Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
あとぱかチューブ見たけどすごい良かったね……ジャーニーさんマジで“良”だったしオルはオルで“余”だったし。
でも周年ガチャで出てきてくれない余、金欠だから課金も厳しい余…
《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
一般的な一般人、buzz_by、きょうこ、00ガンダム、RPG大好き
ありがとナス!
前回、複数の中小校との間に73式装甲車を始めとした車両の購入契約を結び、中小校向けの営業方針へと舵を切った車両部門であるが、では、もう一つの柱である『銃火器製造』はどうしているかというと。
「……思ったより伸びてないな」
「まあ、キヴォトスは銃で溢れかえっとるさかい。付け入る隙が少ないのはしゃあない事かと」
執務室にて。
営業部門リーダーの伊香左馬から見せられた書類を見てみれば、そこに書いてあるのは当初の予想を大きく下回る利益。
Mines2.0の恩恵を受けて製造にかかるコストがほぼ人件費のみな事を考えると、かなり売り上げは少ないと言える。一応赤字ではないが、それだけだ。
原因は?
「一番大きいんは、先ほども言うたように『キヴォトスは既に銃で溢れかえってる』のが一つ、もう一つは───販売店の少なさでしょうなぁ」
「やっぱアンドレさんとこの店だけじゃ無理かぁ」
現在のDEGの販売店は、ブラックマーケットの端にあるB&W アンドレのみ。そのアンドレさんの店だってブラックマーケットにある事と、酒類も提供する店というのが重なって客足、特に生徒の来客数は芳しくない。
起業前、アンドレさんと契約を結んで銃を卸していた頃はブラックマーケットの住民で一時賑わいもしたようだが、今ではそれも落ち着いてきている。
「なあ伊香、今から新しい販売店を作ったとして、需要あると思うか?」
「一定数はある思いますえ? 低価格で高品質やさかい。ただ、言うてもうたらそれだけどす。個人での契約はなんとかなるかもしれまへんが、大口契約はあまり見込めへんかと」
「だよなぁ……車両販売でツテができた中小校は?」
「芳しゅうあらしまへん。御用聞きがそれとのう提案してるけど、あないな地方の中小は大抵地元の銃砲店と契約を結んでるものやし、そないな“繋がり”は強固や、無理に切ろうとすると余計なトラブルを生むさかい。ああ、せやけど無反動砲やら対戦車ミサイルみたいな重火器は需要があるかと思いますえ。あんなんは本体も弾も値ぇ張るのが常やしな」
「そうか……よし、そっち方面で御用聞きをやってみてくれ。新規の販売もできる範囲で頼んだぞ、無理しない程度にな」
と、いうわけで少し方向転換。
“銃火器販売”は“重火器販売”へと舵を切った。音は同じだが意味はだいぶ違う。
M2HBブローニング、M134 ミニガン、Mk19 グレネードランチャー、RPG-7、あとM2 60㎜迫撃砲なんかも販売する予定だ。*1
ウチで運用しているFGM-148 ジャベリンやNLAW、あと運用はしてないけど作ろうと思えば作れるBGM-71 TOWと言った対戦車ミサイル系は販売を見合わせた、というか最初からラインナップに入れていない。
なぜなら、威力過剰だから。
めっちゃ使ってる身で今更何を言うかと思うかもしれないが、考えてもみてほしい。
キヴォトスにおける機甲部隊といえば、真っ先に思い浮かぶのはゲヘナのティーガーⅠに、トリニティのクルセイダー、あとはカイザーのよく分からん架空戦車。
航空機の方はまあ現代レベル? と言えるまで発展しているにも関わらず、車両系は一部を除いて未だ第二次大戦レベルなのである。こんな状態で、低価格の対戦車火器を市場に放つのはちょっとリスクが大きい。それがこちらに向けられないとも限らないしな。
