鈍色の正義   作:クロウト

6 / 12
6刃 : 日本刀VS炎の精霊

 

 

_____ かつて炎で全てを失った少女は奇しくも炎の力を手に入れた。

 

 

_____ 少女はその力を人々を守るための力に使ったが、炎は少しずつ彼女を蝕み。

 

 

_____ やがて少女は炎を御する事が出来なくなった。

 

 

 

_____少女の名は、"シズエ・イザワ"炎系の最上位精霊であるイフリートを宿し。

 

 

_____爆炎の支配者だと謳われた英雄であった。

 

 


 

 

劫火の滾りが開戦の狼煙を打ち上げた。リムルは自身の影からランガを呼び出し、狼の頭に乗りながらイフリートを取り巻いている火炎蜥蜴(サラマンダー)を撹乱しながら様子を伺っている。そして、悪魔はイフリートのヘイトがリムルに来ないように、真正面からその刃を紅蓮の精霊に差し向ける_____。

 

「 ...一応、聞いておくが。アンタに目的は有るのか? 」

 

空に佇んでいるイフリートに悪魔は問いを投げかける。然し、イフリートは答えず。ただそこに浮かび上がりながら、熱波を放ち。彼等を見下ろしているのみだった、するとイフリートは漸く悪魔の方へと向いたかと思えば、片手を指鉄砲のような形にし、上へとその指を差し向ければ

 

( __ 上? )

 

悪魔がイフリートのその行動に懐疑的な印象を持つ。するとイフリートの差し向けた指、その先に微かな火が宿り始まる。鉄面皮のように表情を崩さないイフリートのその双眸は悪魔を捉えており、その指先に灯った火は次第にその火力を強めていき、小さな火種程度だったその火は時代にその大きさまでも拡大し、気付いた時にはその指先に発生した火の大きさは既にバスケットボール大の大きさの火球にまで成長していた。

そしてその火球が悪魔という標的に狙いを定めんとすれば_____。

 

ゴァ"ッッ!!!!

 

その火球は凄まじい速度で悪魔に迫って来た。そのバスケットボールの様な大きさを持っているので、それなりの質量と炎による延焼のダメージの両方が悪魔に襲いかかって来ておりながらも、悪魔はそれを見ればその火球に対応しようと斬撃の体勢を取る。

 

「 成程な__、それがてめェの答えか 。 」

 

迫り来る火球、それに対して回避の体勢を取らず迎撃の体勢を取る悪魔。片腕に生えた刀を自身の背後に控えさせる。両者の距離は段々と詰められていき、火球は轟音を纏いながら。悪魔を焼き尽くそうとその狙いには迷いが無かった。そして火球が、悪魔が避けきれない距離で達せられた瞬間の事だった。

 

 

 

 

じゃあお前だけ斬り殺してやるよ!!!!!!!!

 

刹那___、悪魔の背中に控えさせていた刃が振り翳される。音速かと見間違えるかのように。悪魔の刀の一振りは早く、まるで刀の達人が鞘から自身の刃を素早く引き抜くように。その大振りの刃は素早く火球に向かい差し向けられ....。

 

ザンッッッ!!!!!!

 

迫り来る火球に対して、悪魔の袈裟斬りが放たれた。その瞬間、一筋の剣の閃光が駆け。火球はその場でピタリと時間が止まったかのように悪魔の眼前で止まり、そして次の瞬間。袈裟斬りの閃光をなぞるかのようにその火の玉にスルリと、その剣筋が刻み込まれ_____。

 

ドドンッ!!!!!!

