Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
9/6 追記 一部描写を変更
アビドス東駅エリア
ベース・イーストアビドス 食堂
藤田アヤカ 警備部門
名残ユキ 通信指令部門
三滝堂ゼンリ 情報部門
三ヶ島ユイ 特殊班『E分隊』
野田ショウコ 特殊班『NOC分隊』
石田ナオコ 特殊班『狙撃ユニット』
黒鷹サガリ 航空輸送班『ホエール1』
「というわけで作戦を説明するよ」
「何が『というわけで』だ」
「兄貴の癖移ってない?」
「シャラップ、リーダー」
食堂の机を何個も繋げて作った卓に、地図や建物の設計図や何枚もの写真が広げられている。
それらが共通して示しているのは、ブラックマーケット郊外、周囲を廃墟に囲まれた2階建のアパート。
ブラックマーケットの情報屋『黒鼠』の協力で発見し、情報部が裏付けを行った建物だ。
この寂れたアパートこそ、人身売買組織『笛吹き男』の本拠地なのである。
「というか、その社長はどちらに? 昨日から姿が見えませんけど」
「ブラックマーケットのカモリスタ・ファミリーってマフィアいるじゃん? 銃器密造とか美術品贋作の。あそこのボスと殴り合って負けたって」
「何やってるんですかあの人」
「私が聞きたいよ」
藤田からそう答えられた野田が、遠い目をしながらお茶を一口。うーん、今日も緑茶がうまい。
「そういうわけだから、兄貴はしばらく医務室から動けない。って事で、今回の作戦立案と指揮は私が担当するよ。で、本題ね」
藤田が建物の設計図を自分の前に持ってきて、他のメンバーもその周囲に集まる。わらわら。
「ひとまずチーム分け。今回の作戦はざっくり言うとアパートの屋上と地上から同時に襲撃をかけるって話なんだけど、屋上班はE分隊、地上班はNOC分隊で行くから。それぞれコールサインは『エコー』と『ノッカー』ね」
「エコーだな。了解した」
「“ノック”じゃなくて“ノッカー”でいいんですか?」
「ん? そっちの方が語感良いかなって思っただけだけど。ノックの方がいい?」
「ああ、そういう事ならノッカーで」
「オッケー。で、指揮本部は私と、通信司令部門から何人か、あとミタちゃんね」
「分かった、何人か見繕っておく。3人ぐらいでいい?」
「うん、それぐらいでお願い」
「藤田さん、指揮本部はどこに構えますか?」
三滝堂が手を挙げてそう質問を投げてきた。
「カイザー戦の時に使った無線機があるからそれを3トン半に積んで指揮車にするつもり。前みたいに
「では、指揮車で現場付近に?」
「だね。大体2,3kmぐらい離れたところがいいかな。場所の選定は任せていい?」
「了解です。あと、大々的でなくとも指揮車両の護衛もいた方がいいと思います」
「ん、護衛ね。じゃあ
藤田が、決まった事項をどんどん脇のホワイトボードに書き記していく。
「で、屋上班の輸送は航空輸送班からブラックホーク1機。できればもう1機用意して、降下後は2機体制で空中監視と航空支援に当たってもらいたいんだけど、動かせそう?」
「2機だったら全然余裕っス。メインはホエール1とホエール2、バックアップにホエール3を待機させときます」
そう藤田の問いに答えたのは、腰から黒い翼を生やしたメンバー。名前を黒鷹サガリという。
航空輸送班で、UH-60 ブラックホーク『ホエール1』の主操縦士を担当しているメンバーだ。元はトリニティでティーパーティー専用ヘリコプターを操縦していたのだとか。
「了解。ホエール1とホエール2ね。武装って両方ミニガンだっけ?」
「そっスね、
「んー、相手に重装備が確認されてるわけでもないしなぁ……うん、分かった。かわいそうだから出撃待機だけでもさせておくよ」
「それはいわゆる“お預け”という奴なのでは?」
「余計辛そうだな」
「はいそこうるさいよー」
藤田に指を刺された野田と三ヶ島は視線を逸らして知らんぷりである。
「藤ちゃん、狙撃ユニットはどうする?」
「狙撃支援だね。こう、アパート全体をカバーできるように分散してもらいたいかなって」
「分かった。やってみるね」
「お願いね。チーム分けは以上だけど、何か質問は?」
藤田の問いに手を挙げるものはいない。
「オッケー、理解できたものとして話を続けるよ。作戦目標は『笛吹き男』リーダーの拘束。ヴァルキューレの公安局と交渉して、付近で捜査員に待機してもらう手筈になってるから拘束後即引き渡しって流れだね。あと最優先ではないけど、可能な限り『笛吹き男』メンバーの拘束と、行方不明者の捜索、又は証拠品の確保かな。本格的な捜査とかは公安局がやるから、私らはあくまで確保まで」
「拘束した『笛吹き男』メンバーもヴァルキューレに引き渡すのか?」
「まあそうだね。一応公安局には結構な人数になるかも、とは伝えてるけど、もし運びきれなかったらウチからも車両出すかも。陸上輸送班に3トン半何台か空けておくように言ってあるから大丈夫だとは思うけど」
「ん、了解した」
手を下げた三ヶ島が席に戻る。
藤田は皆を見渡して質問者がいないことを確認すると、もう一度口を開いた。
「作戦開始は今から15時間後の朝8時!うまくいけばそう時間もかからない作戦だけど、決して気を抜かないように。じゃあ解散!私はしばらくここにいるから、細かい伝達とか質問があればこの後お願いね。以上!」
