鈍色の正義   作:クロウト

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12刃 : バッド•バッド•グッド•な話。

 

 

大鬼族と悪魔たちの戦いを終えた後、ジャスとリムルは大鬼族たちと共に負傷者に回復薬をぶっ掛けて治した後に担いで村まで戻ろうと歩いていた。ちなみにジャスは回復薬をぶっかけた後にリムルにこっぴどく怒られた。

 

 

 

「俺がいない間に勝手に行動するんじゃない!!! 」

 

 

「──さーせんっした... 」

 

 

 

ジャスは出る言葉もなくて戻る道中ではただただリムルの話を黙って聞くだけしか出来ずにいた。ジャスにこっぴどくボコボコにされた大鬼族達はその光景を見て唖然とする者も居たとか。

 

 

「ランガから思念伝達が来た時にはヒヤッとしたからな...これからは勝手な行動を謹む事!!良いな!!!! 」

 

 

「うす...さーせんした... 」

 

 

説教の内容は長いので割愛するがリムルからは要するに相手の実力差も分からない状態で喧嘩を買うなというど正論がジャスに飛んで来た。だがジャスが大鬼族達を蹂躙し尽くした様に彼は悪魔公(デーモンロード)として転生を果たしているので歴然とした差があるのは相手の方だといえるだろう。

 

ただリムルはジャスが悪魔公であるという事実を認知していない。正義の名を冠する悪魔という話は明かしていたはものの、それが悪魔公であるという事実を裏付けるものにはならない為にリムルがジャスにそう怒るのも不自然ではなかった。

 

 

 

「全く...次やったら晩飯抜きにでもするからな。 」

 

「さーせんした ... 」

 

 

そう説教の言葉を垂れるリムルではあったが、心の中ではジャスが無事だという事を確認出来て安堵していた。この世界に転生してから会った同郷人。自分に身体を与えてくれた者は息絶えてしまってリムルが知る中では彼がたった一人の同郷の者となってしまった故にリムルはリムルなりにジャスの事を気にかけていたのだろう。

 

 

(ま...無事で良かったなんて言ったらあいつ調子に乗るかもだから黙っていよっと.,.)

 

 

リムルはジャスの反省している様なそうでもない様な微妙な表情を黄金色の瞳で収めながら微笑を浮かべて心の中にそう留めておいたのだった。

 

 

 

ちなみに道中で目が覚めたら赤髪の大鬼族は担がれているまま、そのやり取りを少しだけ冷や汗を滲ませながら見ていたらしい。一度植え付けられた恐怖というものは中々取り除けないものである。

 

 

 


 

 

夜───人鬼族(ホブゴブリン)の集落にて設営された宴会の席にリムルとジャスが座っていた。二人の目の前にあるのは松明の火に映る油が艶やかに映り込んだ薄茶色に焼き上げられた綺麗な串焼きであった。ちなみにこの串焼きの材料は牛鹿と呼ばれる動物で料理されたらしい。

 

 

「 「 ゴクリ .... 」 」

 

 

二人の固唾を飲む音と共にその串焼きの持ち手を握りしめて自分らの口内の前に持ってくる。二人の眼には異世界に転生してきて最初に食べる料理の為かただの串焼きにしかすぎないそれが高級料理の一品の様な雰囲気を纏っているのを幻視したのであった。

 

 

───そして、二人がいざ!と言わんばかりに口腔を開けて串焼きを口内へと持って来ると...。

 

 

「 「 あ〜〜〜〜ぐっっっ!! 」 」

 

 

同時にそれぞれ二人の中に入っていった串焼きの一切れが歯によって完全に口の中へと入っていき串焼きの肉を口の中でひたすらに踊らせた。焼き立てでもあるのでアツアツの串焼きに二人の舌は火傷しそうになるが二人は火や熱さに対する耐性を有しているのでそこは問題無いだろう。

 

 

「 うっ !!!───。 」

 

 

「───────。 」

 

 

 

リムルは突如として声を上げれば右手を口に持って来て防ぐ様に添えられた。そしてジャスは何も言わずにただ天を見上げる様にして顔を仰いだ。二人の表情は火の影によって覆われてしまってその様子を見る人鬼族(ホブゴブリン)の顔には焦りの表情が浮かび上がっていた。

 

 

「.... お口に合わなかったでしょうか.....。 」

 

