Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
RPG大好き
ありがとナス!
カイザーPMC基地東部
砂漠に直接穴を掘り、側面をベニヤ板で補強して屋根をつけただけの、土嚢すらないお粗末な
アビドス侵攻後に、シャーレやアビドスの反攻を危惧して基地周囲に多数急造されたこの監視所には、オートマタが3人詰めている。
[……]
[……どうした、早く引けよ。こんな物言わぬ心理戦は鏡を見るような物……もし俺が“蛇”に見えているのなら、お前こそが“蛇”なんだよ……ッ!]
[ええいうるせえ!……こっちだッ、どおおおおしてだよおおおおおおおおお!!!!!!!!!!]*1
[へへへ、ごっそさーん。いやあ、儲けさせてもらって悪ィな]
[うおぉん…(悲哀)]
[働けや給料泥棒共が]
双眼鏡で周囲を監視していたオートマタに諌められ、ババ抜きを終えたオートマタ2人もいそいそと持ち場に戻る。
[つーかよぉ、こんな僻地オブ僻地に敵なんて来るのかよ?]
[実際来たんだよ。数日前、所属不明の
[ハァ? なんか基地がやけにボロボロだなとは思ってたが]
[IFV単騎でか? それが本当だとしたらアビドス支部の連中無能過ぎるだろ。戦車連隊とかの間違いじゃねえの?]
[マジマジ。メインゲート前でアビドスのガキ共包囲してたら後ろからグサリ、主要インフラとアパッチ4、5機がオジャンだと]
[アホじゃん]
[アホだよな。やっぱこんな僻地に配属されるような奴は底が知れてるってワケ]
[それD.U.からこっちに増派された俺らにも当てはまんね?]
[……おい、敵だ敵!]
[バカ言え、騙されねえぞ]
[話逸らそうとすんなコラ]
[違えよバカ!向こうの稜線見ろ!]
[あぁん?]
他の2人も同じ方向を双眼鏡で見る。
[……マジでいんじゃん]
[なんだあの戦車。見たことねえ型だな]
[アウトポスト15よりHQ!機甲戦力を複数含む集団が基地に向けて進行中!敵だ敵!……基地を半壊させたIFVもいる!」
《山田よりアルファリーダー、10時方向の監視所の動きが激しくなってきた。多分バレたねこれ、撃つ?》
「大丈夫、そのまんま放っておいて。アルファリーダーよりアルファ各員。“作戦通り”敵に捕捉された。すぐにでもカイザーの大戦力がすっ飛んで来るよぉ、警戒を厳となせ。以上アルファリーダー」
カイザーPMC基地
会議室
本部隊舎最上階にある会議室。
煌びやかな装飾が施されたその部屋に、カイザーPMC理事を始めとした幹部陣が詰めていた。
「戦力の再編成の進捗は?」
[ハッ、機甲部隊です。D.U.本部の戦車連隊も到着し、残存戦力との合流を進めています。3時間後には終わる予定です]
[戦闘ヘリ部隊も新機体を受領、弾薬と燃料の補給も滞りなく進めばおおよそ1時間後には出撃準備が完了します]
[砲兵ですが…その、申し訳ありません、少々芳しくありません。トリニティ方面から向かっていた自走砲大隊が砂嵐の直撃を喰らって6割ほど進行が遅れています。集結完了は明後日になるかと]
「そうか……まあいい、事ここに至っては焦っても仕方がない。いいか、次の侵攻は何としてでも成功させろ。本社からもそうせっつかれているからな……クソ、忌々しいガキどもめ」
報告を終えた幹部たちが荷物をまとめ、退室しようとした、まさにその時である。
[失礼します!]
兵士が1人会議室に飛び込んできた。
「何事だ?」
[て、敵襲です!装甲車両複数を含む集団が東から接近中!]
「何ィ!? 規模は!?」
[戦車らしき大型装甲車2、こ、この基地を攻撃したIFVが1、自動車化歩兵が1個小隊!]
「……なんだ、数はそこまででもないな。だが装甲車が厄介か。よし、機甲部隊と戦闘ヘリは出撃可能な戦力を東に投入しろ!この際補給は途中でも構わん!速攻で潰せ!」
[[ハッ!]]
