鈍色の正義   作:クロウト

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2刃 : リムル

 

 

? ? ? : 視点

 

__ 俺は、リムル・テンペスト 。一匹のスライムだ 。

... 人間だった、オレは 。向こうの世界で通り魔に刺されて ... 、死んだと思ったら、こっちの世界でスライムとして転生して 、暴風竜の異名を持つ “ ヴェルドラ “と友達になったり、と。転生してからまだ一日すらも経ってないような時間の中で、前世では感じる事が出来なくない様な事が、山の様に降りかかって来た。今は、ゴブリン達の集落を拠点に

魔物の街作りをしている所だ。国作りは順調に進んで来ており、武装国家ドワルゴンから引き入れたドワーフ達の助けも有ってか、そのスピードは徐々に上がって来ている。今のオレは、と言うと。その街づくりの

合間の時間を練って、この"ジュラの大森林"の事をもっと知るべきだと思い立ち 、少しの間だけこの森を探索する事になったのだが.....。

 

 

[ __ 告、強大な魔素を纏った者の接近を検知しました。]

 

 

.... と、森を探索してまだ数分も経っていない時に、俺の保有している

ユニークスキルの[大賢者]が警告を告げるようにそう言って来たのだ。

 

「 __ .... え? 」

 

その瞬間 、オレの身体 ... いや、スライムボディに粘り着くような殺気の様なモノが襲いかかって来た。ヌルリとした質の悪い油を身体に掛けられたような気持ちの悪い感覚が一気に、スライムの小さな身体に押し込まれるようにしてのしかかって来たんだ。

 

「 ... オイオイ、嘘だろ!?!? 」

 

オレはその瞬間、本能が“ ヤバい “と警鐘を鳴らし続けているのを感じていた。まだ確認した、とか。居る可能性が有る、とかなら分かるが。

接近___ !?!? 、つまりこっちに向かって来てるって事じゃんか !!!!!!

 

「 コレは一体全体、どうしたら良いんだろうか ..... 。 」

 

オレはその未知の強大な存在について、頭を悩ませた。どうするべきだろうか、... 安易に近付けば“ 悪即斬 ____ッ !!!! “って感じに、このスライムボディじゃぶっ倒されるもんなぁ.... かと言って、全力で逃げれば、逃げた隙を突かれてそのまま死んじまうってのも有るかもしれないもんなぁ .......。正に、四面楚歌と言った感じだ。

 

「 .....___ 良しっ !!! 」

 

俺は意を決して、その強大な魔素がする方へと進んでみる事にした。

もし今後 、俺らの町に今後の脅威として立ちはだかる存在ならばここで倒さなければ後々、面倒な事になるかもしれない。かと言って、こんな所で見て見ぬふりをするとなれば、それこそ取り返しのつかない事になる事も有る。危険な賭けをする事になるが、ここは男として覚悟を決める時だろう。

 

「 ....... 此処か 、... 確かにヤバそうだな。 」

 

オレがその魔素を辿って見れば、其処は古い坑道が有るような場所だった。集落から少し離れた距離で、案外近い所に有るような場所だった。

これ....マジで危ないような気がするんだけど .....。ま、まぁ...まだ敵だとは決まった訳じゃないし ... 。話せば分かるよね!

 

「 さて、さて 〜 .... 。件の輩は何処だ。_____ ..... 」

 

オレがそう言いかけた途端、オレの目の前に有った扉が一瞬 、罅が入ったような気がした。遠くからだったから、それが錯覚かもしれないし

はたまた例の強者がやったものなのか ........ それが果たして何方になるのかは、一瞬にして分かってしまった 。

 

バ"ッ"ゴ"ォ“オ“オ"ン"ッ"!!!!!!!

