crosslife   作:NEEDLESS

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市街地から移動し旧市街へと向かった十三そこは多種多様な移民とマフィアと無法者の巣窟として名高い場所『九星窟』だった―――



第3話 交渉

ここは影が漂う旧市街地。誰が呼んだか人の悪意と欲望を詰め込んで煮詰めた場所 通称『九星窟』出稼ぎに来た移民 その日暮らしをする者。違法拡張処理を受け非正規の労働を熟す者。 地面に座り込み虚ろとしている拡張者。そこで幅を利かせるマフィア―――ここはまさに現代の混沌(カオス)であった―――。

九星窟にある建物の一室にて十代半ばの少女が手術室のベッドで手足をばたつかせながら凄まじい悲鳴を上げていた。

「ギャァァァぁぁぁぁぁっ」

悲鳴を上げていた少女の近くにいるのは医療用の貫頭衣に工具を入れ左手にドライバーを持ち唇にピアスをした少女とベッドの上で激しく暴れている少女の父親である。

父親はドライバーを持った少女に

「私が金を惜しんで違法拡張なんかを受けさせたせいで娘が…」

ドライバーを持った少女はベッドの上の少女を見ながら

「…相性無視して非正規の拡張体を組み合わせたせいで互いに干渉して不具合が出てる。 これもまた「九星会(きゅうせいかい)」が流したパーツっすね。このままじゃ補助脳への負荷が大きくなりすぎて本人の脳にも影響が出ちゃいますねぇ」

 

父親は凄く慌てながら少女に言った。

「そんな!!他人事みたいに!!」

彼女は父親に胡乱げな眼差しを向けた後少女の拡張体を固定しているパーツを見ずに外していた。

「あれ?おっちゃんまだいたの? 男の人は外に出ててって言ったのに困るなあ」

父親はその言葉に焦りながら叫んだ。

「こっちは高い治療費出してるんだ!!娘を治せるのかっ どうなんだ!!?」

彼女は半目で父親を見ながら

「治せるか? 何言ってんすかおっちゃん もう治し(バラ)しましたから」

その瞬間、少女の拡張体の接続部分がすでに外されていた。父親は彼女の解体の速さにとても驚いていた。彼女は少女を見ながら

「患部の除去完了これでもう命の心配はないですよ」

父親は助かった娘を感極まる表情で抱きしめていた。その様子を見たメアリーは

「次拡張処理する時はこのメアリーちゃんに頼むことっすねマフィアなんかよりよっぽど安くて良い体付けてあげますからっ」

親子が帰った後、メアリーは室内にある倉庫の扉を開けて中に居る人物に話かけた。

「もう出て来てもいいですよ十三さん」

表情は不明だが人の顔だったら真っ赤にしている状態なのだろうか不自然に沈黙していた。

「………」

その態度にメアリーは引いた目を向けながら話した。

「あれ? もしかして見えてました?あの子の裸?」

十三は慌てながら答えた。

いやっけしてオレは…………!!

メアリーはドン引きしながら追求した。

ていうかそこ目じゃなかったんすか?目隠しの意味無いじゃないですか!! ヘンタイ!! 次のぞきしたら二度と手助けしませんからね!!!」

十三はへこみながら返事を返した。

…はい

そのやり取りのあと手術台の上に鉄郎を乗せメアリーは十三に聞いた。

「―――でべリューレンに追われているこの子を匿って欲しい…と」

十三は煙草を一本紙箱から取り出し口に咥えマッチの小箱からマッチを一本取り出し箱の横についている着火材でマッチに火を付け煙草の先端に触れさせ煙草に火を付けた後メアリーに伝えた。

「ああ 訳あり患者を匿う例の部屋あそこをまたしばらく貸してもらいてぇ」

それを聞いたメアリーは鉄郎を見た後に十三を見て

「てことはこの子も訳ありってことですか」

十三は煙草を吸っていたが少し怒りに満ちていた。

その様子を見たメアリーは

「?何かイライラしてます?十三さん」

と疑問に満ちた様子でメアリーは問いかけ十三の吸っている煙草を見た。

「あれ?タバコの銘柄変えました?」

十三はメアリーの問いに

「変えたつもりはねぇよ」

とそっけ無く返したがメアリーはその様子を見て一瞬呆気に取られた後爆笑しながら

「まさかっお気に入りのタバコが吸えなくてイラ付いてるんすか!? でっかりナリして子供みたいですね―――!!」

と爆笑していた。その後すぐに種ヶ島の箱を捜し始めた。

「確か「種ヶ島」ですよねこの辺に前十三さんが忘れていったのが…」

十三は椅子から飛び上がり期待に満ちた様子で

「あるのか!!?」

と叫びメアリーを見た。メアリーは辺りを捜し始めたが一瞬止まった後

「…こないだのゴミの日に捨てちゃってました」

とばつが悪そうに返した。それに対し十三は

「…てめぇ」

と怒りを滲ませながらメアリーを見た。

彼女は目を逸らしながら

「だって私〜タバコとか吸いませんし〜それにあんなきついタバコ置いてたら他のお客さんに変な勘繰りされるじゃないですか―ほらやっぱり私目当てのお客さん多いですしースキャンダルにも気をつけていかないと―――…」

