Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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やっとこさアビドス編を締める事ができて感無量なので初投稿です。

次はRimworld成分を補強するための番外編をいくつか挟んで新編に突入したいと思っています。
番外編、新編ともども細かなプロットは全くできていませんが次の投稿者がうまくやってくれるでしょう、対戦よろしくお願いします。


36話 後始末、三滝堂、空は青く澄んでいた

それからの話をしよう(16話ぶり4回目)

 

 

くじら号の墜落から程なくして、藤田率いるアルファチーム+ゲヘナ風紀委員会が基地内に突入。E分隊・RABBIT小隊が基地司令部を強襲した事で指揮系統に深刻な混乱が生じていたカイザーPMC部隊は敗走、基地を放棄して撤退した。

 

そしてアビドス班は、いつの間に基地司令部を脱していたカイザーPMC理事を退け、実験棟内に囚われていたホシノを奪還、最大の目的を達したと言っていいだろう。

あとなんかいつの間にかヒフミン+トリニティ砲兵隊も参戦していたらしく、くじら号を落とした機甲部隊を吹っ飛ばしたのがそれらしい。マジかよヒフミンすげえな。さすがナチュラルボーンアウトローは格が違った。

 

 

さて、ではデザートエッジはどうだったのかと言うと、まあトントンと言ったところだ。

 

 

くじら号(UH-1Y)は対空砲火を受け墜落、全損。あと俺もそこそこの重傷を負ったものの。

基地司令部を強襲したE分隊とRABBIT小隊は、無線で報告していた通り、無事多数の機密文書やデータを押収した。俺は結局詳しい内容は見ることはなかったが、三ヶ島曰く「()()()()()()()()()()()2()()3()()()()()()()()()()」だったらしい。怖。

 

 

 

 

で、作戦後の話だ。

 

 

 

 

元々非公認の組織であった廃校対策委員会は、シャーレからの公的な認証を受けて、アビドス高等学校の正式な委員会、なんなら機能不全を起こしていた生徒会に代わり、対策委員会が生徒会として承認された。

これまで、非公認であったが為に色々と酷い目に遭ってきたという面もあるので、まあこれで一安心だろう。

 

 

借金について。

借金の総額は9億のままだ、これに関しては過去の取引自体に違法性が認められなかったのが大きい。

ただ、カイザーPMC理事の指示によって追加で課せられた『金利の一方的かつ暴力的な上昇、そして1週間以内に9億の借金に対する補償金3億の預託』という法外な要求については、債権者であったカイザーローン自体にブラックマーケットでの違法な金融取引があった疑いがかかって、連邦生徒会による捜査が入った事もあり取り消された。

なんなら利子についても、月700万越えとかいう馬鹿みたいな物から、常識的な値段まで下がったらしい。これでアビドスのみんなも多少は楽になるだろう。

 

 

ああ、そのカイザーPMC理事についてだが。

基地でアビドスに退けられたあと、どうやったのかは知らないが基地から脱出していたらしい。

()()()()()()()()()()()ヴァルキューレ公安局によって未成年略取だか誘拐だか拉致だかが認められてキヴォトス全体に広域指名手配がかけられているが……捕まえられるかは不透明だ。連邦生徒会も依然あんな調子だし。

作戦後に周囲を捜索していた三ヶ島曰く、所属不明のブラックホークが何者かを回収して飛び去っていったとの事。ブラックホーク多すぎだろキヴォトス、シコルスキーが大喜びしてるよ。

 

 

 

 

ここからはデザートエッジについての話。

 

 

デザートエッジ、アビドス高校、カイザーグループ、シャーレ、連邦生徒会を交えた会議……まあ言ってしまえば講和会議がミレニアム主導の元開催された。

内容を全部話すとアホほど長くなるので結果だけ言うと、アビドスの様相が大きく様変わりした。

 

 

借金については、先ほど述べた通り取引自体に違法性は無かったので利子は下げつつもそのまま。

 

 

では何が変わったのかと言うと───土地だ。

 

 

今までは、アビドス高校の現校舎の周辺以外の殆どの土地の所有権をカイザーコンストラクションが保有していたのは周知の通り。

 

 

