どうしてR18世界で凌辱されないんですか?(現場猫)   作:よくメガネを無くす海月のーれん

7 / 11
感想ありがとうございます。返信は迷っておりますが目は通しております。

書き溜めが尽きるまで毎日投稿です。大体3,000字ぐらいだから書きやすくて楽。


テッテレー!スイちゃんはチソチソを叩き潰すための(見た目が)邪悪な棍棒を手に入れた!

そうだ、鍛冶屋に行こう。

 

京都に行くノリで、いや多分これ旅行行く前に持ち物リスト確認して忘れかけてたものを買いに行ってるだけな気がするけどそれはまぁさておいて。ポンと横に置く動作をする。よし。

 

目的はつるはし、あとポーション。この二つが必要だ。前者は依頼のために必要で、採掘依頼というのは道具は基本的に自前で持ってくるのが常である。ギルドで貸し出しもしているがそちらは返却期限があるし、何より壊したら弁償しなくてはならない。1週間山に籠りきりになるんだから返却期限は相談しなければいけないし壊したら事だ。なら買ったほうがいいだろう。

 

おっでかけ!おっでかけ!ルンルンと陽気に歩く。今日はお天気で気分がいい。本をくるくると回転させながら放りキャッチするアレをしながら鍛冶屋へと向かう。次に薬屋だ。魔導書君は多分意思があるので、空中に放っても本が開くことはない。おとなしく回られてる。楽しくなって、いつもより多く回っておりまぁーす!と放る高度がどんどん高くなる。比例してどんどん楽しくなって…臨界点に達したので思いっきりブーメランみたいに放り投げる。

 

そぉい!

 

放り投げられた魔導書は空中で不自然に止まり、まるで本を粗雑に扱う不届き者に天誅を下すが如く、鋭角カーブで戻ってくる。だが…!

 

当たる直前…!私は後ろに倒れるようにステップ回避し、距離をずらす。そして、腹に構えていた両手を即座に顔の前に上げて本をキャッチする…!

 

へっ、お前が頭部を狙うことはこちとら学習してんだよ!いくら空中で軌道を変えられるからとはいえそこまでのコントロールはない。鋭角カーブした後なら緩慢な動きしかできないはずだ。それなら直前で動いてやればいい。気分は闘牛を翻弄する闘牛士、マタドールだ。ヘイヘーイ!動きが遅いんじゃないの~?

 

不満たらたらなのだろう本がビチビチと動くのを手で押さえつつ、鼻歌を歌う。やーいお前はルーザー!おーおー活きのいい本なこってぇ!〆の道具はどこだぁ!魚拓ならぬ書拓取ってやろうかァ!活版印刷し直してやんよォ!そんな寸劇をしていると目的地たる鍛冶屋へと着いた。

 

鍛冶屋は割と街のはずれというか工業地帯みたいなところにある。音とか臭いがすごいから人が住んでるところから離れたところに…ということだ。しょうがないことなんだが来るまでの道がしょしょだるい。だが町の中心にでもおったてようモンなら、騒音被害悪臭被害でクレームまったなしだろう。まぁ今はどうでもいいからひとまず置いといて…ポンと横においた。よしよし…

 

そいじゃま、たのも―!

 

「なんだぁ?女が来るところじゃあねぇぜここは」

 

鍛冶屋に入ると、所狭しと武器や防具が並び、奥のほうでカンカンと甲高い音がする。カウンターには毛むくじゃらの背の低いおっちゃんがいて、なんかの紙面から顔を上げて応対してくれた。多分ドワーフだ。髭がすっごい。黒塗サンタクロースだ!修正済サンタクロースだ!いや別にアウトなサンタクロースというわけではない。ただ黒ひげなだけだ。

 

「冒険者だぜ私は。依頼で必要になったつるはしを買いに来ますた!」

 

「んだぁ…冒険者かい。女でってのはわけありか。まぁ金持ってんなら客だ。つるはしなら其処の棚二つ。持ってみて片手がしびれるくらいの重さが両手で扱う分にゃちょうどいい。持ってみな。壊すんじゃねぇぞ」

 

「あーい」

 

そういうことらしいので、つるはしの棚へと向かい持ってみることにする。魔導書?私の意図をくみ取って消えてくれた。気の利くやつである。おう、その気の利きようで後頭部に当てないようにしてくれよ。

 

んじゃま、ど れ に し よ う か な。これ、これにしよう。棚三段目左に有ったつるはしを持ってみ…

 

おっっっっっっも

 

「んぎぎぎぎぎぎ…っはー!!!!」

 

持ち上げようとして分かった。すんごく重い。危うく棚から落としかけたが、気合で持ち上げ元の位置に戻した。おっもいわこれ!持てねぇ!

