Rimworld入植者(脱出済)のキヴォトス日記 作:運輸省
《前回の誤字報告者兄貴姉貴》(敬称略)
00ガンダム
ありがとナス!
それからの話をしよう。
まず、アビドスのセリカの話だ。
病院での検査の結果、FlaK41の直射を受けた外傷こそあったものの、特にこれといった後遺症もなく早期に退院ができるらしい。
……実は後遺症があった時のために義肢をいくつか製作していたのだが、使うことが無くて良かったと思っている。強化義肢ではないからどうしてもクオリティは落ちるし。
そして、これは前回から元自衛官疑惑の出ている先生からの情報だが、
“セリカとは仲直りできました”
との事らしい。いい事だ。(後方腕組み大人面)
次は、なんだかんだ1ヶ月近い付き合いになる『だらだらヘルメット団』についてである。
まず、「今回の戦いにおいて全損したこたつ号をどうしよう」という話し合いの場が設けられた。
参加者はだらだらヘルメット団18名全員。オブザーバーは俺と、なぜか拠点にふらっとやって来た先生。
“だらだらヘルメット団の子達がどういう生活を送ってるのか興味がありまして”
とは先生の談である。
夜。
俺の小屋の側に設置された焚き火の側に、団員18名が揃って体育座り。ちなみに全員ヘルメットは脱いでいる。
「まず俺から。前提として1つ伝えなきゃならないんだが、こたつ号の修復は不可能と判断した」
いくつか「えー」と声が上がる。やはりこたつ号の修復を考えていた奴がいたらしい。まあ、くじら号の復活を見ていたら期待してしまう気持ちも分かる。
「Rimworldでは、全ての物品に『耐久値』という概念が付与されていたんだがな、これがミリでも残ってたら修復できる。今回のくじら号がいい例だな。だが、こたつ号はダメだった。流石のRim人でも燃え残った残骸から元の姿にってのは無理だ。以上」
“それじゃあ、話し合いを始めようか”
と、先生の宣言で話し合いが始まった。
事前に相談した上で、「暴力沙汰になりそうなら止める」といった感じに介入ラインを明確に決めている。
なのでそれまでは、ヘリポートに止まったくじら号に腰掛けて先生との雑談タイムだ。
「先生には、
“ははは……まあ、分かりますよね。お察しの通り、私は陸上自衛隊出身です”
「原隊はどちらかお聞きしても?」
“秋田の第21普通科連隊です。最期は重迫中隊を預かっていました”
「預かってた……え、中隊長やられてたんですか」
自衛隊で中隊長をやるとなれば、最低でも尉官、下手したら3等陸佐もありうる。
その割には随分若く見えるのだが……もしかして先生めちゃくちゃ優秀?
“ただ、まあ、預かってたのも2ヶ月とちょっとですけどね。駐屯地に熊が侵入して、逃げ遅れた部下を守る為に……”
「あー、部下の方を庇って?」
“いえ、89で銃剣突撃を”
「先生ってたまにすごい事しでかしますよね」
“よく言われます。まあ、それで死んだ筈だったんですが、気がついたらキヴォトスで先生やるハメになってたって感じですね”
そこで一旦話が途切れたので、いつもホシノにも上げている薬草Teaを淹れて持って来た。
“あ、どうも。これがホシノが話してたお茶ですか。……うん、おいしい“
「そりゃあ良かった」
”そうだ。私も話したんですから、古戦ヶ原さんの事も聞かせて下さいよ。良ければでいいですけど”
「そんな面白い話とかないですよ?」
“まあそう言わず。例えばそうですね……色恋沙汰とか?”
「……人が人ならセクハラ認定されますよ、その話題」
“えっ”
「まあいいですけど。あれ、自分結婚してたのって話しましたっけ?」
ピクッ
“いえ、初耳です。ご結婚されてたんですか?”