そう言いつつ十三を見ると体から煙をたなびかせながら怒りに満ちていた。それを見たあと寝ている鉄郎の隣に座り

「…この子を匿うって話構いませんよ移民だらけのこのきゅ九星窟(きゅうせいくつ)にはべリューレンもそうそう手を出せませんし 何よりこの子についてるEX法(エクステンド)違反の新型拡張体にも興味ありますし」

十三は自分の疑問をメアリーにぶつけた。

「…その新型…ハルモニエとか言ってたかどういうもんなんだ一体?」

メアリーはストロー付きの容器に入ったドリンクを飲みながら

「ほーへふへ――― 十三さんには説明するまでもないと思うけどもともと拡張体は戦争中に人の機能を拡張することで兵士を強化するのを目的に開発された技術で補助脳は本来の人のそれを超えた機能の操作による脳への負担を軽減する為に造られたわけですそれで本人が細かな指示をするまでもなく補助脳に入れたプログラムに従って拡張体を円滑に動かせるようになった…」

十三は感心した様子で

「ほお」

と言った。

メアリーは少し呆れながら

「…ほお ほおって知らなかったんですか!?そんな頭なのにッ」

十三はメアリーを見ながら

「大まかには知ってるさオレはただの処理屋だからなそれで十分さ」

メアリーは呆れながら説明し始めた。

「…拡張体を「車体」とするなら補助脳は「運転席」それで本人の意志が「運転手」って感じですね」

その説明に十三は

「だから拡張者は補助脳を破壊されるとろくに動けなくなると…」

その答えのあと補足をメアリーは付け加えた後真剣な目で十三を見ながら

「でもだからってそんな雑な戦い方してたらいつか痛い目みますよ まぁもし十三さんが死んだら存分にその体調べさせてもらいますけどね」

あっけらかんとした発言に十三は呆れながら

「オイ」

と返した。

メアリーは手術台の上から降りるとハルモニエについての憶測を話始めた。

「…でここからは推測なんですけどこのハルモニエって装置…これは対象の「運転席」に強引に乗り込む為の装置…ってところですかねぇ でも本来補助脳に外部から干渉するには「本人(ユーザー)」「製造者(メーカー)」「拡張者対策局(EMS)」がそれぞれ設定した3つの認証コードが必要になるんです それを無視出来るマスターキーのようなものがあるって噂は確かにあったんですけど……まさか本当にそんなものが造られていたなんて… そもそも下手すれば会社の存続すら危うくするこんな装置…一体何の為に造ったのかな」

十三は手術台の上の鉄郎を見て

「そいつを外してやることはできねぇのか?」

とメアリーに疑問をぶつけた。メアリーは考え込み

「ん―…延髄周辺まで食い込んでるみたいだから無理に外そうとすると障害が出るかもですね。 とにかく これをつけた奴らはこの子の生死に興味がなかったんでしょうね」

と自分の考察を述べた後鉄郎を見て

「…この子もやっぱり孤児だったりするんスかねぇ」

それに対し十三は街頭テレビで見た映像を思い出しながら

「…さてどうだかなぁ」

とメアリーに返した。

メアリーは十三に

「手足と声帯は拡張処理で日常生活に支障がない程度には出来ると思いますけど‥とにかくこの子が目を覚まさないことにはね」

その提案に十三は

「了解だこいつの意識が戻ったら事務所に連絡をくれ」

その答えにメアリーは十三を見て

「…………依頼果たしたのにそこまで気にかけるなんて珍しいっすね まさかこの子のこと相棒にでもするつもりですか?GSU(ガンスレイブユニット)といえば二人一組っていうのが有名じゃないですかいやまぁ一般の人は知らないでしょうけど私くらいなるとほら―――」