・アビドス高校現校舎周辺5km圏内および、アビドス中央駅周辺10km圏内、アビドス東駅周辺5km圏内、加えてアビドス領内の幹線道路一帯をアビドス高校の直轄地とする。

 

・それ以外の土地に関しては、アビドス高校からカイザーコンストラクションへの“土地の貸し出し”という形に変更。

 

 

簡単に纏めるとこんな感じの内容になった。

アビドスは、およそ数十年ぶりにその土地を取り返したのである。

カイザー側はこれを渋りに渋ったが、カイザー基地でSRT+αが押収した機密情報がここで効いてきた。

その機密情報、三ヶ島が「カイザーグループ全体が2、3回ひっくり返る内容」と評するだけあり、カイザーグループをお取り潰しするには十分すぎるほどの内容だったのだが───困ったことに、カイザーグループはキヴォトス全体の各種産業やインフラに深く関わっている。

今回のPMCやコンストラクション、ローンのやらかしはさておき、カイザーグループは腐ってもキヴォトス有数の大企業。

 

カイザーグループお取り潰しによって、またしてもキヴォトス全域に深刻な混乱が生じるのではないか───連邦生徒会から派遣されてきた()()()()()()()()()()()()()()()()()が、そう提言したのだ。

 

こちらとしても、カイザーへの恨み一本でキヴォトスを混乱に陥れるのは本意ではない。超大企業が倒産となってしまった後に待ち受ける事態は……現実世界を見ていただければ分かるだろう。*1

 

機密情報と交換+DE、アビドス、シャーレ、ヴァルキューレ、SRT、連邦生徒会はこの情報を公開しない……という交換条件で、カイザー側は先ほどの土地権利の話を飲んだのである。時には妥協も必要ってわけだね。チッ(カイザーを潰す手段を失って舌打ちする古戦ヶ原)

 

 

とりあえず、アビドスは土地を取り戻した+コンストラクションへの土地貸し出し料という大きい不労所得を得た。

 

DEはアビドスへ土地使用料を支払うか、または土地を購入するかで現在の駐屯地をどうにかすることができるようになった。

 

カイザーは、社員による生徒略取という事件による信用の低下やアビドスの土地に関する経済的損失こそ発生したものの、ひとまずグループ全体としてはどうにか首の皮一枚繋がった。

 

 

あの講和会議による結果をまとめるとこうなる。カイザーくんが理事とかかなりの数の幹部を首切りしてなかったらもっと攻められたんだけどね、チッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

E分隊に同行していた元カイザーPMC社員、主任ちゃんこと三滝堂ゼンリがいたのを覚えているだろうか。

 

そもそも彼女の目的がなんだったのかと言うと、『カイザーPMC情報部アビドス支部が確保していた各種情報の確保、及び情報部員の所属の書き換え、加えてカイザーグループへの無差別ハッキング攻撃』。はい?

 

その行動の動機は、復讐。詳しい事情は聞かなかったが、まあ、その、あれだ。常々降り積もっていた不満が色々と爆発したのだろう。うん。

人の恨みって怖えよな(小並感)

 

その恨みによって、闇に葬られたはずの例の機密情報の一部がクロノススクールを始めとしたマスコミ各社に漏れ、株価大暴落等々のどったんばったん大騒ぎに発展。連邦生徒会のあのヤギ目の役人が危惧していた混乱が別の形で発生したのである。直接見たわけじゃないが、D.U.のカイザーグループ総本社前では大規模なデモが行われていたらしい。

 

まあ、一応言っておくと、あの会議でアビドスの土地との交換条件で設定されたのは、『機密情報と交換+DE、アビドス、シャーレ、ヴァルキューレ、SRT、連邦生徒会はこの情報を公開しない』という内容の文言。

 

あの時点で三滝堂は、

 

・カイザーPMCからは既に解雇

・DEに所属しているわけでもない

・シャーレに所属しているわけでもない

 

という完全フリー。

兎にも角にも人の恨みとは末恐ろしい。(建前)

よくやったぞ三滝堂。(本音)

 

 

 

 

そんな三滝堂だが、デザートエッジに加入する事が決定した。

 

 

 

 

