Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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『番外編をいくつか投稿してから新編に入る』と昨日の投稿者は言っていましたが、新編をやる前にDEの新しい環境の整備をしておかないと話進められないなと気づいたので新編突入。既に雲行きが怪しいので初投稿です。

あと分かりづらいかもしれないですけど新編入ったんで話数もリセットです。ご了承のほどよろしく頼まあ。


『Hello, Kivotos, from the edge of the desert.』編
1話 大胆カット、どんちゃん、タノカミ


アビドス東駅より西に500m

デザートエッジ駐屯地 ヘリポート

 

 

「会社を作ります」

 

 

あの騒動から1週間後。

突然、ナダヤを含む全員をヘリポートに集めた古戦ヶ原がそんな事を言い出した。

 

 

「あー……どういう事だい哲郎? いや言ってる意味は分かるんだが、どういう経緯で?」

 

「いやね、ちょっと前に連邦生徒会に許可取りに行ったろ? 銃作ってアンドレさんの店に卸すって時にさ。あの時に担当者から「会社作って法人化したほうが色々とやりやすいですよ」って助言貰っててさ。やっと状況も落ち着いた事だしそろそろ取り掛かろうかと思って」

 

「……ふーん、まあ、いいんじゃないかい? そのあたりはさっぱりだから全任せする事になるが。皆はどう思う?」

 

 

ナダヤの声かけに、だらだらヘルメット団とE分隊が相談を始める。時間はそうかからなかった。

 

 

「だらだらの総意として異論はない。面白そうだしな」

 

「E分隊はもとより隊長の意見を尊重する」

 

「だ、そうだ」

 

「よおし、じゃあ早速取り掛かる。つってもまずは“土地”からだ、本格的に準備を始めるのはそっからになるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「できた!!!」

 

思い切ったカットだねぇ!? 内容全飛ばしじゃないかい!?

 

「クックック……それは“メタ発言”という奴ですよ、ナダヤ夫人」

 

 

会社を作る、と古戦ヶ原が宣言してから1ヶ月。

駐屯地周辺の景色は様変わりしていた。

 

まず、駐屯地周辺にあった空き家群。

 

例の9,000万円で買えるだけの土地を買い、買った上で建物を全解体した。まずこの作業に2週間。所有者がいたらもっと時間はかかっていただろうが、幸運にも駐屯地の周囲は全て持ち主なしの完璧な廃墟。さすがはアビドスといったところか。

 

 

そして、ここからは鬼の建築TIME。

それぞれ作ったものの詳細についてはおいおい説明していくとして、大体こんな物を作った。

 

・隊舎

・医務室、化学室

・食堂、食料保管庫

・娯楽室、風呂

・加工室、原料保管庫、配送センター

・警備部門詰所、通信司令室、武器庫

・営業・会計・事務部門

・車両組立・整備工場、ガレージ

・ヘリポート、格納庫

・発電施設

・燃料デポ

・畑

・外壁

・各種陣地

 

『・』一つで建物一棟というイメージになる。

まあーーーーーーー頑張った。何せマトモに建築できるのが俺と志津と宮崎の3人しかいないのだ。

しかも志津と宮崎の『トランスポーター』ペアはアンドレへの武器の配送もあるので、半分以上の解体・建築は俺1人。

建築前の建材の準備とか、解体で出た資材とかの整理は皆にやってもらったのでまだいい方か。

 

まあ俺の苦労はいいとして、ガワが完成。結局着工式も竣工式もやってないが、とにかくできたものはできた。

 

 

 

 

 

で、建物が全てできた翌日、まるで全て見ていたかのようなタイミングで、黒服が現れたのである。

 

 

「クックック、竣工祝いですよ」

 

 

なんて言って、大量のジャンクフードと飲み物を抱えながら。

 

 

 

本拠地(仮)

食堂

 

古戦ヶ原哲郎

古戦ヶ原ナダヤ

黒服

だらだらヘルメット団

E分隊

アビドス組

 

 

現在時刻は夜の19時。

全員で食堂に集まり、黒服が持ってきたジャンクフードやソフトドリンク、料理担当林が作った料理の数々で竣工祝いの打ち上げが始まった。

アビドスの5名はダメ元で誘ったら二つ返事でOKとの事だったので、1/2tトラックで迎えに行ってきた。

……まあ、嬉々としてテーブルを準備している黒服(エプロン姿)を見てホシノがすごい顔をしていたのだが。

 

ちなみに、先生も呼んでみたが今日は都合が悪いとの事で欠席。

なんか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とかなんとか。

ど、どういうわけで???