最後まで聞くことなく十三はメアリーの診療所の玄関から出ていった。

メアリーは呆れながらため息をつきながら手術台の上に座り

「ほんと…冗談通じないんだから」

九星窟を出た十三は新市街に戻り種ヶ島を捜していたが全ての店で手に入らなかった。

「これだけまわってどこも売り切れとはな ツイてねぇにもほどがあるぜ」

十三は今迄のことを思い出していた。

『僕は…道具じゃない』

『…お前はオレの…… ましてや司令部の奴らの道具じゃないお前のすべき事はお前が決めろ 十三』

それを思い出し拡張者用の煙草を根元まで吸い切っていたが身体に震えが現れていた。

「二度とオレはもう… くそっ!こんなもんじゃ効きやしねぇぜ「種ヶ島(アレ)」じゃねぇと」

するとその時目の前に煙草の自販機がありその自販機を見たとき種ヶ島が売っていた。

「あっ あった!!」

十三は自販機に小銭を入れ種ヶ島のボタンを押して購入したが『ガコン』という詰まった音が鳴り取り出し口を開けたら種ヶ島が出ていなかった。

「おっおいそりゃねぇぜっ 詰まったとか言うんじゃねぇだろな!!」

必死で自販機を叩いてが種ヶ島は出てくることはなく自販機の電源が完全に切れた。

「…そんな…」

完全に電源が切れた自販機に拳を叩き込み穴を開けた瞬間種ヶ島が落ちてきて取ろうとした瞬間横から別の手が伸びそれを取った。

「!!? おっおいそれはオレの…」

「警備局まで来てもらおうか」

煙草そう言い切る前に警備員に両腕を羽交い締めにされ拘束され連行されそうになったが

「ちょっと待て!!オレはちゃんと金を払ったんだ!!なのに自販機のやつがだな……」

そう反論し無実を主張し連れて行かれたのは人通りの少ない路地裏だったそこにはスーツを着た小太りの男とその護衛がいた。

小太りの男は警備員の2人に

「あなた達ご苦労様でした。 職務に戻って頂いて結構ですよ」

その言葉の後警備員は会釈して去って行き小太りの男は十三の経歴を話し始めた。

「…乾十三 十年前の大戦中軍により拡張処理を施された過剰拡張者(オーバーエクステンド)の一人趣味は部屋の掃除嫌いなものは子供と湿気拡張処理以前の記憶はなく身寄りもない戦後はクリスティーナ松崎(まつざき)と名乗る人物の所有するアパルトメントの一室で拡張者関連の問題を扱う処理屋を営んでいる―――」

そう言った後に

「最近受けた数件の依頼はろくに報酬を得られていないご様子壊れた窓の修理の方は大丈夫ですか?」

そう言った後十三の背後から護衛が現れ十三は察した。

「…………ハナからオレに用があったってわけか。 …オレのことを随分熱心に調べてくれたみてぇだが折角ならオレの知らねぇことを教えちゃくれねぇもんかねぇ …例えば鉄郎ってガキあいつが一体何者なのか…とかよぉ」

小太りの男は自己紹介を始めた。

「申し遅れましたが私…べリューレン社の代表としてあなたとちょっとした交渉をしに参りました。 「彼」は我が社の貴重な「製品」…その彼の返還を「所有者」の権利として要求したいわけです大よその場所は把握しているのですが少々厄介な所のようですのでね… 我々としても大事(おおごと)にはしたくないのですよ 勿論(もちろん)ただで…とは申しません」

そう言ったあと護衛の一人が地面に箱を落としたその男の手には煙草の箱があった。

「この種ヶ島という拡張者用タバコ確かあなたのお好きな銘柄でしたよね訳あって街中の「種ヶ島」がここにあります我々の頼みを聞いて下さるならこれを差し上げましょう」

十三はそれを見て驚愕していた。それを見た小太りの男が説明し始めた。

「拡張者は補助脳で生身の脳をサポートすることで神経系への負担を和らげている …とはいえ拡張の程度によっては神経の摩耗を避けることは出来ない その為多くの拡張者は摩耗を抑える成分を含んだ「薬」を常用しているこのタバコもその一つ… ちなみに、これに含まれる鎮静剤の割合は他の「薬」とは桁違い身体機能維持の為とはいえこんなものを常用している物好きは多くないおかげで回収も簡単でしたよ …ここ半日あなたが「これ」を摂取出来ずにいることは存じています。全身が拡張体のあなたのことだ体の操作が困難になってきたのでは?」

