どうしてR18世界で凌辱されないんですか?(現場猫)   作:よくメガネを無くす海月のーれん

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ギャグです。


オークはバントを選択した自分を恥じた

脂ぎった贅肉とその中に隠された筋肉を誇示するが如く体をのけ反らせて咆哮する豚頭の亜人…オーク。その手に持つは電柱サイズの棍棒だ…ご丁寧に鉄片かなにかを刺しているらしく殺傷能力はお墨付きだろう。

 

相対するは私、【殻人纏い】を発動させたことにより全身を肉と骨と血に身を包んだ正真正銘の化け物だ。接近戦で常用する魔法の一つ。素早い、しぶとい、危機察知能力が高いというゴキの類縁かな?と思うほどハイスペックなフォームだ。殺傷能力はほとんどない。しいて言うなら、骨片を血液と一緒に飛ばすくらいだ。水圧カッターかな?

 

だがぁ!私には魔導書!魔導書がある!このフォームは私が確実に相手の間隙に魔法を叩き込むためのもの!殺傷を魔法に依存しているからこそ攻性手段を度外視した生存フォームが輝くのだ…!

 

ブモォォォォォオオオオオ!!!!!

 

「やってやるぞやってやるぞやってやるぞ!ポンコツ魔導書ォ!132ページ!」

 

互いに気合を入れた声を皮切りに開戦…!私は魔導書を開き、オークはこちらに向けて突進する。魔法の発動準備が完了したときの距離目測は10m弱…!いける!

 

『錯乱する光。夢見る均衡、脳裏に住まう盲の灯、消えてしまった器官、世界には見えなくていいものがある。永く生きたくば、故も他も何もかも知らぬのままでいるがよい。

 

生物には退化という概念がある。それは進化と対をなす概念で、生物を守るために存在する防衛機構の一つでもある。見えなくなったほうがいいもの、聞こえないほうがいいもの、知らなくていいものガこの世に存在することをソレは理解していた。

 

黒亜の章、第三編、啓蒙の光』

 

「乾 坤 一 擲ィ!」

 

左手に作り出した光球、それを野球選手よろしく投球する。ありがとう高校時代野球部所属の友達、田中(仮称)くん!君が戯れに教えてくれた投球フォームがこんなにも役立っているよ!腰を軸にした体重の移動と遠心力を無駄なくボールに伝えられるように肩を意識すること。そうした教えが、私を強くしてくれる…!知識は経験となり…力となる…!私の渾身の投球はなめらかな弧を描きながらオークの頭にデッドボールになりそうなところを、なんとオークは常軌を逸した行動に出た。

 

「ハッ!?その構え…!」

 

オークが即座に構えたのは打球フォーム…!しかも腰だめにして顔面近くに両手を使って構えるあの構えは…バントのフォーム…!このオーク…!できる!

 

ブモモモツ

 

低く笑ったオーク。しかし、その顔つきは苦虫を嚙み潰したような顔であった。なぜならオークは心で負けたと感じたからだ。敵が全身全霊で投げた神聖なる球にあろうことか受けに回ってしまったのだ。それはオークのプライドとして負けを意味していた。全身全霊の攻撃には全身全霊でもって返すのが礼儀である。それを失したのだ。これでオークが勝ったとしても、オークはこれを負けとみなし、潔く自死を選ぶだろう。オークは試合がしたいのではない。勝負がしたいのだから。

 

オークの顔面へと吸い込まれるようにして飛んでいく光球、しかしオークはバントフォームを構えている。このままいけば光球はデッドボールではなくなり、転がされる…!そうすればオークが次にすることは一塁への走塁…!転がした時点でこちらに駆け出してくるだろう。現に、オークは腰だめのまま重心移動を右側に偏らせていた。軸足に体重をかけている。走り出す準備は万端ということだ。

 

「曲がれぇえぇっぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

私は全力の声を上げた。私のボールが…!たかだかバントで流されていいはずがない…!やるならデッドボールかストライク…!それしか認めない…!私の誇りをかけた投球に!一つの曇りも許されない!