「ええ、Rimにいた時。一番最初に自分のコロニーに参加して来た奴でしてね、ある時ふと」
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『なあ古戦ヶ原くん』
『どしたん』
『君って30代独身だったよな』
『まあ一応。地球の暦だと今年30になる。それがどうかしたのか?』
『ふむ、私も今年で生物学上は32歳になるんだがね。巷では、この年齢は『行き遅れ』に当たるそうだ』
『ほえー。こっちにもそういうのあるんだ。地球だと全然行き遅れラインじゃないと思うけど』
『……まあ、つまり、なんだ。私を貰ってくれないか』
『…………は?』
『君になら、私という存在を任せてもいい。そう確信しているんだよ』
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“最後でデレて来ましたね”
「これデレなんですか? 恋愛経験皆無なもんでよく分からないんですよ」
“デレです。*1完璧にデレですね。*2間違いありません、私は詳しいんだ”
「は、はあ……」
“……でも、宇宙船で脱出したのは古戦ヶ原さん1人だったんですよね。何か理由でもあるんですか?”
「うーん、自分もそれは気になってたんですがね、まあもう少しで聞けるでしょ」
“……?”
「それはいいんですよ、それは。今はとりあえず……ガキ共ォ!耳そばだてながらこっちにジリジリと近づいてくるんじゃねえ!!!」
「わー!ばれたー!!」
「逃げろー!」
「(^q^)テッターイ!」
「待てやオラァ!!」
「(^q^)ワァー!」
結局、その後は夜の大運動会(文字通り)が勃発した為先生との雑談はそこでお開き。というか先生も大運動会に参加して来た為有耶無耶になってしまった。
やめ、やめろぉ!元自衛官の体力に勝てるわけウワーッ!
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───
翌朝俺が筋肉痛で死んだりしたが、特に問題なく朝を迎えることができた。
で、実はこたつ号の事は昨夜の内に決まっていたらしい。
「とりあえず新しくしようって事になった」
「新しくってーと、購入か新造、どっちだ?」
「逆に聞くけど兄貴戦車も作れるの?」
「作れるしコロニーでの運用経験もあるぞ」
「やった。じゃあ作って!」
「へいへい。またM4系でいいのか?」
「……その言い方をするって事は、別の戦車も作れる感じなの?」
「作れるんだなぁこれが。ほいカタログ。まあじっくり選べ」
「さすが兄貴……至れり尽くせりだねマジで」
と、いうような会話が今朝あり、今は選択待ちというわけだ。どの戦車にするのか決まるまで、別の事を進めようと思う。
進めるとは言っても、今からやる事はコロニーにはあまり関係ない私事なのだが。
その目的の為に無線機を弄り倒していると、手持ち無沙汰らしい車長がやって来た。随分としょぼくれている。
「んお? 戦車決めに参加しなくていいのか?」
「最終的に全員のジャンケンで決めようってなって、1回目のジャンケンで1人負けして来た……」
「うわぁ。お前ジャンケン弱えもんなぁ」
「むー……で? 兄貴は何してんの?」
「ん? ああ、無線機改造してた」
「改造?」
「そ。ちょっと無線電波を宇宙まで飛ばす用事ができてな」
「……よく分かんないけど手伝うことある?」
「いや、もうちょいで終わ……ったわ。ヨシ!」
「あぁ、アンテナ長くしたの?」
「ああ、あと素材も変えてあるぞ。音声通信だけならこれ単体で深宇宙まで届く」
「お、オーパーツ……」
「よしよし、んで〜、これをこうして……」
周波数のダイヤルを適当にぐるぐるして、目的の物を探る。しばらく探っていると、聞き覚えのあるノイズ帯に入って来た。「これかな」と当たりをつけ、完全に周波数 合わせる前に、これから言う事の確認を行う。Rim時代から気をつけている事だ。
で、チェックリストを開いて、ある事を思い出した。
「……あ、やっべ、あれ決めてなかったな」
「何が?」
「ここの名称」
Rimworldだと割と早期に名前を決めるのだが、そういえばすっかり忘れていた。どうすっかなー俺もなー。
それを聞いた車長も、「あー」といった感じに思い出した風だ。