 

___ 扉がぶっ飛んだ、と言うか粉々になった。轟音が辺りに響き渡り、その奥から何か ... 人型のような者がその奥から出て来た。そして

ソイツが出て来た瞬間、ただでさえ漏れ出ていた強大な魔素が一気に

襲いかかって来たのだ。

 

「 ヤ 、ヤッベェ〜 .......。 」

 

徐々に廃坑から、その身を露わにした其奴は見た目からして凄く悍ましい見た目をしていた ...。黒いトレンチコートの下に着ているのは...何だあれ、学ランか?。それと、頭と両腕にクソでかい刀みたいなのが生えてて ... 、身長は190ってところか?いやデカすぎんだろ ...。

 

「 ___ ... 学ラン 、だと? 」

 

そう、此処が前世の世界だったらその学ランのようなものを見ても。何も違和感を抱かなかっただろう。だが、此処は異世界。日本では無い何処かだ。異世界で日本のような高度な教育が行われてると考えれば一応は説明が着くだろう、だが此処はそんな大都市が近くにある様な場所では無い。そんな所からいきなり化け物みたいな見た目をしながら着てくる奴、となればその可能性は低いと見るだろう。

 

「 ... まさか、オレと同じ異世界人か? 」

 

... その可能性も無いとは言い切れなかった。確証は無い、希望的観測に過ぎないが。ただ、学ランのようなものとまだこの世界にはまだまだ浸透していないような刀の様なもの。どれもこれも日本を語る上では、必ず出て来るで有ろうモノばかりだ。特に刀はthe 日本と言った感じだ。

 

「 同じ異世界人 、ならあの“ネタ“を使えばっ_____ !!! 」

 

今のオレはスライム....、前世の世界でもスライムの存在は広く知れ渡っている。そして、アレがオレと同じ異世界人で、日本出身なら ... もしかするとあのネタが使えるかもしれない。そう思い立ったオレは、いつもよりスライムらしく、地面を這いながら。オレの記憶に有る限りのスライムの記憶をフル活用しながら其奴の元へと近寄って行った 。

 

( 怖、怖ぇ〜〜〜〜____...... )

 

近寄るたびに殺気のような何かが溢れ出してるのが目に見える。はっきり言って近付いちゃいけない存在かもしれない ... ま、まぁ見た目で人を判断するのは良くないしー...もしかしたら、ヴェルドラと同じ様に案外、フランクだったりするかもだしな .... 、と内心でビビりつつも這い寄るように其奴の元へとある程度、近付いてみれば ..... 。

 

「 プ 、プルプル !!! 僕、悪いスライムじゃないよ !! 」

 

これだ___ 、スライムと言えばこのネタだろう。同じ日本人且つ、

同じ世代ならば通じる筈 、.....オレは心の中で必死にこのネタが通ずる事を全力で祈りながら、渾身のネタを披露する。一瞬だけ、気まずい雰囲気が流れたと思えば.... 意外にも、その反応はオレが予想して無いようなものだった。

 

『 _ はッ、メタル系だったら血眼になって倒してたんだが ... どうやら

 アンタは違うみてェだな。』

 

___ えっ!?マジ?!通じた!!? ___ 希望的観測と危険な賭けと言う何ひとつ安心出来る要素が無いような、命の綱渡りだったが...

どうやらオレの賭けは成功したみたいだ。悪魔みたいな格好とは裏腹に

割とフランクな口調で話してくる。兎にも角にも、オレは未知の魔物 ...

もとい異世界人と合流する事に成功したのだった。

 


 

 

正義 : 視点

 

悪魔は、今。仄かな歓喜と僅かな困惑の中に居た。自分の目の前に居るのは、間違い無くスライムの様な物体であり。悪魔の脳裏にも、良く見覚えが有る様なデフォルメされた姿をしている。そして、そのスライムが此方に這い寄ったかと思えば、悪魔が前世で人間だった頃にやり込んでいたあのRPGゲームのセリフが出て来たものだから、悪魔は唐突に出て来たその台詞に、一瞬だけ驚きつつも有るが自分と同じ世代の人間、

否、スライムを見つけれた事が悪魔の中での仄かな歓喜が生まれる理由だった。対して、困惑してる訳はと言うと。悪魔は何故、この異世界に

居るスライムがあのセリフを知っているのだろうか、と言う疑問から生まれるモノであった。そもそも人語を喋るスライムすらも悪魔にとっては物珍しい存在であり、それに加える様にして前世の世界の知識の片鱗を見せるスライムなど、唯一無二レベルだろう。そして悪魔は、其処に

