそうだ!」「これは正当防衛だ!」「ばーかばーか!」
「これはなんの真似ですか? いくらあなたたちが土地の所有者でも、街を攻撃するなんて権利、ある筈がありません!」
「そうだそうだ!」「デブ!」「健康診断再検査!」
《それに、学校はまだ私たちアビドスの物です!侵攻は明白な不法行為!連邦生徒会に通報しますよ!》
「そうだそうだ!」「アビドス攻める前にてめえの髪の心配でもしてろステハゲ!」「⚠︎カイザー特有のキモいボディーです!⚠︎」
アヤネの訴えに、理事はくつくつと体を震わせた。
……体を震わせているのはアヤネの発言がおかしいからではなく、先ほどから飛んでくる住民のヤジに苛立っているからかもしれないが。
「くくっ…連邦生徒会に通報だと? やるのならやってみると良い。今まで、連邦生徒会が、他の学校が、お前達の為に動いた事があったか? あとさっきからヤジを飛ばしてくる奴らはみんな名誉毀損で訴えてやるからな」
”ふふっww……じ、事実陳列罪の間違いでは?ww”
「……(#^ω^)ピキピキ ま、まあいい。アビドスの最後の生徒会メンバー、小鳥遊ホシノが退学したのだ。君達はもう、何者でもない。誰ひとり、君達に手を差し伸べる者はいない。さっさと諦めてアビドスを明け渡す事だ」
《……!し、周辺地域にカイザーの増援が出現!すご、すごい数です…!》
「⁉︎」
「ま、また…⁉︎」
“チッ……みんな、迎撃準備。ここからが正念場だよ”
先生が89式小銃の弾薬を確認───
《……今ここで戦って、何かが変わるんでしょうか?》
”…アヤネ?”
───するところで、無線の向こうでアヤネがポツリとそんな事を言った。
《今も、大隊規模の戦力がこちらに向かってきています。たとえ戦って勝てたとしても、私たちにはまだ、大きな借金が残ったまま……》
「アヤネちゃん…」
「アヤネ…」
《取引された土地だって戻ってきません。何より、ホシノ先輩もいない状態で、私たちなんかに…これ以上…一体何が……》
アヤネの声に、水音が混ざる。
《どうして、どうして私たちだけ、こんな……》
《子供が助けを呼ぶならば》
無線に若い男性の声が入る。
《…え?》
《応えてやるのが、大人の定め》
「この声…」
《手を差し伸べる者が誰もいないだってぇ?》
東の空から、何本もの光の軌跡。
“まさか……!”
いくつもの光点が、地面に降り注いだ。
「いるさ!ここに1人な!」
──────
───
土煙が晴れ、ようやく降ってきたものの正体が露わになる。
……それは、銀色の五角錐のような形をした、高さ2mもない物体。ポッドだ。それが6個。
エアーの噴き出す音が辺りに響き、ポッド側面のハッチが蹴破られた。
「(^q^)ワァー!」
中から這い出してきたのは、マルチカムの装備を身に纏った少女。ムツリである。心なしか膝がガクガクしている。
「うえぇぇ…」
「き、気持ち悪い…」
「HALO降下訓練思い出した…」
「\ 虹色 /」
続々と、衛生兵の大宮寺、田んぼ三姉妹の山田石田藤田も出て来る。そして、最後に残ったポッドのハッチを蹴破り、奴が這い出てきた。
「っしゃおら」
若干膝が笑っている古戦ヶ原(臨戦)である。
“こ、古戦ヶ原さん……”
「ども。ヒーローは遅れて登場ってね」
「膝ガックガクでそれ言ってもカッコ良くはないわよ」
「んー、君はね、もうちょい言葉を選ぶ癖を付けるといい」
「と、いうか、それは…?」
「輸送ポッドって言ってなぁ。まあ説明はあとだ」
古戦ヶ原が理事の方に向き直る。
「ハッ、“ヒーロー”とはお笑いだ。誰だか知らんが、今更数人増援が来たところで何になる?」
「ドーモ。カイザー理事=サン。古戦ヶ原です」
「……は?」
「おっ、アイサツしねえとはいい度胸だな? まあいいや。おめえのとこの情報部員の身柄預かってっから後で引き渡しの交渉しような」
「は?」
「え?」
“襲撃を受けたとは聞いてましたけど、まさか…”
「いやぁ、びっくりしたびっくりした。朝飯食べ終わったら急にスケバンとか傭兵とか引き連れて攻めて来るんだもん。確かに不法占拠してたのは申し訳ないけど書面での通告無しに実力で排除しにかかるのは道理に合わないだろうよ。なぁ? 思わず粉砕しちまったよ」
「……き、貴様か! 土地を不法占拠しているとかいうヘルメット団の指導者は!」
