見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
『大和君、麗央君が襲撃を受けたわ!!』
「ま、マジですか!? 了解です、すぐに救援に……」
『いえ、もう手遅れ……蒐集されてしまった!!』
「な、なんだって!?」
ま、まさかあのレオが負けただと!? あいつ俺よりも強いのに……!
本局に運んだらしいから、すぐさまハラオウン家経由で本局の医務室へ駆け込む。
そこには眠っているレオと泣きじゃくっているひな。
そんな彼女の様子を心配そうに見守る羽鳥さんとリンディさんの姿があった。
「ひな回復させたのか!?」
「う"ん。ずごいげがだったー!!」
「分かる範囲でだけど、数十箇所にも及ぶ斬り傷……もう少し遅かったら死んでたわ」
羽鳥さんが深刻そうな顔で説明してくれた。
良かった。死んでいるかいないかはともかく、局員の人がなんとか回収してくれたみたいだ!
死んでから半日経つとひなのチートでも蘇生できなくなってしまう。そうならばレオはここで完全に終わっていたかも知れないのだ。
「「「レオ君!」」」
「「「レオ!」」」
丁度リンディさんから連絡をもらったなのは達も医務室に駆け込んできた。
お前ら親の目があるだろ? 夜間の外出は大丈夫なのかよ……へ、抜け出して来た? 後で怒られても知らないからな。
彼女達もレオがひなに完全回復させてもらったのを確認すると、ほっと胸を撫で下ろす。
「それで……どうしてレオ君が蒐集されたんですか? 本局で寝泊まりしてたんですよね?」
「一度荷物を纏めるために帰るって言ってたの……!」
「まさか帰宅した一瞬を突かれるだなんて……」
「結界無しの犯行なんでしょう? とてもじゃないけどやりすぎよ……」
『えぇ、やりすぎですね』
『まさかここまでやるなんて……彼らは人間ではありません』
直後、レオのデバイスであるアスカロンとカリバーが声を上げる。
レオのリンカーコアも修復が終わったことで、魔力の供給が得られて再び話す事が出来るようになったらしい。
「アスカロン。あなたは犯行当時何があったか記録していないかしら?」
『無論していますよ。私はマスターが作ったロストロギアにも肩を並べられる高性能デバイスですからね』
『我が偉大なるマスターは仮面の男達から蒐集させませんでした。命懸けで闇の書の完成を阻止したのです』
アスカロンをモニターに繋いで、事件当時の映像を見せてもらう。
……は?
「ま、まさか自分で……」
「リンカーコアを……」
「握り潰した?」
「この子、こんな無茶をして……」
「いくらひながいるからって無茶しすぎよコイツ……」
『ですがお陰でマスターからは5ページ分しか得られませんでした。我がマスターながら恐ろしい方です』
予想以上に親友は凄いやつだった。まさか蒐集されるのを防ぐ為にリンカーコアを自分で破壊するなんて。蒐集されたから分かるが蒐集だけでもかなりの痛みが伴う。それを握りつぶしたって一体どれだけの痛みを感じていたか……。
「確かに麗央君のやった事は無茶ですが、彼の機転で5ページしか蒐集されなかったのは不幸中の幸いですね。……それに一度蒐集されたらもう狙われる事はない。検査の結果次第ですが、復帰したら麗央君も出撃できるでしょう」
安心したように息を吐くリンディさんだったが、動画の次の瞬間を見て驚愕の表情を浮かべた。そしてそれは俺も同じ事だ。
龍帝院がレオを何回も何回も斬りつけていたのだから。
そして挙げ句の果てには家の中に火をつけて……火をつけて!?
