Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記   作:運輸省

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前回のラストで入れようと思ったけどなぜか入れてなかった(ガバ)笛吹き男編エピローグです。短いぜ。


14話 顛末、りんご、以上砂漠の端っこからでした

作戦は完了した。

 

人身売買組織『笛吹き男』リーダーはヴァルキューレ公安局に逮捕され、多数の構成員も同じように逮捕・連行された。

 

こちらの被害は、エコーに多少の負傷があったことと、ホエール隊のブラックホークにちょっとだけ(黒鷹談)損傷が発生した事ぐらい。

 

 

……まあ『ちょっとだけ』とは言いつつ、実際は敵に向けた方の側面が弾痕だらけになったりガラスが蜘蛛の巣状にひび割れたりとなかなかの損傷具合だったのだが、

 

「落ちなければ全部同じっスよ!」

 

という信条の黒鷹はこれを『軽微な損傷』と報告した。後々整備班長と作戦指揮官(藤田)から死ぬほど怒られた。

 

 

──────

───

 

 

 

アビドス東駅エリア

ベース・イーストアビドス

 

医務室

 

 

「───以上が作戦の経過だね」

 

 

今回の作戦指揮官を務めた藤田は、作戦の経過と終了後の概況を古戦ヶ原に報告しに来ていた。

まだ治りそうにないのか、未だその身体は湿布だらけである。

 

 

「黒鷹は今どうしてるんだ?」

 

 

作戦経過を聞きながら頭を抱えていた古戦ヶ原が、ふと思い出したようにそう口を開いた。

 

 

「罰として1週間ぐらい整備班の方に出向させてる。さっき見てきたけど、整備班長に怒鳴られながら自分の機体の修復手伝ってたよ」

 

「ははは……ティーパーティー専用ヘリのパイロットだったっつってたから、もうちょい上品な飛び方すると思ってたんだがなぁ、まさか一番やんちゃだったとは」

 

「作戦前にホエール隊の訓練を見る機会があれば良かったんだけどねぇ……」

 

「……うん!まっ、実際笛吹き男は潰せたんだ。終わり良ければって奴だな!」

 

「すごい、口に出そうになった言葉を飲み込んだ顔だ」

 

 

そこまで言って、藤田も一つ思い出したことがあった。作戦前の古戦ヶ原の発言についてだ。

 

 

「そういえばさ、作戦前にサガリちゃんの名前聞いてすごい渋い顔してたじゃん。アレって結局何だったの? 作戦終わったら言うって言ってたけど」

 

「あー……アレな。すげえくだらない話だけど聞きたい?」

 

「うん」

 

 

そうかー、と困ったように頭を掻く古戦ヶ原。数秒ほど間を置いて話始める。

 

 

「外の世界で似たような作戦が行われた事があってさ」

 

「似たような作戦」

 

「おう。30分程度で終わるはずの作戦が、ブラックホークが撃墜されてからどんどんグダグダになって最終的に15時間とかかかったらしいんだよね」

 

 

俗に『モガディシュの戦闘』と呼ばれる戦いだ。

詳しい内容は省くが、ざっくりと説明するとソマリア民兵の将軍を捕えようとしたアメリカ特殊部隊とソマリア民兵が泥沼の市街戦を繰り広げたというもの。

 

当初の予定では30分で終わる作戦だったものの、ブラックホークの墜落、ソマリア民兵の執拗な妨害と攻撃によって結局日を跨いで15時間かかったそうだ。

アメリカが誇る特殊部隊ですらこうなる事があるのだから戦いというのはひどく恐ろしい物である。

 

 

「それと今回の作戦が似通ってたからってこと?」

 

「それもあるけど、これ映画になった時の名前『ブラックホーク・ダウン』なんだよ」

 

「……あー、黒鷹サガリとブラックホークダウン。え、何、ダジャレ?」

 

「だから言ったろ、くだらない話だって」

 

「気にしてた私がバカみたいだ……」

 

 

先ほどみたいに頭を抱える藤田を見ながらコロコロ笑う古戦ヶ原は、お見舞いで渡されたりんごを器用に剥いて藤田に差し出した。

むすっとした顔の藤田がそれを受け取って自分の口に運ぶ。

む、このりんご美味しい。確かタノカミ産だったか。

 

 

「で、行方不明者はどうなったんだ?」

 

「ああ、殆ど保護できたよ。笛吹き男リーダーと一緒に逃げてた車列の中のトラックに押し込まれてたみたいで、エコーとノッカーで保護してヴァルキューレに引き継いできた」

 

「“殆ど”か」

 

「うん。詳しい捜査はもう公安局に引き継いだから分からないけど、取引済みで既に相手方に引き渡された人も結構いるみたい。ただ、その取引先の企業とか研究所は押収した証拠から判明しそうだから、これから大忙しだって公安局長がぼやいてたよ」

 

「カンナ局長も大変だなぁ……」

 

「あっ、そうだもう一つ聞きたかったんだけど」

 

「なんだ?」

 

「ホテル・ペテルブルク。なんか増援出してくるかもって話してなかった?」

 

「あー、アレな。日中ドムラさんから電話かかってきてさ、『そちらの作戦の邪魔になると判断したため外周の封鎖に専念した』って」

 

「そういうね? 道理でブラックマーケットの方から横槍が入んなかったんだ」

 

「『綿密に練られた素晴らしい作戦だった、機会があればそちらの作戦指揮官も一緒に食事でもどうか』って言ってたぞ。受けた」

 

「そりゃ嬉しいけど」

 

 

その発言を聞いて、タノカミ産のりんごをもう一つ口に入れようとした藤田の動きが止まる。

 

 

「……待って? 受けた?? 食事のお誘いを???」

 

「おう、来週の夜な。予定空けとけよ」

 

「そういうのはさぁ!事前に相談するとかさぁ!」

 

「ガハハ」

 

「何が“ガハハ”だ!!!!」

 

「いででで」

 

 

 

 

夜はふける。

 

一旦の解決を見た問題と、これから迫ってくる問題をはらみながら。

 

 

「もう……あと一つ報告。トリニティ出張組はさっきトリニティの方に戻ったよ」

 

「上遠野はともかく千代田に関しては出張ってより出戻りだけどな。なんだっけ、それこそ明後日なんかなかったか? 補習授業部の方で」

 

「えーと……ああ、ほら、アレだよアレ。

 

 

 

 

 

 

1回目の学力テスト。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事態は静かに動き始める。

 

 

 

 

トリニティ総合学園。

 

 

ゲヘナ学園。

 

 

復讐を誓うかの分校。

 

 

そして───何かを知ってる古戦ヶ原と、何も知らないデザートエッジ・グループ。

 

 

 

 

数多の勢力を巻き込んで、物語は動き始める。

エデン条約締結の時は近い。




くぅ~疲!これにて完走です!完走した感想ですが(激ウマギャグ)

……とはならず、次回からエデン条約編に突入です。

とはいえエデン条約編はプロットちゃんと組まないと後半で死ぬ予感がプンプンするのでプロット作りがんばります。よろしくお願いさしすせそ。

以上運輸省でした。
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