Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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やっと終盤に差し掛かりそうなので初投稿です。

《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
荒魂マサカド

ありがとナス!


30話 戦闘、ジャベリン、大鼻血

前線後方250m

スーパーマーケット『A(アビドス)コープ』中央病院前店跡地

 

古戦ヶ原 哲郎

 

 

アビドス住民を指揮下に置いた古戦ヶ原は少し後方へと下がり、病院前のスーパーマーケット跡地に最終防衛ライン兼指揮本部を設置した。

設置したとは言っても、瓦礫やら廃車やら砂やらをかき集めてギリギリバリケードと呼べるか否かぐらいの物だったり、指揮本部に至っては

 

「指揮する兄ちゃんがおるんならここが指揮本部やな!」

 

とバリケードを設置している住民が勝手に言っているだけなのだが。

 

 

 

さて、アビドス住民の指揮を取ると言った際、先生から「アビドス住民って結構いたと思うんですけど大丈夫ですか?」と心配された古戦ヶ原だが。

 

 

《2丁目交差点から本部!敵の攻撃が激しい!応援をよこしてくれ!》

 

「既に商工会議所班が応援に向かってるからそれでなんとか持ち堪えてくれ。到着は1分半後、追加も送る」

 

《了解!》

 

「おい兄ちゃん!医療物資かき集めてきたぞ!」

 

「どうも、あー、半分はそこの野戦病院、もう半分は中央病院の方に持ってってくれ。えーと次は? ここだな。本部から病院前通り、応答されたし」

 

《はい病院前通り!》

 

「一部戦力を抽出して2丁目交差点に回してくれ。敵の主攻がそっちに移りつつある」

 

《なんとかやってみるが、今こっちの目の前にいる戦車をどうにかしない事には離れられやせんよ!RPGか対戦車手榴弾はないんか!》

 

「そもそもゲリラが戦車相手に真っ向からぶつかってる事自体おかしいんだクソ…あー、少し待て。北砂尾交差点の班、応答されたし。そっちでRPG持ったのを何人か病院前通りに───」

 

 

このように忙殺されていた。

これは本人も重々承知の事なのだが、古戦ヶ原の扱うタブレットにはある弱点がある。

 

()()v()s()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

という点だ。

 

ゲームとしてのRimworldであれば、一時停止という機能があった。もし大量の敵が襲撃をかけてきても、一時停止して戦術をゆっくりと考える時間があった。

 

 

現実にそんなものはない。戦況は刻一刻と変化する。

 

 

これを多少なりとも防ぐために、Rimworld時代ではキルゾーンを構築したり、味方の装備を工夫したりしてなんとかやっていたのだが、今のこの戦闘は双方にマトモな陣地すらない多数vs多数の真っ向からのぶつかり合い。

タブレットの遠景画面は敵の赤色と味方の青色で二色に染まり、地形もよく見えていない。

 

その中から、

・敵の主攻方面を見破り

・それに対処できる味方部隊を選定し

・足りないようなら適切な装備を持った兵を探して呼び寄せる

という作業をずっとやっているのだからたまったものじゃない。

 

 

「えーと、残り半分は中央病院に…って、お、おい兄ちゃん!血、血!」

 

「あ? …ぅお、すっげぇ鼻血」

 

 

遂に古戦ヶ原の鼻から赤い血が噴き出した。

それすらも厭わず、タブレットの画面についた血を戦闘服の袖で乱暴に拭き取る。

 

 

「駐屯地、駐屯地、聞こえるか。こちら古戦ヶ原───」

 

 

戦いはまだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

病院前通り

 

アビドス・DE連合

 

指揮:シャーレの先生『田中 栄子』

オペレーター:奥空アヤネ

 

砂狼シロコ WHITE FANG 465(SIG556)

十六夜ノノミ リトルマシンガンV(M134)

黒見セリカ シンシアリティ(AR70/223)

 

藤田アヤカ SIG SG551

石田ナオコ バレット M95

山田ナオ SIG SG551

陸奥ムツリ SIG SG551

大宮寺キョウ ラインメタル MG3

 

 

 

 

最前線、アビドス・DE連合対カイザーPMCとの戦いも佳境に入っていた。

 

シロコとムツリのコンビが最前線を駆け回って敵戦列を掻き乱し、

 

 

「ん、遅い」

 

[こンの、ちょこまかとぉ!]

 

「(^q^)センメツー!」

 

[ぐわあ⁉︎]

 

 

ノノミと大宮寺が弾幕を張って敵大型兵を制圧、

 

 

「お仕置きですよ〜!」

 

「うおお!ミニガンすっご⁉︎私のMG3も負けてませんよ!」

 

 

藤田と山田、そしてセリカが中衛からそれらを支援し、

 

 

「山ちゃん弾!」

 

「無いよ!ちゃんと狙って撃て!それでも元ゲヘナ風紀委員会かアンタ!」

 

「それは言わない約束でしょ⁉︎」

 

「口ばっか動かしてないで手も動かしなさいよアンタら!!!」

 

 

石田が後方から高脅威目標を狙撃する。

 

 

[おばぁ⁉︎]

 

[まただクソ!狙撃班!早く敵のスナイパーをどうにかしろ!役目だろ!] 

