Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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薄給が辛いので副業としてスキマバイト始めようとしたら、あまりにも地方過ぎたのかタイ○ーとかシェア○ルに登録してる店が少なすぎて哀叫したので初投稿です。(哀叫する投稿者)



《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
メモ男


ありがとナス!


5話 屋台、異変、事件の予感

ここで、わちゃわちゃしてる間に頼んでいた料理が来たので一旦中断。

 

 

「そういやカンナ、ヴァルキューレの方は最近どうなん?」

 

 

ラーメンを啜りながら、志津がそんな事を聞いてきた。

 

 

「いつも通りだ。予算は少ないし、その癖事件は多い」

 

 

味の染みた大根を口に入れながら、公安局長が話を続ける。

 

 

「あと、ここ1週間で行方不明の数が増えてきてる」

 

「なんやて? 行方不明が?」

 

「ああ。先週あたりまではそれぞれ関連性は無いと見て別々で捜索を行ってたんだが……どうも微増傾向にあってな。今は関連性があると見て、明日には捜査本部が立ち上げられる予定だ。古戦ヶ原さん、一応聞いておくんですが、そちらで何か変わった事は?」

 

「そちらって言うとアビドスでって事だよな? そういう話は対策委員会からも住民からも聞いてないかなぁ。なんかあったか?」

 

「ウチも聞いてないなぁ」

 

「私もですね」

 

 

志津と宮崎がそう答える中、野田だけは口に手を当てて何かを思い出すようなそぶりを見せていた。

 

 

「野田?」

 

「……アビドスで、というわけではないのですが、以前ブラックマーケットで似たような話は聞きました。『詳細不明の高額バイトの求人が出ていて、それに応募した不良生徒やオートマタが行方をくらます』と。その時は“別の用事”に取り掛かっていたのもありましたし、「まあブラックマーケットだしな」という気持ちもあったので記憶の片隅に留めておいただけなんですが」

 

 

ここで言う“別の用事”とは、アビドス騒乱後のカイザーPMC理事の足取りを防衛室長からの指示で追っていた事である。

公安局長が『ブラックマーケットで何してたんだお前』みたいなすごい顔をしているが、野田は気にせずそのまま続ける。

 

 

「DEGも無関係では無いはずですよ?」

 

 

えっ。

 

 

「えっ、何が?」

 

「ほら、最近大量採用を行ったじゃないですか。あの中にもブラックマーケットから来た方々がいたでしょう?」

 

「……ああ!アレの事か。アンドレさんの紹介できた奴らがそんな話をしてたな。後で確認してみるか」

 

 

なんか分かったことがあったらそちらにお伝えしますよ、と言って自分で頼んだモツ煮を頬張る。困った、白飯が欲しい。あと酒。モツ煮なら何が合うかなぁ……。

 

 

「……というか、あの、カンナ局長。今のって捜査情報じゃないですか? 一応私たち部外者なんですけど、漏らしちゃったらマズイんじゃぁ……」

 

 

宮崎が心配そうな表情でそう告げるが、公安局長はなんでもないような態度でおでんをつつく。

 

 

「ん? 何を言ってる、今までのは全て私の“()()()”だ」

 

「そうそう、それをウチがたまたま聞いちゃったってだけや」

 

「……っていう体の『独り言情報交換』をカオリさんが警備局にいた頃からやってるんですよこの2人。警備局と公安局それぞれの動きを見る為に。わざわざ密会してるんだから普通に話せばいいものを」

 

「「それを言うな(や)」」

 

「えぇ……?」

 

 

仲良いなこいつら……

 

 

──────

───

 

 

それからは雑談だの昔話だのに花を咲かせ、それぞれの料理が空になったところでお開きにしようという流れになった。

 

既に時刻は21時を回っている。

今からアビドスに帰るとなると、余裕で日付は跨ぐ事になるだろう。かと言って明日が休みなわけでもないので、普通に帰らなければならないのだが。

いや、途中でビジネスホテルでもあればそこで仮眠をとって明日の朝早くに出てくる感じでもいいかもしれない。

 

 

「支払いは俺がやっとくから先に車に行っててくれ」

 

「おっ、ゴチですか? ゴチでいいんですね?」

 

「ゴチになりまーす!」

 

「ここで部下に払わせる社長がいるかよ。あ、公安局長の分はー…」

 

「私は市民から奢られると面倒な事になるので、自分で払いますよ」

 

「やっぱそうだよな。大将、お勘定別々で。あとこっちの分は領収書下さいな」

 

「あいよー」

 

 

公安局長に別れを告げながらM-ATVの方に向かう3人を横目に、ポケットから財布を取り出して4人分の代金を支払う。

……4人で食ってこれだけだったら多分安い方だな。またD.U.による機会があったら飯はここにしよう。志津が食ってた醤油ラーメンが地味に気になるし。*1

 

 

「……古戦ヶ原さん、最初に言ったことの繰り返しにはなりますが、元ヴァルキューレ生を3人も雇っていただいてありがとうございます」

 

 

ポツリと、公安局長が言った。

 

 

「……まあ、ほぼほぼ成り行きみたいな感じだけど」

 