違うよ? 決して条件を躱す為にDEへの加入を遅らせてたとかそんなんじゃないよ? 古戦ヶ原くん嘘つかない。

 

どうも元情報部員らの相談の結果らしく、彼らがカイザーからの報復を避けてブラックマーケットに潜伏するのを選んだのとは反対に、DEに対して三滝堂の保護を懇願してきた。

 

三滝堂自身は仲間と離れるこの決定に乗り気ではないものの、理解はしているのか表立って文句は言わなかった。不満そうに頬を膨らませてはいたが。

 

こちらとしても、“これからの展望”を考えると、情報に強い人材はいくらでも欲しいので断る理由もない。

今回の一件にてDEはカイザーの猛攻を危なげなく退けたわけだが、『情報戦』という目で見ればDE側が全て後手を打つという完全敗北を喫していたのだから。

なんなら情報部単独ではあったものの、こちらの事をずっと監視していたらしい。

 

……いや、実を言うと気づいてはいた。

 

かなり前にナダヤから『歩哨の子が駐屯地の周辺で所属不明のオートマタを目撃した』というのを聞き、これが入植者の不倶戴天の敵であるRim産メカノイドであった場合、キヴォトス全体を含めたかなりマズイ話になるので一応調査していたのだ。

 

結果、敵意もなくただこちらを見ているだけ、という事しかわからなかったのと、その頃はその頃で色々とやる事が積み重なっていた為優先度も低く設定していた。

うーん、これはガバ。なんでもタブレット頼りは反省せなアカンね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────

───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アビドス市街地(アビドス中央駅前直轄地帯)

柴関ラーメン

 

 

“古戦ヶ原さん、ラーメン伸びますよ?”

 

「おっと、失礼失礼。歳とると考え事が増えていけねえや」

 

“歳私とそんな変わらないですよね……?”

 

 

色々と考え込んでいた頭を戻し、目の前の醤油ラーメンに集中する。

……うん、やっぱり美味い。こういうのでいいんだよ、こういうので。

 

 

一連の俗に言う『戦後処理』を終えた俺は、先生と便利屋68と共に、中央駅前に移転した柴関ラーメンを訪れていた。

 

 

 

───そう、一度は閉店を決めた柴関大将、まさかの駅前一等地(未だスカスカ)に新店舗を構えて再出発を果たしたのである。

 

 

 

これには、便利屋68と我らDEが深く関わっている。言ってしまえば、便利屋68がどこからか1億近い金を出し、DE建設班+俺が建設したのだ。

……流石にもう忘れられていると思うので今一度説明しておくと、『建設班』というのは志津と宮崎の元ヴァルキューレ生2名の事。

DEでは随分と前に土地限界を迎えてしまっていたのでしばらく新規の建築は行われていなかったが、その久々の新規の建築が、まさかのアビドスが誇る名店『柴関ラーメン』の新店舗の建築だ。

志津は白目を剥き、宮崎は口をあんぐりと開けていた。

 

 

「いやぁ、本当古戦ヶ原さんには感謝してるよ。新しい店だけじゃなく、準備資金まで工面してもらってなぁ」

 

 

大将はそう言って感慨深そうに頷いているが、繰り返すようだが金を出したのは便利屋68。

だが、肝心の陸八魔社長が「ちょっ、待って、バラさないでちょうだい!こういうのは正体を隠していた方がアウトローでしょ!?」と叫んだので、外面的にはDE…というか俺名義で金を出して新店舗を建築した事になる。

 

 

しかも、大将は人が良かった。こちらが困るほど。

 

 

大将は「建物まで建ててもらったのに金まで貰ってしまっては商売人が廃ってしまう」と1億の受け取りを固辞した。なんとか引き下がって受け取ってもらったのは、十分の一の1,000万のみ。

 

これ以上は受け取れないと言われてしまったので仕方なく残りの9,000万を便利屋に返しに行くと、

 

 

「一度渡した金は受け取れないわ。そのお金は好きにしてちょうだいな」

 

 

と、また金欠になったのか、腹の虫を盛大に鳴らしながらそうキメた社長の面子を潰すわけにもいかない。

せめてものお礼として便利屋4名にラーメンを奢りつつ、少し今後について相談をする為に先生も誘ったのである。便利屋がテーブル席で舌鼓を打っているのを見ながら、大人2人はカウンター席に座っている。

 

 

“で、9,000万でしたっけ。流石に受け取れませんよ? 一応今も公僕の身ですし”

 

「ですよねぇ、いや、マジでどうしよう」

 

“使っちゃえばいいんじゃないですか? 今回そちらで雇用した傭兵とかスケバンの皆に支払う給与とかもあるでしょう?”