 

「あーあー…それで重いんじゃ上だ上。上のやつ取れ。基本、重いヤツを下から順に置いていってる。軽いのはそっから上だ」

 

「りょ、了解」

 

おっちゃんのアドバイスをもとに気を取り直して再チャレンジ。今度は一番上の棚に飾ってあるつるはしに手を伸ばす。今度も重いのかと気合を入れて持ち上げると…確かに重いが持ち上げられないほどではない。ちょっと軽いかな?レベルだ。手に持ってみる。片手でも問題なく持てた。おぉ…!キラッキラと目を輝かせる。これで私も炭鉱夫…!

 

カァンカァンとつるはしを振るって金を掘ってるゴールドラッシュの妄想をしているとおっちゃんが補足してくれた。

 

「一番軽い奴だな。木材も軽さ重視だ。それでも大体の鉱石は掘れんだろうよ。馬鹿みてぇに固い鉱石にでも叩きつけなきゃ壊れることはそうそうねぇ。それより軽いってなると発注ってことになる。どうだ?」

 

「おーん…いい感じ。手にしびれとかはないけど軽いってわけじゃないし…問題ないかも」

 

「んならいい。値段は銀貨5枚。買うか?」

 

「買う買う。買います。お願いします」

 

持ってみて不満はなかったので即決で購入する。魔導書取り出し―の。魔導書に手を突っ込み―の。財布取り出しーの。嫁ぎ…はしない。

 

この魔導書はアイテム収納機能もあるので便利だ。割と入る。一週間分の食糧も入ってる。どれくらい入るかは知らん。でも確実に言えることは魔導書がなくなったら、私はでくの坊になるということだ。それは確実に言える。じゃあなんで雑に扱うかって?簡単よ。こやつが後頭部をひたすらに狙ってくるからだ。

 

私が虚空から魔導書を取り出すとおっちゃんは鼻を鳴らした。

 

「なんでぇ、魔導書か。アンタ魔法使いかい?なら杖も買っていかねぇか?短杖ならうちでも扱ってるぜ」

 

そういって、いくつかの短杖を見せてくれる。御師匠が短杖を使っているのもあって密かな憧れはあったのだ。樫の木製、トレントという動く樹木製、マホガニーという聞いたことある木材製、お値段も順に樫の木、トレント、マホガニーと高くなっている。マホガニーなんか金貨4枚だ。そんな強いの?

 

「おうよ。マホガニーっつーのはまず数が少ない。そんでもって他の木より耐久力がある。しなりもあってな。見た目もいい。魔法使いとして重要な魔力の通しも良いときた。そりゃあたけぇ。幸いなことに、加工しやすいから値段のほとんどは材料費だ。マホガニーを工面できた奴が持ってくるときもある。そういう時は安く済むな」

 

「んなるほどねぇ…。私…魔法使いっちゃ魔法使いだけど…魔導書で事足りるしなぁ…そんな高いのは払えんよ。割と接近戦するから武器が欲しいくらいだし」

 

「ほう?アンタ前衛に立つのか。なら護身用の武器もあるさ。何がいい?剣か?槍か?技術がねぇならメイスがおすすめだ。上から下に振り下ろすだけでいい」

 

なるほどなるほど…。確かに、私は剣術や槍術なんて上等なモンは知らないトーシロである。それなら振り回すだけでもダメージになるメイス系が合ってるのか。ゲームとかアニメとかでよく異世界召喚された勇者とか初心者冒険者が剣とか使ってるのを見るが、あれは剣術を知ってるから選んでるのだろうか?それとも、こういう仕事=剣!みたいなモンだろうか?少なくとも、剣より槍のほうがよさそうだと思う。だってリーチが長いヤツが強いってのはトーシロの私でもわかる。もっと言うなら、遠距離からの弓とか投石が一番強いと思う。大昔、ご先祖様がマンモスやら他部族やらをなぎ倒して霊長類に達した叡智の結晶、投石は偉大なのである。うむ。