「それでもです。連邦生徒会からスカウトされたショウコはともかく……カオリと宮崎副隊長の退学処分は、私の力不足でもあるので」

 

「なんかの書類の不備を指摘したら『守秘義務漏洩罪』だかで退学になったとは聞いてたが……なあ公安局長、これは俺の根拠一切なしの憶測なんだが、志津と宮崎のアレって───」

 

 

そこまで言葉にしたところで───銃声。

公安局長と2人して拳銃を抜き姿勢を低くする。

 

こちらが撃たれているわけではなく、銃声は別の方向、先ほど3人が向かったM-ATVの方角からだ。

 

外して腰にかけていた無線のヘッドセットを装着し、いつものタブレットを立ち上げる。

 

 

「志津!状況報告!」

 

《分からん!車の中に子供が何人か入り込んでて、話聞こうと思うたら急にどっかから撃たれた!ショウコが被弾したけど怪我の程度不明!こっからじゃなんも見えへん!》

 

 

画面が立ち上がり、いつものRim俯瞰視点。

志津が車両右側、宮崎が左側に陣取っているのと、車内に誰かがいるのを確認した。

あと野田が倒れ込んでいる。

車体前方右側1m、動けないでいるらしい。

なぜ? よほど当たりどころが悪かったのか?

 

とにかく子供については後回し、今は敵に対処する。

 

 

「あなたはここから退避を!」

 

「あ、ああ!すまねえ!」

 

 

今の間にどこかに連絡していたらしい公安局長に言われた屋台の大将が、急いで屋台を引いて退避を開始した。

公安局長はそれを確認して現場に走る。俺は近くの車両の陰に隠れた。

 

 

「DEGリーダーからトランスポーター!敵数は7!車両から見て1時方向のビルの陰!その位置だと敵から丸見えだぞ、下がれ!」

 

《ネガティブ!ショウコが道路に倒れて動かへんのや!見捨てられへん!》

 

 

志津のその言葉に、無線に入らないよう舌打ちをして野田に呼びかける。

 

 

「DEGリーダーより野田!大丈夫か!早く退避しろ!」

 

《───ぎっ、っぐぁ……》

 

 

……どうも様子がおかしい。

何か、痛みに悶えるような……

 

 

《うおぉ!!?? ナイスカンナ!ウチが援護するから後ろ行け後ろ!キョウコも一緒に引っ張れ!GOGOGO!》

 

 

銃撃戦のど真ん中に滑り込んだ公安局長が、悶える野田の首根っこを掴んで引きずり始めた。

宮崎も一緒に野田の首根っこを掴み、志津がそれを援護して車体後部やや左側まで下がる。

 

 

《宮崎からDEGリーダー!野田さんの様子がおかしいです!普通じゃ考えられないぐらい痛がってて…!》

 

「確認してる!医薬品の使い方は前に教えたな? 荷台に積んであるからそれを使って応急処置をしろ!あと予備のヘッドセットもあるはずだから公安局長に渡してくれ!」

 

《わ、分かりました!よいしょ、うわ何これ…?

 

 

アビドス騒乱の際にトランスポーターがカイザーの攻撃を受けて窮地に陥った経験を活かし、全ての車両にRim製医薬品を載せたのだが、まさかこんなにも早く役に立つ時が来るとは思わなかった。

 

タブレットで野田をタップ、容態を確認する。

 

被弾箇所は背中を中心に複数、キヴォトス人らしく出血こそほぼ無いと言ってもいいぐらいだが……では、なぜ動けなくなっている?

 

 

《───ヘッドセット借りました、尾刃です》

 

「公安局長、ヴァルキューレへ連絡は?」

 

《既に行いました、最寄りのシラトリ支所から応援が数分で到着します。あと指揮をするのにいちいち“公安局長”は長いでしょう、3人と同じように呼んでください》

 

「そうか、それならそうさせてもらう」

 

 

もう一度画面を確認する。

敵はオートマタが7名、武器は全員M4A1。

……やはりおかしい、5.56㎜弾数発程度でキヴォトス人が戦闘不能になるはずがない。銃自体か、もしくは弾薬に何か細工でもしてあるのか?

 

いや、考察は後だ。

 

 

「志津、RWSの使い方は?」

 

《遠隔機銃か!? それなら分かる!》

 

「よし、左側から乗車してRWSを使え!それで押し切る!」

 

 

RWS。

正式名称をRemote Controlled Weapon System*2といい、直訳すると『遠隔武器システム』。

要は車内から機関銃を遠隔操作するシステムのことだ。

 

このM-ATVに搭載されているのはM153 CROWS Ⅱと呼ばれる、米軍で採用されているRWSの一種。

搭載火器は───みんな大好き50口径、M2HB ブローニング。

 

 

《くたばれアホンダラァ!》

 

 

12.7×99㎜弾が、ビルの陰や駐車車両に隠れていたオートマタを障害物ごと吹き飛ばす。あ、車両爆発した。

向こうもこちらの全容を把握できていなかったのか、3人ほど吹っ飛ばされたあたりでオートマタ達は後退していった。

やたら引き際がいい、素人じゃないな。

 

