Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
貧弱な自分
ありがとナス!
アビドス高校に戻る道すがら、電話口でアヤネから状況の説明を受ける。
ラーメン屋でのバイトが終わったのが22時ごろ。特に残業等もなく、そのまま帰ったのをラーメン屋の大将が確認している。
しかし、それから2時間後の0時ごろになっても帰宅を確認できず、アヤネが合鍵を使って家に入ったところ、制服、ライフル、鞄全てが無い事から、事態が明るみに出た───というわけらしい。
説明を受けていたらそのままアビドスに到着。
対策委員会の教室に駆け込むと、そこにはセリカ以外の対策委員会メンバーと……ワイシャツの上から、
ん???
“ああ、ホシノ……と、古戦ヶ原さん? 怪我の方は大丈夫なんですか?”
「えっ、あっ、はい。多少動けるぐらいには。でも直接戦闘は厳しいんで」
“無理はなさらないで下さいね。とりあえず、これを見て下さい”
先生はそう言うと、タブレット───“シッテムの箱”とかそんな名前だった気がする奴の画面をこちらに見せてきた。
画面に映るのは地図。
いくつかの地点がポイントとしてハイライトされている。
『柴関ラーメン』と『アビドス高校』。
柴関ラーメンは、先ほどのアヤネの話からして、セリカがバイトしているというラーメン屋だろう。二次創作でも何回かそんな単語を聞いた覚えがある。
そして、柴関ラーメンから東に4kmほど行ったあたりに───赤い丸。地図の縮尺で言うと半径2kmほどの円がある。
“連邦生徒会のセントラルネットワークから、セリカの携帯端末の最新の発信地点を割り出しました。それがこのあたり。で、それとは別口で付近の監視カメラを当たりましたが”
先生がタブレットを操作すると、赤い丸が消えた代わりに、今度は赤いポイントが大量に表示された。
その中に、黒いバツが付いた物がちらほら。
「……このバツが付いてるのは?」
“
「あぁ、なるほどね」
画面を見続けていたホシノが声を上げたのでそちらの方を見てみると、
「……郊外に続いてる?」
“はい。市街地郊外の方はそもそも生きている監視カメラが少なすぎるのでオンライン上での確認はできませんでしたが、恐らくは”
「ん、姿を見られたく無いときは、監視カメラは破壊するに限る」
シロコが言うと説得力が強いなぁ……
「予想ですが、セリカちゃんを拉致した何者かは、車両でアビドス東線から軌道内に侵入して郊外に抜けたと思われます。軌道内だったら、幹線道路に比べて砂の影響も少ない筈ですから」
“だったら捜索範囲は絞れそうだね。よし、救出作戦と行こうか”
「先生、さっきから気になってたんですが、その防弾チョッキとヘルメットは自前ですか?」
“あ、これ? 厳密には私のじゃないんだけど、キヴォトスに来る時に持ってきちゃったっていうか、送られてきたっていうか……”
それからすぐ、ホシノと先生を含むアビドス組は、アビドス高校唯一の公用車(ジープ)でセリカの救出へと向かった。
俺はというと、一応怪我人という事もあり同行は遠慮させてもらっている。
───と、いうのは建前で。
タブレットの通信機能を使い、先日俺の部屋に設置したばかりの通信機に発信する。誰かが取ってくれるといいんだが……
「……お、繋がった。もしもし、俺だ、古戦ヶ原だ」
『(^q^)ハイ!』
「ムツリか? いやムツリだな(確信)今からそっちに帰るんだが、ちょっと至急の要件ができた。くじら号の補給の準備を頼む。あと、全員完全武装の上待機。こたつ号もだ。リーダーあたりが理由を聞いてくるだろうから、こう答えといてくれ」
カタカタにやり返さないか?
本拠点(名称未定)
そう言われてしまっては、やらねば女が廃るというものだ。
「全員集合!」
ムツリから報告を受けた私は、18人全員を招集した。
「つい今し方、兄貴からの指令が届いた。読み上げる」
ヘルメットを正し、制服を整え、ライフルを携えよ。
燃料を入れ、弾薬を込め、エンジンを回せ。
カタカタへの復讐の時来たれり。
「以上!行くぞお前ら!!だらだらヘルメット団、出撃準備!!!!!」
ゴーストタウンに、JK達の雄叫びがこだました。
……なお、のちにその文言を聞いた古戦ヶ原は「え……何それ俺そこまで言ってない……怖……」と言ったそうな。(^q^)センメツー!
