Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
書記官鳥ジュエル/Dr.Jewel
《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
RPG大好き
・後送→後方へ送ること。特に戦場などで前線から後方へ送ること。
・護送→ (人や物に)つきそって、保護や監視をしながら送りとどけること。
あの機動隊員の発言は『負傷した四機隊員を後方へ送り届けた』っていう趣旨のものになるんで『護送』とはちょっと違うかなぁって投稿者思うんだ。趣旨が分かりにくかったら申し訳ナス!
ありがとナス!
爆風によって吹き飛んだ隠し扉が宙を舞い、同じく爆風で粉々になったエントランスのガラス窓を通り抜けてM-ATVの側面に当たり、大きな金属音を立てる。多少塗装が剥げたかもしれない。
ドアを開け、周囲にいたヴァルキューレ生の様子を見る。正直ここまで爆発がでかいとは思っていなかったので少し心配だが……
「被害報告!」
「負傷者ありません!PCのフロントガラスがいくつか割れたぐらいです!」
大丈夫だったらしい。四機の隊長らしき生徒が被害報告を受けているのが見えた。
「古戦ヶ原さん!何ですかこれ!?」
カンナ局長がM-ATVに近づいて声を荒げる。
「いやホラ、犯人グループの練度というか動きが犯罪者にしちゃ洗練されてるなと思ってさ、ワンチャン隠し扉にブービートラップでも仕掛けてんじゃねえかなって思ったのよ。結果は大当たりだ。まさかここまでとは思ってなかったが」
「……失礼、少し気が動転してました。ありがとうございます、あのまま隠し扉を開けていたらどうなっていた事か……キヴォトスに来る前にもこのようなご経験が?」
「ん? あー……まあそれRimworldもあるけど、メインはそれより前の経験というかゲームの話というか」
「?」
『Ready or Not』ってFPSがあってェ……
「ま、まあそれはいいんだ、重要な話じゃない」
「あっ、はい。そうですね。隠し扉の先を制圧します」
「ういうい、えーっとな、ちょっと待ってろよ……」
M-ATVから降りながらタブレットで隠し扉の先を確認する。
先ほどまでは『戦場の霧』で隠されていたが、隠し扉を
「階段降りた先に廊下があって、左側に2つ、右側に一つ扉がある。突き当たりは何もない……あ、いや、マンホールがあるな。下水道か何かに繋がってるんじゃないか?」
「……これ偵察衛星からの画像なんですよね? なぜ地下階まで見えるんですか?」
「俺も知らねえ。不思議だよな」
「えぇ……?」
まあ実際仕組みなんてミリも分からないので説明のしようがない。
『ゲームの仕様』と言ってしまえばそれまでなのだが、多分それを言うと大変説明が面倒なことになるので言わないでおく。
「あと、ひとまず廊下には犯人は確認できない。部屋の中までは確認できないから突入する時は気をつけろよ」
「助言感謝します。では」
カンナ局長はそう言って敬礼をすると、くるりと振り返って機動隊員や公安局員を集め始めた。突入メンバーを選定するのだろう。
さて……と。
つけていたヘッドセットの位置を直し、無線を繋ぐ。
「DEGリーダーよりDEGオペレーター、感度あるか」
《アイアイ、DEGオペレーターより社長、感度良好。なんかあった?》
こちらから投げた通信はすぐに返ってきた。
だらだらヘルメット団団長、名残ユキコが部門長を勤める通信指令部門。その城たる通信指令室に詰めていたオペレーターである。声からして、おそらくこの間採用したブラックマーケットのスケバンだろう。了解の意を示す時に『アイ』と言う少し変わった奴だ。
「今D.U.でゴタゴタに巻き込まれてな、情報支援が欲しい。情報部門の三滝堂に繋げるか? もし寝てたらすまないが叩き起こしてくれ」
《アイ、ミタちゃんね、ちょい待ち》
ちゃん付けとは、なんか知らない間に随分打ち解けてたんだな……と感心していると、すぐに通信が変わった。