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、生徒らは食堂中央の大きいテーブルでジャンクフード+ジュースのどんちゃん騒ぎ。銃火器さえ出さなければこちらからはノータッチなので、普段できてなかった分存分に騒いでほしい。

 

大人3人は、食堂の隅の方で中央のどんちゃんを眺めながら───晩酌である。おつまみは林特製の蒸しヘイラ豆とベーコンの炒め物。久々のキンッキンに冷えたビールが進む進む。

 

 

「うンめェ〜……」

 

「やはり大量生産品は最高だねぇ……」

 

 

ナダヤもチューハイのロング缶を開けて気分良さげだ。酒を買ってきた*1張本人の黒服はその光景がおかしいのか、コロコロと肩を震わせている。

 

 

「クックック……気に入って頂けたなら何よりです。リムワールドでは酒造は行っておられなかったのですか?」

 

「ん? ああ、作っちゃいたけどさぁ」

 

「焼酎とぬるいビールだよね、作ってたのは」

 

「ぬるい、とは?」

 

「なんだろうな、冷やしてもなんかコレみてえに美味くねえの。てか仲間にそもそもビールは冷やすもんじゃないって言われるしさ。あと俺甘い酒の方が好きなんだよ、チューハイとかコークハイとか。ビールも好きっちゃ好きだけど」

 

「なんだっけ哲郎、拠点の周りに生えてたベリー全部収穫してきて全部焼酎に絞ってさ、『これがワイのベリーハイや!ガハハ!』って一気飲みしてぶっ倒れた事あったよね」

 

「あれは悲しい事件だった……」

 

「ご夫婦でも嗜好は違うのですねぇ」

 

 

しみじみとした様子の黒服がハイボールをちびりと口にした時、中央のテーブルの方から陽気な様子の林がやってきた。呑んでないよな? 雰囲気で酔ったんだよな?未成年飲酒は洒落にならないぞ。

 

 

「姐御ォ!恋バナしようぜ恋バナ!」

 

 

声でかっ。

 

 

「恋バナ?」

 

「そうそう、姐御と兄貴の馴れ初め聞かせてくれよ。なんだかんだ詳しく話してくれた事なかったじゃん」

 

え〜〜そんなに聞きたいのかい? どうしよっかなぁ?」

 

「ミィキ!」

 

「んだ!」

 

 

中央の方から永末がサササッとナダヤの前まで来て片膝をついた。

……両手で、黒服が買ってきたポテト&ナゲット(ファミリーサイズ)を捧げている。

 

 

「これ納めるすけ、ぜひお話お聞がせけろ」

 

「ん〜〜あとは飲み物もあれば口が滑るかもしれないなぁ」

 

 

じゃあその左手に持ってるロング缶は何だよ、楽しんでんなぁ……

 

 

「このオレンジジュースを!」

 

「うん、苦しゅうない。よおし!まずは哲郎が満月の下で愛を捧ぐ詩を詠んだ話から───」

 

話してもいいけどホラ吹くんじゃねえぞコラ!告白してきたのはそっちだろうが!

 

あっコラ言うんじゃないよ!

 

「何々?」

 

「えっ姐御が詩詠んだん!?」

 

「ちょーっとおじさんも聞きたいなぁ?」

 

「あっちょ待って力強っウワーッ!」

 

 

ナダヤはそのまま、恋バナに飢えるキヴォトス人のテーブルに引き摺り込まれていった。

R.I.Pナダヤ、骨は拾ってやる。

 

 

「仲がよろしいようで何よりですよ。他人の惚気と不幸は良い酒の肴になりますからね」

 

「惚気はそうでもなくない?」

 

「おや、そうですか? 私は大好きですがねぇ」

 

「───んで?」

 

「……『んで』、とは?」

 

「誤魔化すなよ。せっかくサシになったんだ、今のうちに本題話そうや。何しにきた?」

 

「おやおや、『純粋に竣工祝いに来た』……という理由ではご不満ですか?」

 

「着工した時にも来てたら考えたけどなぁ、お前工事中一回も来てねえだろうが。招待状を出した覚えはねえぞ」

 

「クックック……以前申し上げたではありませんか、古戦ヶ原さん」

 

「『───()()()()()()()()()()()3()()()()()()()()()()()()()()』……か」

 

「本来の目的も大事ですが……古戦ヶ原さん、ナダヤさん、そしてシャーレの先生……あなた方お三方の活動を見るのも最近の密かな楽しみでしてね」

 

「ストーカーじゃあん、怖っ」

 