幹部が走って会議室を出ていく。すぐにでも、カイザーPMCが誇る機甲・航空戦力が出撃するだろう。
「バカめ、事を急いだな。アビドスかシャーレか、はたまたあのヘルメット団かは知らんが、前回の仕返しはたっぷりとさせてもらうぞ…!」
会議室の窓から外を見つめる。
視線の先では、稜線の上に陽炎が揺らめいていた。
同時刻
基地南方
「了解、アルファはそのまま基地へ進行しろ。……どうすっかなこれ」
基地まであと数分といった地点。
操縦桿を握りながら無線を使っていた古戦ヶ原が、そんな事を呟いた。
「どうしたんだい?」
「いや、アルファチームはもう捕捉されたはずなんだが……肝心の基地戦力がまだ動いてないっぽい。元々留守を狙う前提でブラボーの作戦と編成は組んでたから、どうしたモンかとな。いやぁ……こりゃ読まれたか?」
基地に大戦力が集結していることは、シャーレからの情報ですでに把握している。詳しい数は未定だが、先のアビドス侵攻の残存戦力も含めればかなりの数になるはずだ。
……打つ手を間違えれば、その集団の中にアビドス・E分隊+α、SRTの少数戦力で突っ込む事になる。
「なるほど、それならこちらの突入を見合わせるかい?」
「……いや、ここで作戦を変えたら余計な混乱を招くし、配置についてるアビドス組がバレたら洒落にならない。このまま行こう。なぁに、Rimじゃ“いつもの事”だろ?」
「確かにね。ドアガンに付くよ」
ナダヤがキャビンに戻ったのを確認して、無線のマイクを取る。
「ブラボーリーダーよりRABBIT1」
《RABBIT1よりブラボーリーダー、どうしましたか》
「敵の動きが芳しくない為作戦を変更する。可能か?」
《……可能な限りそちらに合わせますが、何をどう変更するんですか?》
「アルファの交戦を待たずに基地に突入する。こちらでアパッチを離陸前になんとか叩き落とすから、そっちはアビドスの為にメインゲート、あと周辺の対空砲を破壊してくれ」
《RABBIT1、コピー》
「よし、お前ら聞いたな?」
キャビンの方に問いかける。
返事はない。見ると、ナダヤ以外の全員が信じられないものを見るような目でこちらを見ていた。
「あー、隊長? その、今のは───」
「敵部隊で満載の基地上空に突っ込むって事、ですよね」
「まあそうなる」
「( ᯅ̈)」
「アッハハ!楽しくなってきたねぇ!そう来なくっちゃ!」
上辻がはしゃぐように言うが、めちゃくそに足が震えている。
「何、意外と何とかなるし、俺が何とかさせるさ。そうら行くぞぉ!掴まってろよ!」
ヘリ2機が稜線を越え、ついにカイザーPMC基地を視界にとらえる。
それはつまり、基地側からも捕捉されるのと同義。
[レーダーに反応!基地南3km、高度……10m!?]
[た、対空砲!叩き落とせ!]
1分もしないうちに空にポツポツと黒煙が上がり始め、それから数秒とたたないうちに、対空砲火で周辺が花火大会みたいな事になり始めた。
Flakの至近弾で機体が揺れる。
《ちょ、古戦ヶ原さん!? 何やってるんですか!? 聞いてた作戦とだいぶ違うんですが!!??》
無線が入ったので地上を見ると、対策委員会の乗ったジープが砂煙を上げながら砂漠を疾走しているのが見えた。おそらく先生も乗っているのだろう、タブレットを持った女性がアヤネらしき生徒につかまれながら立ち上がっているのが見える。
「すいません作戦変更です!対策委員会はそのまま目標まで突っ走って!メインゲートはSRTが吹っ飛ばします!」
《くひひ…RABBIT3だよー、じゃあやっちゃうね? やっちゃっていいんだね?》
「おう存分にやってやれ!」
《やったー!火力MAX!吹っ飛べー!》
RABBITのブラックホークのスタブウィングから対戦車ミサイルが放たれる。おそらくはAGM-114 ヘルファイア。
地獄の業火は、鋼鉄製のメインゲートに対してしっかり仕事をした。
成形炸薬弾頭によって破壊されたメインゲート扉(故)が内側へとひしゃげながら吹っ飛ぶ。
「ようしよくやった!RABBITはさっき言った通り対空火器の殲滅とアビドスの援護を!」
《RABBIT3コピー!フルパワー!!!》
RABBITが景気良くぶっ放すのを確認し、機体をヘリポートへと向ける。
道中もやはり敵の数が多い、まるででっかい石の裏にへばりついたよくわからん虫みたいにうじゃうじゃいる。
「屋上に対空砲!
「とんでもない花火大会だねぇアッハッハッハ!!!」
こちらを狙っていた機関砲に、無数の7.62㎜弾が突き刺さる。
「隊長!前々から言おうと思ってたんだが!!!」
「なんだ三ヶ島ァ!」
「アリウスにヘリはなかったから断言してこなかったが今なら自信を持って言える!こういうのは汎用ヘリの仕事じゃないと思うぞ!絶対!」
「何を言うか!戦闘ヘリがない以上くじら号がDEのガンシップだろうが!」
「そんな無茶な!」
30秒ほど飛べば、少し開けた区画が現れた。
ローターを回して離陸する寸前のアパッチAH-64Dが3機見える。間違いない、以前
各アパッチの側には、ギリギリまで補給をしていたのだろう弾薬運搬車やタンクローリーが停まったまま。
やはり奇襲がうまくいきすぎたようだ、カイザーが思った以上に対応できていない。
「可燃物狙え可燃物!アパッチが飛び立ったらめんどくせえぞ!」
「分かってる!さあカイザーの悪い子の諸君!Rim式火遊びのお時間だ!」
『空飛ぶ戦車』とまで謳われる防御力を誇るアパッチに、くじら号のミニガンでは太刀打ちは基本できないものと思っていいだろう。
だが、すぐそばにジェット燃料とかいうよく燃えるものと、よく爆ぜるロケット弾とか対戦車ミサイルが置いてあったらどうだろうか。
[おい補給まだか!前のIFVの時の二の舞になっちまうぞ!]