その様子を最前列で見ていた人鬼族(ホブゴブリン)の長を務めているリグルドが二人に対してそう言葉を投げかけた。その口調はとても恐怖といったものが滲んでいて心なしか震えている様だ。

 

 

察するに人鬼族(ホブゴブリン)達は二人の反応を見てはそれがあまり好ましくないものに見えてしまったのだろう。リグルドだけではなく他の人鬼族(ホブゴブリン)達もリグルドと同じ様な恐怖や焦燥を浮かべていた。

 

 

────だが二人が出した反応は人鬼族(ホブゴブリン)達が予想していたものではなかった。

 

 

 

「 う〜〜〜〜んま〜〜〜いっっ!!!! 」

 

 

「──────美味いっス .... 。 」

 

 

 

リムルは串焼きを口に頬張ったままで思わず歓喜を全身で体現する様にその顔を蕩けさせて食への喜びを純粋に頬張っていた。そしてジャスもまた久方ぶりに味わう食への喜びに対して思わず敬語になってしまい顔を仰向けにさせながらも咀嚼していた。

 

 

 

「 「 「 おぉ〜〜〜っっ!!!!!!!」 」 」

 

 

 

リムルたちが歓喜の言葉を口にした途端、人鬼族(ホブゴブリン)達もまた周辺を揺るがす様な大歓声を放った。彼らの歓声は大きくなりながらリムル達の食への愉悦を味わったタイミングで彼らの宴は賑やかに始まったのである。

 

 

二人は口の中で肉の楽しみをしっかりと味わいながら咀嚼した。口腔に広がる臭みのない肉の味としっとりと絡み付く肉汁が彼らの口を至福で満たし、程よいサイズに切り分けられた肉が歯によってその形を歪み小さくなる過程でその弾力と野性的な風味が二人だけではなく人鬼族(ホブゴブリン)の心を躍らせるのだった。

 

 

 

「 ...にしたって本当に美味いなぁ!!この調子ならマジでバクバク行けそうだぞ!! 」

 

 

「本当にその通りだな...こっち来てからなんも食ってない分、より美味く感じるのはありがたいなマジで。 」

 

 

リムルとジャスは嬉々として串焼きをどんどん口の中に放り投げて行った。二人は魔物ではあると言えども元転生者でありながら元人間だ。当然向こうの世界ではこういう食事は毎日繰り返して来たしで二人の舌がいつのまにか味に慣れてしまった状態で数日の間まで食事をしてこなかったのも二人の食欲が増進される起因の一つであると考えられるだろう。

 

 

 

 

そして二人がそれぞれの皿に肉汁が纏った空になった串を放り投げて行く間、宴の明るい世界から外れた少しだけ仄暗い火が届いていない場所では大鬼族やドワーフといった者達が神妙な顔立ちで話をしていて───。

 

 

 

「...豚頭族(オーク)大鬼族(オーガ)に仕掛けたって...?!

 んな馬鹿な... 」

 

 

ドワーフの武器職人──カイジンが赤褐色の瞳を備えた大きな目を見開きながら驚く様にしてそう言い放った。そして藁で編まれた床に座り込みながら串焼きを片手に持つカイジンの目線の先には赤髪の大鬼族が真剣でだが怒りを微かに孕んでいる様な表情を作っていた。

 

 

「────それが、事実だ。 」

 

 

赤髪の大鬼族は淡々とそう告げた。カイジンは大鬼族の放ったその言葉にえらく信じられない様な顔立ちをしていたが、赤髪の大鬼族のその暗い表情は少なくともその場にいる全員がそれを冗談だと処理出来る様な事柄でないと思わせるのには充分だろう。

 

 

「......そんなにおかしな事なんすか? 」

 

 

大鬼族の話を聞いていたゴブタが楽観的な表情をしながらそう述べる。だがゴブタ以外に話を聞いていたリグルドやカイジン、リグルなどは大鬼族が述べたその経緯の異常さに勘付いている様子だ。

 

 

「ああ...豚頭族(オーク)大鬼族(オーガ)じゃ強さの格が違い過ぎるからな...格下である豚頭族(オーク)が仕掛けて来ることすらありえん。 」

 

 

カイジンは楽観的に状況を見ていたゴブタにそう述べる。そしてゴブタもそのカイジンの言葉の意味が分かったのか楽観的な表情から真剣な眼差しにへと変化していく。事の重大さが理解出来た様だった。