「……流石にそう直接的な言葉を使われると、さしもの私でも傷つきますよ?」

 

「よく言うぜ、それ絶対ェそう思ってない顔だよ」

 

「クックック、バレましたか。いえ、これからのこのデザートエッジの展望について、何かお聞きできたらと思いまして」

 

「……別に隠す様なことでもねえだろそれ。普通に聞けよ、回りくどいな」

 

「あいにく、昔からの性分なのですよ」

 

「救えねえ奴だなぁ……まあどうせ知ってるとは思うが、起業するつもりだ」

 

「ええ、お聞きしていますよ。どういった業種をなさるおつもりですか?」

 

「先生とウチの奴ら以外に話してねえんだけど……まあ何でもだな、主軸は『銃火器製造』と『車両製造』の2つに絞るつもりだけど、他にも警備業とか土木とか解体とかも手掛け……たいなぁと思ってる」

 

「おや、『銃火器の製造』は耳にしていましたが、『車両製造』というのは?」

 

「そのまんま。外の世界の車作って売りたいなぁって」

 

「アバウトですねぇ……」

 

「まあぶっちゃけ自給自足はできてるから、とりあえず人件費分だけ売れたら……いいなぁ(願望)。中小規模自治区向けとか。どう思う?」

 

「クックック……私にそれを聞きますか。ええ、良い案だと思いますよ、中小規模の学園自治区では車両の修理や維持すら苦労すると聞きますしね」

 

「おっ、良いねえ。じゃあこういうのは───」

 

 

 

夜はさらに更けていく。

 

サシ飲みする悪い男達と、思春期真っ盛りのJK達と、もみくちゃにされる鹿女と共に。

 

 

──────

───

 

 

1ヶ月後

 

百鬼夜行連合学院近く

タノカミ農業高校

生徒会長室

 

百鬼夜行連合学院近くの山間に自治区を構える小規模な学校、タノカミ農業高校。

その特色は、やはり名前の通り農業だろう。

元々肥沃な土地ではなかったものの、先人達の努力の末に、高品質な米と野菜の栽培に成功。百鬼夜行や山海経の自治区の飲食店などに収穫したものを卸して生計を立てている。

 

言ってしまえば、ど田舎の高校だ。

 

総生徒数は100名前後を行ったり来たり。全員が戦えるわけでもないので、百鬼夜行あたりからふらりと流れてきた野良スケバンやヘルメット団の撃退にも苦労する戦力しかない。

 

2年前、悪名高いゲヘナ温泉開発部が水田の真ん中に温泉を掘ろうとし始めた際には、自治区の歴史に残る激戦が繰り広げられた。

……結局押し負けて、自治区で一番大きい水田地帯のど真ん中に温泉旅館が出来上がったのだが。

山間の隠された知る人ぞ知る温泉旅館として人気を博しているのが……こう、生徒会を複雑な気持ちにさせるのだ。何せ今では米、野菜に次ぐ貴重な稼ぎ頭だから。

良い湯、ほっこり、タノカミの湯(キャッチコピー)

 

 

で、そこの生徒会長、笠間は悩んでいた。

 

 

彼女の頭を悩ませているのは───『()()』だ。

 

 

この自治区は山間にある、つまり、冬になると馬鹿みたいに雪が降るのだ。どれぐらい降るかというと、去年大枚叩いてミレニアムから技術協力を得て建築した水稲試験場が圧壊したぐらい。アレは泣いた。

 

流石にそんな降雪量で人力除雪なんてやってられないので、この自治区では伝統的に戦車を改造して除雪車として運用している。数十年前に、百鬼夜行連合学院から中古で買った九七式中戦車を自前で改造、前方に鋼鉄製の排土板を取り付けた改造除雪車が5輌。

 

この5輌で編成された『機甲除雪隊』が、タノカミを数十年に渡り豪雪から守ってきたのだが。

 

 

「まさか3輌も……」

 

 

先日、冬に向けて毎年恒例の試運転を行ったのだが、5輌のうち3輌が炎上。原因は、燃料系統を始めとした機関部の経年劣化。要は寿命だ。

 

『機甲除雪隊』以外の除雪機が無いわけじゃない。小型のホイールローダーとか、手押しの除雪機もあるにはある。だが、主力は機甲除雪隊の改造除雪戦車だったのだ。

もちろん、改造除雪戦車が古いのは分かっていたし、それをどうにかする用の費用も、少ない歳入の中からやりくりして毎年少しづつ貯金していた。

 

去年の水稲試験場圧壊のリカバリーでその3分の2が吹き飛んだが。

 

 

「タイミングが……タイミングが悪い……!」

 