そう言った後4人の護衛が十三を取り囲んだ

十三はそれを見て

「…ったくつまらねぇ真似してくれるぜ」

護衛は徒手空拳のコンビネーションを仕掛け十三を拘束した

十三は地面に叩きつけられた

「がっ!!!」

それを見た小太りの男は地面にタバコを立てながら十三を見た

「…戦時中敵味方を問わず畏れられていた凶器の拡張者…それが薬が切れただけでこの有り様…… やはり拡張者などにはなりたくないものですね。いいですか?タバコの流通操作なんてことはほんの手始めです もしこの取引をのまないのならあなたの大切なものを一つずつあなたの前から消していきます」

そう言うと地面に立てたタバコを踏み潰し始めた。

「ほーーーーーらこーーーーんな風に!!」

その後十三を見下ろすと

「私としてもあなたが利口であることを願いますよ」

拘束されている十三は鉄郎の正体を男に返した。

「…………べリューレン社CEO荒吐総一朗(あらはばきそういちろう)その一人息子荒吐鉄郎 まさかとは思ったが…それがあのガキの正体なんだろう?それがなぜ実験体(モルモット)まがいの目に遭わされてやがるそれがあんた達のボスの意志なのか?」

小太りの男は平然とした様子で

「…何の不思議もありません社員は全て社の為の歯車それはCEOの息子であっても同じこと歯車に意志はないただ与えられた務めを果たしさえすればいい…かつてのあなたと同じようにね」

男は腕時計を見て

「おっともうこんな時間だ今日は早めに帰宅して家族と食事の予定なのです さぁ そろそろ返事を頂きましょうか乾さん」

そう言ったあとフィンガースナップを鳴らし護衛が拘束を強め十三の骨から外れる音がした。

十三は見下ろしている男に反論した。

「…どうやらあんたの調査には少々不備があるみてぇだなぁ」

その瞬間十三の背中の機構が拘束していた護衛の腕を切り飛ばし十三は男に種ヶ島を吸っている理由を言い始めた。

「身体機能維持の為だ? オレはなぁぁそいつの味が好きで吸ってるんだよ」

男は驚愕しながら十三を見ていた。十三は続けた。

「そしてもう一つ…あのガキは自分は道具じゃねぇとオレに言ったあいつはあんた達の探し「物」とは違うってことだもしこれ以上御託を並べるつもりなら今夜の晩餐は諦めるこった 生憎体が上手く動かせねぇんでな  程良く手加減してやれそうもねぇからよぉおおお」

驚愕して混乱している男をよそにジャケットを引き千切り十三は4人の護衛に襲いかかった。

4人の護衛を倒し限界を迎えた十三それを見た男が待機させていた狙撃手に命令した

「今だ!!何してるんです早く撃ちなさい!!!」

必死に命令するが狙撃手が発砲することはなかった。すでに腕が外され拘束されていたのだ。

「腕のない人に無茶言いますよねぇ」

仮面を被り狙撃手の腕を持つ女性は狙撃手に言った。

「腕付け替えるなら 良い技師紹介するっすよべリューレンのお兄さん」

十三は冷や汗を流す男に

「…どうやら出し物は仕舞いみてぇだな ならそいつら連れてご立派な会社へ戻るんだな あんたらが大事な歯車なら助けてくれるんじゃねぇか?」

男は顔に青筋を出しタバコの入った箱を抱えて去っていった。「…これがどういう事か理解しているんでしょうね もうこの街にあなたの安住の地はない。せいぜい用心することですね」

それを見た十三は

「おまっ連れてけっつったのはそいつじゃねぇっヤニの一本くらい置いて行けよ!!!」

メアリーは呆れながら

「あーあまぁた面倒なことに巻き込まれちゃってるすね〜〜十三さん」

十三はメアリー手製の種ヶ島を吸っていた。

「………まじい」

その反応に自販機で飲み物を購入し飲み始めたメアリーは

「当然すよ 私が種ヶ島の成分に似せて造った代用品ですし 私タバコの味なんて知りませんから」

十三はお面を被ったメアリーを見て

「…でその間の抜けた面は何なんだメアリー」

メアリーは十三に

「正体隠すために決まってるじゃないですか 巻き込まれてとばっちりはごめんすから だから名前呼ぶなっ!!

メアリーは十三に肩を貸し持ち上げようとしたが上がらなかった。十三は呆れながら喋った。

「のわりに首突っ込んでんじゃねぇか」

「ふんぎぎぎぎぎ」

メアリーは息を切らせながら

「…だって事務所にかけても電話繋がらないし それに十三さん完全に薬切れてる様子だったから 気になって来てみたら案の定っすよ」

十三は疑問に満ちた様子で

「電話?」

と返したメアリーは思い出したように

「あ―――そうそう例のあの子…目が覚めましたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第3話です。小説書くのって難しい…
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