“一つの可能性“を浮かばせたのだった_____。

 

「 .... お前、まさか日本に居たか? 」

 

そう悪魔が問いを投げかけると、スライムはその言葉を待ってましたかの様にその首も身体も無い完全な青色の球体を思いっきり上下に動かしながら反応を示して来た。恐らく、このスライムも悪魔と同じくして何か理由があって転生して来た同じ狢と言った感じだろう。悪魔は、目の前に居るスライムが同郷の者だと知れば。少しだけ安堵の念が心の中にストンと落とし込まれたら、

 

「 __ ..まさか、こんな早いタイミングで会えるとはな ... 。いや〜

 ほんと、助かったよ〜 ....。同じネタが通じる人が此処に居なくてさ〜... まさかオレだけがこの異世界に取り残されちゃったの!?って

ちょうど、思い立ってた所で ... 」

 

悪魔の後に続いて、スライムが話し始めた。口は無いのに、何故か言葉が頭に流れ込んで来る。思念伝達___ 、という奴だろうか。この異世界にそんな超能力じみたモノが有るとは思えないと悪魔は推測するが、そもそもスライムも悪魔もこの世界に居る時点で魔法とかがあっても何も可笑しく無いだろう、と己の考えの愚鈍さを認識させる。

 

「 ... 俺もだ、こんな異形の見てくれにされちまってよ。人体改造でも

 されちまったかって言うぐらい、人間から掛け離れてる見た目してんだよな ... テメェはもう、スライムだから完全に人間じゃねぇけどな。」

 

スライムは、悪魔のその言葉に同調する様に頷きを示した。同じ異形同士、どうやら通ずるモノがあるらしく。悪魔もそのスライムと軽く話してみれば、“悪意は無さそうだな“とそのスライムに敵意が無い事を確認すれば、出しかけていた敵意をそっと仕舞うのだった。

 

「 __ そうだよな〜....っと 、まだ自己紹介が済んで無かったな 。オレは、悟。三上悟だ 、今はリムル・テンペストって名乗らせてもらってる ! あっちの世界で通り魔に刺されて、気づいたらこんなスライムボディに転生してたんだ 。同じ転生者同士なんだ。仲良くしてくれると嬉しい !宜しくな! 」

 

どうやら、スライムの名前は三上悟、と言うらしく。異世界では大きく名を変えて、リムル・テンペストと名乗っているらしい。どうやら、その名前はヴェルドラと言う暴風竜を冠する竜種によって名付けられたらしく、そのヴェルドラもまたテンペストの名をリムルから与えられたらしい。悪魔は、その背景に感嘆に示しながらも続けて自身の自己紹介を

していくのだった。

 

「 ... ああ、宜しくな。俺の名前は、前世じゃ"間藤傑(まとうすぐる)“って呼ばれてた。今じゃ、正義の名を冠する悪魔らしい。オレも

前世じゃ、銃で撃たれて死んだと思ったらこっちに来てたのが経緯だな、お互い似た様な境遇で大変だな。 」

 

“銃で撃たれた“ 、その言葉を聞いてスライムは少しだけ引いたような姿勢を見せた。それも当然だろう。普通に生きて見れば、銃なんて存在は架空の物としか認識せずに、ゲームや漫画の中でしか見れない産物だろう。それに貫かれる痛みも、リムルには知らないはずだ。逆に知っていたら、悪魔も少しだけ引いていたので有る意味、有り難い反応で有るだろう。そして、自己紹介が済んだ後。リムルが、何かに気付いたかの様に話を切り出せば。

 

「 __ん、つまりお前はまだこの世界に来てから、オレみたいな個体名が無いって事になるのか ? 」

 

「 ... まァ、そう言う事になるな。 」

 

悪魔は、リムルの発言にそう言えばそうだった、と反応するように返す。確かに悪魔には今、リムルのような個体名が無い。原初の正義(ジャスティス)と言う名も、悪魔にとっては識別名のような物に過ぎず、間藤傑の様な個体名は悪魔には無い。何処かで名付けを行わなければならないのか、と悪魔が考えていると ...。