 

「よし、敵の後退を確認。一回下がってこい、体勢を立て直す」

 

《このまま追った方がええんと違うか?》

 

「バカ、子供いるって言ってただろうが。それに野田の容態も気になる。大丈夫だ、追跡はこっちでできてる」

 

《あっ、そうやった……》

 

 

 

 

 

 

そのまま荷台に野田と尾刃局長が乗り、宮崎の運転でM-ATVが後退してくる。車体前方から右側にかけて弾痕だらけだが、流石に防弾ガラスは破られなかった。そこが破られたら装甲車の名折れである。

 

同じぐらいのタイミングで、ヴァルキューレのパトカーがサイレンを鳴らしながら現場に滑り込んできた。

すぐに尾刃局長が指示を出し、ヴァルキューレ生がパトカーで周囲に散らばっていく。規制線を張って周辺を封鎖するのだろう。

そして一台だけ指揮車として残ったらしく、そのパトカーの警察無線に尾刃局長が張り付いている。あっという間に、夜の路上は投光器で照らされた捜査現場になった。

 

 

まあ、こっちはこっちの事をしよう。

 

 

志津と宮崎がヴァルキューレ生の力を借りながら、いつの間にか車内に入り込んでいたという子供達を外に下ろしているのを片目に見つつ、ようやく落ち着いてきた野田に話を聞く。

 

M-ATVの後部タイヤに背中を預けて地面に座り込んだ野田は、それでも未だ肩で息をしていた。かなり辛そうだ。

 

 

「大丈夫か? 何があった?」

 

「わ、かりません。カオリさんが、後ろの座席の扉を開けて、何か驚いた、ような声を上げたので、っ……前方側から戻って様子を、見に、行ったん、です……っ」

 

「あぁ待て待て、こっちから聞いといてなんだが無茶するな。辛いなら喋らなくていい」

 

「だ、大丈夫です……そしたら、撃たれました。射線から見て、恐らくカオリさんを狙っていたのでしょう。彼女、ライトで車内を照らそうとしてましたから……ただ、アレは喰らったらダメです。何倍にも凝縮したような痛みが全身を……アレは、()()()()()()()()

 

「分かった。よく分かった。一旦横になれ、休んでろ」

 

 

野田の肩を優しく掴んで横にさせようとする。

 

 

「づっ、そうさせて、もらいます……いだだだだだだだ!!!ちょっと待って待って仰向けにしないで下さい背中痛いんですよマジで!

 

「あっわりぃ」

 

 

よく考えたら背中が撃たれてるんだからそりゃそうだ。気を取り直して横向け、回復体位のような体勢を取らせる。

 

 

「古戦ヶ原さん、ショウコの容態は?」

 

 

一旦指示を出し終えたのか、尾刃局長がこちらにやってきた。

 

 

「とりあえず命に別状はなさそうって感じだ。どうも連中弾か銃のどっちかに細工をしてるっぽいぞ、野田の奴撃たれて滅茶苦茶痛かったらしい。3、4発背中に喰らっただけで戦闘不能になるぐらいには、な。アイツが特別撃たれ弱いって事はないんだよな?」

 

「それはないです。ショウコはどちらかと言うと打たれ強い方でしたから。それについては分かりました、犯人グループの動向は? 追跡できていると仰っていましたが」

 

「ああ、問題ない。これを見てくれ」

 

 

尾刃局長に、タブレットを見せる。

 

 

「俯瞰地図……いや、動きがリアルタイムで反映されている……?」

 

「時間が惜しい、今はとりあえず偵察衛星みたいなもんだと思ってくれ。で、ここだ」

 

 

今いる地点から200mほど離れた、路地裏に面した建物を指差す。

 

 

「奴らここに入っていった。出てきたのは確認してないから、よっぽどのことがない限りこの中にいるのは確かだろう。この建物が何階建てで、犯人グループがどの階層にいるかまでは分からないが」

 

「十分です、ご協力感謝します。これからこの建物を包囲します、あとはこちらにお任せを」

 

「ああ、十分気をつけて」

 

 

尾刃局長はそのまま先程のパトカーに戻り───戻る前に、志津と宮崎を手伝っていたヴァルキューレ生が尾刃局長を呼び止めて耳打ち。

驚愕の顔を浮かべた尾刃局長はそのヴァルキューレ生と一緒にパトカーへと戻った。

 

M-ATVの反対側にいた志津と宮崎に話を聞く。

子供達は既に保護されたのか、その場にはいなかった。

 

 

「何があった?」

 

「あ、ああ、いや、あのガキンチョら、どうも───」

 

「カンナ局長がさっき仰ってた、行方不明の子達らしくて……」

 

「……マジ?」

 

 

 

 

───面倒な事態に巻き込まれた。

 

そう予感する中、先ほど尾刃局長に教えた建物の方向から、激しい銃撃戦が始まった音が聞こえた。

*1
ラーメンは煮干し醤油派

*2
SystemはStationとも




Tips:
ブローニングは(だいたい)全てを解決する。
あと宮崎キョウコは荷台で何を見つけたのかな?
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