どうしてR18世界で凌辱されないんですか?(現場猫) 作:よくメガネを無くす海月のーれん
「お か し い だろうがよぉーーーー!」
叫びが森にこだまする。ぱたぱたと小鳥が羽ばたく音がする。
私、穂ちゃん、21歳!ぴっちぴちの冒険者!
今私はゴブリン退治に来ているの!
良い子のみんなはゴブリンがどういう生き物かわかるかなー?
うん、そう!凌辱だね!
ゴブリンっていうのはぁ…女を捕まえたら見境なしにヤッてヤッてヤリまくりな種族なわけでえっぐいことになるわけよ。もう今後の人生に希望を見いだせずに自死を選ぶ感じの。おいは恥ずかしか!生きておられんご!てな感じよ。えっちがう?まぁまぁ。
そんなゴブリンを倒しに来たんだけど…!
「あつ、あっつ、あっつい!あついって!焼けてる!皮膚焼けてる!私のシミ一つない肌がこんがりしちゃうってぇ!」
絶賛火あぶり中でっす!
ここはゴブリンの集落なんだけど…。そこの広場で磔にされて焼かれてます。あっれれー?おっかしいぞ~?なんでゴブリンにつかまった女が凌辱されてないんだ~?
ほら見て!あそこの小屋モドキ!小屋というか・・・東屋みたいなもんだけど…。
ゴブリンたちが群がっているね!よーく目を凝らしてみて!!ゴブリンに埋もれてるけど…足が見えない?しかもあそこにいるゴブリンは全員裸できったねぇモンぶら下げてるよ!しかもなんか垂れてる!見ればわかるけど絶賛ヤリまくりだね!
今度はこっち!ゴブリンってね!イノシシを家畜にしてるっぽくてイノシシがいるんだけど…ほら見て!イノシシがなにかの上に覆いかぶさってるね!しかもめっちゃフゴフゴ興奮してる!あれ?イノシシの頭の下、人の髪の毛が見えないかなぁ?アレって…もしかしなくてもそういうことだよね!
うん!そう!ここはちゃんとゴブリンたちの集落で、この世界のゴブリンはちゃーんとR18凌辱エロゲー産ゴブリンだよ!
じゃあそれらを踏まえて今の状況をもう一度振り返ってみよう!
磔にされた私。
火をつけられた木が足元に投げ込まれる。
轟々と燃える火。
周りには私を囲ってゲギャゲギャ言ってるゴブリンたち。そのどれもが憎々し気な顔をしてるね。
私、21歳のぴっちぴちの女。割と肉付きに自信がある方。
うん
「おかしいでしょうよ~~~~~!!!!!!私!女!なんで私だけ異端審問されてるんだよぉ~~~~!!!」
身をよじり、天に吠える私。身体を這う熱気が不快で全力で頭を振る。威嚇も兼ねている。おらっ!散れ散れ!見せモンちゃうぞゴラァ!
しかしてゴブリン怯むことなくギャッギャと騒ぎながら私を囲んで燃やしている。
一巻の終わり…
なわけねぇでしょうがよぉ!
「うぐぐぐぐぐぐ……!」
腕にぎりぎりと力を加えていくばくかのスペースを作る。ちょっと指が自由になる程度だ。それができれば、私は使うことができる。魔法を。
この世界は凌辱ものファンタジーだ。当然、魔法というものは存在する。そしてこの世界の魔法は指で空に文字を描くタイプの魔法である。つまるところ、指が生きているならそれは魔法が使えるのと同義だ。
小指で描く。手が震えるし、炙られているから痛みに耐えながらだ。それでも、描ける。しっかりと、魔法が描ける。それだけできればそれでいい。
使うは爆発。凍れる炎、渦巻く鱗片、逆巻く息とはためく結晶が織りなす秘された魔法。私がこの世界に落っこちたときにそばにあった魔術書記載のなんかよくわからないけど範囲残滅ができる魔法…!