 

事実───先程カイジンが述べた豚頭族(オーク)大鬼族(オーガ)とでは強さの格が違うという話は真実であるのだ。

 

豚頭族(オーク)の強さは具体的に表すとDランクに分類される存在だ。このジュラの大森林では脅威という存在では無いにしろ、その強さは並みの冒険者であれば苦戦を強いられるレベルだ。だがそれでもベテランの冒険者であれば豚頭族(オーク)は敵では無い。

 

比べて大鬼族(オーガ)の強さはBランクに分類される存在であり、ジュラの大森林ではその地を支配出来るレベルにまで到達しているのでベテランの冒険者でも勝負をする前には勝敗が決していると言われるほどに大鬼族(オーガ)は怪力無双の力を持っている筈だ。

 

 

それ故に、豚頭族(オーク)大鬼族(オーガ)に対して戦争を仕掛けることなどはまずありえない話である。ましてやそれに勝利して()()()()()()事はまず不可能である。

 

 

 

「だが奴等は突然やって来た...。 」

 

「武装し、鎧を全身に纏い...森を覆う様な圧倒的な戦力でッ...!!! 」

 

 

大鬼族が歯を食いしばって、自身が見た地獄絵図を脳裏で過らせながら詳細に語った。そしてそこでカイジンはまたもやありえない筈の真実を大鬼族の口から耳に挟む事になる。

 

 

「───豚頭族(オーク)が鎧をだって? 」

 

 

あり得ない話だった。大鬼族(オーガ)よりも強さの格が違う豚頭族(オーク)が鎧を纏うという話は武具職人であるカイジンからしても荒唐無稽な話に見えてしまう。

 

強さの格が違う事は種族としての強さもそれを補う為の技術力にも差があるという事を指している。大鬼族(オーガ)よりも弱い筈の豚頭族(オーク)がそれこそ人間と同等レベルの防具の技術を何の前触れもなく習得するのは魔物の生態や形成されるコロニーをよく理解する人間からしたら信じられない話だった。

 

聞けば豚頭族(オーク)が纏っていたのは人間が着用するような全身鋼鎧(フルプレートメイル)らしくカイジンの顔はさらに曇っていく。

 

 

「それだと、豚頭族(オーク)だけで動いているという線は無いでしょうな。 」

 

 

その話を聞いていたリグルドは自身の中で出た結論を場に出すように発言すると皆々が同じ結論に辿り着いたのかうんうんと頷いた。カイジンは豚頭族(オーク)が人間が着用できる様な高価な鎧を大量に用意できる経済的な余裕はそこには無いだろうと踏んでいた。そしてリグルドもまた状況だけを聞いた話でも決して一つの種族だけでの行動はあり得ないと考えその結論を出したのだ。

 

 

 

「その通りだ。軍勢の中にいた...あの、仮面の魔人───。 」

 

 

リグルド達の憶測は的中していた。大鬼族の脳裏には燃え盛る業火の中で佇む一人の怒った表情を形作った仮面を付けた小太りの緑髪の男を思い出しながら大鬼族はそれを〞上位魔人 〟だと確定付けた。どうやら豚頭族(オーク)の裏で一枚噛んでいる黒幕は想像以上の存在らしい。

 

 

 

「...それでジャス様をその魔人の仲間だと勘違いして、闘いを挑んだ...というわけですな。 」

 

 

「... ... ああ、すまなかった。 」

 

 

大鬼族は里を燃やされて追いやられてしまって極限状態に陥ってしまった。彼らの豚頭族(オーク)に対する復讐心が彼らの精神を次第に蝕んで襲う様になったのだろう。大鬼族(オーガ)は強者の魔物ではあっても戦闘狂では無い。だが里を燃やされてしまえば彼らとて凶暴な獣になり得る。それほどまでに彼らは同胞を失った悲しみと復讐心によって狂わされていたのだ。

 

 

 

「 そうなると...上位魔人...もしくは魔王のうちの誰かが、豚頭族(オーク)に組したって事になるのか...。 」

 

 

「...ですが、なぜ魔王が大鬼族(オーガ)の里を狙うのでしょうか... 」

 

 