 

火球は二つに分断され、火の渦を描いたかのような断面をした半球状の二つの火の塊たちが悪魔の背後の地面にへと堕ち、爆発する。イフリートは自身の焔が斬り裂かれたことに訝しんだ表情を一瞬だけ見せるが、

瞬時にその表情を再び鉄面皮のように硬く閉ざし。再び火球を生成しようと自身の力を外界にへとその焔を形作る。

 

 

『 "水刃___ッ "!!! 』

 

瞬間 、焔の力が形作られようとした瞬間。イフリートの死角、ランガに乗り込んだリムルが放った水で形取られた刃が イフリートの元へと接近する。___が、その水刃はイフリートの身体に傷を作ることも、ましてや身体に届くことは無く。その小さい水の刃はイフリートから放たれる強烈な熱波によりジュッ、と軽く焼ける音と共に軽く蒸発されてしまいリムルの攻撃は虚しく散ってしまう事になる。

 

「 駄目かっ..... !!! 」

 

リムルはジャスの援護をしようとその刃を放った、しかしイフリートの身体にはその刃が届かず。結果的にイフリートの焔の力を弱める事は叶わなかった。ランガに乗っていたリムルもその刃を放った後。火炎蜥蜴(サラマンダー)の炎がリムルたちを捉え、再びジャスとリムルの距離は離される事になる。

 

「 __リムル !!! 、お前は取り敢えずあのトカゲどもをぶっ倒せ!!此奴の相手はオレがする !!!! その間に、弱点でも見つけとけッ! 」

 

「 ....分かった 、出来るだけ早く終わらせてそっちに向かう!其方は任せた !!! 」

 

ジャスはそう言いながら 、リムルの言葉を聞き届ければ。熱波を放ち続けているイフリートを直接叩けば幾らかあの取り巻き達も弱体化するのでは無いかと考えたのか、火球を迎撃したのち、その両腕に備わった刃をイフリートに叩き込もうと走り出す。___そしてその意図が分かって居たと嘲けるように。先程から練り上げられていた炎の力を一気に解放せんと、イフリートの背後から連なるようにして召喚された火球の群れを召喚させれば、接近を試みたその悪魔に向かってその焔の群れは一斉にその牙を剥く。

 

ドンッ!!!!ドドォ"オン!!!

 

振り下ろされる火球はまるで地に堕ちる流星群、その火球の群体が幾つも地面にへと降り注ぎ。地面を抉り、草木を燃やす。そして悪魔の真正面に、先程放たれた火球よりも一際大きいようなサイズの火球が3つ悪魔の身体を燃やし尽くそうと迫りきていた。

 

「 来いよっ 、テメェのその間抜け面ごと斬り伏せてやるよ !!!!!!! 」

 

悪魔はその両刀を火球群に向けて構える。そして悪魔は先程の火球を斬り伏せた時の感覚を思い出しながら、球を打ち返すような感覚で先に迫り来た3つの内の一つの火球に向けて、先ずは左腕に生えた刀をその火球に向けて振り翳す。

 

キンッッ !!!!!

 

甲高い斬撃の音が鳴り響いたと思えば、その火は先程悪魔が火球を二つに両断した時と同じようにその火球は切り裂かれ地に堕ちる。だが悪魔には残り二つの焔が迫り来ており、それと同時に辺りを巻き込むことを前提とした火球群の先触れが爆発の衝撃と熱波により悪魔を多方面からの強烈な熱により燃やし尽くそうとしており、悪魔は自然にイフリートの火球の包囲網に取り込まれて居たのだった。

 

「 チッ__、そう言う事かよッッ !!!! 」

 

悪魔は続けて火球を斬り伏せようと刀を構える。迫り来る火球に、焔の包囲陣が敷かれている今の状況下で生半可な回避は危険だと判断した。

爆発の衝撃による広範囲のノックアウト攻撃は、悪魔に傷をつけることは無くとも、その土煙による目眩しによって死角からの手痛い追撃が来ることは悪魔にとっては望んではいなかった。悪魔は刀を構え_____、その二つの火球に向けて狙いを定める。

 

 

「 ....だったら、いちいち斬っては捨てるッてのも面倒だよな_ッ!!!!!」

 