──────
───
「見えました!500m先!」
ジープの荷台で立ち上がったノノミが前方を睨みながら叫んだ。それを聞いて、私はぐっとシッテムの箱を握る。
視線の先には、大型のコンテナトラックが1台と、それを取り囲むように走行する2輌の装輪装甲車、それに追随する頭でっかちのアハトアハト、そして無数の
正直、想定よりもかなり戦力が多い。どっから持ってきたんだそんな戦力。装輪装甲車に至っては主武装がどうも戦車砲に見える。マジでどっから持ってきた⁉︎
いや、落ち着け、セリカを助け出せるかは、まず私の指揮次第だ。己の思考、指令、選択に『命』が乗っているものと思え。
緊張を押し殺し、後ろを振り向いた。
皆、真面目な面持ちでこちらを見つめている。
“皆、準備はいいね?”
「大丈夫です!」
「おじさんも本気出すよ〜」
「ん、ドローンもバッチリ」
“それじゃあ、手筈通りに!”
そう、手筈通りに、シロコのミサイルドローンで、セリカが乗せられていると予想されている大型トラックをロックオンした───その時である。
シロコの見ているモニター上で、トラックの前方部分が爆ぜた。
突然の事にトラックも反応できなかったのか、数秒ほどふらりふらりとした後、砂煙を巻き上げながら横転した。車列も停止する。
「⁉︎」
「爆発⁉︎」
“アロナ!”
『3秒待ってください!……!見つけました!9時方向1,000m!』
アロナの報告とほぼ同時で、ジープの助手席から身を乗り出し、双眼鏡を構える。
見えた。
稜線から今まさに車体を乗り出してきたM4中戦車がまたも発砲した。
放たれた砲弾が、装輪装甲車の片割れの横っ腹に突き刺さった。
その砲塔が、炎を上げながら景気良く宙を舞う。
「仲間割れですか⁉︎」
「ん、ヘルメット団情勢複雑怪奇」
“……もしかして、あれが話に聞くだらだらヘルメット団じゃないかな”
「うん、そうだね。あのシャーマン戦車も『こたつ号』で間違いないよ〜。うへ、そういえばこの辺りからあそこ本拠点(名称未定)まで近いや」
『カタカタァ!!この前はよくもやってくれたなこの野郎!!今やり返してやるから全員かかってこいオラァ!!!』
『リーダー、リーダー、もう一発やり返してる』
『一発で満足できるわけないだろ!』
『知ってた』
M4中戦車の上にタンクデサントしていたリーダーが、拡声器でそんな事を叫んだ。
それにカタカタ側もキレたのか、誰もアビドスに構う事なく、だらだらヘルメット団の方に向かっていく。
「シロコちゃん、目標変更。アハトアハトを狙って!早く!」
M4中戦車を見てから何かを考えていたホシノが、シロコに向かって言った。
すぐに、アハトアハトに向かってミサイルドローンが向かっていく。
「ん、全弾叩き込む」
アハトアハトの背後から、多数のマイクロミサイルが襲いかかった。
「アハトアハト発砲!」
しかし、マイクロミサイルが着弾する直前、アハトアハトがその砲を轟かせる。一足遅かった。マイクロミサイルはしっかりと仕事を果たしたが、タイミングが悪かった。
放たれた砲弾は、寸分違わずこたつ号に飛んでいき───
──────
───
「うっひぇ⁉︎」
リーダーが飛び降りた瞬間、こたつ号の正面装甲を貫いた。
今まで元気に撃ちまくっていたこたつ号が沈黙、ぱっくり空いた破口からは炎が見える。
「た、退避ー!!!」
うわー!!と、こたつ号の近くにいた黒ヘルメット達が散っていく。
爆発。
だらだらヘルメット団の始まりから共に戦ってきたポンコツ戦車は、アビドスの砂漠で果てた。
「報告!!」
「こたつ号大破!乗ってた5人は向こうのほうで仲良くノびてる!」
「アハトアハトはアビドスの攻撃で吹っ飛んだっぽいよ!!」
どうもクルーは爆発で飛ばされたらしい。車内に残されて炎に巻かれるよりはマシか。
残っているカタカタの機甲戦力は、こちらに向かって爆走してくる装輪装甲車のみ。
ならば、本拠地から持ってきた『アレ』でやれる。
「“ジャベリン”を使えーッ!!」
その合図を待っていたのか、斜面下でやきもきしていた黒ヘルメットが砂を駆け上がってきた。
「目標!正面から突っ走ってくる装輪装甲車!」
「ウーッス!!後ろに立つなよぉ!Fire in the hole!Fire in the hole!Fire in the hole!!!」
ジャベリン射手の黒ヘルメットが発射スイッチを押した。
米国製、実際に投入されたウクライナで、その活躍ぶりから『聖ジャベリン』とまで呼ばれた傑作ミサイルがロケット推進ですっ飛んでいく。