随分と科学レベルに差が開いているように思えるが、まあ、だからこそ車両販売の方はそこそこ順調とも言えるのかもしれない。
……そういえばと思い立ち、デスクの引き出しからある書類を取り出す。随分前に作ったものだ。
「そういえばさ、これどう思う?」
そこに載っているのは、第二次大戦レベルの米英仏独ソの戦車や装甲車、車両の数々。*2
撃破された『こたつ号』を更新する際に、だらだらヘルメット団のメンバーに新車を提案する目的で作ったものだ。
「戦車。警備部門の戦車よりもキヴォトスで見慣れてるようなもんばっかりどすなぁ」
「これ、中小に売れると思うか? 整備・部品供給含めたアフターサービス込みの販売パックで」
「んー、銃火器よりは見込みはあるかもしれまへん。少し営業部の方で検討してみます」
──────
───
『中小規模校向け装甲車両販売・出張整備プラン』
APCや装輪車両の低価格さで中小校の間で少し話題になっていたDEGが、新しい販売パッケージを動画サイトにて発表した。
その内容は、前回のような見慣れない車両ではなく、キヴォトスでも見るような戦車に装甲車、あと車両。言葉を選ばず言えば、『新鮮味のない』ラインナップだ。
しかし、前回同様価格がやはり安い。そのうえ、購入した車両の出張整備にも対応しているという。*3
機甲部隊は基本金食い虫だ。
通常稼働でも多量の燃料に弾薬、どこかが故障すればその分の部品を消費し、その分予算が飛んでいく。
財政に苦しむ中小校からすれば『可能なら手放したい物』筆頭だが、そうもできないのは機甲部隊が防衛の要だからだ。
先の連邦生徒会長失踪時の大混乱の際に、普段比から2000%増加したと言われている戦車や銃火器の違法流通。
それらの大半がどこに流れたかといえば、その辺のスケバンやヘルメット団、あと犯罪組織。
昨日までは小火器同士で撃ち合っていた不良や犯罪者達が、突然装甲車や戦車を持ち出すようになってきたのである。各自治区の治安部隊はたまったものじゃない。
自然と各自治区の機甲戦力は出撃の機会が増え、その分維持費も増大する。損傷または全損する車両も増えてきて、ただでさえ普段から厳しい財政はもう火の車だ。なんならそのうち燃え尽きるかもしれない。
最悪の場合、財政が燃え尽きる前に自治区が不良や犯罪者に制圧される可能性もある。実際、実情は違ったとはいえアビドスがまさにそうだったのだから。
そんな時に出たのが、DEGの『中小規模校向け装甲車両販売・出張整備プラン』だった。
古戦ヶ原は全く考えていなかったが、多くの中小校にとってちょうど今ぐらいの時期が、装甲戦力を手放すか、他を犠牲にしてでも防衛力を維持するか、その判断を迫られる最終ラインだったのである。
これでラインナップが前回のように見たこともない車両ばかりならまた足踏みするが、あくまで自分たちの自治区でも運用しているようなレベルの車両。企業の信用度も心配はいらないだろう。`あの`タノカミ農業高校が採用して、そう時間がたたないうちに嬉々として動画サイトに車両のレビュー動画を上げるぐらいなのだから。
ここはいっちょ、破綻する前に博打に出るか。各校の首脳陣は、多少の違いはあれど、みなそういった風の結論に至った。
アビドス東駅前
DEG拠点*4
営業部門
「……伊香の姐御ぉ、アタシ前にもこんな光景見たことがある気がするんだけど」
「いやぁハハハ!こら予想以上に刺さったなぁ!73式を超えてくるんは予想外やった!」
以前73式装甲車を始めとした購入契約を貼り出していたホワイトボードに今貼られているのは、先日発表した『中小規模校向け装甲車両販売・出張整備プラン』の購入契約。
……発表からまだ2日と経っていないのにもう前回の2倍は確約、もしくは相談を受けている。既に営業部は大混乱だ、朝からひっきりなしに電話が鳴り続けている。
「はい営業部!……ちょ、ちょっと待って!伊香さぁん!整備部門から電話来てる!『一体何があった』って!」