 

ご先祖様の偉大さに想いを馳せていると、ご先祖様がウンババ、ウンババ言いながらズギャンと雷と共に天啓をくれた。

 

すなわち、棍棒を使えと。

 

「ねぇねぇおっちゃん!!!軽めで携帯しやすいけど魔法が扱いやすくなるヤツってある?」

 

「うぉっ!?あ?魔剣の類かぁ?うちじゃ取り扱ってねぇぞ」

 

前のめりでカウンターに乗り出して聞いてみる。今私はご先祖様に憑りつかれているので自分で自分の制御ができていないのだ。フンガーッ

 

「あぁいや、戦闘用の杖というか…はっきり言えば棍棒サイズの杖というか…」

 

多分私にとって一番良いのは魔法が使える棍棒だ。杖としても使えて棍棒としても使える。片手で扱えるサイズならなおよし。ご先祖様に則って、ウンババ言いながら使うのだ。想像する。……うん、似合ってそうである。

 

「棍棒の杖…ちと待ってろ」

 

脳内で毛皮を身にまとった私が棍棒を振り回してゴブリンを追い回している妄想をしていると、おっちゃんは何か心当たりがあるのか声をかけて引っ込んだ。あいあい。

 

というわけで待つこと数分。おっちゃんが持ってきたのは片手サイズの棍棒だった。握りやすく持ち手が細くなっており、皮張りされてるからか持ちやすく滑りにくくなっている。殴りつける部分が黒紫色で人の叫び顔みたいなのが浮かんでることに目を瞑ればよさげな棍棒だろう。てかこれが杖?なんか木目がエグイ魔物みたいになってんだけど。叫んでんじゃん。マンドレイクなの?呪いの杖とかじゃないよね。これちゃんと杖として使えるの?よしんば棍棒のみの運用だとしても絶対呪われるタイプの棍棒じゃんね。血を吸ったりしない?

 

「しないしない。普通に杖としても使えるぜ。まぁつっても、戦闘用杖というか…片手型のバトルスタッフだ。ちゃんとした攻性魔法を撃つにゃちぃとばかし難だが補助魔法を扱うならちょうどいい。戯れに作ったからそんないい素材を使ってるわけじゃねぇ。といっても耐久力だけはある素材を使ったからまぁ長持ちする。アンタの言う通り、見た目が悪い素材でな。売るに売れん。値段は銀貨10枚。バトルスタッフにしては安いが…買うか?」

 

「うーん、買った!」

 

「毎度。ならつるはし用の油もつけて…セットで安くして銀貨14枚だ」

 

「あーい。ほい、ほい、ほい、ほい、ほい。ちょうど銀貨14枚」

 

魔導書から銀貨を取り出して渡す。うーん結構な出費。まぁ山籠もりで取り戻せるからよし。準備をケチってはいけないって偉大なる先達も言ってるから…。誰に対する言い訳をしながらエグ目の棍棒とつるはしを手に入れた。

 

「はいよ。んじゃこいつ等はアンタのモンだ。大事に使いな」

 

「はいはーい。良い買い物できた!また買いたいものあったら来るー!ありがとおっちゃーん!!!」

 

「へいへい…」

 

おっちゃんのそっけない態度を尻目に鍛冶屋を出て数歩。棍棒を掲げた。

 

「テッテレー!スイちゃんは棍棒を手に入れた!これでチソチソを手で握りつぶさなくて済むぜ!」

 

フンガーッ!

 

蛮族の雄たけびを上げていると、周囲を歩いていた人たちにギョッとした目で見られた。気にせず意気揚々と歩く。公衆の面前でエグイことを宣言した私は、棍棒を振り回しながら薬屋へと向かいポーションを買ってから山に向かうのだった。……完全に自然回帰とか、野生に帰るとかそういうのではない。断じてない。ないったらない。

 

ちなみに薬屋でポーションを割ったらどうするとしこたま怒られ、棍棒を一時没収されることになった。

 

フンガー……

投稿時間に関するアンケート

  • 朝、8時の投稿
  • 夜、18時の投稿(今まで通り)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。