カイジンは豚頭族(オーク)と裏で組みしていた存在が()()なのではないかという憶測があった。しかし今リグルドが発言した様になぜ魔王が大鬼族(オーガ)の里をわざわざ狙って滅ぼす必要があったのかという大きな疑問がそこに残されていた。

 

 

魔王というのは一人だけではなく複数人存在している。だからその中にジュラの大森林の支配を狙う野心がある魔王が居てもあり得ない話ではない。だが魔王というのはこの世界においては最強格の力を持つ者しかなれないのでもしジュラの大森林を欲するとなると極論だが大森林を自身の武力で制圧してしまう方がそれこそ効率的なのだ。

 

 

故に魔王がピンポイントに大鬼族(オーガ)の里を狙ったという話はどこか不自然さが付き纏っているという事になる。

 

 

 

 

「わからぬ...はっきりとしているのは...300人近くいた同胞はもう.......たった6人しかいないということだ... 」

 

 

 

どれだけ豚頭族(オーク)の策謀に頭を悩ませたとしても、そこに突き付けられた現実は大量の同胞の死という結果だけがそこに残る。弱肉強食がこの世界の不変の法則とはいえども同胞の死というのは彼らにとっては受け入れ難く忌避したい事実である事には変わりはない。だが大鬼族の眼に最期に映った里の凄惨たるその光景がその事実が本物だと裏付けていた。

 

 

 

 

「────そりゃ、悔しいわけだな。 」

 

 

一族の悲惨な末路の経緯を大鬼族があらかた語り終えると大鬼族の横から聞き慣れた声が聞こえる。大鬼族がその方へと軽く振り向けば木々に腕を組みながら話を聞いていたリムルの姿とその隣で大鬼族へそう言葉を投げ掛けたジャスの姿が大鬼族の視界には映り込む。

 

 

「......肉はもう良いのか?ジャス殿、リムル殿 。 」

 

 

「ちょっとした食休みって奴だよ。にしてもあんたの妹は凄いな。香草だとか薬草に詳しくてもうゴブリナたちと意気投合してるのな。 」

 

 

ジャスがそう語るとリムルもそれに相槌を打ちながら赤髪の大鬼族の妹である桃色髪の大鬼族──鬼姫の方へと視線を映す。そこには朗らかな笑みを浮かべながらゴブリナ達と談笑を交わす桃色髪の大鬼族の姿があり、それはまるで何の変哲もないただ一人の少女の様にも見えるだろう。

 

 

「.......箱入りだったから、頼られるのがすごく嬉しいんだろうな。 」

 

 

桃色髪の大鬼族を見た赤髪の大鬼族は先程からの怒りを孕んだ様な険しい表情とは一転して何処か安堵したかの様なそんな心の余裕を少し垣間見せた様な表情に一転していて、それは赤髪の大鬼族の声色の変化からも容易に分かる事だ。

 

 

「.....んで、お前らこれからどうすんの?再起を図るにせよ。他の地に移り住むにせよ、仲間の命運はお前の采配にかかってるんだろ? 」

 

 

少し間を置いた後にリムルが大鬼族にそう問うた。彼ら大鬼族は里を燃やされて放浪の身ではある上に最後の生き残りでもある。そんな者達がこれからどうするのかを決めるのは今後の活動の上では無視できない事案である為にリムルは仲間たちの命運を握っている赤髪の大鬼族にそう聞いたのだった。

 

 

 

「......知れた事を。力を蓄え、再度挑むまで。 」

 

 

 

赤髪の大鬼族は先程の柔らかな口調から元の口調にと戻してそう告げた。やはり彼らの中にある里を燃やした者への復讐心というのは易々と取り除けないものなのであろう。大鬼族は強い種族だからこそ一度汚名を着させられた相手には全力を以ってリベンジを仕掛ける。赤髪の大鬼族が立てていたのは打算も計画も無い様な復讐の旅だけであった。

 

 

 

 

 

「 アテはあるのか? 」

 

 

 

ジャスが赤髪の大鬼族にそう聞くと、今まで復讐に至るまでの経緯を多く語っていた大鬼族がまるで結ばれたかの様にきゅっと閉じてしまった。そこから焦る様にして考えを巡らせる様なしぐさが目立つ様にもなったのでリムルとジャスは心の中で共通の結論をそこに出していた。

 

 

「 ......... 。 」

 

 

( ( こりゃ、ノープランだな。) )