《三滝堂です。大体の話は指令室から聞きました、情報支援ですね?》
「ああ。正確に言うと“地図”が欲しい。『D.U.西部外縁の下水道』の。あるか? いやまあ普通にそのあたりの地図でもいいんだが───」
《……『D.U.西部外縁の下水道地図』、はい、大丈夫です。あります》
「あんの!? えっ、ごめんこっちから聞いといてアレだけどそんなの持ってんの?」
《えっと、これに関してはちょっと事情がありまして。行ったことがあるというか、よく使っていたというか……》
何やら聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。
「“よく使ってた”? 下水道をか?」
《その、アリウスにまだいた時ですね。その辺りにアリウスと協力関係にあった外部組織の拠点がありまして、そこをセーフハウスとして提供して貰ってたんですよ。そのセーフハウスに入るのに、よく下水道を使ってました》
「……いやな偶然だな、アリウスか」
ついこの間までトリニティのある組織とアリウス絡みで交渉を行っていたのを思い出す。俺ァなんだかんだアリウスと縁があるな、E分隊といい三滝堂といい今回の件といい。
……嫌な想像を思いついたので、少し聞いてみることにする。
「なあ三滝堂、もしかしてだけどさ、アリウスにいた時『当たるとメチャクチャ痛い』銃か銃弾って聞いたことある?」
《……あり、ますね》
その返答に、自分でも分かるぐらい顔を顰める。マズイぞ、嫌な予感がどんどん強くなってきた。
そんな俺のことはつゆ知らず、三滝堂は言葉を続ける。
《マダムが所属していた組織の方が開発したという、『ヘイロー貫通弾』という名前の弾薬です。結局
「物騒な名前だな……ん?
《ええ。詳しくは知りませんが、『望んでいた結果を中途半端にしか得られなかった』とマダムが零していたそうです》
『望んでいた結果を中途半端にしか得られなかった』
その『神秘貫通弾』なる物が、犯人グループが使用している物だと仮定して考えてみる。
名前から察するに、キヴォトスの生徒が持つよく分からないもの筆頭、もしくはキヴォトスの生徒の打たれ強さの一因である頭上の輪っか、『ヘイロー』の防御を貫通する弾薬なのだろう。
だとすれば、野田やヴァルキューレ生徒のあの痛がりようも納得がいく。
銃弾が身体を貫かなかっただけで、痛みは普通に弾を被弾したのと同じレベルのものが───
待て、それで中途半端?
「じゃあ、完成品は……」
どうなる?
生徒のヘイローを貫通する、さっきの繰り返しになるがそれはつまり、キヴォトス人の物理耐性がその銃弾に対しては用を成さないという事。
ただの人間が銃で撃たれるのと同じような状態。
そんな状態で撃たれてしまえば、つまり、ヘイロー貫通弾とは。
───生徒を、効率よく殺すための、銃弾。
Oh……という感想しか出てこない自分に若干驚く。
殺し合いと死が日常と隣り合わせだった場所に長年いた影響だろうか。
まあその辺の感傷は全てRimworldで捨て去ってしまったので微塵もないのだが、とりあえずとんでもない物を作ってくれやがったなと思う。
今回使われたものが失敗品だから良かったものの、もしそれが完璧に開発されていたならば、野田を始めとしてヴァルキューレ側に大変な損害が……いや、言葉を誤魔化すのはよそう。
確実に、殉職者が出ていたはずだ。
いや、マジでとんでもないもの作りやがったなマダム。ブルアカは透き通った世界観が売りなんだぞ。
「なあ三滝堂。そのヘイロー貫通弾ってどっかに流したりしたか? その辺のチンピラとか」
《一般に流通はしてません、それは確かです。ですが……》
「なんだ?」
《先ほど言った『協力関係にあった外部組織』にだけは、セーフハウスの提供や弾薬・消耗品の調達の代価の一つとして相当数が無償で提供されています。E分隊でも、それを届ける輸送隊の護衛をした事がありますから》
……ん?