 

「そっちの方は今まで銃火器売っぱらってきた儲けで足りるんですよね……てか『先生』的に使っちゃえばいいって発言はどうなんですか」

 

“今は『先生』ではなく『田中栄子』個人の発言なので”

 

「そういう問題かなぁ……いや、そうか。使えばいいのか」

 

“ん? はんはほほいふいはんへふ?(なんか思いついたんです?)

 

「口の中の物無くしてから話して下さいよ。いえね、ちょっと前々から考えてた事がありまして、それの足しにしますわ。ご馳走様でした」

 

“……悪い事しないでくださいよ?”

 

「しませんよ、黒服じゃないんだから。先生は今日でアビドス最後なんでしたっけ?」

 

“ええ、今日の夕方にはシャーレに戻ります。朝のうちに対策委員会の皆と市街地の方々には挨拶させていただいたので、最後にここのラーメンをと。次は多分ミレニアムの方ですかねぇ”

 

「ミレニアム? そらなんでまた」

 

“向こうのゲーム開発部?だったかな、そこの部活から助けて欲しいって連絡が来まして。話を聞きに行く感じです”

 

「はー、あっち行ったりこっち行ったり大変ですね。お身体にはお気をつけて」

 

“ええ、古戦ヶ原さんもお気をつけて。ナダヤさんにもよろしくお伝えください”

 

「もちろん。じゃ、お先失礼します、大将ー、お勘定ー」

 

「あいよー」

 

 

便利屋に声をかけた後、レジで大将に金を払い───ふと思い出して先生の方を振り返った。

 

 

「そうだ、ひとつお聞きしたいんですけど」

 

“なんです?”

 

「『百合園セイア』って生徒、ご存知ですか?」

 

 

その名を聞いた先生は、箸を置いて口元に手を当て数秒ほど思考し、すぐに思い出した顔になった。

 

 

“えーと、トリニティの生徒会『ティーパーティー』の子ですよね。直接会ったことはまだないですけど、名前だけならヒフミから聞きました。その子が何か?“

 

「…いえ、ちょっと気になっただけでしてね。や、ありがとうございました。では」

 

“ええ、また機会があれば”

 

 

手を挙げて先生と便利屋に別れを告げ、店を出る。

 

 

「……ああ三ヶ島、俺だ。終わったから迎え頼む。ホシノは元気してたか? ……ひ、暇だったから近くにいた賞金首を一緒に狩ってた? 何やってんのお前ら? まあいいか。じゃあ中央駅で待ってっから。あい、うーい」

 

 

通信を切り、空を見上げる。今日も元気に昇る太陽が、ジリジリと皮膚を熱する。

 

 

「あー……クソみてえな青空だ、嫌になるね、まったく」

 

 

その言葉とは裏腹に、古戦ヶ原は駅の方へと機嫌よさげに歩き出した。

 

 

 

砂交じりのアビドスの空は、どこまでも、青く透き通っていた。

*1
拓殖銀行やリーマン・ブラザーズ等々




「ね、言ったでしょう? ホシノさん。 『何かあってもみんなで助ける』って」

「うへ〜……まさかトリニティにゲヘナ、SRTとヴァルキューレも連れてくるなんて思って無かったよ奈良山ちゃん。おじさんの完敗だね」

「お戯れを。……あと、『ナホ』で構いませんよ?」

「ああ、そう? じゃあそう呼ばせてもらおっかな。……ありがとうね、ナホちゃん。DEの皆とナダヤさん、あとお兄さんにもよろしく言っておいてよ、後でお礼に行くけどさ」

「ええ、ぜひお待ちしてます。では」

「うん、じゃあね〜」
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