 

 

二人は赤髪の大鬼族が打算も計画もない事には薄々勘付いてはいたのだが今ので確信に変わった。確かに大鬼族の煮えたぎる復讐心は二人にとっても理解出来ないものではないし、大いに共感できる部分もある。ただその復讐の呵責のせいで彼らの身を滅ぼす事があってしまってはここで縁が出来た二人にとってはあまり望ましくないものであった。

 

 

そしてリムルはそれを見兼ねてかそこにいる大鬼族達にとある提案を持ちかける。

 

 

 

 

 

「提案なんだけどさ、お前たち全員...俺たちの部下になる気はあるか? 」

 

 

リムルがそう提案すると赤髪の大鬼族は少しだけの驚愕を顔に表しながらその言葉を反芻する。そしてリムルはまた話を続けて行く。

 

 

「ま、俺らが支払うのは衣食住の保証のみだけどな。拠点があった方がそれはそれで良いだろ? 」

 

 

「しかし、それではこの街を俺たちの復讐に巻き込むことに.... 」

 

 

放浪の身である大鬼族たちにとってリムルの提案は願っても無い話だった。しかし復讐に燃える彼らとて復讐になんら関係のない者達を巻き込む事は彼らの本意ではなく、出来るなら彼らの内で復讐劇に幕を閉ざしたいという思いもあった。

 

 

 

「.......別にお前らの為だけって訳じゃねぇよ。数千の武装した豚頭族(オーク)が襲撃してきたってんならこっちも危ないって話もあるからな。 」

 

 

「それが、魔王が糸を引いてるかもしれないなら尚更だからな... 」

 

 

赤髪の大鬼族の言葉に今度はジャスがそう返してリムルがそれに相槌を打つ。

 

大鬼族(オーガ)の里はジュラの大森林の内部に存在する集落だった。それが豚頭族(オーク)の武装軍隊に滅ぼされてしまってはその被害が大鬼族(オーガ)の里だけだということは非常に考えにくく、この集落も下手をしたら狙って来るかもしれない可能性も充分あるというのを考慮してのリムルの提案だった。

 

 

「そんな訳でよ、こっちとしてもアンタたちみたいに強い奴がウチの戦力になってくれんなら都合が良いんだよ。 」

 

 

「逆にお前達に何かあった時には俺たちも一緒に戦う。俺たちは仲間を見捨てないからな! 」

 

 

大鬼族たちに居場所を与えてその対価として戦力になってもらう。リムルの出した提案は彼らにとっても受け入れ難い話では無いが即決出来る内容でもない。赤髪の大鬼族は少しだけ思慮に耽ると濁った様な口調で返事を返す。

 

 

「なるほど...わかった、少しだけ考えさせてくれ...。 」

 

 

大鬼族としてはこのまま提案を受け入れた方が楽になるだろう。だが先程述べた赤髪の大鬼族はこの町を復讐に巻き込むかもしれないという懸念からその提案を受け入れることに渋っていた。だが大鬼族たちが何かあった時は彼らもまた一緒になって戦ってくれるという話を聞くとその心境にも変化が生じ始めていた。

 

 

自分達を無傷で蹂躙したジャスとそのジャスが認めるほどの強さを誇ってジャスを飼い慣らす様に扱う事もできる集落の長であるリムル。

 

 

この二人なら或いは──────────。

 

 

 

「おう、じっくり考えてくれ。...さてと、俺たちはもう少し肉を貰ってこようかな!ほら行くぞ!ジャス!! 」

 

 

「なんで俺が食べる前提になってるんだ? 」

 

 

「なんだ?もうお腹いっぱいなのか? 」

 

 

「別にそう言う訳じゃ...「 じゃあ良いよな!!ほら行くぞ!!! 」そう言う事でもねぇよォッ!! 」

 

 

赤髪の大鬼族からリムルとジャスが去って行く。だがリムルはジャスの首根っこを掴んでいる様子でジャスもそれにされるがままにされながらその場を去った。大鬼族たちは何処か似た様な景色を見た事がある気がするがその場は気のせいだろうということにして二人の騒ぎ立てながら宴に介入する後ろ姿をただ黙って見ていくだけだった。

 

 

 

 

───そうして、大鬼族をも巻き込んだ宴は夜が明けるまで続いて行ったとか。

 

 

 

 

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