 

ズダンッ

 

光球はまるで投手の言葉に従うようにあらぬ方向に自身を曲げた。推定82度の鋭角カーブにより、光球はオークの真横を通り過ぎ、その力を爆散させた。

 

オークは目を見開く。当たるはずだったボールが当たらなかったことに驚いたのではない。敵が静かに己を見据えていたからだ。オークは人知れずに笑う。理解したのだ。なるほど、己は運がいい。生涯の敵に渡り合えるとは。

 

オークはゆっくりと立ち上がりその場から少し後退する。女もまた後退した。距離にして、20m。両者向き合う。

 

オークは身震いした。二つの双眸が二度目はないと言っていたからだ。一度限り、人生一度の大勝負。そういうことなのだろう。自分の人生をここで散らす、未練がないといえば嘘になる。しかし、後悔はないか。そう問われたとき、オークは笑って、ないと答えるだろう。未練は未来のものであり、後悔は過去のものなのだ。未来は変えられる。だが過去は変えられない。過去は変えられないからこそ、その過去に曇りがないように未来を変えて生きる。過去ありきの生き方、未来に目線を向けない後ろ髪を引かれた生き方だと揶揄されようと、それこそがオークの信条であり生き方だ。生き方を曲げることはできない。

 

女もまた震えていた。よくわからないが、少年誌みたいなノリで野球が始まったからだ。努力友情勝利をこよなく愛する女は、即座にこのノリに適応し、私!主人公してる!と喜んだ。先の凌辱されない=魅力がないという怒りはとうに消えていた。アホである。

 

オークは女に向けて、ホームラン予告をした。挑発だ。しかし、目の前の敵は乗ってくれると確信していた。

 

果たして女は光球を作り出した。オークはにやり、笑った。

 

「ストレート」

 

女は宣言した。まさかの球種宣言だった。オークに人語が通じるのかわからないが、女は伝わるという確信があった。オークを見やる。にやり、女もまた笑った。

 

沈黙が両者を支配する。生き残りのゴブリンが侵入者とボスの一騎打ちをしていることに気づき、固唾を飲んで見守っていた。流れる風、誰も声を発さない。

 

女はちらり、ちらりと存在しない捕手に目線を向け意思疎通を図る。一種のルーティーンだった。これがなければ私は投げれない。逆に言えば、これさえあれば私は投げれるのだと。

 

沈黙を破ったのは女だった。

 

ダッと勢いよく出された足、捻りあげられた腰から背中、肩を通じて力が一転に集中する。身体の表面を流れる血と肉がしなやかさと同時に頑健さを与え、尋常ならざる力が無駄なく光球へと集まった。

 

全力の投球、対するオーク…!まさかの行動に出た…!

 

顔面横に構えてフルスイング…!

 

そう…!オークはやはり人語を理解できていなかったのだ…!女が発した言葉を先と一緒であると勘違いしたオークは、頭狙いであると思い込み、頭に向かって投げられたであろう光球を打ち返すべく、頭の横でフルスイングしたのだ!

 

ではあのホームラン予告は何だったのか!?違うのだ!あれは投げた光球をそのままお前にぶち当ててやるというサインだったのだ!まさかの殺害予告…!それをホームラン予告と女が勘違いしていたのだ…!

 

アンジャッシュ状態となった両者、時間がスローモーションになり、まじまじと見つめあう時間ができる。

 

ゆっくりと進んでいく光球は、確かにオークの鳩尾に緩やかなカーブで突き刺さる。

 

そう、女は別に野球の投球フォームを教わっただけの素人であり、たとえ力を十全に発揮できようと球種コントロールなどできるわけがないのである。女はその投げ方しか教わっておらず、またその投げ方も高校生時代に教えてもらったフォームを記憶で補完しているような状態。結果として、カーブしか投げれないフォームなのである。調子に乗ってストレートなんて宣言したが、投げれる確率など、万に一つの確率であろう。

 

光球はその力をいかんなく発揮し、オークの鳩尾に突き刺さった瞬間、爆発した。

 

「オークゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」




R18として投稿するか最後まで迷ったんですけど、直球表現はあれど描写はない(矛盾)ので全年齢かなと思いました。実際、前話はチソチソ出てきたけどエロくなかったでしょう?え?エロかった?骨の髄まで汚れてるようですね…

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