 

[無茶言うな!こっちの有効射程外からドカドカ撃ってきておわあ⁉︎]

 

「……藤ちゃん、仕事しよ?」

 

《ヒエッ、ご、ごめーん!ありがと石ちゃん!》

 

 

彼女たちの奮戦の結果はすぐに現れた。

理事の私兵達が次々に倒れ、遂にその姿を再び捉えたのである。

 

───今まさに、やたらとでかい二足歩行兵器のコックピットに乗り込もうとしている。

 

 

「ちょ、何あのでっかいの⁉︎」

 

「む、来たか!ふははは!我ァがカイザーPMCが開発した最新二足歩行兵器『ゴリアテ』だァ!貴様らの小火器では太刀打ちできまい!くらえぇ!」

 

 

両手の大口径ガトリング砲、肩部に搭載された同じく大口径の高初速砲が同時に火を吹いた。

 

 

「くっ!」

 

「(^q^)ワァー!」

 

 

着弾の爆風でシロコが怯み、ムツリが5mほど転がる。

 

 

《“大丈夫2人とも⁉︎”》

 

「なんとか…」

 

「(^q^)ミウゴキガトレナイ!」

 

「大丈夫でしょ、ほら、立って」

 

「(^q^)ワァー!」

 

 

前衛2名の後退を支援する為、他メンバーがゴリアテに照準を合わせた。

しかし、殆どの銃弾はゴリアテの装甲で火花をあげるだけであまり有効打にはなっていないように見える。

 

 

「ちょっと!アレ効いてるの⁉︎」

 

「効いてはいるはずですが、その前にこちらの弾薬が……!」

 

「すいません!こっちも次でラストです!」

 

 

セリカの叫びに、ノノミと大宮寺の2人がそう答えた。ただでさえ発射速度の高いMG3と、発射速度のバカ高いM134リトルマシンガンVである。弾薬の消費速度も比例して高くなってしまうのだ。

加えて、DE組は戦闘直後であったのと輸送ポッドに詰め込まれてきた関係でそれほど弾薬を所持してきていない。

 

 

「シロコ先輩!ドローンのミサイルは⁉︎」

 

「さっき撃ったのでカンバン。アヤネの補給待ち」

 

《2分下さい!》

 

 

そのやりとりを見ていた藤田がヘッドセットに叫んだ。

 

 

「石ちゃん!12.7㎜で有効打行けそう⁉︎」

 

《装甲は無理そうだけど、センサー類を狙えばなんとか》

 

 

その言葉から数秒もしないうちにゴリアテの体に1発の12.7㎜弾が突き刺さった。

ゴリアテの動きが若干ぎこちなくなったのを見ると、姿勢制御を司るセンサーか何かだったらしい。

 

 

「ヒューッ!さっすが石ちゃん!よっ!SRT!」

 

ぶつよ…?

 

「ごめんて!」

 

 

しかし、まだゴリアテは健在だ。

 

 

《“でも決定打にはなってない…!何か手は…!”》

 

 

 

 

 

《こちら古戦ヶ原、藤田、今からそっちにとっておきを送る》

 

 

 

 

 

無線に乱入してきたのは古戦ヶ原だ。

 

 

「兄貴!えっ、とっておきって何⁉︎」

 

《説明してる時間がない、見たら分かる。こっちはもう戦線が崩壊寸前だ、あと10分もしないうちに病院が戦場になる。その前に“頭”をどうにか叩け。それによる撤退を狙……》

 

「ちょ、ちょっと⁉︎最後なんて言った⁉︎」

 

ゲボッ、ああくそ、すまない。PMC理事の撤退によるPMC部隊全体の撤退を狙う。早めにやれ。以上古戦ヶ原》

 

「ちょっ………叩く、アレを……ああ、ああ!そういう事ね!」

 

 

何かを理解した瞬間、彼女の横に、着陸用ブースターを吹き出しながら輸送ポッドが降ってきた。

プログラムに則って船体が粉々に吹き飛び、中の輸送コンテナが顕になる。

 

藤田はそのコンテナを開け、中身を引っ張り出した。

 

 

「やっぱり…!山ちゃん!セリカちゃん!援護お願い!」

 

「分かった!」

 

「な、何それ⁉︎ミサイル⁉︎」

 

「『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』ってね!」

 

 

FGM-148 ジャベリン対戦車ミサイルを担いだ藤田が後方へと駆ける。ジャベリンの最小交戦距離はダイレクトアタックモードで65m。今いた位置では近すぎるのだ。

 

しかし、ジャベリンは目立つ。

 

 

[ぬうっ、やらせるか!]