弾頭は、成形炸薬を前後に2つ乗せたタンデム弾頭。現代戦車の増加装甲と複合装甲の両方を貫く事を目的に開発されたこの弾頭の貫徹能力は、RHA(均質圧延装甲)換算でおよそ1,000mm。
対する装輪装甲車*2の装甲厚は、一番分厚い場所でも30mm。
結果は、火を見るよりも明らかだった。
──────
───
その後は、もはや戦いというより『蹂躙』と言ってしまったほうが良いだろう。
機甲戦力を一挙に失ったカタカタヘルメット団は、苦し紛れの歩兵突撃を敢行するも、だらだらヘルメット団のSG551(秀品)やSG551(良品)が繰り出す5.56mm弾に次々と倒れ、最後の方は、途中参戦してきたシロコとホシノにすり潰された(比喩)。
救出したセリカの護衛をノノミとアヤネに任せ、2人でこちらに加勢しにきたそうである。
「よう小鳥遊ホシノ!大変だったな!」
「うへ、確かに大変だったけど、手伝ってくれたおかげで助かったよ〜」
「なぁに、こっちだってカタカタにボコられっぱなしだったからな。やり返しただけだよ、礼を言われる筋合いは無いさ」
「ま、そういう事にしておくよ。……やられちゃったね、こたつ号」
ホシノの見つめる先には、未だ炎上するこたつ号と、その側で項垂れるこたつ号乗員の後ろ姿。どことなく悲しみを感じる。
「まあ、元々ブラックマーケットで買ったオンボロだったし、いつどこが壊れてもおかしくなかったからな。それに、こたつ号がやられたのは私のミスだ、あいつらの責任じゃない」
「おー、リーダーしてるねぇ」
「うるせえやい。そっちの猫耳は大丈夫だったのか?」
「うん、大きな怪我はないっぽいけど、一応今病院に連れてってもらってるよ〜。……あ、そうだ。聞きたかったんだけど、だらだらはどうしてここに? 地図だと一応近場っちゃ近場だけど」
「あれ、兄貴から聞いてない? 兄貴から連絡受けたから来たんだぜ、ウチら」
「あ、そうだったんだ……お兄さんにも、後でお礼言わなきゃねぇ」
「……お礼だったらすぐ言えんじゃないかな」
「? どういう事?」
「ほら」
リーダーが指し示した方向を見てみると、何やら見覚えのある薄グレーの機体が目に入る。
くじら号だ。
───先日アビドス高校で、墜落の末横転、大破した筈の機体が、まるで何事もなかったかのように目の前に飛んできたのである。
「……な、なんで」
ホシノの疑問を他所に、くじら号は砂を巻き上げながら着陸した。
すぐにエンジンが止まり、操縦席から男、古戦ヶ原が降りてくる。
「怪我人は?」
「こたつ号の乗員5人が軽傷。それ以外は擦り傷程度で問題はないかな」
「それなら良かった。にしても、こたつ号がやられたか……どうする、くじら号じゃあどう頑張っても10人しか乗せられねえぞ」
「カタカタが捨ててった車がいくつかあるからそれ何台かかっぱらって帰るよ」
「おうよ。……ま、たまにはゆっくり帰って来てもバチは当たらんさ、全員でちゃんと“お別れ”してこい」
「……うん」
リーダーはそう言うと、自らも燃え盛るこたつ号へと向かっていった。
「……さて、せっかくだ。アビドスまで送るよ」
「うへ、いいの? だらだらの子達置いてっちゃって」
「……愛着が湧いた物と別れる辛さは分かってるつもりさ。あいつらには、今は時間が必要だ」
「そっか。うん、じゃあお言葉に甘えちゃおうかな? シロコちゃーん、帰るよー」
何やらカタカタの車両跡で何かを探していたシロコが、こちらに向かって来た。
……でかい部品を引き摺りながら。
「ん、大漁」
「何だそりゃ。持って帰んのか」
「うん、ちょっと調べたいことがあってね。くじら号に乗せられるかな」
「まあそれぐらいだったら」
機内にどうにかそれを押し込み、操縦席に戻る。
「ちゃんとシートベルトしたか?」
「大丈夫だよ〜」
「ヘリは初めて」ウキウキしろこ
「そりゃ良かった。じゃあ飛ぶぞー」
ゼネラル・エレクトリック製のT700-GE-401Cターボシャフトエンジンが唸りを上げ、くじら号が再び舞い上がる。
「……安らかにな」
そう呟いた古戦ヶ原の視線の先。
こたつ号からの煙が、まるで墓標のように、青空へと向かって昇っていた。
Rimworldにおいては、どれだけボロボロになっていようが耐久値が1%でも残ってたら修理することができます。今回のくじら号がそれですね。
(墜落は耐久値0じゃないのかというツッコミは受け付けない物とする)
ですが、耐久値が0%になってしまった場合はどうしようもありません。しょうがないね。R.I.Pだね。