「ああ、せやろな。受話器貸して、うちから説明する。いやあ楽しなってきた!」
受話器を受け取る伊香左馬の9本の尻尾が、楽し気にゆらゆらと揺れていた。
──────
───
夜
D.U.某所
M-ATV
古戦ヶ原 哲郎
志津 カオリ
宮崎 キョウコ
野田 ショウコ
ある夜。
志津、宮崎のトランスポーターの2人+連邦生徒会の野田ショウコを連れた俺は、輸送部門のM-ATV*5*6に乗ってD.U.のある場所へやってきていた。運転は宮崎、俺は助手席でナビゲートだ。
少し変わった顔ぶれなのは、これから会いに行く人物が関係している。
「ああ、そこだそこ。そこの駐車帯に停めよう」
「ど、どこ?」
「左側のあの看板のところですよ」
「ホンマ周り見づらいもんなぁコレ。キョウコ、こすんなよぉ」
「分かってるよぉ…」
防護性能と引き換えに低下した視認性に四苦八苦しながら、道路脇の駐車帯にM-ATVを停め、改めて看板を見て駐車可能な時間帯であることを確認する。駐禁取られたら目も当てられないからね。
「よっと」
「おお、砂がない。随分久しぶりな気がしますね」
「そりゃD.U.だしな」
「てか、野田もウチに来てからそんな経ってないやんか」
「気持ちの問題ですよ、気持ちの。あー、アスファルトと排気ガスのにおい。最高ですね」
「疲れとるんか?」
助手席から降りる。
前方を見やれば、今回の目的地である───屋台が見えていた。赤いのれんと、『ラーメン』と書かれた提灯。
そして、長椅子に座るブロンドの長髪で犬耳の生徒。
「カンナ!」
志津が少し歩きを早め、その背中にそう呼びかけた。
長椅子に座る生徒の耳がピクリと動き、こちらを振り返る。
「カオリ!」
その生徒、尾刃カンナが勢いよく立ち上がり、志津の方に向かってきた。
「おひさ〜。元気しとったふぐゅ」
そしてそのまま、志津の顔を両手でわしっと掴んだ。
言い方は失礼だが、ジロジロと志津の顔を舐め回すように見て、驚愕の表情になったり困惑の表情になったりと忙しい。
「なにふんねんどぁほ」
「あ、ああ、いや、以前電話してきた時失明したと言っていたじゃないか」
「あん? ああ、あれならもう治ったけど」
「……失明が?」
「失明が」
「???????」
公安局長の背後に宇宙が広がってる。見かねた野田が助け舟を出した。
「“再生医療”の一種らしいですよ、カンナ局長」
「ショウコも来てたのか!……いや待て、なぜDEGの制服を? 連邦生徒会はどうした?」
「ちょっと色々あってDEGと連邦生徒会の両方に籍を置いてまして……」
「はぁ?」
色々(潜入捜査即バレ)
てか野田の登場でカンナ局長の背後の宇宙が余計大きくなった気がする。やっぱ知り合いだったらしい。
「まあ、細かい事は聞かないが……あー、そっちは……
「お久しぶりです、カンナ局長」
一応この中では唯一の2年生の宮崎も、公安局長とは顔見知りだったようだ。まあ幹部クラスなら見知る機会もあるか。
「ああ、元気にしてたか。四機の隊長もぼやいてたぞ、『あいつがいなくなって隊が弛んでる』と」
「あはは……」
どういう評価……? そんな鬼軍曹的な立ち位置だったん? 宮崎が? *7
「と、いう事は……そちらの大人が?」
「せや。ウチんとこの社長さん」
「あっ、どうも、はじめまして。古戦ヶ原です」
差し出した右手を、公安局長が力強く握る。
「ヴァルキューレ公安局の尾刃カンナです。元ヴァルキューレ生を3人も雇って頂いた事、感謝しています」
「お二人はともかく私は別口ですけどねー。というか早く座りましょうよ、店主の人待ってますよ」
野田の提案で、5人揃って長椅子に……
な、長椅子に……
「おい志津、そっちもうちょい詰めれないか? 俺今椅子からはみ出して半ケツなんだけど」
「無茶言わんといてや、こっちかてギリギリやねん」