「ヘルメット団……? いや、まあ間違ってはいないけど。まあいいや。しかしヨォ理事さん、いくら土地の所有者とはいえ、武力侵攻はやり過ぎたんじゃないかい。この先に何があるか知ってるだろ」
古戦ヶ原が後ろに指をさす。
ひび割れた外壁の、しかし確かに白い建物。アビドス中央病院が、そこに鎮座していた。
「病院だよ病院。この地域唯一の基幹病院だ。もしかしてだが、そこに砲弾撃ち込もうって訳じゃねえよな。中にいるのはテロリストじゃなくてただの一般市民だぜ?」
「ハッ、何を今更。退去通告を出しているのに退去しない住民側に非があるのは明白だろう。ましてや、退去勧告に来たカイザーPMC社員に住民が危害を加える事案もたった今発生した。この件で発生した被害の賠償請求は対策委員会に回せばいいのか? ん?」
「ほー、あくまで自分らが正しいと。そうかそうか。
古戦ヶ原が無線を手に取り、どこかへと通信を飛ばす。
「なんの真似だ? これ以上の抵抗は無駄だ。大人しく降伏しろ」
「いやいや、ちょっとね。どうも今こっちに犯罪者集団がむかってきてるらしいから、協業者に対処を依頼したのさ」
「何?」
次の瞬間である。
「お、おい。あれ」
遮蔽物に身を潜めていた住民が、市街地の方向を指差した。
途轍もなく大きな爆煙が、幾つも上がっている。音は“まだ”聞こえてこない。
“ッ!伏せて伏せて伏せて!”
次の瞬間、数km離れた爆心地から衝撃波が飛来。
空気が、爆ぜた。
通りを、砂埃混じりの爆風が通り抜ける。いくつかバリケードが吹き飛んだ。
ウワーッと、住民が何人か転がっていく。
「ゲッホゲッホ……な、何⁉︎」
《し、市街地で巨大な爆発が同時発生!く、クレーターが、できてます…!》
「増援部隊と通信は⁉︎」
[だ、ダメです!北東のF大隊、北西のE大隊とも通信途絶!]
「な、なんだとぉ……!」
「っべぇー……流石に6個はやり過ぎたかな……」
古戦ヶ原の、気まずそうなつぶやきが嫌に周囲に響き渡った。
「き、貴様ァ!何をした⁉︎」
「え? ああ、協業者に爆発物大好きな子がいたからさ、こっちの“とっておき”をあげたのよ。反物質弾っていうんだけど」
「反物質……反物質ゥ⁉︎」
《ゲッホゴッホ……ちょっと哲郎!? あんな爆発の仕方するなんて聞いてなかったのだけど!?》
無線に割り込む者がひとり。
「いやぁ、かなり爆発強いから安全距離は遠目に取れよって俺言ったじゃん」
《こっちの想像を遥かに超えてきたのよ!そっちの宮崎キョウコが衝撃波で気絶したのだけど!?》
「マジ?」
“便利屋68…!”
《 あ゛っ!? ん、んん゛っ、全く……大人しく聞いていれば、何を泣き言ばっかり言ってるのかしら…… 》
《え、えーっと……》
《……め、目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く……それが、あ、あなたたち覆面水着団のモットーじゃなかったの?》
「……」
「……」
「……」
[……]
「……」
「あれ誰?」
「あれだよ。最近柴関さんとこによく来てたゲヘナの」
「あー、あの仲良し4人組」
《何よこの空気!!!???》
《アッハハハハ!アルちゃん締まらなーい!》
《はぁ……》
《どどど、どうしますかアル様!?もう一回行きますか!?》
《やめて!まだそのタイミングじゃないから本当に待って!ああもう!とにかく、増援部隊の残存戦力はこっちに任せなさい!気張りなさいよ!》
無線はそこで切れた。
「……さて」
“まだ、やりますか?”
「〜〜〜ぐぬぬぬぬぅ…!ええい!カイザーPMCを舐めるなよ…!総員射撃準備ィ!」
理事の号令で、私兵が戦闘状態に入る。
「よし、ムツリ、大宮寺、田んぼ三姉妹は先生の指揮下に入れ。先生、俺はアビドス住民全員の指揮を受け持ちますが、構いませんね?」
“ええ、DEの子は確かに。住民の方って結構いたと思うんですけど大丈夫ですか?”
「大丈夫です、多分」
“多分?!”
「じゃ、よろしく頼みます。おーい!誰か無線持ってないか!周波数を───」
古戦ヶ原が周囲のアビドス住民を集め始めた。
“はぁ……さあ、やるよ!もうひと頑張りだ!”
アビドス・DE連合軍、総勢9名、連邦捜査部指揮下に編入。戦闘状態に入れり。
最後のアビドス住民を指揮下に入れた描写はあまり気にしないでください。ただの思いつきです。
Tips:この後の戦闘はカットされるぞ!戦闘描写しんどい!