「……もしかしてそのセーフハウスってさぁ、
《えっなんでご存知なんですか!?》
「(顔に手を当てて天を仰ぐ古戦ヶ原の図)」
──────
───
結論から先に言うと、地下にて犯人グループを逮捕する事は叶わなかった。
その代わり、地下(三滝堂の言うセーフハウス)を捜索した結果、犯人グループ、またの名を『協力関係にあった外部組織』の名称が判明した。
『Pied Pipers』───通称、“笛吹き男”。
違法薬物製造・売買、誘拐、人身売買、地上げ、脅迫、その他もろもろの様々な犯罪を手掛ける犯罪集団だ。
ブラックマーケットのどこかに本拠を構えているとも言われ、カンナ局長いわくヴァルキューレ公安局によって何年も前から捜査が続けられていたのだが……
「まさかD.U.にも拠点を構えられていたとは……申し訳ありません、我々の失態です」
そう、あの地下はPied PipersのD.U.における拠点、押収した証拠───ほとんど持ち去られたのか残っていなかったが───を精査した結果、あそこは『人身売買事業の“商品保管場所”』であると結論づけられた。
D.U.含む周辺地域で誘拐された者達があそこへ監禁され、あの下水道から取引先へと運ばれていったのではないか───という見方である。
ああ、例の子供達についてもいくらかわかった事がある。もう察しのついている者も多いだろうが、あの子供達はD.U.周辺でPied Pipersによって誘拐された子達だった。
誘拐され地下の部屋に監禁されていたが、最年長の子を先頭に犯人達の隙をついて逃げ出し、夜の闇の中を必死に走って、走って、走って───街灯に照らされていた、
保護されたのは7人。
カンナ局長が言っていた『最近増加していた行方不明者』と一致する子も何人かいたが、全員揃って保護…とはいかなかった。……すでに“出荷”されてしまっていた子もいるのだろう、あの下水道から。
そして、例の『ヘイロー貫通弾』。
ビル前の銃撃戦にて逮捕された犯人達からいくらか押収され、ヴァルキューレの鑑識へと回された。
……そして鑑識が匙を投げ、科学捜査研究所へ。
……次いで科捜研も匙を投げ、現在はミレニアムに外部委託されている。
どんだけ訳わかんない代物なんだよ。
担当しているのが具体的にどこなのかまでは聞いていないが、ミレニアムで無理だったらもうゲマトリアに、というか黒服に直接聞くしかない。アレ作ったのゲマトリアっぽいし。
ちなみに逮捕された笛吹き男構成員の供述によれば、やはりヘイロー貫通弾の出所はアリウス自治区だという。
ただ、この取引自体は結構前から行われていたものの、ヘイロー貫通弾が取引の場に出てきたのは最近のことらしい。E分隊が輸送隊を護衛した、という事を考えればここ数日って事はないだろう。
通常の弾丸よりも更なる痛みを与える弾丸、と先方からは説明されており、笛吹き男内では『痛みを与える』という点に着目して───誘拐した生徒や子供の“躾”に使っていたという。
実際、保護された子らの身体は青痣だらけだった。
かなり深くトラウマを刻み込まれたのだろう、ヴァルキューレ生が押収の為に運んでいたM4A1を見てビクッと身体を震わせるほど。
……キレそう。
で、ヴァルキューレは“笛吹き男”へ対抗する為特別捜査本部を設置した。
「可能であれば、SRTとも連携して捜査を進めたいと思っています。可能であれば」
「……“可能であれば”ってのはどういう意味だ? 詳しい法規は知らないが、これは出るべき案件じゃないか」
「……まだ公表されていない事なので内密にお願いしますね。実はSRTなんですが───」
───つい先日、無期限の休校が決定しました。
──────
───
アビドス
アビドス東駅エリア
DEG本社基地 食堂
「───と、いうわけでSRTは無期限休校になった為頼れない」