 

そういうわけで、去年『機甲除雪隊』の隊長を勤めていて、今年生徒会長に就任したばかりの笠間はただひたすら頭と胃を痛めていたのである。

 

 

「会長、今いいっスか?」

 

「なんだ?」

 

 

いつもの様にあーだこーだと頭を抱えていると、会長室に後輩───現機甲除雪隊隊長───が入ってきた。手にスマホを握っている。

 

 

「ちょっとコレ見てください、もしかすると、もしかするかもしんないっスよ」

 

「何がだよ」

 

「除雪隊の車両っスよ!とりあえずコレ見て!」

 

「なんだよもう分かったから!見るよ見ればいいんだろ!」

 

 

後輩の押しに負け、渋々画面を見る。

某有名動画サイトのものだ。

 

 

──────

───

 

 

映像はある会議室の様な部屋を映している。カメラの前には、椅子と机が一対。

動画が始まると、スーツ姿の───ヘイローのない男性が画面に入ってきて、椅子に足を組んで座った。

 

 

『キヴォトスの皆さん、こんにちは。アビドス自治区アビドス東駅前10番地から、“DEG”総取締役『古戦ヶ原』がお送りします』

 

 

古戦ヶ原と名乗ったその男性は、そのまま明朗とした語り口で語る。

曰く、『良い商品を、良い価格で、良いサービスと共に』というモットーとともに、営業を開始すると。当面は車両販売と銃火器の製造・卸売を中心に事業展開するとも。

わざわざそれを動画サイトでやるとは変わった人だなと思っていた。

 

 

「こっからっすよ、こっから」

 

 

後輩がそう言った。画面では『取扱商品の一部紹介』というコーナーが始まろうとしていた。

『トヨタ HMV』という名前の4WD車に、『いすゞ SKW』という名前のキャブオーバー式大型トラック。

なんというか、かなり値段がリーズナブルだ。あまりキヴォトスで見聞きしたことのない車両なので、この価格設定が適切なのかどうかは判断がつかないが、同格の車両…例えばタノカミで使っているカイザー製の4WDより2、3割は安い。

 

余裕が出たらあの辺も更新したいなぁ、余裕が出たら。

 

ぼーっと考えていると、『その車両』が表示された。

 

 

『えー、続きまして、法人・学校向けの車両の紹介です。まずこちら、『73式装甲車』になります』

 

 

『73式装甲車』という、カイザーのそれに比べたらなんとも味気ない名前で紹介されたその車両。

砲塔のない車体に、上にポツンと乗っかった重機関銃。

いわゆるAPC、装甲兵員輸送車というやつだと、笠間はすぐに気がついた。

そして、各種スペックなどが画面に表示されていく。

 

重量はチハ改造の物とほぼ同じ、エンジン出力は倍近く。

 

あれ? 代打として理想的じゃないか?

 

いや、でもお高いんでしょう?

 

 

『この73式装甲車、今回はこの基準価格でご提供。詳しい価格決定は相談の後に決定させていただきます』

 

 

夢だと思った。

 

 

「ね、先輩。ヤバいでしょ?」

 

「なんだこれ……ブラックマーケットで見たクルセイダーの半分も無いじゃないか。利益出てるのか?」

 

「それについては言及無いんでなんとも」

 

「……なあ、私は今猛烈に詐欺を疑ってる」

 

「だとしてもですよ、相談だけしてみません? どうにか交渉で今季の無料レンタルに持ち込んで冬使ってみて、ダメだったら返品、最高だったらそのままお買い上げって事で」

 

「……そうしてみるか。よし、会計の稲荷と総務の奥ノ都呼んで来てくれ。早速相談してみよう」

 

「ウッス!」

 

 

なんとかなるかもしれない。

 

笠間の心中は、そんな淡い希望でいっぱいだった。

 

 

机の上のスマホでは、古戦ヶ原総取締役が動画を締めようとしていた。

 

 

『───我々は、『デザートエッジ・グループ(Desert Edge Group)』。アビドスの砂漠の端っこから、キヴォトスの人々の発展と安寧を願う会社です』

*1
ブラックマーケットで買ってきたらしい。メーカー品じゃないのコレ!?




タノカミ農業高校
 →タノカミ→田の神(日本の農耕民の間で信じられてきた農耕神)

笠間
 →五穀をはじめ一切の食物を司る神『宇迦之御魂神』を祀る笠間稲荷神社


今回最後の方で3か月とか馬鹿みたいに時間飛ばしましたが、次回は少し戻って営業開始前から描写する予定です。
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