「【結晶吐き】」
喉を通る異物。それはすぐさま口から吐き出される。それは煌めく結晶の砲弾だった。内部が煌々と燃えた結晶の爆発だった。
口からまろび出た結晶は地面に落ちる。ごとり、重い音が響き渡り、瞬間、あたりはカッとまばゆい光に包まれた。
残念だったなぁ…!自分の魔法で自分を傷つけることはないんだよゴブリン君…!私が自分事巻き込むような魔法を使うわけないと思ったか?バカめ…!確かにみんなが使うような魔法は自分を巻き込み得る魔法だ。だがそれは体系化された扱いやすくなっている魔法だからだ。相手に使われても対処できるようにセーフティが解除されている状態だ。対して私が使う魔法は古代の魔法だ。古代魔法は燃費もカスだし本人の資質によって使えるものが異なるという非常に扱いにくい。代わりに、術者の身の安全という点に関しては現代魔法よりも優れている。
私を炙っていた焚火諸共破壊した結晶はあたりに散らばり、散弾のごとくゴブリンを殺傷している。実は術者だけを守るので、周りに味方がいると普通に殺してしまうという特大の欠陥を持っているが…どうやら皮肉なことに凌辱されている女性達はその上にいるゴブリンやイノシシが肉壁となって被害を免れたようである。
「こぉい!魔導書ォ!」
私は気合で拘束を引きはがし、焚火の残骸から転げ落ちる。火事場の馬鹿力ってやつね…!ほら見て!鬱血してる!うぼっ、着地。ガッと転げた勢いそのままダッシュして声を上げる。
虚空から浮き出た一冊の本がブーメランがごとく回転しこちらへと加速する。さっと手を挙げれば魔導書は私の手に吸い込まれる…ことはなく後頭部に刺さった。
「いったぁ!ガバ投書やめろぉ!46ページ!開け!」
走りながら後頭部の魔導書をひったくり、片手に持つ。向かっている場所はゴブリンのボスがいると思われる場所だ。私をこんな目に合わせたヤツをぎったぎたにしてやらねば気が済まない…!
ひとりでにめくれる本がぴたりとそのページで動きを止めた。私は空いているほうの片手で書かれた文章をなぞる。なぞれば文字は光り輝き私にイメージをぶち込んでくる。普通に気持ち悪いからやめろぉ!
『秘された生物、回転する翼、溶け出す肉、流れる骨と思考する血は生命のあり得ざる選択の末に刻まれた爪痕。生き得なかった類友。されど、その姿、忘れることなく。
木は覚えていた。そのあり得ざる生命を。世界に生き残ることを許されなかった生物を。たとえこの身が変わろうと。木は覚え続けることにした。それが頼みだったからだ。生きることは、忘れないことなのだと。木は教えられたからだ。
琥珀の章、第一編、殻人』
「【殻人纏い】」
身体から滲み出すは生物だ。六角形の翼が回転し、皮膚の上に厚塗りするようにかぶされた肉は溶けている。肉の間を白いナニカが絶え間なく流れ続け、まるで生き物のように噴出した液体が私の頬を舐めた。
異形の姿となった私はあらん限りの力を足に込めて、ひときわでかい建物に突貫する。
「開けろぉ!死刑だぁ!」
ドロップキックで突入し、下手人を探す。
奥、でけぇ玉座に座った豚が一人。
オークだ。
フゴフゴと鼻を鳴らし、そばに立てかけてあった棍棒を手に持ち立ち上がる。
おーおーおー!やる気なもんでぇ!野蛮人らしく裸でのお出迎えだ。
オークが吠える。きたねぇ声だ。ふと…股間を見やる。
………タッテない。なるほどね?
「私だって女、ダァー!そこはおったてるなりなんなりしろやゴラァー!襲ってほしいわけじゃないけど、じゃあ勃たれないってそれはそれで女の魅力がないっていうようなモンやろうがーい!!!」
私はダッと駆け出した。
開 戦
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