悪魔はイフリートの包囲陣を一気に駆け抜けてしまおうと考えたのか、前面に押し出すように構えられた両刀を今度は自身の前に控えさせ、クロスガードのように両刃(もろば)を前に出して、正面から受け流すかのような体勢を作るのでは無く。今度は両腕を横に下ろし、左腕を前に、右腕をその左腕の後ろに控えさせる。そしてそれに連動するかのように両腕に生やされた刃もその腕の形と同じ形となり、自身の身体の体積を一点にへと収束させるような形にへと移行する。

 

「一瞬で斬り裂いてやるッ___ !!! 」

 

悪魔は構えを取った後、駆け出した勢いを使いながらしゃがみの体勢にへと移しその地面を滑るかのように焔にへと接近して行く。言うならば土壇場で出したスライディングとも言うべきだろう____、そのスライディングにより彼自身の速度も上がり、それは火球群との距離が詰められる時間も短縮することも意味する。そして、その火球が迫り来ると同時に閉ざしていた悪魔の刀も徐々に開いて行き、完全に迎撃の体勢を取る。

 

___そして、彼と火球との距離は詰められていき、軈てその距離は互いに被弾が避けられないような状況下とも言えるべきだろう超近距離にまでに成って行く。だがその瞬間、悪魔の刀がその火球を斬り伏せようと互いの攻撃がぶつかり合うその時に、刀は鞘から抜かれるように。その腕から刃は解き放たれる。

 

キィィィィィンッッ_____......。

 

瞬間、ジャスの甲高くも辺りに反響するような斬撃の音が響き渡ったと思えば。彼はその焔の包囲陣をいつの間にかにすり抜けており、イフリートの眼前に立っていた。イフリートは今、自身の目の前で起きた事に理解が出来ずに居たのか、その寡黙な鉄面皮が剥がれたかのようにその顔に焦りの表情と冷や汗を一つ頬に垂らす。そしてジャスはそのスライディングの体勢から自然体にへとその姿勢を戻しており、その両刀はダラリと脱力したかのような腕に付随するかのように生えていたままで居た_____。

 

 

「 __どうやら、成功の様だな、 」

 

 

ジャスがそう言うと、彼の背後に合ったその二つの火球に一筋の切れ込みが刻まれる。そしてその火球たちは時を待たずしてその球体が真っ二つに斬り伏せられ地面に堕ちて行き、轟音と共にジャスの背後に灰煙が立ち込めたのだった。

 

斬滅之王(バルムンク)一式_____。 」

 

ジャスは自身に備わった究極能力__、斬滅之王(バルムンク)の力に感嘆の意を込めながらそう呟いた。イフリートは目の前に居たその"化け物"を見た時、仄かに戦慄を覚えた。自身の火球を切り裂く者、そしてイフリートという人間から見れば圧倒的な存在で有る筈の上位の存在を目の前にしても動じぬような胆力、その蛮勇とも取れるような姿勢には全て、彼の持ち合わせたその"力"による産物だった。

 

 

 

 

 

斬滅之王(バルムンク)___、それは万物全てを斬り尽くし。それがどんなに硬い岩だろうが、金属で有ろうが。その力が与えられたその刃の前では紙同然のような物であり、振り翳された刃を止められる者は何人たりとも存在し得ないだろう唯一無二の能力で有る。そしてジャスが先程、イフリートによる火球を斬り伏せたのも斬滅之王(バルムンク)による万物を斬る斬撃によるモノであり。刃では斬れない筈のモノを豆腐のように両断するその剣技は鋼鉄や金剛石まで斬り尽くしてしまう事からこう呼称されたのだった。

 

 

「 ___斬鉄剣

 

 

 

 


 

 

 

 

イフリートと悪魔が対峙する__、イフリートは宙に浮かび上がりながら、顔に僅かな焦りを見せ。いつでも迎撃が出来るようにと指先に劫火を灯す。対する悪魔は火球を斬って見せたその両刀をイフリートに向けながら、互いに一触即発の空気を作り出す。

 

「 __...どうした?顔が真っ青だぜ? 」

 

悪魔のその煽りにイフリートは乗ることは無かった。あくまでもイフリートは目の前に居る“脅威“を冷静に潰さなければならないという考えに切り替えた後なので、悪魔の実力の片鱗を見たイフリートにとって下手な動きは死を招くと理解したのだった。