「どういうわけで!?」
「途中を端折るの兄貴の悪い癖だぞ」
古戦ヶ原の言葉を聞いた藤田と名残が驚きの声と苦言をあげる。
アビドスに戻った古戦ヶ原は関係幹部を招集。
会議室代わりの食堂に集められたのは通信指令部門の名残ユキ、情報部門の三滝堂ゼンリ、そして警備部門の藤田アヤカと特殊班の三ヶ島*2、野田*3、石田*4だ。
ちなみに、幹部に限り今の情報を伝えてもいいとカンナ局長からは了承を取ってある。
「“解体”ではなく“無期限休校”ですか?」
やっと普段通りの動きができるようになってきた野田が手を挙げてそう質問を投げかけてくる。
「ああ。元々、連邦生徒会長の失踪が主な原因で解体の方向で話が進んでたのが、
「えっなんかナチュラルにウチが理由になってる……」
「絶対90式じゃん原因」
「カヤ室長のここへの警戒具合はすごいですからねぇ。私を送るぐらいですから」
名残と藤田が頭を抱え、野田がほへーという顔でお茶を一口。
「ん? ああっ、石ちゃんが静かに涙を……!」
「ヒグッ、ない、泣いて、ヘグッ、ないです……ッ!」
そして元SRTの石田はこんな調子だ。
既に籍を置いていないとはいえ、古巣が無くなったも同然の結果になったのはかなり思うところがあるのだろう。
「石田、ちょっと外で気持ち落ち着けてこい。藤田、ついてってやってくれ」
「分かった、石ちゃん、行こう?」
「……グスッ、うん……」
寄り添いながら、藤田と石田が食堂を出ていく。
「……隊長、質問をしてもいいか?」
先ほどまで何か考え込んでいた三ヶ島が、怪訝な顔を浮かべながら手を挙げた。
「いいぞ。なんだ?」
「なぜこのタイミングなんだ? 笛吹き男は確実にヴァルキューレの手に余るぞ」
「タイミングに関してはマジで知らん。さっきの話も、防衛室長の愚痴を聞かされたっていうカンナ局長の愚痴を聞いた結果だからな」
笛吹き男に関しての進捗を電話で聞いた際に、大変うんざりしたような感じで愚痴ってきたのを思い出す。
「でも『ヴァルキューレの手に余る』ってのはどういう意味だ? 例の……ヘイロー貫通弾だったか、アレは普段使いしすぎて数がほぼ備蓄されてないって証言だったらしいぞ。アレさえなきゃヴァルキューレでも割と対処は可能だと思うが」
そう、誘拐被害者への躾にヘイロー貫通弾(失敗)を多用した結果、相当数が相当数が笛吹き男側に渡っていたのにも関わらず、備蓄はほぼ皆無だという。
なんというか……オブラートに包んで言うとバカというか……。
で、俺のその言葉を聞いた三ヶ島は、キョトンとして俺の顔を見つめた。
「……なんだその顔」
「あ、ああいや、すまない、三滝堂から既に聞いているものだと」
「え?」
「……あーっ!!!」
「うるさっ!」
名残の隣に座っていた三滝堂が大声をあげて立ち上がる。その顔は、「やっちまった」という風な、冷や汗ダラッダラになっていた。
「…………」
「……三滝堂、今なら先生怒んないから正直に言いなさい」
「それ絶対怒るパターンですよね」
「なんだ野田、よほど背中を思いっきり引っ叩かれたいらしいな? どっちがいい? 右*5か左*6」
「アッそれはご勘弁を」
先ほどまでとは比べ物にならないぐらいしわくちゃな顔になった三滝堂が、絞り出すように口を開く。
「その、すいません、笛吹き男なんですが───」
「───アリウス式の軍事訓練を受けてるんです。アリウススクワッドとか、E分隊とかが講師役になって」
Tips:
別にどうというわけではないんですが次かその次あたりでブラックマーケット周辺のオリキャラが大量に増えるかもです。
なので、「こういう感じのブラマのオリキャラ見てみたい」という感じの要望があったら活動報告の方にそんな感じのを投げる場所を作ってあるのでそっちにくだしあ。感想欄に投げると運対になる可能性があるからやめようね!(戒め)