 

 

嫌な予感がして横に飛ぶ。

瞬間、ゴリアテのガトリング弾が体を掠めた。

 

 

「頭!多分アレがカメラになってます!撃って撃って!」

 

「あり弾全部持ってけぇい!」

 

 

ノノミと大宮寺の弾幕コンビが、最後の濃密な弾幕を張った。流石にメインカメラは装甲化されているが、毎分4,000発と毎分1,150発の弾幕である。とてもじゃないが映像は見れたものではない。

 

 

「クソ!小癪な!」

 

 

画面が火花だらけでイラついていた理事だが、突然その映像すらも消えた。

その事実に驚く理事の目に飛び込んできたのは、〈メインカメラ損傷、オフライン〉という音声。

 

 

「バカな⁉︎メインカメラをやられただと⁉︎」

 

 

遠くから響く、重い銃声。流石に、装甲化されたカメラも12.7㎜徹甲弾の精密な狙撃には勝てなかったようである。

 

 

 

 

確かに、時間は稼いだ。

 

 

 

 

 

「Hasta la vista, Baby!」

 

 

乗り捨てられた車の陰から、ジャベリンミサイルが飛び出す。

ロケットモーターに点火、まさしく対戦車ミサイルといった速度ですっ飛んでいった弾頭は、事前に藤田が行った照準に従い、先ほど理事が乗り込んだ部分。

コックピットへ着弾した。

 

 

「ぬおおおおおおおお!!!???」

 

 

コックピットという中枢部へ直撃を受けたゴリアテがたまらず膝をつく。

数秒もしないうちに大穴の空いたコックピットが解放され、大怪我を負った理事がぼとりと地面に吐き出された。

成形炸薬2つの爆発をモロに受けたのだろう、カイザーが誇ったそのボディはボロボロになり、見るも無惨な姿だ。

思わず私兵の1人が駆け寄る。

 

 

[理事、傷が……!すぐに治療を!]

 

「くっ、一度退却だ!戦力の再整備に入れ!」

 

[ハッ!た、退却命令!]

 

 

 

 

[本部から退却命令!]

 

 

 

 

[繰り返す、本部から退却命令が下った───]

 

 

 

 

今さら退却命令だァ⁉︎馬鹿言うな!あと数百mで病院に突入できるんだぞ⁉︎ンな馬鹿な事を言っってんのはどこのどいつだ⁉︎]

 

[理事ですよ!最高指揮官です!通信が錯綜してて詳細は分かりませんが、どうもお抱えの部隊でシャーレの部隊とやり合って重傷らしく…!]

 

ハァーーー!!!???あンのアホンダラ……!市街地で跡形もなく吹き飛んだ増援分を含めりゃ1個連隊近くの被害だぞ……それほどの犠牲を払ってここまで進んだってのに……!あーもうやだ!もーーやだ!やってられるかこんな仕事ホアアアアアア↑↑↑!!!

 

[オワーッ!た、隊長殿がご乱心だ!メディック、メディーック!]

 

 

 

 

 

 

《敵兵力、退却していきます……》

 

 

戦域を確認したアヤネの宣言で、全員が一斉に肩の力を抜いた。

 

 

《“お疲れ、みんな。一旦病院に集合しようか。補給をしつつ、この後のことを考えよう”》

 

「(^q^)モドレ!」

 

「……ん」

 

「疲れた……」

 

「お疲れ様、藤」

 

「いや本当によ。兄貴も大役任せるもんだからさぁ……」

 

「大宮寺さん、いい弾幕でした!」

 

「いやあ、ノノミさんには敵いませんよ……いやマジで。なんでミニガン手持ちで撃てるんですか? 普通に……」*1

 

《きっとこの次は……今までで一番大きな戦いになると思います。まずは、ホシノ先輩を助ける方法を探さないといけません》

 

《“そうだね。でもきっと、力を合わせればなんとかなるよ。いや、なんとかしてみせる。それが先生の……いや、()()の仕事だからね”》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、もう1人の大人はというと

 

 

病院前

 

 

「えっっっっっと……お、お兄さん……? だ、大丈夫ですか、それ」

 

「え? あー、大丈夫大丈夫、昔から鼻血出やすい&止まりやすい&再発しやすい体質なんだわ」

 

「鼻血って量じゃないですよね……?」

 

 

鼻血で戦闘服を血だらけにして、ひと足先に集合していた石田にすごい心配されていた。

戻ってきた全員がその姿(戦闘服真っ赤)に腰を抜かすまで、あと数分─────────

*1
本体重量18kg+弾薬+射撃時の強烈な反動+高速回転によるPOWER




実は鼻血の件のソースは投稿者だったりします。なんか粘膜が傷つきやすいとかなんとかって耳鼻科の先生は言ってたけどね、よく分かんねえやガハハ!
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