 

「 __ ジャスっ !!! 」

 

互いに一触即発の空気の中、それを打ち破るかのようにスライムのリムルが劫火を切り抜け、悪魔の隣にへと辿り着いた。上空を見ても、火炎蜥蜴(サラマンダー)の群れは確認出来ず、悪魔はリムルが火炎蜥蜴(サラマンダー)を相手にし、そして見事に倒してくれたのだと考えなくとも理解し、リムルと共にイフリートと対峙していた。

 

「__此処に来たのは、アンタだけらしいな。 」

 

「 ...嗚呼 、カバル達は火炎蜥蜴(サラマンダー)の自爆を喰らってランガと一緒に安全な所に避難して貰ってる。負傷したものの、命に別状は無い。今の所、死者は0だ。 」

 

 

リムルのその言葉を聞き、悪魔は一先ず安心する。悪魔自身はこのイフリート戦でカバル達を守りながら戦うことのリスクの高さが懸念点ではあったので、リムルが選んだその戦線離脱という選択肢はきっとこの状況に置いては正解とも言えるだろう。

 

 

 

 

「 __これで、思う存分闘えるな! 」

 

リムルがイフリートに向かって一歩踏み出す。そして今まで、悪魔にだけその視線を向かせていたイフリートが踏み出して来た一匹のスライムに向けて視線を向ける。だが、イフリートのスライムに向ける視線は冷ややかなモノであり、或いはあの悪魔よりかは弱いという安堵から来るものなのだろうか。どちらにせよ、イフリートは先ずその悪魔より弱いと見たリムルを潰し、その勢いで悪魔も殺し切る考えに切り替えたのか

再びその顔を鉄面皮の様に硬く閉ざして行く。

 

「 ...嗚呼 、漸く二人でアイツボコせるな。待ちくたびれたぜ、この時をよォっ !!! 」

 

悪魔は再び刀をイフリートに向けて構える、リムルもいつでも臨機応変に闘えるように準備する。イフリートの顔には最早、冷や汗の一つすら無く。寧ろ、目の前に居る標的たちを確実に殺そうという意志の現れのように、イフリートが放っている熱波の勢いが更に強まって行くのを感じる。そしてその決戦の狼煙を打ち上げるかのように、イフリートは悪魔やリムルに向けて見せていなかった"奥の手"のカードを一つ切ってくる_____。

 

ズズズズ".....。

 

イフリートの身体が分裂して行く 。今まで一体だけ居ないと認識していた精霊の身体はその身に宿る獄炎を憑代にしたのか、その頭数を増やしていく。これは悪魔自身にも見せたことが無い、確実に一人と一匹を殺しに来たというイフリート自身の殺意の現れとも言って良いだろう。

 

「 分裂___ッ!? 」

 

「 __ ... チッ、囲まれたかッ ... !!! 」

 

イフリートの分裂体が悪魔とリムルを取り囲んで行き、悪魔に展開したように今再び、リムルを巻き込んだ焔の包囲陣が囲まれる事になる。

そして今まで宙に浮いていたイフリート達がその逃げ道を無すかの様に

その地面にへと降り立って行く。焔の精霊が立つ地面は大地すらもその獄炎で溶かすかのように、黄土色の地面は赤に蝕まれていくのが分かるだろう_____。

 

「 ....ジャスっ!ちょっと下がっててくれ !!! "出来るだけ当たらない様"にはするから! 」

 

「 あァ!?どう言うことだテメェ_____。 」

 

リムルの言葉に悪魔は懐疑的な言葉を出す、悪魔の顔が異形では無かったとしたらきっと訝しみの表情を見せていただろう。だが、悪魔がそう言いかけた瞬間。リムルの周りにはこの獄炎の中には有る筈が無いだろうな"冷気"の様なモノが辺りを包み込み始める。そしてリムルを中心に漂い始めたその粉雪のような小さな霜が発生し始めて、そしてその中には小さな氷の槍のようなものが生成されようとしていた_____。

