八人兄妹の上から三番目。
それが私の身分だった。
農業を営みつつ、村を守る。
それが私の使命だと思っていた。
家は長男が継ぐだろう。
なら他の兄妹は?
家の外に出る必要がある。
もっとも、出なくとも良い場合もある。
家長である長男に必要とされれば良い。
こいつは使えると思われせば良い。
そう思って、ひたすら農業を手伝い、村を守ってきた。
だが、時期が悪かった。
その年は近年稀に見る不作で、農業が上手くいかなかった。
魔物は出てきたが、そこまで数は来なかった。
恐らく、不作であるということを理解している魔物がいたのだろう。
農業が上手くいかず、魔物もそれほど出てこない。
そうなると一人一人の食い扶持が減る。
栄養を、取れない。
家長である長男は、偶にやって来る物々交換で人と食事を交換することにした。
相手は奴隷商だ。
私は交換された。食べ物と引き換えに、少しばかりの謝罪と共に。
身体を動かすことは嫌いではなかったが、アピールが足りなかった。
魔物を倒すことは不慣れではなかったが、特別強くもなかった。
それだけの話だった。
奴隷商に買われて、首都であるバルガナに到着した。
大きい街だった、少なくとも生まれた故郷をあまりに小さいと思うくらいには。
買われた奴隷は競売にかけられる。
私は100万だった。
比較的若くて、身体は恐らく丈夫。
ということで、私が仕える場所が決まった。
サンタル奴隷商人が主人だ。
サンタル様と呼ばなければならないだろう。
奴隷にも種類がある。
一つは娼婦、身体を使って、他人に奉仕する。
一つは召使、サンタル様の世話をする。
一つは冒険者、雑用等を請け負う。
他にもあるが大まかに分けてこんな感じ。
私は顔はあまり良くなかったので、娼婦は無理。
覚えごとも苦手なので、召使も無理。
となると、必然的に冒険者となる。
能力が分かれば、どこを伸ばせば強くなれるのか?
才能はどこにあるのか?
それが分かれば良いが、そんな便利なものはない。
しらみつぶしに探していくしかなかった。
さて、サンタル様からもお前は冒険者になると良い、と言われた。
奴隷商の中でも比較的当たり、と言えるサンタル様は、バカでかい屋敷に奴隷を住まわせて、商売をしていくスタイルを取っている。
部屋代が一日1000、食事が希望者には500、入浴も希望者に500かかるので、基本的に一日1500と考えていい。
それを越える収入がある必要がある。
最初は武器や防具もレンタルするので、それの費用が一日5000。
最初は出費出費で、中々お金は貯まらないだろうけれど、自分で装備を買えば、手入れの必要こそあれど、お金の貯まりは早くなる。
最初は借金に借金を重なる生活が続くが、致し方ない。
一日6500を越える金銭を稼げれるようになるまでは辛抱の日々だ。
まずは屋敷に置かれている、色々な装備を試しつつ、どの武器が合うのかを見極めながらの毎日になりそうだ。
長い道のりだけれど……一歩一歩着実に進んでいこう。
サンタルはどちらかといえば善人です。