「確かにいつも『あそこ』とか『ウチ』とか『拠点』としか言ってなかったね」
「なんだかんだ無いと不便だしなぁ……ちょっとリーダー呼んできてくれ。早急に決めときたい」
「ここの名称決めたいって?」
「ああ。後は俺らの名称な。だらだらヘルメット団でもいいんだが」
「んー……それなんだけどさ、前から皆と相談してたことがあって。ウチら自体の名称は後回しでもいい?」
「そうか? そういう事なら構わんが。じゃあここの名称はどうするよ」
「それは決めてたんだよね。じゃーん」
【デザートエッジ駐屯地】
「ほー、理由を聞いても?」
「ここって砂漠地帯の端っこじゃん。それ」
「駐屯地ってのは?」
「語感!!」
「そっかぁ。じゃあ、その名前で行こうとりあえず。向こうを待たせてるかもしれん」
俺はそう言って無線機の方に振り向くと、もう一度周波数のダイヤルの調整を始めた。
「それ何してんの?」
「んー、強いていうなら、宇宙人と交信してる」
「は?」
「…お、よし繋がった。デザートエッジ駐屯地より各局、デザートエッジ駐屯地より各局、この度宙域無線を開設しました、デザートエッジ駐屯地の古戦ヶ原と申します。以後よろしくお願いします」
何事もまずは挨拶である。古事記にもそう書かれている。
こちらの通信に反応したのか、すぐに相手も通信を返して来た。
《デザートエッジ駐屯地、こちらPnL工業傘下、ベスト・インダストリー所属輸送船『カナリヤ』。宙域無線の開設を心から歓迎します。そちらは古戦ヶ原哲郎さんでよろしいでしょうか》
「ん? はい、そうですが」
《良かった。お届け物がございますので、着陸場所の指定をお願い致します》
「はあ、分かりました。ちょっと待って下さい」
……てっきり輸送ポッドが降ってくるものだと思っていたのだが、どうしてPnLが?
「考えてる場合じゃねえか」
ひとまず思考は後回しにして、タブレットで着陸場所を指定する。とりあえず空き地正面の道路にしておこう。駐屯地の敷地はギチギチだし、この辺車通り0だし。
あ〜〜〜拡張してぇ^〜〜〜!
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───
着陸場所を指定した数分後、空の彼方にポツンと黒点が現れた。それは加速度的に大きくなっていき───
「(唖然とするリーダー)」
住宅1軒ほどの大きさの宇宙船が、着陸した。船体横には見覚えのある『PnL工業』のロゴ。
「さあて、何が出るやら」
ちなみにヘルメット団だが、リーダー以外の全員が小屋の陰に隠れてこちらの様子を伺っている。…よくよく考えたら俺以外の宇宙人と遭遇するキヴォトス人ってリーダーが初になるのか。
なんていらない思考を巡らせていると、遂に宇宙船のハッチが開き、誰かが降りて来た。
軽いジャケットと、内側のガーゼスカートで構成された『半臂』と呼ばれる伝統衣装に身を包んだ、一対の鹿の角を持った女性。
女性は俺の姿を確認すると、嬉色満面といった笑顔で両手を広げながら口を開いた。
「やあダーリン!会いたかったよ!」
「俺もそうだこのろくでなしが!」
「ろくでなしは余計じゃないかい」
「へへへ」
何を隠そう、俺の嫁である。
ちなみに、この時の俺は完全に失念していたのだが、キヴォトスにおいて航空機…というより固定翼機はあまりメジャーではない。
大抵の場合、生活は自分の所属する学区内で完結するし、学業の事もあって旅行に行くというのもほぼないからだ。あったらごめんなさい。
そんなキヴォトスの上空に、突如として外宇宙から宇宙船が現れたらどうなる?
これがまあ大変な事になったらしい。後で先生から聞いた話だが。
よりによってキヴォトスにおける首都───D.U.方面から降下してしまったものだから、SNSを中心にあれはなんだあれはなんだと大紛糾。シャーレと連邦生徒会が火消しに走る事態となった。
……通信回線も開設できたから、これから色々と自作できない物を宇宙商船から買ったりしたいんだけど、これどうすっかな。
???「部長!アビドスに宇宙船が降りて来たって!」
???「なんだって⁉︎ こうしちゃいられない、早速行こう!」
???「説明や解説にはインプットも必要ですからね!」