 

「 .....そう言う事かよッ !!! 」

 

リムルを囲うように生まれ出したその無数の氷の槍を見れば、リムル自身が何をしようとしているのかを理解した悪魔は瞬時にリムルがいる場所から5歩ほど離れた場所にへとバックステップで移動し、腕でクロスガードを姿勢を取り。リムルのその放とうとしている雹撃に備え_____。

 

 

 

水氷大魔散弾(アイシクルショット)_____ッ !!!!!!! 」

 

 

刹那__、リムルの魔法により形作られたその全方位に浮かび上がる拳大の氷の槍のようなものが一斉に射出される。その氷はイフリートの分裂体の身体を貫くには充分な威力だったらしく、イフリートの分裂体はリムルの水氷大魔散弾(アイシクルショット)を喰らい、焔で形取られたその身体は霧のように次々と霧散していき、最終的にその氷の槍は

目の前に佇んでいる本物のイフリートだけを残し、分身体の殲滅に成功したのだった。

 

 

「 ジャスっ__、無事か!? 」

 

「 ....嗚呼、コッチにはダメージ0だ。ったく、普通仲間を巻き込んであんなモンブッ放すかね...。

 

「 ....あっ、...あははは〜。そこはまぁご愛嬌ってトコで.... 」

 

リムルによる水氷大魔散弾(アイシクルショット)は悪魔の身体に傷を付ける事は無かった。幾つか掠った部分も合ったものの、刃によってその氷の槍の軌道が少しだけズレるだけで済んだので、重畳とも言えるだろう。だが、その分裂体を大量に殲滅してもイフリートの鉄面皮が剥がれることは無く、寧ろその顔が"勝利を確信したかのような笑み"のような物に変わっているようであり_____。その瞬間、悪魔とリムルの地面に赫く紅蓮の色をした“魔法陣“が現れる。

 

 

 

 

 

『 ___炎化爆獄陣(フレアサークル)

 

今まで口を開くことが無かったイフリートの言葉が響き渡る。そして

悪魔とリムルに敷かれたその赤い魔法陣は刹那の内にイフリートから放たれている熱波とは程遠いような強烈という言葉では形容し難いような獄炎が生み出される事となる__。

 

ゴァ"アア"ア"ッ"!!!!!!!!!!!!!!

 

「 しまッ___!!! 」

 

悪魔のその言葉が言い終わることは無く、即座にその魔法陣からはシズを包んだかのような獄炎の巨大な柱が大森林に聳え立つこととなる。

悪魔とリムルを巻き込んだこの巨大な一撃は全てイフリートの謀略によって成立させたモノであり、あの分裂体がヘイトを買っている内に。イフリートの炎化爆獄陣(フレアサークル)がスイッチ式の地雷の様に

密かに仕込まれていたのであった_____。

 

「 ぐッ ....おオォっ__ !!!!!! 」

 

悪魔の視界が紅に包まれる。隣にいたはずのリムルの姿は焔で遮られ、

悪魔の身体には獄炎の熱が襲いかかる。今まで感じた事の無いような全身に来る炎の重さにイフリートの力の全力を思い知る事となったのだった。

 

「 ...チィっ_ 、!!!! このまま焼け死ぬのは御免被るぜェっ !!! 」

 

悪魔は燃る獄炎の中、確かに自身の両腕に備わっている両刀を焔の中でも自在に操るように動かしていきこの炎化爆獄陣(フレアサークル)の焔を斬ろうとその刀を振るおうとしたのだったのだが___。

 

《 告 , 個体名 ジャス・テンペスト___、焔によるダメージを確認。

ユニークスキル"解剖者"による対熱耐性の獲得に挑戦___、成功しました。》

 

その瞬間_、悪魔の脳内に無機質な声が響き渡った。そしてその声が響いたのと同時に。悪魔の身体を焼き尽くさんとしていた焔の痛みが途端に途切れたかのように無くなってしまい、炎化爆獄陣(フレアサークル)の中ではその熱による焼ける鈍痛が消え失せてしまう。