[無茶言わんでください!どんだけ急いでもポンプの性能だけは上がりゃせんのです!]
[ヘリ!敵ヘリだ!]
[はぁ!? 対空砲は何やってんだ!?]
[あーこりゃダメだ逃げましょ]
[えっちょっおまっグワーッ!!!]
答え:大惨事
燃え上がったジェット燃料やらミサイルに誘爆するやらで4機のアパッチがあっという間に鉄屑と化した。
「いやあいい眺めだ。ナダヤ、そっちはどうだ、敵見えるか?」
「……いや、ひとまずはクリアかな」
「よし、RABBITと合流して司令部へ向かう」
黒煙の上がるヘリポートに背を向け、メインゲート付近へと戻る。
青いブラックホークが、眼下の対空砲らしき目標物に嬉々として対戦車ミサイルをぶっ放しているのが見えた。アレのパイロット絶対爆発好きだろ(名推理)
《やっぱり爆発は堪らないねぇ……くひひ》
「待たせたなRABBIT、これより司令部へと向かう。先生、コイツら降ろしたら援護に戻ってきますんでちょっと数分ほど頑張ってください」
《なんとかやってみますよ、お気をつけて》
一旦アビドス組の上空から離れ、ヘリ2機編隊で基地の中心部───司令部へと向かう。
「こちらで司令部屋上にランディングゾーンを確保する!」
《RABBIT1、コピー。司令部周辺の戦力を無力化します》
「助かる!
「了解!」
司令部周辺を右旋回しながら、屋上の対空砲やオートマタに無数の7.62㎜弾を叩き込む。
制圧は1分もしないうちに終わった。
「ランディングゾーンを確保した、これより兵員を降下させるぞ、RABBIT、援護を」
《コピー》
弾痕だらけの屋上ヘリポートに機体を下ろす。
早さを求めるのなら、着陸よりもラぺリング降下の方がいいのは確かなのだが、E分隊がつい最近までいたアリウス分校は、諸々の事情でヘリをはじめとした航空機を保有していなかったそうだ。なのでヘリに乗るのはくじら号が初めて、しかも当初はE分隊自身がくじら号クルーだったため訓練をする暇もなく。まあこれからの課題だ。
ともあれ、それ以外の練度は申し分ない。
「行け行け行け!」
「E分隊展開!“Rock 'n' roll”!」
「ーε三╰( 'ω')╯」
「行っくよー!ほらゼンちゃんも走る走る!」
「は、はい!」
「隊長、ナダヤ夫人、お気をつけて!」
三ヶ島らしくない大声を上げながらヘリから降りた彼女を先頭に、屋上周辺にE分隊が展開する。
「あいつめっちゃ元気やん、E分隊展開を確認した。次はRABBITの番だ、こっち来い!」
ヘリポートから機体を退け、ブラックホークからRABBITがラペリング降下する周囲を警戒、RABBIT小隊の展開を確認する。
《RABBIT1、2、4、展開しました》
「よし、E分隊とRABBIT小隊はそのまま基地司令部を制圧、機密文書を可能な限り回収し、状況が許せばカイザーPMC理事の確保を狙え。兵員の使い方は三ヶ島とRABBIT1に任せる。RABBIT3は司令部側部隊の援護についてくれ、アビドスの援護はこちらで担当する」
《E分隊了解》
《RABBIT1、コピー。よろしくお願いします》
《ヨロ(`・ω・´)スク!》
《うわなんだコイツ!? なあなんなんだコイツ!?》
《よろしくお願いします》
《あっ、よ、よろしくお願いします》
《なんかカイザーの制服着た子もついてきてるけど味方でいいんだよね?》
《あ、うん、味方味方》
《司令部内の構造は任せてください、理事のへそくりの隠し場所も知ってますよ》
《くひひ……怖いねこの子》
仲は悪くなさそうで一安心だ。
RABBITのブラックホークにこの場を任せ、こちらはこちらでアビドスの援護に向かう。
《アビドス班からくじら号!戦車部隊と遭遇、身動きが取れない!至急援護を!》
「了解、30秒待て。石田ァ、準備しとけ!お前の出番だ!」
「り、了解です!」
石田がバレットM95のボルトを引き、12.7×99㎜弾をチャンバーに送り込んだ。
なぜ古戦ヶ原くんの読みが外れたかは、忘れなければ戦闘後描写します。忘れたらごめんなさい。