 

「 それじゃあ、色々と不便だよなぁ。名前を聞かれた時に、正義!ってだけじゃ伝わりにくいかもだし.... 良し、オレが名付けてやるよ! 」

 

「 _____......... は? 」

 

いきなり、リムルの口から...いやスライムボディからそんな言葉が伝わって来たのを感じ。悪魔は言葉を失い、唖然としてしまった。名付けてやる、というのは普通、犬や猫に対して向ける言葉では無いだろうか。

それをスライムが悪魔に向けて言い放つのは、完全に立場が逆で無いと可笑しいような状況だ。

 

「 .... まァ、名前が合って困る事はねェだろうが ... 本当に大丈夫なのか? 」

 

「 応 !! 、一応 オレも名付けがこれで初めてじゃないからな!大丈夫、なんとかなるって! 」

 

軽い 、そのスライムはなんとも軽かった。悪魔がスライムに名付けされるなど荒唐無稽な話かもしれないが、この異世界ではそれが成立しようとしていた。スライムは、早速悪魔の名前を考える為にその思考を働かせ、対する悪魔はその様子に口出しせずに、ただただ見守っているだけだった。

 

「 う〜ん...そうだなぁ...正義、...正義~ ...英語でジャスティスだろー....。

 ジャスティス.....ジャス_____。 」

 

スライムは独り言を呟きながら、悪魔の名前を考える。そして数分も経たない内に、そのスライムボディの頭部からビックリマークが飛び出して来る。どうやら思い付いた、... らしい。悪魔はヤケに早いなとは思いつつも、内心名付けられる名前にはワクワクしていたので、リムルの名付けには少しばかりの期待を寄せていた。

 

「 良し! 、お前にはオレのテンペストの名とジャスの名前を組み合わ

 せて、"ジャス・テンペスト"だ!どうだ?! 」

 

 

ジャス・テンペスト___ 、それが悪魔の名前らしい。悪魔はリムルの安直な名前センスに面白がるように笑みを浮かべた。正義のジャスティスの最初の三文字から抜け出した名前。だが、悪魔には他に名乗る名前すらも無かった為、安直な響きだがシンプルで良い名前としてリムルの名付けを拝命したのだった___。

 

「 ... 良いのか 、? おまえのテンペストの名前まで貰っちゃってよ 」

 

「 良いって、良いって!せっかくの同郷の仲間なんだ、親友(マブダチ)の記念って事で、な? 」

 

一体、いつ悪魔とリムルが友達になったのだろうか_____。と言う疑問は浮かんだが、細かい事かもしれないので余り気にせずにリムルのその言葉に異形の口での精一杯の笑顔を見せた。そして、リムルが悪魔に向かって名付けを行うと、悪魔の身体に変化が起こる 。

 

「 __ ... お、... なんかさっきよりかは力が湧いた....ような? 」

 

「 ..... 一気に、魔素を8割ぐらい持ってかれた... あともうちょっとで

 強制的に眠らされるところだったな____。 」

 

悪魔は、身に湧き上がる力に実感してるが。対するスライムはその名付けによって魔力をだいぶ消費したのか大分グッタリとしている様子になっている。スライムは、その名付けがどれだけ自分にとって大きな意味を持つのかを理解していたが、対する悪魔はこの世界に転生してまだ一日すらも経っていない為。スライムが何故、グッタリとしているのかが

分からなかった。

 

「 ... おいおい、やっぱ名付けってやべーもんだったんじゃねぇの? 」

 

「 だ、大丈夫___ 、ちょっと魔力が少ないだけだから....回復したら、街を案内してやるから、ちょっとだけ待ってろ........ 。 」

 

その後、名付けを終えた悪魔__、ジャスはその場にそのスライムボディを横たわらせているスライムを眺めながら。改めて自分が異世界に来てしまったんだな、と改めて再認識したのだった。そしてこの世界に来てから、早くも同じ異世界人と合流出来た事に歓喜を覚えるのだった。

 





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