 

「 __ ... 誰だ、アンタ。 今どうなってる? 」

 

 

《 解、ユニークスキル「 解剖者 」の効果です。個体名 ジャス・テンペストは「 解剖者 」のもう一つの効果で有る、自身に受けたダメージに関連する能力(スキル)や耐性を獲得する効果により、個体名イフリートの焔により対熱耐性を獲得する事に成功しました。》

 

この無機質な声の正体__、それは悪魔が前世で死ぬ直前で獲得した自身の保有するユニークスキルである解剖者と名乗る者による声だった。

悪魔の身体に熱の痛みが消え失せたと言う事は、この解剖者が言う耐性の獲得による物なのだろう。と悪魔はその獄炎の中で異形の顔面で不敵

な笑みを浮かべれば_____。

 

 

 

「 ...そうかよ、なら話は早いよなぁッ !!!!! 」

 

獄炎の中、悪魔の鈍色の刀が光り輝く。熱による耐性を獲得した今、この炎は最早、悪魔にとっては鬱陶しいぐらいの目眩し程度にしかならないだろう。そしてその両刀が焔に照らされた瞬間__、勝利を確信したイフリートの視界の中に、自身が映らない筈のモノが写り込む事となる_____。

 

 

キンッッッッ__ !!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

その刹那、イフリートの炎化爆獄陣(フレアサークル)の獄炎に一つの剣筋が入れ込まれる。甲高い斬撃の音と共に、その閃光は横一文字に駆け巡り。そしてイフリートはまさか、と思いその炎化爆獄陣(フレアサークル)に近付き、本当に悪魔とあのスライムか焼き殺されているのかを確認しようとしてみれば___。

 

ヒュンッ!!!

 

その瞬間___、待ってましたと言わんばかりにイフリートの身体に

その爆炎の中から糸のようなモノがイフリートを縛ろうとして襲いかかり、自身が出したその焔の中からの糸の奇襲にイフリートは対応が出来ず、結果としてイフリートはその糸により上半身を拘束されてしまう。

そして、その拘束された状態からイフリートが視界に捉えたのは。彼にとっては信じられないような光景だった。

 

 

「 ...悪いな、オレに...否、"オレ達"に炎は効かないんだ。 」

 

 

掻き消される炎化爆獄陣(フレアサークル)の焔、魔法陣は既に効果を無くしており。その消え去った爆炎からは、自身が燃やし尽くしたと確信した筈の。悪魔とスライムがその身体に火種一つ引火せずにその場に立ち尽くしていた。

 

「 さて__、とシズさんは返して貰うぜ。 」

 

炎化爆獄陣(フレアサークル)から生き残ったリムルが瞬時に拘束されたイフリートの眼前にへとスライムの弾力を使いその距離を詰める。

そしてその光景を目の当たりにした悪魔はそのまま追撃はせずに_____、そのトドメの一撃はリムルに譲ることにしたのか、その勝利の瞬間をただ見据えるだけだった。

 

「 ....しっかり、キメろよぉっ!リムルッ!! 」

 

悪魔のその一言がリムルに届く、それと同時にリムルは己の内に有る。自身の力を解放せんと、そのスライムボディがドロドロの液状のようにその形態を変化させ、その液状のスライムボディがたちまちイフリートの体躯を超えてしまう程のサイズにへと変貌する。それはリムルの中に秘められた己の力を解放する刹那の時であり_____。

 

 

 

 

「 ユニークスキル__ 、『 捕食者 』 ッ !!!!!!!!! 」

 

 

長きに渡ったイフリートとの焔の決戦に幕を閉じる一撃でも有った。

そしてリムルの"捕食者"は確かにイフリートの姿を捉え、たちまち精霊の体躯を飲み込んでしまえば、その拘束を必死に解こうと足掻いていたイフリートの姿は軈て消えて無くなってしまったのだった_____。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。