「え、ちょっと……羽鳥、悪いけどすぐに海鳴市に戻って……」
「消防に連絡ね!! レオ君の怪我に気を取られて気づかなかった……!!」
羽鳥さんは大急ぎで医務室を飛び出す。
だが襲撃の時間的に彼の家全体に火が燃え広がって間に合わないだろう。
「アイツ……!」
「ひどい、酷すぎるよ」
「……そっか。れお君をやったのはリュウヤ君なんだね?」
「ふぅん、リュウヤなんだー。レオをボロボロにして、家に火をつけたのは」
ひなは普段は本気で怒ると無表情になる。だが今の彼女の顔には鬼が宿っていた。
普段のひななら絶対にしないような、そんな修羅の顔を……
そしてレオの事が好きなアリシアも顔にも鬼が宿っており、妹のフェイトも「ね、姉さん……?」と言いながら怯えてしまっていた。
「リンディさん。次からはひなも行くよ、止めても命令違反して行く。闇の書? 後遺症? 知るもんか。ひなの身体がどうなってもリュウヤ君はやっつける……いや、ぶち転がす」
「大丈夫ですよリンディさん。私も手伝うし、何があっても私がひなを守るんで、ひな、二人で転がそう」
「うん」
普段はいい子であるひなの気迫に押されてしまうリンディさん。
……だが
「二人じゃねえよ。俺も行く」
親友を半殺しにされてキレてるのはこっちも同じなんだよ。
コイツがいなかったら誰が闇の書を修理するんだ? 誰がみんなのデバイスを見るんだ? 誰が俺とゲームするんだ? 誰がひなの面倒を見るんだ……?
「ひなとアリシアだけにやらせるか。三人でリンチにしてから地獄へ叩き落とす」
「待ちなさい。なんで三人なのよ?」
「私たちも行くよ」
「レオ君はなのはが小学生になる前からのお友達なの。絶対に許さない……」
「私は……正直まだレオのこと怖いけど、それでも大切な友達だから……!」
龍帝院に報復をしたいのはみんなも同じなようだ。そんな中はやてはレオの元へ行く。
「ごめんなレオ君。ウチがもっとしっかりあの子達を見てれば……闇の書を見てればこんな事にならなかったかも知れへんのに……。ごめんなみんな。私もリュウヤ君を倒したいけど、こんな身体や私の分までお願いしてもええか?」
「任せなさい! みんな、全員でリュウヤを倒すわよ」
「「「「「「おー!!」」」」」」
「ちょっとみんな! 怒るのは分かるけど一旦落ち着いて!! 感情のままに行動していると足を掬われる「……いいや」え?」
リンディさんが俺らを止めようとしたタイミングで、ベットの方から声が聞こえる。
聞き慣れた声に龍帝院に対しての怒りは消えてベッドの方を向く。
「……アイツを消すのは………………アイツを消すのはこの俺だぁあああああああ!!」
直後、意識を取り戻したレオがすごい勢いでベッドから身体を起こす。
だが彼の様子もおかしかった。普段のようなお調子者な雰囲気でも、リンディさん達と話してるような理性的な雰囲気でもない。……彼の顔は笑っているが心の底から憤っている。そんな空気。
あまりの気迫に先ほどまで鬼が宿っていたひなやアリシアも冷や汗を流して彼を見ていた。
「れ、れお君?」
「ひなちゃん、治療ありがとう。おかげで金髪を潰しに行ける。蒐集の時に痛めつけるだけならまだしも、家まで燃やしやがって……あそこには研究中のアレやコレがあったのにぜーんぶ灰になりやがった…………!! クフフフフフ、金髪を倒すのはみんなじゃあない。踏み台の不始末は踏み台の俺がつける。俺が終わらせる!! アッハハハハハハハハ!!」
あまりの気迫に俺を含めた全員が半歩下がる。
見れば分かる。レオは今キレている。
普段怒らない人が怒ると怖いとは言うが、それは間違いだったと気づく。普段から怒る奴が心の底から本気でキレると、怒らない人が怒ったときよりも何倍もの気迫が生まれるんだ。
そしてレオは本気の本気でキレると笑うのか……初めて知った。
「首洗っとけよ
たくさんの感想ありがとうございます!!
金髪に対してのヘイトは最大になったでしょう。だからこそ全力で叩き潰せばスカッとするもの!!
レオ君も今回の一件はブチギレ出るので、金髪の残された道は“肉片”ただ一つでしょう!
金髪との最終決戦はもう少し後ですが、応援よろしくお願いします!!