「あと『半ケツ』ってワード、だいぶセクハラじゃないですか?」
「えっそんなことある?」
「カンナ局長、ご判断を!」
「後で署の方でお話をお聞かせいただいても?」
「おい待て!局長クラスがそれ言ったら洒落になんねえって!なあ宮崎!?」
「あ、あはは……ハラスメントは重罪ですよ?」
「味方がいねえ!」
「お客さん、丸椅子ありますけど使います?」
「アッハイすいません」
イタズラが成功したような顔の志津と野田、呆れ顔の公安局長と宮崎、ヴァルキューレ4人組がなぜかハイタッチ。
こ、こいつら……
野田と志津はともかく、公安局長と宮崎が乗ってくるとは思ってなかったぞオイ。
「まあまあ、ご勘弁を。旧友に会えて内心はしゃいでるんですよ、カンナは」
隣…こちら側の長椅子の端に座っていた野田がそう耳打ちしてくる。
「旧友って……知り合いなのはアビドスの件で聞いてたが、そんなに仲良かったのか?」
「それはもう。というか、仲良くなかったら今日みたいにわざわざ飯とか行かないでしょう? 訓練センターでカンナが主席、カオリが次席。良きライバルであり、良き友人でもあったんです」
「はぇ〜……ん? お前は? 志津とも前から顔見知りみたいな感じだったらしいけど」
「私ですか? 私はまあ……問題児?」
「自分で言うことじゃねえしなんで疑問形なんだよ」
「野田は、“三席”ですよ。あまり使わない言い方にはなりますが。上から数えて三番目でした」
野田の隣に座っていた公安局長が、湯呑みを口に運びながらそう教えてくれる。
「……」
「……古戦ヶ原さん? どうされました?」
「み…」
「み?」
「未成年飲酒……?」
「違いますよ!? 烏龍茶です烏龍茶!」
びっくりした。
あまりにも様になっていたせいで熱燗か何かに見えた。持ってるのが湯呑みじゃなくて徳利とお猪口だったらヴァルキューレに通報してたかもしれない。
……いやこの人お巡りさんだったわそういや。
「カンナは昔から雰囲気マシマシやもんなぁ。ウチもたまに同い年言われても信じられへん時あったし」
「カオリちゃんは背小さくて可愛いもんねぇ」
「えっ急に後ろから刺してくるやん怖。あっ、ちょっ、やめろキョウコおうコラ、頭撫でんなアホ!ほっぺた揉むな!」
「この小ささがちょうどいいんだ、あと撫でてると落ち着く」
「尾刃局長もそう思います? 個人的にはほっぺたのもちもち具合も好きなんですけど」
「分かってるじゃないか……」
「やーめーろーやー!!!」モチモチナデナデ
宮崎と公安局長に挟まれてもみくちゃにされる志津。
見てればわかるが、やはり相当好かれているようだ。
野田はアレに参加しないのか?
「私はああいうのを後ろから眺めて後方腕組み理解者面するのが好きなので」
「分かる」
Tips:屋台は『先生、一杯いかがですか?』のアレ
尾刃カンナ →現公安局長
志津カオリ →元警備局装備管理官
野田ショウコ→元公安局潜入捜査官 現連邦生徒会資料編纂室長
宮崎キョウコ→元警備局第四機動隊副隊長
アビドス
DEG拠点
配送センター
「なあ、この辺に置いてあったアーマー知らねえ?」
「アーマー? ……もしかしてやたらごっついやつの事?」
「そうそう、それ。装備班の方で『ティグリシウムとかいろいろ使って既存のアーマーを超強化できないか』つって試作した奴なんだけどさ」
「えっ、売り物かと思って輸送車に積んじまったよ」
「何やってんだよ……どの車? まだ耐弾試験とかしてないんだよアレ」
「えーと、確か端に停まってた装甲車に…………あれ?」
「いねえじゃん」
「あれー、さっきまで停まってたんだけどな……あっ、おーい班長!あそこに停まってた装甲車ってどこ行ったか分かるー?」
「M-ATVの1号車ですか? それなら社長と、『トランスポーター』のお2人、あと警備部のー…野田さんだったかな。とにかくD.U.に行ってるはずですよ?」
「「えっ」」
「え?」