──────
───
夜
医務室
「───っていう流れなんだけど、どう?」
資料等を片付けた藤田は、それを持って医務室の古戦ヶ原のところまでやってきていた。作戦の流れの確認を行う為である。
「ヘリボーン部隊と地上部隊で奇襲をかける、か……」
しかし、説明を受けた古戦ヶ原の反応はどうも芳しくなさそうだ。苦い顔をして腕を組み、うーんうーんと唸っている。
「どっかまずかった?」
「ん、いや、そうだなぁ……ホエール1のパイロットなんて名前っつったっけ」
「ホエール1? 黒鷹サガリって子だよ。ほら、トリニティでティーパーティー専用ヘリ操縦してたっていう」
「ああ、黒い翼の。黒鷹…黒鷹サガリかぁ……」
ついには頭を抱え出した。
「……そんなまずかった?」
「自分でも考えすぎだとは思うんだけどさぁ……いや、念には念をだな。航空小隊も戦力に加えて、屋上班展開後はホエール1、2は空中監視に専念、航空支援はシューターに任せよう」
「ヴァイパーも出すの? 過剰火力じゃない?」
「こういうのは準備しといて損はないんだよ損は。燃料の貯蔵はたっぷりあるしな」
「ふーん……で? 理由それだけじゃないんでしょ。ほーら言いなよ言いなよつんつん」
「いでで、バカお前、つつくんじゃねえ!」
湿布をつつく藤田の指を手で払った古戦ヶ原は、もう2、3秒唸るといや、と一言口にした。
「作戦前に言うことでもねえな。終わったら言うわ」
「えー!? 気になるじゃん!言ってよー!」
「終わったら言うって終わったら。ほら、早く休んでこい。どうせ今の今まで作戦の詳細詰めてたんだろ? ナダヤが心配してたぞ」
ギクッ、と藤田が肩を震わせた。
現在時刻は23時。
事実、17時ごろに会議が終わってから資料等を食堂の隅っこのテーブルに移して、夕食をとりながら作戦内容の再確認だったり通常業務だったりをやっていたので、休息らしい休息は取っていないのだ。なんならシャワーも浴びてない。ちょっと臭いかもしれない。
どうにも図星なので、すごすごと病室から退散しようとして───そういえば、とふと思い出し振り返った。
「そういえばさ、なんで今回は作戦立案含めて私に全任せなの?」
「ん?」
不意をつかれたのか、水を飲もうとしていた古戦ヶ原がその手を止めた。
「ああいや、勘違いしてほしくないんだけど、別にやりたくないとかじゃないよ? シンプルに気になってさ」
「あー……ほら、アレだよアレ。カイザーの基地を襲撃したときはこっちのイレギュラーでお前の活躍がほぼ無かったろ? だから今回は譲ってやろうと思ってな」
「ふーーーーん? そういうこと言っちゃうんだ。いいよ? 譲ったこと後悔させないぐらい完璧にやるからさ!まあゆっくり寝てなよ!じゃ、おやすみー」
「おう、頑張れよー」
藤田が退出し、扉が閉まる。
───さて、そうは言ったものの。
お察しの通り、今回作戦立案と指揮を譲った真意は別にある。
今の今まで古戦ヶ原の指揮で戦ってきただらだらヘルメット団、E分隊、又はDEG。
より正確に言うと、“古戦ヶ原の”の後に『タブレットで』という文言がつく。
以前野田に漏らしたように、このチートタブレットがなければ古戦ヶ原はちょっと野蛮な一般ヒューマンでしか無いのだ。
この先、何らかの理由でタブレットが、もしくは古戦ヶ原自身が動けなくなり、隊の指揮ができない状態に陥った場合。
このままタブレットに頼り切りの戦闘スタイルでは、DEGはやっていけなくなる。確実に。
そして───それが十分にあり得る事態がこれから起こる事を、古戦ヶ原は知っている。
“知っている”というよりは、“なんかあるらしい/やばそう”という認識だというのが正しいのだろうが。
「補習授業部、アズサ、アリウス、調印式、巡航ミサイル……ダメだ、俺のTwit○erの記憶あやふやすぎんだろ。あークソ、こんな事ならもっとちゃんとブルアカやっとくんだった」
後悔の念がこもった呟きは、砂漠の夜空にのぼって消えていった。
その呟きを確認して、扉から離れながらスマホを取り出す生徒が1人。
「…………ああ、夜遅くにごめんねミミちゃん、藤田です。千代田さんが出向してるとこって補習授業部って名前だったよね、確か。……うん、やっぱり。じゃあさ、そのメンバーに“アズサ”って名前の生徒って───」
──────
───
黒鷹サガリ
輸送部門航空輸送班『ホエール1』 2年生
好きなもの:UH-60 ブラックホーク
嫌いなもの:ピーマン
プライマリ:MP5A3
セカンダリ:M1911A1
特記事項:黒くて大きい羽
ワンポイント古戦ヶ原
「優秀なパイロットだ。元々トリニティでティーパーティー専用ヘリの主操縦士を勤めてたらしい。そのティーパーティー専用ヘリって奴が現実で言うところの大統領専用機とかだったら滅茶苦茶優秀なんだよな。……ただ、名前と好きなものと使ってる銃を見てるとそこはかとなく不安になってくる。ソマリア、スーパー64、RPG、うっ頭が」
備忘録を更新しましたのでそちらも見てみてね。
Tips:
今現在同時進行でエデン条約編(補習授業部編)が進行中だぞ。描写されるのは笛吹き男編が終わってからだけど、そちらのオリキャラは千代田と上遠野の2人(先生除く)だけで原作キャラがいっぱい出てくるぞ。やったね。